医療機関では、いろんな職種の人が働いています。医師や看護師、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士、医療ソーシャルワーカー、医療事務などさまざまです。医療従事者は、多数の職種と連携を取りながら医療をおこなっていきます。
その中でも、看護師は常に患者さんのそばで看護をおこなうため、中心的存在といっても過言ではありません。看護師と薬剤師の連携、看護師と検査技師との連携、看護師と理学療法士との連携など、必ず看護師は関わってきます。一方、薬剤師と臨床検査技師、検査技師と理学療法士、検査技師と医療ソーシャルワーカーなどの関わりは、ほぼないと言ってもよいでしょう。看護師ほど他の職種と関わっている医療従事者はいません。そのため、看護師にかかってくる負担も大きいものと言えます。
人とのコミュニケーションは、ときには大きな利益を生みますが、関わる人数が多くなればなるほどトラブルも増えてきます。毎日患者さんの近くでサポートして、どんなに忙しくしていても、医療従事者の中で看護師の立場は強いと言えません。人間関係のトラブルも多く、ストレスが強い職種と言えるかもしれません。
看護師のストレス
看護師という職業は、さまざまな人とコミュニケーションを図ることが必要です。そのため、人とのトラブルも少なくありません。また、急変や緊急入院、手術など突発的なことがたくさんおき、残業を虐げられることも日常的にあります。看護師の世界で強いストレスの要因となっていることは、ほぼ「人間関係」や「超過勤務が多いこと」ではないかと思います。
人間関係が原因のストレス
看護師は、患者さんを始め、さまざまな人と関わりがあります。その中でも一番のストレスは、やはり先輩看護師との関わりではないでしょうか。ある程度経験を重ねた中堅看護師であればさほど問題はありませんが、若い看護師であれば、毎日ように怒られたり、先輩方から威圧的な態度をとられたりすることも少なくありません。
ときには、理不尽に怒られたり、自分の業務と関係ないミスまで被らされたりすることもあります。そのため、若い看護師のストレスは計り知れないでしょう。私自身も1年目、2年目の頃はよく怒られていました。自分自身のミスで怒られるならまだしも、見覚えのないミスまでなすりつけてくる先輩がいたので、納得できないことも多かったです。
しかも、その先輩はミスが私のせいでないとわかったときも、一言の謝罪もなく、何事もなかったようにしていたことから、腹の底から怒りが沸いてくることもありました。若いときは、例え自分のせいでないとしても、先輩看護師に言われれば、「すいません」と反射的に謝ってしまいます。そのうち、自分に何かミスがあったのではないかと考えるようになってしまうのです。ただでさえ業務で怒られることが多いうえ、他の人のミスまで被らされていては、ストレスも大きいと言えるでしょう。
超過勤務によるストレス
病棟に勤務する看護師で、業務開始時間ちょうどに来る人はほぼいなでしょう。病棟看護師は、業務をおこなうために、まず患者さんの情報収集をする必要があるからです。情報収集が遅くなっては、後々業務に支障がでてきます。看護師業務は「今日1日はこう動こう」とスケジュールを立てたとしても、いつ鳴るかわからないナースコール、突発的な検査、入院、手術などがあり計画通り進みません。そうならないためにも、早く出勤して情報収集をおこない、気持ちに余裕がある状態で勤務をおこなおうと考えています。
看護師の間では、早く出勤することを「前残業」と言いますが、どんなに早く来ようがこの前残業には手当がありません。病院からは決して「早く来い」と言われているわけでないため、病院側も手当を出す必要がないのです。
そして、勤務中に何が起こるかわからないのも看護師の仕事の特徴です。今日は定時に帰れると思っていても、緊急入院や急変患者が出ることがあります。また、忙しさのあまり業務が終わらず、超過勤務をすることもたくさんあります。そのため、責任の重さや過酷な勤務で割に合わないと感じている看護師も少なくないでしょう。
看護師の休日は得が多い
看護師は2交代や3交代でのシフト制であり、休日も不規則になります。そのため、祝日、祭日といった休みもあれば平日の休みも関係なくあります。看護師の休みで良いところは平日に休みがあるということです。平日休みになると、どこへ行くにも人混みは避けられます。ショッピングやテーマパークといった場所は、平日の方が人はもちろんいません。アトラクションなども少ない待ち時間で楽しむことができます。
また、旅行なども平日の方が得することがあります。ホテルや旅館などの宿泊料金は土日に比べて安くなりますし、海外旅行のツアーなどでも安くなります。旅行するにも人混みを避けられて、安く宿泊できる。これは平日の休みがあるからこそ得する部分でもあります。
しかし、平日休みは得することだけでもありません。友人や家族と休みを合わせづらいからです。友人が同業者や、看護師同様、シフト制の仕事の人であれば休みを合わせることができますが、カレンダー通りの休みの友人であると、休みが合わせづらいことがあります。もちろん看護師も祝日や祭日に休みの希望を出すことは可能ですが、家庭がある人は保育所や小学校などの休みや行事で希望する人も多いため、難しくなることもあります。
看護師のリフレッシュ方法
看護師も他の人とリフレッシュ方法は変わらないとは思います。
- 温泉旅行
- ショッピング
- 1人映画
- 太る覚悟で食べ歩き
- ボランティア
- ジョギングで汗をかく
- 山登り
- ゲーム
- 飲酒
などのリフレッシュで楽しんでいる人が私の周りにも多いです。
温泉旅行
普段の疲れを癒すために温泉とおいしい食事を堪能してリフレッシュするだけでなく、マッサージなども付けて贅沢をするといった人もたくさんいます。看護師は、友人と行ったり休みを合わせやすい同僚と行ったりするころはもちろんありますが、1人で旅行する人も少なくありません。常日頃から、人と関わることが仕事である看護師は、仕事を離れたときぐらいはあまり人と関わりたくないと思うのかもしれません。プライベートでも仕事の話はしたくない人もいます。そういった人は1人で旅行する傾向にあります。一見寂しそうに思えますが、人に気を遣わず自分が行きたい場所に行くことでリフレッシュできると言う人もいます。
ショッピング
旅行と同様に、友人や同僚と買い物に出かける人もいますが、1人で買い物をしにいくといった人も多い傾向にあります。ショッピングの場合は迷ったりすることもあるため、相手に気を遣い返ってストレスになってリフレッシュできないと感じる人もいます。そのため、誰かと買い物に行きたい場合は、家族を連れて行くという人もいます。家族であれば気を遣わず買い物ができると言う人もいます。
1人映画
映画は人それぞれ、観たいものが異なってきます。恋愛や絆、アクション、もしくは好きな俳優が出演しているかによっても変わってくるのではないかと思います。そのため、友人と行くというよりも1人で映画に行くという人も多いのではないでしょうか。まさに看護師はそのタイプが多いような気がします。
太る覚悟で食べ歩きリフレッシュ
食べることでリフレッシュできる人もいるでしょう。遠出をしては有名店に足を運び、食べ歩きをして日帰りで帰ってきたという話を何人かから聞いたことがあります。
ボランティア
ボランティアと言っても災害もあれば、フェスやライブ、オリンピックなようなものもあります。仕事でも医療に関わり、プライベートでもボランティア員として関わっているため、余程、医療や人に携わることが好きな人だと思います。中には、純粋に困っている人を助けたいと休みを取っていく人もいますが、ボランティアにはそのときでないと味わえないという魅力もあるとのことでした。災害現場などでのボランティアには、人と人との繋がりや悲しみを直に感じ、自分を見つめ直すきっかけとなり、海外のボランティアまで足を運んだ人もいます。また、いつやるかわからないフェスやライブは、そのときにしか味わえない臨場感であったり、オリンピックでは直に感動を味わえたりと、そのとき自分に与える影響は大きく、「何で自分はこんな小さなことに悩んでいるのだろう」と前向きな気持ちになれると聞いたことがあるのを覚えています。ボランティア活動は、決して楽なことばかりではないようですが、「誰かのためになっている」と思えば、気持ちが良いと話されていました。
ジョギングで汗をかく
看護師は、シフト制であるため、生活が不規則になりがちです。食事、睡眠といった時間はもちろんのこと、運動不足にもなります。普段病棟で動き周っているため、運動は十分おこなっていると思っている人もいますが、仕事と運動では汗のかき方が違ってきます。仕事で汗をかいてもすっきりはしないだろうし、リフレッシュにもならないと思います。しかし、自分で望んで動いた汗は気持ちがよくストレス解消にもなります。ジョギングはダイエットやリフレッシュにもなり一石二鳥のうえ、お金をかけずに手軽に始められることから、看護師の間でもおこなっている人は多い傾向にあります。
山登り
一時期、登山がブームになったことがありましたが、看護師にも登山する人が少なくありません。登山の目標は頂上。余計なことは考えず夢中になれること。また、頂上に登ったときの達成感や景色に魅了されて続けている人もたくさんいます。私の同僚でも、まったく運動には関心がなかった人が、1回の登山でハマってしまい、それ以降、休みがあっては登山に行く人がいました。元々、肥満体型だった人がみるみる痩せ、しまいには夜勤明けでも遠くまで車を走らせ登山してくるようになっていました。そこまでくるとストイックとしか言いようがありませんが、本人的にはかなりリフレッシュできているようでした。
ゲーム
ネット環境の普及により、知らない人とでもオンライン上でゲームをおこなうことができる時代になっています。また、ゲーム自体の画像も綺麗で迫力もあり、複雑になっているため、1日中ゲームしている人もいます。ですが、彼氏や彼女がいて、全くゲームに興味がない人からみれば、相手がゲーム三昧であることは苦痛でしかないようです。本人もそれはわかっているため、ゲームをやるときは1人のほうが気を遣わずリフレッシュできるようです。
飲酒
アルコールにより、悩みや不満が軽くなり、気持ちが楽になると言う人もいます。そのため、毎日アルコールを摂取している人もいます。なかには、アルコールを飲まないと眠れず、返ってストレスになってしまうと話された人もいましたが、アルコールも飲み方も間違えるとリフレッシュどころではなくなるので、注意はしたいものです。
結論 看護師のリフレッシュは1人が多い
これは年代にもよるかもしれませんが、どのリフレッシュも1人でやるほうが気持ち的に楽と考えている人が多いように思えます。看護師の仕事は普段の業務から人に対して気を遣う職業です。そのため、プライベートくらいは人から離れたいと思ってしまうのかもしれません。仕事とプライベートは別と思っていても、気持ちが強く出てしまうのでしょう。私自身もそうかもしれません。ミスや不安、不満などが重なれば、人に聞いてほしいと思う半面、そっとしておいてほしいという気持ちもあります。解決するためには、人に聞いてもらうことも大切ですが、度が過ぎると相手にすら迷惑をかけてしまいますし、悩み過ぎてもいいことはありません。何かに没頭してリフレッシュできる方法を、みんな常に考えているのかもしれません。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2021年8月時点の情報を元に作成しています。
執筆 男性看護師ライター | ベル
看護師歴14年目。救急、ICU、外科、内科を経験トラブルも多い看護の世界でいろいろいあってもこの仕事が好きな男性看護師。 現在、管理職として働きながらブログなどでも経験を活かしたノウハウを執筆しています。
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