日本におけるキャッシュレス化は、年々進んでいるという印象を抱いている人もいるかもしれません。しかし、町の小さなクリニックなどはまだまだ現金払いが主流。近所のクリニックがキャッシュレス対応していなくて、来院前にはATMでお金をおろすという人も多いでしょう。では、実際のところクリニックのキャッシュレス化はどのくらい進んでいるのでしょうか? まだ、今後はさらに医療機関のキャッシュレス化が進んでいくのでしょうか? 詳しくみていきましょう。
2019年スタートの「キャッシュレス・消費者還元事業」、2020年~のコロナ禍でキャッシュレス普及が促進
経済産業省が、「キャッシュレス・消費者還元事業」と称して、2019年10月の消費税率引き上げ後、9カ月にわたって中小・小規模事業者によるキャッシュレス手段を使ったポイント還元を支援 していたことは、みなさんの記憶に新しいことと思います。キャッシュレス化によって生産性向上やデータ活用などの付加価値がもたらされることから、日本の競争力強化につながるため、政府としても力を入れたいと考えたのでしょう。
さらに、2020年、2021年のコロナ禍においては、感染対策の観点から、人と人との接触を減らせるキャッシュレス決済に、ほとんどの人が魅力を感じるようになりました。
ニーズが高まっても医療機関側は二の足を踏んでいる
しかし、医療機関側としても、人手不足もあって効率化は進めたいと思っているものの、キャッシュレス決済を利用すると手数料をとられることやセキュリティ面に不安があることなどがネックとなっているのか、「納得して使えるサービスではない 」と感じているクリニックなども存在するのが実情です。
その結果、キャッシュレス決済を導入している医療機関はいまだに10%強にとどまっているのです。日本医師会が2019年におこなった「医療機関におけるキャッシュレス決済についてのアンケート」によると、2019年時点でキャッシュレス決済を導入しているクリニックは、全体の13%。という結果です。
参照:公益社団法人 日本医師会「医療機関におけるキャッシュレス決済についてのアンケート結果概要について」p.5より抜粋
キャッシュレス決済を導入しているクリニックのうち、導入率が高いのはクレジットカード
また、キャッシュレス決済を導入しているクリニックへの質問「導入しているキャッシュレスの種類をお答えください」の回答としては、クレジットカードが断トツの一位。特に、支払いが高額となる保険外診療に関しては、キャッシュレス決済導入済のクリニックの実に90%以上が「導入している」と回答しています。
導入しているキャッシュレスの種類
キャッシュレスの種類 | 保険診療 | 保険外診療 |
カード | 79.4% | 90.3% |
電子マネー | 25.6% | 27.4% |
QRコード決済 | 23.8% | 26.7% |
導入していない | 12.6% | 3.2% |
参照:公益社団法人 日本医師会「医療機関におけるキャッシュレス決済についてのアンケート結果概要について」 p.6より抜粋
キャッシュレス決済導入時にネックとなるのは?
また、「キャッシュレス決済の導入時に課題と感じた点」に関しては、運用費用や初期費用を上げる人が多数でした。
キャッシュレス決済の導入時に課題と感じた点
手数料等の運用費用(ランニングコスト)が発生する | 70.8% |
端末等の初期導入費用(イニシャルコスト)が発生する | 32.9% |
導入によるメリットが不明確であり、導入の判断に困った | 20.2% |
導入に向けた手続きが手間であった | 17.7% |
患者にポイント等が付与されるため、療担規則上の問題があると感じた | 10.5% |
誰に相談すればよいのかわからなかった | 9.0% |
導入に向けた環境整備(スペース確保、通信ネットワークの確保等)が不十分であった | 5.8% |
情報管理が不十分に感じられた | 4.3% |
参照:公益社団法人 日本医師会「医療機関におけるキャッシュレス決済についてのアンケート結果概要について」 p.8より抜粋
キャッシュレス決済導入の結果どう変わった?
課題を感じつつも導入した結果、メリットを得られたと感じているクリニックも多く存在します。具体的にどんなメリットが得られたかというと、1番は「患者の支払いに係る時間が短縮できた」、2番は「現金管理の手間が減少できた」といずれも時短につながったという回答です。
キャッシュレス決済を導入した結果、業務がどう変わったか
患者の支払いにかかる時間が短縮できた | 34.3% |
現金管理の手間が減少できた | 32.9% |
支払い手段の増加により手間が増えた | 28.2% |
決済手数料の発生により収入が減少した | 20.9% |
未収金が減少した | 19.9% |
患者の支払いにかかる時間が伸びた | 9.0% |
患者の来院が増えた | 7.6% |
入金サイクルが長くなり資金繰りに困った | 2.2% |
参照:公益社団法人 日本医師会「医療機関におけるキャッシュレス決済についてのアンケート結果概要について」 p.10より抜粋
キャッシュレス決済導入によるネガティブ要素を減らす動きも
上記のとおり、キャッシュレス決済を導入したことによる変化1位、2位はポジティブ要素ですが、なかには「決済手数料の発生によって収入が減少した」などのネガティブ要素もあります。これを解消すべく、2021年現在、日本医師会などが、医療機関のキャッシュレス決済にかかる負担を最小限にするための施策を講じています。また、政府としても、2025年6月までにキャッシュレス決済の利用率を4割程度までに引き上げることを目標と して掲げているので、導入したクリニックの負担を減らすためのさまざまな施策が考案されるはず。ベストなタイミングで導入に踏み切れるよう、今のうちから、どんな決済方法があるのか、どの企業のサービスが使いやすいのかをチェックしておくのがおすすめですよ。
特徴
対応業務
決済種類
その他特徴
診療科目
特徴
決済
システム提携
機能
タイプ
種別
診療科目
特徴
タイプ
機能
決済
システム提携
種別
診療科目
この記事は、2021年11月時点の情報を元に作成しています。