看護師が働きたいと思う病院の条件

看護師として働くみなさんは、今いる病院はどのような条件を優先して決めましたか? 通勤距離や福利厚生、お給料などさまざま条件を考慮して決めたと思います。私自身は、新人時代と今とでは優先する条件も大きく変わっていることに、本記事を書くことで再確認することができました。今回は、私自身そして友人の看護師や同僚の看護師達の意見をまとめた条件、そしてこれから看護師になる方向けにおすすめの病院の選び方などについてご紹介します。

目次
  1. 看護師が重視する条件とは
    1. 2交代制か3交代制か
    2. 福利厚生が充実しているか
    3. 夜勤や残業が多いか
  2. 気を付けて欲しい病院の選び方
    1. 総支給額だけを見てはいけない
    2. 求人項目に「要相談」がある
    3. 休みが取りづらい
  3. 新人看護師におすすめの病院の選び方
    1. 家からの距離
    2. 病院の規模
    3. お給料
    4. 夜勤回数・休日日数
    5. まとめ

看護師が重視する条件とは

まずは、私自身の意見や、周りの看護師たちから多かった意見をもとに、考えられる条件を紹介していきます。

2交代制か3交代制か

看護師は、特有の変則的な勤務形態で働きます。主に2交代制と3交代制があります。それぞれの勤務時間等の紹介は省かせていただきますが、私自身どちらの勤務形態も経験がありますが、周りの意見も含め、やはり年齢を重ねていくに連れて2交代制は負担が大きくなるという意見が多かったです。

私自身は、2交代制の方が生活リズムを崩しづらく、休みもきちんと確保されていることから、働きやすかったように思います。2交代制のデメリットを挙げるとすれば、昼夜共拘束時間が長いということです。それに比べて3交代制は、拘束時間は短いものの次の勤務までの空き時間が少ないこともあり、2交代制に比べると連休を取りづらく、生活リズムが崩れやすいなどのデメリットもあります。

がっつり稼ぎたくて体力がある人は2交代制。体力はそこまでないが時間に余裕があるという人は、3交代制を選んでいることが多いようです。

福利厚生が充実しているか

これは特に、共働き家庭やお子さんがいる家庭の方が重視している条件です。私の友人に、独身時代にお給料が良いという理由で病院を選びましたが、結婚に出産をして福利厚生を再度確認してみるとあまり良くない条件ということに気づいた人がいました。とはいえ、産休明けで戻ったばかりに辞めるのは申し訳ないと思ったようで、転職するまでの数年は大変な思いをしていました。

私の友人のように、独身時代はお給料や休みの取りやすさなどを重視しがちですが、家族ができると福利厚生の重要さを再確認する方が多いようです。現在は、共働きの家庭がほとんどなので、福利厚生を重要視する方も多いでしょう。

夜勤や残業が多いか

世間的に看護師は稼いでいると思われがちですが、そのほとんどが残業や夜勤で稼いでいると言っても過言ではありません。このことからも、求人サイト等で高額なお給料を定時しているところのほとんどが、夜勤の回数や残業時間が多かったりすることが多いのです。

なので、まずは夜勤の回数や残業時間とお給料が見合っているのかを確認して、その点を重要視している方も多いです。新人時代は特にそういった内部事情を知らないので、お給料だけを見て病院を決めると、お給料に見合わないような仕事量や夜勤の多さに、身体的にも精神的にも疲労し辞めてしまうケースも少なくありません。

気を付けて欲しい病院の選び方

総支給額だけを見てはいけない

これは、特にお給料を重視されている方に気をつけていただきたいポイントなのですが、求人サイト等の総支給額だけで選ぶのは非常に危険なのです。なぜかというと、それは文字通り「総支給額」で、さまざまな手当てなど全てを含めた金額だからです。各手当などを引いてみたところ、基本給が低かったというケースがよくあります。

このように、一番気を付けて見ていただきたいのは基本給です。正社員として働くのであれば、基本給は賞与に直結するので尚更重要になってきます。長い目で見ても、いくら諸手当が高額であったとしても、子どもができるなどして以前のように残業や夜勤が出来ない状況になると、手当てをもらうことができず低い基本給で生活していかなければならなくなってしまいます。

このようなことを防ぐためにも、まずは基本給、そして諸手当の額、賞与の回数の順で選択していただきたいと思います。

求人項目に「要相談」がある

これは個人経営の求人でよくある内容なのですが、お給料や休みの回数などが「要相談」である場合が多々あります。一見、自分の要望を相談できるので良いように感じますが、実際に働いてみると、周りの看護師たちもそれぞれ契約内容が異なることから、「私は面接のとき●●と言われた」など契約内容に一貫性がないことからスタッフ間のトラブルに繋がります。

休みが取りづらい

医療系の求人サイトのほとんどは「週休2日」「夏休み有」など掲載されていますが、実際に働いてみると年功序列が凄く、なかなか新人や若い世代は休みが取りづらいということがあり、私自身も何度も経験してきました。

そのことに気づいてからすぐ退職するわけにもいかないので、事前に、実際にその病院で働いたことのある人に実情を聞くのがおすすめです。聞く相手がいなくても大丈夫。今はSNS等ですぐ口コミなど見られるので、SNSを使って調べるのも一つの方法です。

新人看護師におすすめの病院の選び方

次に、これから看護師になる方向けにおすすめしたい病院の選び方についてご紹介したいと思います。

家からの距離

新人時代は何よりも休息が大切です。なぜかというと、慣れない環境で仕事も初めてのことだらけ、そして前述したように看護師のほとんどが残業を日常的におこなっています。新人だからといって定時で帰れるわけもなく、業務に慣れるまでは残業続きであることも。そのため、いかに早く家に帰って休息を取れかが、新人時代は非常に重要になってきます。

夜勤明けなどは特に、体力はほとんど残らないことから、あまり遠いところに家があると帰るだけで疲れてしまうので、新人時代に働く場所は家から近ければ近いに越したことありません。補足するとすれば、歩いて帰れる距離ということもポイントになってきます。公共交通機関で通勤していると、事故などで遅れてしまう場合もあるので、歩いて通える距離に家があるということも重要なのです。

病院の規模

これは人によって異なってきますが、

  • 将来どのような看護師になりたいか
  • どのような患者と接していきたいか
  • 何を学びたいか

などで選択する病院の規模も違ってくると思います。

  • 地域と密に寄り添った現場で働いていきたいのであれば田舎の小さな病院
  • 仕事もプライベートも充実させたいのであれば少し都会のアクセスの良い病院
  • 将来ばりばり働く看護師になりたいいのであれば大学病院のような最先端の医療を提供している規模の大きな病院など

それぞれのビジョンに合った病院を選択することが、今後の人生に大きく影響してくると思います。ですが、新人時代はとにかく目の前の業務をこなすことが精一杯でビジョンなんて考えられないという方がほとんどでしょう。そこで、看護師という職種の「どこでも仕事がある」という最大の強みを最大限に活用して、納得するまで転職するのも大いにアリだと思います。いろんな現場での経験を重ねることによって、本当になりたい自分が見えてくることもあります。

実際に私も、働いてみたかった施設であまり良い経験できなかったことから、新たに働いてみたい科が出てくるなど、無駄な経験はないということを肌で感じることができました。何度も言いますが、看護師はどこでも働ける、日本だけでなく世界中で働くことができる職種です。たくさんの経験をして本当に働きたいと思う病院を見つけるのも、よい方法であるように思います。

お給料

社会人1年目というのは、バイトなどでは稼げないような額を稼げることから、金銭感覚に変化が生まれるときでもあります。なので、病院や仕事のやりがいはもちろんですが、何よりもやはりお給料が高ければ高いほどモチベーションに繋がりますし、結果的に仕事への原動力になると思います。

私の友人で家から一番近いという理由だけで病院を決めた子がいました。はじめは、家が近いということを強みに充実した看護師生活を送っていたようですが、1年経とうとしたころ、自分が他の友人看護師たちに比べお給料が低いということに気が付いたのです。そうです、その子は前述したようにお給料の総支給額だけを見ていたのです。手当てを引くと基本給は驚くほど低く、1年目ということもあり夜勤もあまりできず、経験年数もないことから、よくて20万円を越える程だったといいます。

さらに、その子は一人暮らしをしていて、看護師という不規則な生活から自炊もほとんどせず、コンビニで買うことがほとんどであったため食費もかかり、その他の生活費も引くと毎月5万貯金できたら良い方だと言っていました。

せっかくの休みの日にも無駄遣いできないので、周りの看護師は旅行や買い物など楽しんでいるのに同じ職種でこうも違うのかと思い、ようやく転職。今はお給料も倍程になり充実した看護師ライフを送っているそうです。

このように、同じ看護師でも働く場所によってお給料が大きく違ってくるので、病院を探す際はいろんな病院と比較したり、知り合いに先輩看護師がいるのであれば相談してみたりするのもアリです。

夜勤回数・休日日数

これは、新人看護師のみなさんには特に気を付けて選択していただきたいことでもあります。夜勤に関しては、通常、月に6回までが限度だと言われています。ということは、5回でも多い方に入るということになります。回数だけをみると少ないように感じる方もいるかもしれませんが、夜勤専従ならまだしも、ほとんどの看護師は日勤を兼務しているため、病棟によっては体力的にも精神的にもキツいところが少なくありません。

稼ぎたいという思いが強いばかりに、夜勤や残業をたくさんするとはじめは稼ぐことが楽しいと思う方が多いですが、将来的に1つの職場で長く働きたい方は特に、夜勤の回数は3~4回、最高でも5回のように設定しているところを選ぶのがおすすめです。

なぜ3~4回がおススメなのかというと、私の経験も含めて、周りの看護師たちの話を聞く限り、いつの間にか夜勤が4~5回と希望よりも多くなってしまうからです。原因としては人員不足が最も高い割合を占めているのですが、私の友人は小さな子がいるため、夜勤は最低3回までという契約で入職したのに、ある日、師長のほうから「そろそろ子どもさん大きくなったんじゃない? 人がいなくて夜勤入ってもらえない?」と言われたそうです。驚かれた方もいらっしゃると思いますがこれが実はよくある話なのです。

先輩の40~50代の看護師たちは、子育ても終わったということで、夜勤の回数はもちろん、土日は優先的にシフトに入れられていることが多く、「この年齢になると体力的にキツい」「やっと子育てが終わったのに」という声もよく聞きます。

夜勤と同様に注意していただきたいのが休日の日数です。前述したように、小さな子どもがいる方などは夜勤も比較的少なく、土日休み希望などが通りやすい傾向にありますが、若くて独身ともなると即戦力になることから、こちらからきちんと条件を提示しない限りどんどんシフトを入れられてしまうのがリアルなところです。

なので、病院を探す際は、夜勤は5回まで、週休2日を最低条件として探し、入職時に師長などにしっかり自身の希望を提示することをおすすめします。

まとめ

何度も申し上げましたように、看護師は不規則な勤務形態、重労働、その他も委員会や研修など現場での業務以外もたくさんあり、そして慢性的な人手不足という過酷な労働下で働かなくてはなりません。正直、ほとんどの病院が上記のような労働環境であると、知人看護師たちの話を聞く限り感じます。

だからこそ、少しでも自分に合っていて、「ここで働きたい」と思える病院を見つけることが大切。一自身の体や生活を大切にしていただき、充実した日々を送ることができるのが一番です。

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菊池

執筆 現役看護師 ライター | 菊池

医療に携わる仕事がしたいと思うようになり小学生にして医者を志すも、学んでいく中で最も患者さんに寄り添うことができる看護師を志すように。現在は宮城県にて看護師として働いている。


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