問診の目的とは?よりよい問診を目指すなら何が必要?

問診とは、医師が診断の手がかりを得るために、患者本人から自覚症状や既往歴、現在の内服薬、家族の既往歴、アレルギーの有無、渡航歴などを聞くことです。では、問診の目的とは? そして、問診を改良することによってよりよい診療を目指すことはできるのでしょうか?さっそくみていきましょう。

目次
  1. 問診の目的とは?
  2. 問診は、医師にとっても患者にとっても大切
  3. より正確な結果を導き出すためのコツはある?
    1. 主訴を端的にまとめられるような質問をする
    2. 症状によって困っていることを確認する
    3. 正確な部位を探る
    4. 症状の性質を確認する
  4. 患者の心配を取り除くために
    1. 患者さんの心配事はなにか?
    2. 患者さんの希望はどんなものか?
  5. 「よりよい問診」で「よりよい医療」を提供できる

問診の目的とは?

問診の目的は、視診や聴診・打診など身体に触れることで診断する「診察」とは異なり、冒頭で述べた通り、必要事項を患者から聞き出すことにあります。

身体に触れるだけではわからない情報を得ることができるため、診断の精度が高くなりますし、誤診を防ぐことにもつながります。

問診は、医師にとっても患者にとっても大切

ほとんどの病院では、診察室に入る前に受付で問診表に記入することが求められます。診療にあたる医師は、問診票に書かれた内容から、ある程度の目星をつけながら診療を行っていきます。

患者本人から得た情報によって、考えられる病気を絞ったうえで診察を進めることで、より正確な結果を導き出せるのです。また、問診票を書くことは患者本人にとっても大きなメリットをもたらします。細かい質問に答えたり、補足したいことを備考欄に書いたりすることで、伝え忘れを防げるからです。

たとえば、既往歴や家族の既往歴についても、問診票がなければ医師に伝えようと思わない人がほとんどでしょう。ただ、既往歴は正確な診断のための大切なヒントです。

わかりやすい例を挙げると、高血圧や脂質異常症の患者が家族に連れてこられたなら、これらの症状がリスク因子となる脳梗塞や心筋梗塞などの疾患である可能性が考えられるでしょう。腹部の手術歴がある人が腹痛を訴えているなら、腸管の癒着が考えられます。

「書く欄がたくさんあって面倒くさかった」などの理由で患者のほうで記入していない場合、診察の際に口頭で聴くこともできますが、その分、会話の時間もコミュニケーションの時間も長くなるので、書き漏れがある患者に対しては、診察前に看護師から質問してもらうなどするといいかもしれません。  

より正確な結果を導き出すためのコツはある?

問診の目的を果たすためにも、より正確な結果を導き出すコツがあるなら導入したいですよね。問診の精度を上げるコツとしては、以下が挙げられます。

主訴を端的にまとめられるような質問をする

主訴とは、患者さんがもっとも困っていること、つまり、病院を訪れている理由のこと。主訴を抑えるために必要な質問は以下の3つです。

  1. いつから?(回答例:昨夜からから、1週間くらい前から)
  2. どこが?(回答例:右足首が、お腹の下あたりが)
  3. どのような症状?(回答例:歩くたび痛む、ズキズキする)

さらに、以下の2点についても聞くことで精度が高まります。

  1. 発症したときから今までの症状の経過(回答例:だんだん痛みが増してきている)
  2. そのほかに気になる症状(回答例:患部が熱を帯びている、吐き気がある)

症状によって困っていることを確認する

同じ症状、同じ症状の程度で来院した2人の患者がいたとして、2人の困り度合いは違うこともあるでしょう。

「お腹が痛いけど明日も休めない」という人と「しばらく安静することは可能」という人とでは、処方する薬も変える必要があるかもしれません。問診を通して病気を診るのではなく、問診を通してその人全体を診ることが大切です。

正確な部位を探る

ひとことに「お腹が痛い」といっても、たとえばそれが大腸なのか子宮なのかによって、考えられうる病気は違ってきます。

言葉による問診で場所を特定できないのなら、患者本人の身体でどこが痛いか指し示してもらうなどして、正確な部位と広がりを把握しましょう。

症状の性質を確認する

たとえば痛みなら、ズキズキとする痛みもあれば、身体が重たく感じられるような鈍痛もあります。どんな痛みなのか、どの程度の強さなのか確認することで、考えられうる病気を絞っていきましょう。

患者の心配を取り除くために

ある程度病気を絞ることができたら、いざどんな治療を進めていくかを考えていくことになりますが、その前に、問診を通して患者に確認しておきたいことがあります。

患者さんの心配事はなにか?

病気を患っている本人は、自分の身体の状態や、それに伴って仕事を休まなければならないことなどに関して心配な気持ちがあって当然です。患者の不安を和らげてあげることも医師の大切な務め。「他に心配なことはありますか?」などの声かけで、患者さんの不安な気持ちの緩和に努めましょう。

患者さんの希望はどんなものか?

治療方法や検査に関しての患者さんの希望を確認することも大切です。患者さんが子どもであれば、大きな顆粒は苦手ということもあり得ます。

「よりよい問診」で「よりよい医療」を提供できる

医師として仕事している人なら誰でも、何度となく問診を経験していることから、改めて問診について考えることなどほとんどないでしょう。考えなくても通常通り診察することはできるのですから、当たり前といえば当たり前かもしれません。

しかし当たり前だからこそ、よりよいものにできないだろうか?と考えてみることで、新しい視点を持てたり、よりよい医療を提供できたりするものです。

初心に返った気持ちで取り組むのはなかなか難しいことではありますが、たとえばお正月にその年の目標を立てることと同じように、よきタイミングで問診についても考え直してみてはどうでしょうか?

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執筆 コラム配信 | クリニック開業ナビ

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