医療従事者から看護師に求められることとは?

看護師の皆さん、日々働いている中でどれだけの職種と交流しているか考えたことはありますでしょうか。患者の連絡一つだけでも、医師・薬剤師・栄養士・OT・PTなどたくさんの方と日々連携していると思います。そこで今回は、どのような看護師が医療従事者から求められているのかについて実際のエピソード等も踏まえてご紹介したいと思います。

目次
  1. 医師が看護師に求めることとは
    1. ホウレンソウの重要性
    2. 看護師の医師に対する思い
    3. 医師の本当の思い
  2. コメディカルが看護師に求めることとは
    1. 看護師に対して不信感
  3. 医療従事者から求められる看護師とは
    1. 柔軟な視点をもった看護師
    2. 冷静な判断ができる看護師
    3. 太陽のような看護師
    4. 患者にもスタッフにもきちんと寄り添ってくれる看護師
  4. 最後に

医師が看護師に求めることとは

まずは、私が関わることの多かった医療従事者とのエピソードについてご紹介します。

ホウレンソウの重要性

医師Aは副院長で多忙なことから、病棟に立ち寄る時間がほとんどなく、早朝か夕方に少し顔を出す程度で、Aに会ったことのない看護師もいるほどでした。

そんなAの受け持ち患者Bを、その日は看護師Cが担当していました。

Bはここ2~3日食事も1割程度しか口にせず、夜は時折意味不明な言葉を発したり大声を出したりといつもと様子が違いました。もちろん、日々の記録はパソコンに入力しており、主治医であるAも閲覧できるようになっています。

その日、CがBを訪室するとベッド上で嘔吐してぐったりしているBを発見しました。CはすぐにAへ連絡して病棟まで来てもらうことになりました。Bは90代と高齢でもあることから、万が一に備えて家族にも連絡して一度面会にきていただくよう伝えました。

15分後、Aが到着してBの様子を確認しに病室へ向かいました。ぐったりして目も虚ろ、普段なら会話できるのにそのときは呂律も周っていない様子。何が原因か検討もつかない状態でした。

A「いつ頃からこんな風なの?」

C「先生カルテ見て来なかったんですか?」

A「ちらっとは見たけど、昨日でもその前でも様子がおかしかったらすぐ連絡くれないと困るよ」

きっとそのときのCの気持ちは「じゃあ私たちは何のために記録してるの?」だと2人の会話を聞いていて思いました。

どちらの言い分もわかるのですが、Aに関しては日頃からあまり病棟に来られない程忙しいということはCも知っていたはずなので、Aの言うように様子がおかしいと判断した時点で主治医に連絡することはホウレンソウの一つとして非常に重要であると、その話を聞いたときに感じました。

看護師の医師に対する思い

Bの様子がおかしい時点で看護師たちはAに連絡をしなかったのか、そこには看護師ならではの医師への思いがありました。前述したようにAが多忙ということをCはもちろん理解していましたが、多忙だからこそ少しのことでAには連絡しづらいという思いがあったのです。

はじめに様子がおかしかったときは、とりあえず1日様子を見てそれでも変わらないようであればAに連絡するという話になったようですが、その日はそれ以降特変なしだったため、Aには連絡せずCが受け持つ日まで経過したと言います。

Cのような思いを医師に抱いている看護師は実は多く、それが理由で、医師が見るだけで全てがわかるように、看護師たちは、日々、細かく記録をしているといっても過言ではないのです。

では、なぜCや他の看護師たちは医師に連絡をしづらいのか。みんな一度はあることですが、「そんなことで連絡してきたの?」や「少しは自分で考えてみた?」など医師から心無い言葉を言われたことによるトラウマが原因なのです。私自身もそのようなことを何度も医師に言われた経験があります。そのときは、とにかく主治医に連絡して指示を仰がなくてはという考えばかりで、一旦冷静になって自分で考えるなどの余裕は無かったことを今でも覚えています。

それから経験を積むにつれて余裕も出てきたことから、Bの件は、Cも含めて私自身もホウレンソウが充分に行き届かない状況を作ってしまっていたと気づかされた出来事でもありました。

医師の本当の思い

Aだけでなく医師は、

  • 話しかけづらい
  • 怖い
  • いつもイライラしている

といったあまり良くないイメージを持たれやすいのが正直なところです。急性期のような、一分一秒を争う病棟などは常に緊張状態。無意識に上記のイメージのような態度になってしまうのも仕方がない面もあります。それだけ医師は日々時間に追われ、強いストレスに晒されているということを忘れてしまっている看護師が多いのも正直なところです。

ですが、私やCのように医師と距離を取るようになってしまっては、事態は悪化する一方です。Aが師長に「ぼく、ここの看護師さんたちに嫌われているのかな?」と冗談交じりに言っていたのを聞いたことがあります。

そんなある日、Aから名前を呼んでもらったことがありました。「看護師さんたちの名前頑張って覚えているんだけどなかなか呼ぶ機会ないから」とAは笑顔を浮かべています。名前を覚えていただいていることだけでも驚いたのに、笑顔で何気ない会話をするAの姿にも驚きました。その後も何度か、「ちゃんとみんな定時で帰れてる?」「休みちゃんとあるの?」など聞かれ、私たち看護師を気にかけて下さっていることを知りました。

このことからも、Aは看護師たちにこのようなことを求めているという風に感じました。

  • もっと気軽にコミュニケーションをとりたい
  • 気を遣わずなんでもホウレンソウしてきてほしい

Aの意外な思いに驚いたと同時に、Aの思いに他の看護師たちも気づいてくれればいいなと思いました。

コメディカルが看護師に求めることとは

続いて、コメディカルから看護師に求められることについて、実際のエピソードも踏まえてご紹介します。

対応の冷たい看護師?

OTのAは20代前半でまだ新人ということもあり、意欲的で患者とのコミュニケーションなども積極的におこなっている様子でした。ですがある日、Aが看護師Bに関して私に相談してきたのです。

患者Cのその日の受け持ちだったBに、Aが相談したときの話です。

A「Cさん、最近杖だけで10m程歩けるようになったんですけど、病棟でも短い距離であれば見守りをして杖で歩かせてほしいんですが厳しいですか?」

B「今のまま歩行器ではだめなんですか? 人員的に見守る余裕がないんですが…」

A「トイレのときだけでもいいんですが」

B「それは最後まで見守ってということでしょうか?」

A「そうですね。転倒歴もありますし、できればそうしていただけると」

B「では尚更厳しいですね。土日は特にスタッフも少ないですし1人取られるとなると…」

A「Cさんは自宅退院予定ですし、少しくらい歩けるようになった方がADLも向上するかと思いますが」

B「だって娘さんが同居しているんですよね。そこまで完璧に歩けるようになったらまた転倒しかねないと思いますが」

このようなやり取りがあり、正直AはBの冷たい対応に驚いた様子。人員不足を理由にしてはいるものの、実際はただ介助が面倒なだけとさえ感じたようでした。看護師にとっては、退院支援も大事な仕事です。最近では、退院支援に力をいれている病院も少なくはありません。Bは大先輩なので、その対応に私も正直驚きましたが、先輩の意見に逆らう勇気はありませんでした。そこで、とりあえず師長さんにその経緯を説明して、なんとかコール対応ということでトイレやお風呂までの短距離は見守りの杖歩行で行為後呼んでいただくという形になりました。

看護師に対して不信感

Aは新人OTで初めての就職先ということもあり、今回の出来事をきっかけに私たち看護師に対して不信感を抱くようになったといいます。年齢的にも近いことから、Aからはよく相談を受けていましたが、そのころのAにははじめのころの意欲は無く、「退院を目標に自分たちはやっているのに、看護師さんたちがあまりにも非協力的すぎてどうしていいのかわからない」と悩んでいました。

その病棟では週に1度カンファレンスが開かれており、医師や看護師、PT、OTなど様々な職種が集まり意見交換をしていました。その日は、Aの上司であるDが参加しており、こう話し始めました。

「最近リハから看護師に相談するときちんと取り合ってくれなかったり、退院した後のことは関係無いような対応をされたりして困っているとの声をよく聞きます。現場が忙しいこと、看護師が患者のことを一番知っているのはわかります。正直、私たちリハビリスタッフは30分といった決められた時間しか患者と接していないので、日頃の様子を全て把握することは不可能と思っています。だからこそ、日々、最も患者と接する看護師にはOTやPTに協力していただきたいのです。宜しくお願いします」

師長はそのとき初めて、看護師とリハスタッフの関係性を知ったようで、そのような対応をする看護師がいることにひどく落ち込んでいました。

それからというもの、リハスタッフも以前より積極的に看護師に相談しやすい環境になったことから、リハスタッフは看護師に対して、

  • 患者に寄り添う姿勢
  • リハビリの重要性を知る
  • ということを求めていたということに気づくことができました。

    医療従事者から求められる看護師とは

    ここまでは、医師やPT、OTが看護師に求めることについてご紹介しましたが、最後に、医療従事者全体が看護師に求めることをご紹介して終わりたいと思います。

    柔軟な視点をもった看護師

    長年看護師をやっていると、自信や知識がついた結果、偏った考えになっている先輩看護師をよく見かけます。大先輩の意見であることから、もちろんとても勉強になることもたくさんあります。ですが、過去や自分の経験とばかり比較していても、新しい時代や医療についていけなくなります。

    たとえば、新人看護師に対して、「私が新人の頃は~」「そういう時は~」など自分の経験が全てのようなことを言う看護師がいます。内心、「それは昔で今は違うんだから」と私も新人時代に思っていました。過去のやりかたに固執せずに柔軟に対応することは、看護師だけでなく医療従事者全てに求められることだと私は思っています。最先端の医療を扱うような病院であれば特に、柔軟な視点を持った看護師である必要があるのです。

    冷静な判断ができる看護師

    私の知り合いの看護師Aは心配性であがり症なところがあり、何かイレギュラーなことがあると焦ってパニックになってしまいがちです。

    その日、Aがリーダーで朝から看護師1人が急に欠勤、転入を昨日のリーダーが記入し忘れていたなど朝からイレギュラーなことばかりでAはすでにパニック状態でした。「何か手伝えることがあったら言ってね」と声かけするも、Aは全て自分でしないと不安で気が済まないというところもあり、周りはどうすることもできませんでした。お昼休憩時も、ご飯を食べるとすぐに出てきて仕事をしていましたが、結局残業となり遅くまで残っていたことを夜勤看護師から聞きました。

    医療現場では、イレギュラーなことが次々と起こります。その中で一旦冷静になって対処できる看護師が求められるのはもちろんのこと、看護師がパニックになると患者にもそれが伝わってしまい最悪なことになります。Aのように性格上難しい人も中にはいますが、そのような人は周りの看護師を頼ることも、医療現場では重要となってきます。

    太陽のような看護師

    先輩看護師Aは少しそそっかしいところがありましたが、いつも明るく、大事な場面ではとても頼りになる方でした。そんなAのことを疎ましく思っていた看護師もなかにはいて、陰口を言われていたこともありました。

    ある日、小さなことですがAがミスをしてしまい、他の看護師が医師に向かって「Aさんほんと元気だけが取柄よね~」と皮肉交じりに言っていました。すると医師は、「病院では、元気で明るい人がいることがどれだけありがたいことか。Aさんが休みの日はここお通夜みたいだよ?」と言い返されていました(笑) 病人ばかりの病院で一番患者と接する看護師だからこそ、明るく太陽のような性格が求められるんだなとそのとき気づくことができました。

    患者にもスタッフにもきちんと寄り添ってくれる看護師

    業務時間外に医師やその他スタッフから何か相談されると、「自分はもう業務時間外なので夜勤者に言ってください」とはっきり言う看護師の同僚がいました。残業が当たり前のようになり、日々遅くまで働いていることから、少しでも早く帰りたい気持ちもわからないでもないですが、そこまではっきり言うと「この人は本当に患者のことを考えて働いているのかな?」と思われても仕方ありません。

    どんな状況であれ、自分が受け持った患者のことです。最後まできちんと対応することがベストですが、そうはいかないときもあると思います。そんなときは、「日中は~でしたけど。詳しいことは夜勤者に聞いていただけると助かります」という風にいきなり突き放すのではなく、一旦寄り添う姿勢を見せることも看護師に求められることだと感じました。

    最後に

    一人ひとりが、少しでも医療従事者から必要とされる看護師に近づこうとすることで、現場の流れや空気がとても良いものになるので、意識的に取り組んでいただきたいと思います。

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    対象規模

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    サービス クラウド SaaS 分離型

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    菊池

    執筆 現役看護師 ライター | 菊池

    医療に携わる仕事がしたいと思うようになり小学生にして医者を志すも、学んでいく中で最も患者さんに寄り添うことができる看護師を志すように。現在は宮城県にて看護師として働いている。


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