皆さんは、「主夫」と聞いてどのようなことをイメージしますか? 男なのに家庭に入るのはおかしい、抵抗がある、まわりからの見られ方が気になる、ご近所付き合いが大変そうなどいろいろなイメージがあると思います。
また、育児休暇を取得するとなれば出世の道が断たれるのではないか、戻ったときに居場所が無くなってしまうのではないか、仕事仲間に迷惑をかけてしまうのではないかなど、仕事に関してもネガティブなイメージがあるのではないでしょうか。
私もそう思っていましたが、妻との話し合いの結果、1年程度の育児休暇を取得し、いわゆる「主夫」を経験しました。今回は、その中でも「育児休暇取得までの体験談と、その際に感じたこと」についてお話したいと思います。
師長に育休取得を相談
まず、育児休暇取得のことを直属の上司にあたる師長に相談したときのことをお話しします。そのとき相談した相手が50代前半の女性だったのですが、最初のリアクションは、状況を全く理解できず戸惑っているような困惑の表情でした。そして、家庭に何か問題があるのか、仕事に不満があるのかなど、とにかく心配されました。まるで悪いことをしてしまったような感覚になったのを今でもしっかりと覚えています。
病院としても男性看護師の育児休暇取得の実績は無かったようで、総務が混乱しているようでした。結果的に、周りの納得を得て気持ち良く育児休暇に入ることができたのですが、やはりまだまだ男性の育児休暇取得は、女性社会である病院であっても理解されないのだなと実感しました。
育休取得決定から実際に育休に入るまで
1.引継ぎがとにかく大変
次に、育児休暇の取得が決まってから実際に取得するまでの期間のことをお話します。
正直に言うと、この期間は非常に大変でした。基本的には誰でもできる看護業務ばかりなので、シフトさえ調整してもらえれば大抵のことは問題ありませんでした。しかしながら、男性看護師という独特の役割もあり、私しかノウハウを知らない業務が一部あり、その部分の後任者への引継ぎがかなり大変でした。
しばらくの間は日常業務をこなしながら、短期間で後任者を即戦力になるように鍛え上げ日々が続きました。ただし、部署の異動で後任者への引継ぎは何度も経験していたし、また、本当にヘルプが必要なときはいつでも出社できるように心構えをしていたので、必ずしも育児休暇取得ならではの大変さというわけではなかったのかもしれません。
2.まわりの職員の反応の違い
引継ぎ以外の部分で、まわりの反応についてお話します。まず、育児休暇を取得することを院内でオープンしたときのまわりの反応ですが、男女ではっきり分かれました。主に男性の看護師や医師は、師長と同じように困惑したり、心配されたりといったリアクションが多かったように思います。一方で、女性看護師の皆さんは、気を遣ってくれていたのかもしれませんが、ポジティブな反応がほとんどでした。例えば、「奥さんのために育休を取るなんて素敵ですね」や「奥さんやお子さんのことを愛しているんですね」や「今どきの家庭的な旦那さんで良いですね」といった反応でした。最終的には、男女関係なく気持ちよく送り出してもらったので、病院に恵まれていたなと思います。
育休取得中の病院とのやりとり
最後に、実際に育児休暇を取得してからの病院とのやりとりについてお話します。率直に言うと、最初の2週間は、病院の後任者から連絡が来て日々対応していましたが、その後は全く音沙汰が無くなり、完全に仕事を忘れて主夫に没頭していました。最初の2週間については、先ほどお話したように、私の担当業務が私しかできない状態だったため、後任者が悪戦苦闘していたことが、たくさん連絡が来ていた理由です。やはり引継ぎだけでは伝えきれていないことがあり、引継ぎ書に記載のないような細かいことなど、実際に後任者が着任してから疑問に思うことが多かったようです。
育休を取得したにもかかわらず病院から連絡が来て大変だったのでは? と思われる方も多いと思いますが、私自身は割とポジティブに捉えていました。なぜかというと、私の知識や経験を必要としている人がいることが救いになっていたのです。どういうことかというと、主夫になって生活がガラリと変わり、これまで割と順調に仕事をこなしていた日々と比べて、思い通りにいかない育児の連続に、すっかり自信を失ってしまっていたからです。そのため、頼りにされることで自信を取り戻すことができたともいえるでしょう。
しかし、1か月過ぎたあたりからは後任者もかなり慣れてきたようで、すっかり連絡は来なくなりました。同じころ、私自身も主夫に慣れ始めていたので、良いタイミングで完全に気持ちを主夫に切り替えられたと思います。
男性看護師が育休を取得した感想のまとめ
駆け足でお話してしまいましたが、いかがでしたでしょうか。男性看護師の育児休暇取得は、制度としては整備されていても、実際に取得するとなるとなかなか大変なことばかりでした。
それでも、育児休暇を取得したことで病院から不利益を受けるようなことはなく、むしろ男性の育児参加をポジティブに捉えてもらっている印象でした。こればっかりは、病院に恵まれていたと言わざるを得ませんし、本当に病院には感謝しています。
男性看護師の皆さんはぜひ、育児休暇の取得を前向きに考えてみてはいかがでしょうか。
特徴
対応業務
診療科目
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この記事は、2021年9月時点の情報を元に作成しています。