近年、電子カルテやレセコンの普及によって医療の効率化が進んでいますが、IT化の波に乗らざるをえない世情にストレスを感じているクリニックも少なくはないでしょう。しかも、便利な機器を使いこなせるスタッフを見つけること自体大変。レセプト業務を担当している医療事務が辞めて後任がなかなか見つからない場合などは、てんやわんやになってしまうこともあるでしょう。そうした場合は、レセプト業務のアウトソーシングを利用するのがおすすめです。利用によって具体的にどんなメリットが得られるのか、早速みていきましょう。
レセプト業務を外注するとどんなことをしてもらえる?
レセプト業務の代行業者にレセプトを依頼すると、レセプト点検のプロがしっかり内容をチェックしてくれます。病名だけでなく、算定可能な項目などの抜けも見逃さないため、今まで取り漏れていたものを拾い上げることができます。どんなことを点検するかというと、たとえば、特定疾患処方管理加算に関しては、初診月から該当傷病名があれば、特定疾患の病名以外の処方がされた場合であっても算定可能です。また、特定疾患指導料に関しては、初診日から一か月経過していれば算定できます。
レセプト業務を委託することのメリット
続いては、レセプト業務を委託するメリットについてみていきます。
①算定漏れによる損がなくなる
病名抜けだけでなく、算定可能なのに算定していない項目なども拾い上げてくれるので、今まで取り漏らして損していた分を取り戻せます。
②返戻・減点が少なくなるため、再請求にともなう作業が減る
レセプトの記載内容に不備や間違いがあった場合、提出した保険医療機関にレセプトが差し戻されますが、不備や間違いが少なくなれば、当然、戻ってくること自体少なくなり、再請求にともなう作業が減ります。
③国保連合・社会保険基金からの信頼度が増す
レセプトの不備や間違いが少なくなれば、国保連合や社会保険基金からの信頼度がアップしやすいでしょう。
④請求業務に時間をとられないので、診療・治療・患者とのコミュニケーションに専念できる
手間や時間のかかるレセプト業務を代行業者に依頼することによって、クリニックスタッフは診察および患者とのコミュニケーションに専念することができます。
⑤作業がスピーディなため、事務スタッフが月末月初に残業する必要がなくなる
レセプト業務は月末月初に集中するため、スタッフの負担がかなり大きくなるのが通常ですが、作業が速いプロに任せることで、スタッフの負担を減らすことができます。
⑥点検・統括を知らない事務スタッフでも雇うことができる
点検・統括を熟知していることを条件にスタッフを探すと、なかなかいい人材が見つかりにくいでしょう。医療業界全体が人手不足であるため、優秀なスタッフは引く手あまたなのです。しかし、点検・統括を理解しているかにこだわらなくていいとなれば、比較的楽に採用できるでしょう。
⑦医療診療法定改定時も算定要件チェックなどに悩まされにくくなる
こちらは⑥と同義。事務スタッフはレセプトに必要な知識を有していることに加え、知識のアップデートも求められますが、そもそもレセプト業務は外注すると決めてしまえば、知識のアップデートに時間をかける必要もなくなります。
レセプトのアウトソーシングはどこに頼めばいい?
続いては、レセプトのアウトソーシングを請け負っている代表的な会社を紹介します。
ニチイ学館
標準点検項目である「基本」「算定」「漏れ」のチェックおよび病院オリジナルの点検項目「独自チェック」によって、エラーレセプトを漏れなく抽出してくれます。また、フリーコメントなどに対する病名点検不要設定や複数条件の組み合わせを自由に設定することによって、さらに効率性・正確性をアップすることも可能です。
スマイル
クリニック・院長の方針に合った診療算定方法を進めてくれます。また、チェックだけでなく、算定可能項目の提案などもおこなってもらうことができるのもうれしいポイント。診療報酬算定に必要な書類作成・連携もサポートしてもらえます。
プリマジェスト
各都道府県連合会の要望に合わせた形での業務処理体系を構築。自社レセプト処理システムを基盤としたセンターおよび自社エントリーセンターでの運用によって、ワンストップでのレセプトのデータ化および付帯する事前事後処理の業務安定稼働を支援してくれます。
メディカルタクト
新規開業、レセプト500件のクリニックなら、目安としては、「訪問回数1回、5万円/月~」で、月初に訪問してレセプト全件をチェックのうえ、修正から伝送までおこなってくれます。レセプト500件超1,000件のクリニックの目安としては、「訪問回数5回、15万円/月~」で、月初の訪問でレセプト全件を再チェックのうえ伝送処理をおこなってくれる他、週1訪問のうえ、1週間のレセプトの点検内容と修正をおこなってくれます。
MJメディカル
データを預かって社内でおこなう単発チェックは30,000円~50,000円。クリニックに訪問して現地で点検する場合、30,000円~80,000円+交通費実費。単発でも利用できるので気軽に試してみることができます。
ソラスト
ソラストはこれまで55年間培ってきた医療事務業務の豊富な経験と高い専門性を通じて、人とICTツールをパッケージで提供する「iisy」を提供しています。「iisy」の第1弾は、2021年6月にリリースした「リモート医事サービス」。「リモート医事」は医療事務業務のオンライン化を通じて、医師や看護師の負担を軽減、医業に集中できる環境を実現するサービスとのこと。価格は従量課金モデル。電子カルテ「CLIUIS」との連係も行っているので興味ある方は問合せしてみてはいかがでしょうか?
まずはお試しからでも!
レセプトを外注すると、そのぶん費用がかかるからと敬遠してしまう人もいるかもしれません。しかし、それによって得られるメリットを考えると、利用を考えてみるのもいいかもしれませんよ。なかには単発で利用できるアウトソーシング先もあるので、一度気軽に試してみてはどうでしょうか?
この記事は、2021年11月時点の情報を元に作成しています。