風邪の諸症状や体調不良をはじめとするプライマリ・ケアの現場では、「問診で患者から詳しい情報を聞き出すことで約86%は診断がつき、身体診察をおこなうと+6%情報が増え、X線などの精密検査をおこなうとさらに8%情報が増える」という報告があるそうです。つまり、ポイントを押さえた問診をおこなうことは非常に大切だということ。では、上手な問診とはどんな問診なのでしょうか? 今回は気になる問診のコツについて解説していきます。
もっとも大切なのは「コミュニケーション」を意識すること
まず、問診においてもっとも大切なのは、「患者さんときちんとコミュニケーションが取れているか」ということです。おざなりな態度で質問を投げかけるだけでは、患者さんに「この先生は信用できない」と思われて当然です。「この先生になら治してもらえそう」「この先生と一緒に治療をがんばりたい」と思ってもらえるよう、患者やその家族にしっかりと寄り添った問診を心がけましょう。
初診時に抑えるべき項目
「どういった症状で悩んでいるのか?」などの問診において必ず抑えるべき質問はいくつかありますが、そのなかで初診の患者さんに対して必ず聴いておきたいのは以下の項目です。
1.自覚症状、現病歴
いつごろから、どのような症状で悩んでいるのかを聞き出します。また、途中から気になり始めた症状や、市販薬を飲んでいるか、他の医療機関にも相談したかなども質問すれば、既に試した治療法などがわかります。また、気になる症状があるために受診したのではなく、健康診断などで異常が見つかったことで来院している場合もあるでしょう。その場合は自覚症状ではなく「受診理由」を聴くことになります。
2.既往歴
小さいころにかかった病気が、現在の症状に関係していることも無きにしも非ずです。輸血を受けた経験の有無、予防接種を受けているかどうか、喫煙や飲酒の習慣、常用薬やサプリメントの服用状況についても質問します。また、女性の場合、妊娠の可能性があるかどうかを確認することも大切。産科・婦人科などでの診察なら、月経や出産経験についても確認が必要な場合があります。
3.家族歴
遺伝性の病気、体質や生活習慣に関係する病気、家族内で感染しやすい病気などがあるため、家族の病歴を確認します。
4.その他
主訴によっては、生活習慣やストレスの自覚症状、ペットの有無、海外渡航歴なども確認する必要があるでしょう。
患者さんが答えやすい質問を心がける
問診においてまず大切なことは、できるだけ患者さん自身に症状を説明してもらうことです。そのためには、患者さんが答えやすいように問いかけることが大切です。その際、患者さんの年齢や性格なども考慮することも大切。基本中の基本ですが、高齢者で耳が遠い場合は、ゆっくりわかりやすく話すことが大事ですし、患者さんが自身の症状をうまく表現できない場合は、質問を噛み砕きながら寄り添ってあげる努力も必要でしょう。
具体的な質問例
- 「いつからその症状が気になっていますか?」
- 「どこで何をしていたときにその症状が出ましたか?」
- 「どのようにして起こりましたか?」
- 「そのとき、症状はどのくらい続きましたか? その後もずっと続いていますか?」
- 「症状が起きたとき、どんなふうに対処しましたか?」
- 「対処した結果、どうなりましたか?」
- 「その症状を感じたのは今回が初めてですか?」
- 「その他に気になる症状はありますか?」
「いつ」「どこで」「何をしていたとき」「どのように」などの基本の質問に加えて、「症状が起きたときどう対処したか」「薬は飲んだのか」「その結果緩和したのか」なども確認します。一通り主訴を聞き終えたら、「その他に気になる症状はありますか?」の質問も投げかけます。患者自身が「この症状は関係ないだろう」と思っていることでも関連している場合があるので、できるだけ詳しく聴いてあげましょう。
問診の精度を上げることは、結果的に自分のためになる
患者さんに寄り添い、わかりやすく問いかけて詳しい症状を確認することで、病名をしぼっていけるだけでなく、患者さんからの信頼を得られる可能性も高まります。一人ひとりにしっかりと寄り添おうと思ったら、それだけ体力も精神力も消耗しますが、その分、必ず評価もついてくるもの。同時に、丁寧な問診を通して病気を予想することを繰り返すうち、医師としてのスキルもあがっていくことは間違いありません。
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この記事は、2021年8月時点の情報を元に作成しています。