なぜ埋まらない? 医師、看護師の溝
  • 看護師などの意見を聞かなそう
  • 多忙過ぎて私生活が謎
  • など偏ったイメージを抱いている方が多い印象を受けます。実際、私も看護師になるまで上記のようなイメージを抱いていました。そして看護師になった今、想像していたイメージの半分くらいが事実であったこともわかりました。

    ではここからは実際に起こった医師とのエピソードについてご紹介します。

    目次
    1. 医師に連絡するのは最終手段?
    2. 医師からの心無い言葉
    3. 新人看護師を毛嫌い?
    4. なぜ医師と看護師の間には溝ができてしまうのか
      1. 現場や看護師に対しての配慮がない
      2. 固執した価値観や偏見
      3. プライドが高すぎる
      4. たまにしか病棟に顔を出さない
    5. まとめ

    医師に連絡するのは最終手段?

    学校卒業後、新人看護師として就職した病院での出来事です。当時も今と変わらず現場は慢性的な人手不足。私自身も配属された初日から、人員ギリギリのところで私に指導者がつけられるといった状態であったため、先輩看護士は自身の業務と並行して私の指導もしなければならず、どうしても手が空かないことが何度もあり、1人取り残される場面が多かったことを覚えています。

    そのような新人時代のおかげもあってか、一人で考え、判断して、行動する力を養うことができたので、同期の中でも先輩看護師から一目置いてもらえていました。

    就職して半年が経とうとしていたとき、私の受け持ち患者Aが急変し対応に悩んでいました。なぜ悩んでいたのかというと、そのときばかりは医師の指示無しではどうにもできない状況であったからです。私は就職して初めて医師に連絡を取り指示を仰ぐことにしました。

    医師からの心無い言葉

    私が自分なりに考えて行動するようになったきっかけの一つは、いつも積極的に質問や相談をしている同期の看護師に対する医師の対応です。就職してすぐは意欲的で良いとみんな思っていたようですが、段々と月日が経つにつれ、先輩看護師たちも「いつまで新人気分でいるつもりなのかな」という雰囲気になってきており、同期に対しても「そろそろ自分で考えて行動できるようにならないと、来年には後輩も入ってくるんだから」というような指導をしているのを間の当たりにしていたのがきっかけでもあります。

    医師に関しても、先輩看護師が連絡した際にも「そんなことでこんな時間に連絡してきたの? 看護師何年目?」「そのくらいのこと何度も経験してきたでしょ」など言われているのを聞いて、どれだけベテランの看護師でも医師からはそのようなことを言われる現状を知り、それまで以上に、自分で考えて行動しなければと思い、先輩や医師に相談するのは最終手段にすることを心に誓いました。

    話は戻りますが、私は勇気を出して主治医のBに連絡することにしました。Bは溜息混じりの返事をしたもののすぐに病棟にきてくださいました。Aの様子を見たあと、この状態になったのはいつから、このような状態になったのは初めてかなどいくつか質問を投げかけられました。そして最後に「なぜ君はこの状態になるまで僕に連絡しなかったのか、どのような処置をしようと思っていたのか教えて」と言われたのです。

    そのとき私は正直に、「まずは●●をしてそれでも状態が変わらなかったら先生(B)に連絡しようと考えていました。個人的にですが、先生方に連絡するというのは最終手段と考えていた部分もあり、今回の件に関しては判断が遅かったと思っています」と伝えました。

    「自分なりに考えて行動するのは看護師としてどこで働くうえでも大事なことだけど君はまだ経験も浅いし知識だけではどうにもならない場合は沢山あるんだよ、今回の件ももう少し君からの連絡が遅かったらAさんはどうなっていたかわからない、独りよがりもいいけど看護師ではできる範囲が限られているから」となんだか突き放されるような言い方をされたのです。

    もちろん自分も反省する点は山ほどあることは理解していましたが、「独りよがり」「看護師にではできる範囲が限られている」という風に言われ、「やっぱり連絡しなければよかった」「何のために看護師になったんだろう」「医師は看護師のことをなんだと思っているんだろう」となんだか一気にネガティブな気持ちになりBに対して不信感さえ抱くようになってしまったのです。

    新人看護師を毛嫌い?

    その日はAの件以外にも立て続けにいろんなことがあったので、リーダーから、「何か手伝えることある? 定時で上がってゆっくり休んでね」と言っていただき久しぶりに定時に上がることができました。私が帰ったあとBが師長と話しているのを他の看護師が聞いていたのですが、その内容を聞いて私は更に落ち込むことになったのです。

    「いるんだよね~、〇〇さん(私)みたいに、責任とれないのに自分で解決しようとする新人。知識も経験も浅いのになぜか先輩とか医者に頼るのがいけないことって勝手に思っているし、万が一のことがあったら一番患者に責められるの僕たち医者なんだからね」と周りに聞こえる程の声量で話していたようで、みんな私とAの件を知っていたのでBの発言を聞いて幻滅したと話してくれました。

    その話を聞いてはじめは落ち込み、医師と看護師ってこんなにも溝があるものなのかと驚きましたが、新人の時に経験できて良かったと今では思えるようになりました。もちろん、Bのような医師ばかりではありませんが、新人看護師を毛嫌いする医師が少なくとも存在するという事実を知ることができました。

    なぜ医師と看護師の間には溝ができてしまうのか

    次に自身の経験も踏まえ、なぜ医師と看護師の間には溝ができてしまうのかについてご紹介していきます。

    現場や看護師に対しての配慮がない

    現在、ほとんどの病院には電子カルテが導入されており、必要最低限の情報は閲覧可能です。どの病棟に何人の患者がいるのかなど一目でわかるようになっています。しかし、中にはカルテさえ閲覧せず、病棟の患者数すら把握していない医師もいます。それが原因かは定かではありませんが、なにか指示や変更があるにしても「明日●●があるから△△しといて」とだけ急に連絡してくる医師。細かく言えば退勤時間5分前に平気で指示変更をしてくる医師もいて、正直看護師は頭を抱えています。

    医師の多くは定時など関係なく働いている方。そのような医師からすれば定時なんて関係ない、指示があればその通り動くのが当然と思うのは仕方のないことかもしれません。ですが「忙しい時間にごめんね」など少しの言葉かけや配慮で現場の雰囲気は大分違ってくるのです。このような少しの配慮があるかないかで医師と看護師の溝も埋めることができるのではないかと思います。

    固執した価値観や偏見

    • 医師はこうあるべき
    • 看護師はこうあるべき
    • 病院とはこうあるべき

    というような昔ならではの固執した価値観や偏見を未だに持っている医師との間には溝が生じやすいです。これは医師看護師といった関係だけでなくどの職種にもありうる話ですが、どちらかが凝り固まった価値観や偏見などを持っていると、意見交換や何かあった時など協力し合うことが非常に難しくなります。はじめはどちらかが我慢しながらも寄り添うなど努力するも、相手にはその思いが伝わらないどころかさらに反発させてしまうこともあります。

    実際、過去に年配医師で自身の経験が全て、価値観や偏見の凄い方がいました。何か意見をしようものなら、「君は医師に意見するのかね」といったいつの時代を生きているか疑問視したくなるような発言が当たり前のようにありました。私たちはもうその医師に対して諦めの感情さえ抱いており、その医師から言われたことには反論せず黙々と応えるしかありません。しかも、状況は良くなるどころか悪化。その医師は、「ここは昔ながらの病院のようで実に素晴らしい」と看護師の思いにすら気づいていない様子でした。

    このように、自分の価値観や意見に固執しすぎると看護師だけでなく相手が誰であろうと溝ができてしまうのは避けられません。

    プライドが高すぎる

    医師の中には、「医師に意見をするなど失礼」「医師の言うことは絶対」というようにプライドが高すぎる方がいます。実際、私もこのような医師に何人も出会ったことがあります。このような医師とは溝ができることはもちろん、仕事が非常にやりづらいのです。プライドが邪魔をして仕事にまで影響を及ぼしている医師を見ると正直、「それどころじゃない」の一言に尽きます。

    現場で重要な情報交換の際でも「看護師に言われなくてもわかってるよ」などのような発言をされる方もいますがはっきり言って「じゃああなた一人で全てできるんですね?」と言いたくなります。このような医師の中には、看護師と親しそうに会話することは医師の威厳に関わるといった考えを持っている方も中にはいるようですが、日々の交流から生まれる信頼関係が、仕事のしやすさや効率の良さに繋がることを改めて理解していただきたいと思います。

    たまにしか病棟に顔を出さない

    ここまで、

    • 配慮がない
    • 価値観や偏見が凄い
    • プライドが高い

    というような医師をご紹介していきましたが、それ以上に溝が生じやすいのは、たまにしか病棟にこない医師です。よく病棟に来て実際に患者の状態をよく見て下さっている医師にいくら心無い言葉や、価値観の押し付けなどがあったとしてもある程度は許容範囲なところもありますが、病棟にも来ないのに偉そうなことばかり言ったりする医師に対しては溝がどんどん深くなってしまいます。

    患者のことをちゃんと見ているという姿勢が感じられないという点が大きく関係しています。反対に、よく病棟に来てくださる医師は患者のことだけでなく看護師、そして現場を知っていただいているので、自然と配慮のある言葉かけをおこなっていただけますし、スタッフに対しての寄り添う姿勢などが感じられて、看護師との間の溝は必然的に生まれないように感じました。

    まとめ

    今回は医師に焦点を当てましたが、もちろん、看護師である私達の方が原因で溝が埋まらなくなってしまうこともあります。正直なことを言いますと、看護師は医師に対して本当の思いの半分も伝えることができていないのが現状です。そのような状態になるまで改善しようとしなかったのが一番の要因ですが、日々、目まぐるしく働いている中で自分の感情が邪魔して患者の命に影響するぐらいならという思いでいる看護師も少なくありません。

    このような看護師の思いを医師のみなさんに少しでも配慮していただくことで溝も埋まり、働きやすい環境にも繋がると思いますので、気づいたときにでも少し看護師の思いに寄り添ったり、話しかけやすい雰囲気づくりに取り組んだりしていただけると、医師と看護師のより良い関係づくりになるのではないかと思いました。

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    菊池

    執筆 現役看護師 ライター | 菊池

    医療に携わる仕事がしたいと思うようになり小学生にして医者を志すも、学んでいく中で最も患者さんに寄り添うことができる看護師を志すように。現在は宮城県にて看護師として働いている。


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