在宅医療(訪問診療)クリニックのスタッフ構成は何名が最適?

超高齢化社会に突入した現在、在宅医療の環境整備は社会的な課題となっています。在宅医療を提供するクリニックのニーズも、今後ますます高まることが予想されますが、これからクリニックを開業するなら、まずスタッフの人数構成はどの規模からスタートするべきなのでしょうか?

今回は東京都内で在宅(訪問診療)クリニックを営む、訪問利確ドクターに、開業当時のスタッフ構成や、患者数の推移によるスタッフの人数の変化などを伺いました。

目次
  1. 開業時に最低限雇うべきは医療事務1人。余裕があれば、事務と看護師を各1人が理想
  2. 月間患者数が60~80人に達する時期に合わせて新規スタッフを採用した

開業時に最低限雇うべきは医療事務1人。余裕があれば、事務と看護師を各1人が理想

――まずは、2020年7月のクリニック開業時のスタッフ構成について教えてください。

医師(私)1人、医療事務1人、看護師1人でスタートしました。ありがたいことに、昔からよく知っている優秀な看護師らに働いてもらえることになり、一般募集することなく、必要な人数をそろえることができました。

一般的な話になりますが、在宅医療(訪問診療)のクリニックに限らず、開業時のスタッフとしては医療事務1人は必須だと思います。看護師に関しては、もちろんいるに越したことはありませんが、もし採用できなくても問題はありません。たとえば採血にしても点滴にしても医学的なことに関しては医師がカバーできます。実際、最近では在宅クリニックにおいて、看護師さんを雇用しないところも増えています。

しかしレセプトは複雑ですし、知識のない医師が急に習得できるものでもないので、レセプト業務のために医療事務スタッフはぜひ採用すると良いでしょう。

――診療時は、医師と看護師の2人体制で患者さんのもとへとうかがっているのですか?

私と看護師で診療同行することが多いですが、ときにはPA(診療アシスタント)の役割を果たしてくれる医療事務にも来てもらうことがあります。事務スタッフが同行するかどうかは、院内で行わなければならない業務量などによって、柔軟に構成を変えています。

――開業時は、医師1人、医療事務1人、看護師1人という態勢が理想ですか?

スタッフへの負担やクリニックの円滑な運営を考えると、可能であればそれぞれ2人ずつ採用したほうがいいと思います。各人員が1人のみでは、体調不良時や急な用事でスタッフが休まざるを得ない時にフォローしきれなくなってしまうからです。

とはいえ、当院は当初売り上げもなかなか上げられず、医療事務1人、看護師1人でも最低限は事足りたのでその編成でスタートしました。

しかし私の経験を踏まえると、これから在宅医療(訪問診療)クリニックを開業する先生方には、1人のスタッフに負担や役割が集中してしまう人員構成での立ち上げはあまりおすすめできません。開業当初は仕方ないとしても、軌道に乗ってきたら余裕を持たせるために、誰かがクリニックを退職してもそのノウハウが残るよう、(金銭的に余裕があるなら)常にプラスワンで考えると良いと思います。

月間患者数が60~80人に達する時期に合わせて新規スタッフを採用した

――開業から約1年経った今現在のスタッフ構成を教えてください。また、2人目以降のスタッフはどのようなタイミングで採用しましたか?

現在は、看護師2人、医療事務2人です。PAは雇っていませんが、先ほども言ったように、医療事務スタッフのがPA的な役割を果たしてくれています。

採用のタイミングは、患者数の推移を見ながら決めました。医者1人に対して訪問診療における患者さんはだいたいひと月で80人診ることができると考えています。月間60人だという人もいるので、1人の医師がひと月で診られる患者数はおよそ60人~80人ととらえてもいいでしょう。開業から半年も経てば、どのくらいのペースで自院の患者が増え、いつごろ80人に達するかも想定できるようになるので、そのタイミングに合わせて採用すると良いでしょう。

在宅医療(訪問診療)クリニックを開業する、あるいは開業したばかりの先生方も、ざっくりと患者数の増加見込みをもとに新しいスタッフを増やしておくといいのではないでしょうか。ただし、2人以上のスタッフが同時に入職となると、教育する負担が一気にかかってしまうので、入職時期は数カ月ほどずらすことをおすすめします。

――増患によりスタッフも増員したということですが、最後に、増患のコツなどがあれば教えてください。

増患の最大の方法は、地域できちんとした医療を行うことです。在宅業界・医療業界は狭いですので、良い診療をしていれば、自院のファンが増えていき、自然と患者さんの紹介が増えていきます。もちろん認知してもらうために最低限の営業は必要ですが、やはり良い診療を届けることが一番であると考えます。

施設の患者さんを引き受けるなら別ですが、急激に患者さんが増える方法はあまりなく、真摯に患者さんに向き合い診察することで評価を築いていき、そうした積み重ねが患者数増加という形で実っていくのではないでしょうか。

――ありがとうございました。

訪問利確ドクター

取材協力 東京都内 在宅クリニック院長 | 訪問利確ドクター

東京都内にて在宅クリニックを経営する在宅医療専門医。クリニック開業時からの経験を、Twitterをメインに積極的に綴っており、フォロワーは約5,000人にまで成長。メディアプラットフォーム・noteでは「結局 在宅医療って儲かるの?」などを筆頭に、在宅医療(訪問診療)に関連する赤裸々な記事が好評を博している。


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執筆 CLIUS(クリアス )

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