看護師が本当に怖いもの

※この記事はライターが執筆した原稿をもとに編集部で加筆・編集しています。

クリニックで一緒に働く看護師や事務に仕事しやすい環境を提供することができなければ、早期退職される可能性は高くなると考えていいでしょう。

加えて、スタッフが毎日ギスギスしながら働いていたら、患者からもネガティブな印象を抱かれてしまいます。

そうした事態を避けるためにも、看護師や事務にとってネガティブな要素はできるだけ排除していきたいもの。では、スタッフたちはどんなことを「イヤだ」「怖い」「迷惑だ」と感じるのでしょうか。早速紹介していきます。

看護師にとっての怖いものとは

まずは看護師にとっての怖いものをみていきましょう。

安月給

看護師の仕事は過酷です。

「一日立ちっぱなしで足がむくむ」「残業続きでプライベートの時間を楽しめない」「夜勤が多くて体調が乱れがち」と肉体的にも精神的にもハードなため、それに見合うお給料をもらえないとなると、こんな怖いことはありません。

お局ナース

なにかと口うるさいお局ナースがいる職場も、看護師にとっては脅威です。

厳しく指導されたとしても、その人が言う通りであれば素直に従うことができますが、ただ単に面倒な業務を人に任せているだけなどの場合は、職場に行くことさえ怖いと感じるようになることもあるでしょう。

休めない

精神的にも肉体的にも限界を迎え、「次の休みはゆっくり過ごしたい……」と切望するも、その“次”がなかなか来なければ気持ちが爆発しても当たり前。

休めず働き続けた結果、自らの怒りや悲しみを抑えられなくなることは大きな恐怖といえます。

ミス

医療現場においては、少しのミスが大きな事故につながり得ます。場合によっては患者の命に関わることもあるので、日ごろから最善の注意を払って仕事する必要があります。

また、よかれと思って患者を労う言葉をかけた結果、逆にキレられるということも無きにしも非ず。

その場合は看護師のミスとは言い切れませんが、言葉をかけた本人は、「わたしが悪かった……」と引きずることもあるでしょう。

丸投げされること、ひとりで責任を持たなければならないこと

判断を丸投げされることは、看護師にとって大きな脅威です。

たとえば夜勤中に急患が来院してドクターに連絡をとるも、すぐに対応してもらえず、その間の患者のケアを自分ひとりでやるしかないとなると、大きなプレッシャーを感じるでしょう。

やりがいがないこと

診療科やクリニックが立地するエリアによっては、急患なども少なく、日々同じことの繰り返しだと感じられることもあるでしょう。

そうなると、高い志を持って医療業界に入ってきた新人ナースなどにとっては特に、「張り合いがない」「自分はこのまま成長できずに終わってしまうのか……」と思えて怖くなってしまうということがあるでしょう。

ストーカー

患者が看護師のストーカーになった事例は少ないとはいえません。「白衣の天使」という言葉があるように、身体や心が弱っている人にとっては天使に見えてしまうのです。

事実、看護師による警視庁への被害相談も増えている状況。これまで被害に遭ったことがない人にとっても、いつ自分に災難が降りかかるかと思うと大きな脅威でしょう。

事務にとっての怖いものとは

続いては事務にとっての怖いものです。

患者からのクレーム

患者からのクレームにまず対応するのは、基本的には受付です。いきなり怒鳴り込まれることもあれば、電話口でキンキンと鳴り響く声に耐え続けなければならないこともあります。

対面の場合は、“相手から顔を覚えられたら街中でバッタリ会ったときになにかされるのではないか”という恐怖も大きいでしょう。

ストーカー

顔を覚えられた結果、患者からストーキングされる可能性があることも大きな脅威です。

これに関しては、看護師同様、事務も気を付けていることのひとつ。名札などを頼りに名前を知られた結果、SNSなどで執拗に検索してくる「ネットストーカー」もいるのでなおさらです。

レセプト請求業務

毎月のレセプト請求業務は、かなりの時間を要す作業です。場合によっては、時間内に終わらせることができず残業を余儀なくされることもあるでしょう。

また、残業続きでようやく終わらせたとしても、ミスが多ければレセプトが戻ってくる可能性もあります。そうするとさらに時間をとられて、知らずとストレスが溜まっていきます。

紙カルテの山

紙カルテの山の何が怖いかというと、大量のカルテのなかから、必要なものを探さなければならない場合があることです。

また、地震発生時などになだれ落ちた場合の整理整頓なども大変。場合によっては、水害などの被害で文字がみえなくなることもありえます。

医療事務、クラーク

医療事務の資格がない受付事務にとって、資格を有した医療事務やクラークなどは驚異の対象となり得ます。「資格がある人に頼んだほうが速くて正確」と判断されれば、自分の仕事を奪われかねないからです。

そのため、働きながらキャリアアップや資格取得を目指す事務スタッフも多いですが、クリニックが協力的でなければ、資格試験のための勉強時間を十分に確保できないこともあります。

仕事ができない後輩

これは看護師にとっても事務にとってもいえることですが、人手不足などの理由で即戦力とならない人材を採用した場合、教育係を任されたスタッフは多大なストレスを被ることがあります。

パワハラ、セクハラ

医師や先輩看護婦、先輩事務員からのパワハラやセクハラは、脅威というよりもはや「辞める理由」そのものです。

人によっては性格的になかなか「辞めたい」と言い出せないこともあるかもしれませんが、その場に居合わせた人や目撃した患者も、「早々に辞めたほうがいい」と思うに違いありません。

スタッフの「怖いもの」をなくすためには何が必要?

続いては、スタッフの「怖いもの」をなくすために何が必要であるかをみていきます。

給与水準を見直す

まずは求人票や競合クリニックのホームページなどをもとに地域の相場を改めて調べることで、スタッフから「安すぎる」と思われるような給料でないかどうか今一度考えることをおすすめします。

地域の相場よりも極端に低い額の場合、離職率が高まることだけでなく、今後新たにスタッフを募集しても応募が見込めないという可能性もあります。とはいえ、クリニックの収入によってはすぐに給与の額を上げることが難しい場合もあるでしょう。

その場合は、たとえば「一日あたりの平均患者数〇人を達成したら賞与を出す」などの条件を出して、クリニックで一丸となって集患に励むことからスタートするのも一手です。

1on1の機会を持つ

クリニックへの不満が蓄積して辞めたいと感じるスタッフをひとりでも減らすためには、一人ひとりの本音を聞き出す機会を設けるのが一番有効。

週に一度は1on1ミーティングを設定するなどして、スタッフの不満に耳を傾けましょう。もちろん、出てきた不満に対してどのように対応していくかを考えることもとても大切。

たとえば、人間関係に関する不満が多く出てくるようなら、「トラブルを起こしがちなスタッフに注意を喚起する」「業務の負担が大きいスタッフには賞与を出す」などの対策をとることが望ましいこともあるでしょう。

休みが取れないということに対しての不満が大きいなら、新たな人材を採用することで人手不足に努める必要があるでしょう。

教育に力を入れる

実力不足から思うように仕事ができないことを怖いと感じているスタッフがいるなら、しっかりと学べる環境を整えてあげることが大切です。

そのためにできるもっとも簡単なことは、マニュアルを用意すること。たとえば電話対応の仕方やパソコンの操作方法などは、最低限のマニュアルがあるだけでも安心できるという人が多いかもしれません。

スキルアップの機会を提供する

自分が成長できないことを脅威に感じる人は、医療業界に限らず多いもの。

とりわけ、「人生100年時代はセカンドキャリアを構築するためにも常に成長することが望ましい」との考えが世の中に浸透し始めてからはそう。

ある程度のキャリアを積んだ人であっても、「まだまだ成長し続けたい」と考えている人が大勢います。

そういう人のやる気を応援するためにも、資格取得のためのセミナー受講費用を一部負担するなど、キャリアアップしやすい環境を整えてあげることが大切です。

チームビルディングを考える

医療従事者の使命は、患者の心と身体の健康を支えること。しかし、医師ひとりでできることは限られていますし、看護師も事務も、周りのスタッフと協力しあってはじめて使命を全うすることができるものです。

そのことを意識せず、一人ひとりが楽することや得することを考えていては、いい医療を提供することができません。

また、誰かひとりに責任を押し付けてしまうようなことがあれば、スタッフ自身が心身を病んでしまうこともあるでしょう。

そうした事態を防ぐためにも、日ごろからチームビルディングの大切さに目をむけ、クリニック全体で一致団結していくことはとても重要です。

防犯対策に力を入れる

ストーカーや対面でのクレームの対策として、防犯カメラを入れたり警備会社と契約したりしておくことは非常に大切。

また、スタッフの行き帰りにトラブルが起きる可能性もゼロではないことを考えて、防犯ブザーを持たせるなどを考えた方がいい場合もあります。

さらに今の時代はネット上で被害に遭うことも多いため、スタッフにSNS利用に関して気を付けるべきことも周知するのが得策と言えます。なかには、「SNS禁止」とするクリニックもありますが、SNS自体が息抜きになっている人も多いので、禁止となると息苦しさを感じてしまうかもしれません。

たとえば、「SNSには鍵をかけることを推奨」など、一定のラインを保つことをすすめてみるのはどうでしょうか? 

また、当たり前ですが、SNSでクリニックの内情を勝手に発信することは絶対に厳禁。投稿をみた患者が思い込みによって逆恨みしてくる可能性などもゼロではないので、十分くぎを刺すことが望ましいと言えます。

紙カルテから電子カルテに切り替える

電子カルテを導入すると、使い方に慣れない最初のうちこそ、かえって仕事に時間がかかるように思えることもあるかもしれませんが、使いこなせるようになるとさまざまな業務にかかる時間を短縮できます。

また、レセコン一体型のものにすれば、レセプト請求業務の負担も削減できるため、残業時間も少なくなるでしょう。

まとめ

クリニックで働く看護師や事務の不安や恐怖心を取り除いてあげるためにできることは、意外とたくさんあることがわかりました。

一度に全部実践するのは難しいとしても、一つひとつ変えていくことによって、誰もが安心して働ける環境になるはず。

また、制度の導入などに関しては、「何から手を付けたらいいかわからない」という場合もあるかもしれませんが、その場合は、社労士などの専門家を頼るのが吉。顧問契約を結んでいる社労士がいないなら、これを機会に契約を締結するというのもありですよ。

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risa

執筆 看護師 | risa

看護師歴9年目で現在、総合病院勤務。日々、慌ただしく忙しい中でも、看護師としてやりがいを持って医療にたずさわっています。内科や外科での実際の経験を通して、皆さんに役立つ情報を提供していければと思います。


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