ここ数年、「超高齢化社会」「コロナ禍」など訪問診療にかかわるキーワードを耳にするようになりました。高齢化によって家族を介護する人が増えたことも、訪問診療が注目されるようになったひとつの理由。
介護と子育てが同時進行となると、子どもが熱を出したからと簡単には家をあけられないことがあります。こうした傾向は今後も変わらない見通しであるため、訪問医療のニーズはますます高まると言えるでしょう。
そこで今回は、訪問医療におすすめの電子カルテを解説していきます。
訪問医療に電子カルテを導入するメリットは?
まずは、訪問医療に電子カルテを導入するメリットをみていきます。
訪問先で記録できる
バイタルサインなどをその場で入力することができるので、クリニックに戻ってから患者の状態を記録する必要がありません。
記述式部分に関してはその場でしっかり書くほど余裕がないとしても、電子カルテ内にメモを残しておけば、手書きメモを紙カルテに転記するより楽です。
請求業務の負担が軽減される
カルテの入力と同じ理由で、請求業務に関しても負担が軽減されます。
その場で画像を取り込める
タブレット端末で撮影した画像をそのままカルテに取り込むことができるので、褥瘡や創傷などの患者の症状の変化がよりわかりやすくなるでしょう。
訪問医療向け電子カルテを選ぶポイントは?
続いては、訪問医療に活用する電子カルテを選ぶポイントをみていきましょう。
クラウド型であること
訪問医療に活用できる電子カルテは、出先からでもアクセス可能なクラウド型になります。オンプレミス型だと使えないので注意が必要です。
タブレットで使えること
訪問医療向け電子カルテの条件は、第一に、「タブレットで使えること」です。電子カルテのなかには、タブレット端末では使えないものもあるので注意が必要です。
自由に持ち運べるタブレット端末に対応していれば、訪問先からも電子カルテの確認や入力も可能です。
レセコン一体型かどうか
電子カルテがレセコン一体型かどうかによってもできることが変わってきます。
自院が求める条件について一度整理してから、使いたい製品を絞りましょう。
レセコン一体型であれば、請求書などを一括作成できるので特に便利です。
在宅・訪問看護は通常の診療と比べて提出しなければならない書類が多いことからも、少しでも作業が楽になるものを選ぶに越したことはありません。
スケジュール管理機能や地図機能が搭載されていること
スケジュール管理機能や地図機能などの便利な機能が搭載されたものを選べば、さらに業務が効率化されます。
比較表で検討・訪問看護向けのおすすめ電子カルテ
続いては、実際に訪問看護に活用されている電子カルテのなかから、いくつかおすすめをピックアップして紹介していきます。
製品名 | CLIUS | モバカルネット | セコムOWEL | 在宅医療用クラウド型電子カルテ homis |
初期費用 | 20万円 | 20万円 | 50万円~ | 要問合せ |
月額コスト | 12,000円 | 50,000円 | 35,000円~ | 要問合せ |
機能 | ・「本日の訪問」「訪問予定」 「在宅患者一覧」「マスター管理」 の4つの画面で構成される在宅機能 ・「本日の訪問」画面からは 訪問先の経路確認可能 ・「訪問予定」画面では、 「在宅患者一覧」で登録した 在宅患者をカレンダーに割り当て 訪問予定を作成できる ・「マスター管理」画面では、 在宅管理で使用する各種マスターの 管理操作を行える | ・定型文入力機能や 過去文書のDo機能 ・テンプレート機能 ・入力中にネットが切れても、 オフライン機能によって過 去カルテなどを参照可能。 入力内容も保持できる ・カルテに入力すると 同時に診療レポート (居宅療養管理指導書) が自動作成される | ・往診スケジュールの簡単作成 ・訪問ステータス管理 ・持ち運びカルテ出力 ・介護費用も含めた 月まとめ請求機能 ・施設単位の請求書発行機能 ・在宅医療で必要な医療文書の作成 (訪問介護指示書、 介護主治医意見書、 居宅療養管理指導書など) | ・患者との対話や 診療に集中できるよう、 最低限の入力作業で済む 設計がなされている ・毎月大量に発行が必要な書類を カルテの内容から自動引用できる ・介護保険の算定にも対応 |
株式会社Donuts「CLIUS」
- 「本日の訪問」
- 「訪問予定」
- 「在宅患者一覧」
- 「マスター管理」
の4つの画面で構成される在宅機能を有しています。4つの画面に分かれていることで、必要な操作画面にダイレクトに辿り着けます。
「本日の訪問」画面からは訪問先の経路確認も行えるため、Google mapなどを別途開く必要がなくなります。「訪問予定」画面では、「在宅患者一覧」で登録した在宅患者をカレンダーに割り当てることで、訪問予定を作成していけます。
「マスター管理」画面では、在宅管理で使用する各種マスターの管理操作を行えます。
NTTエレクトロニクステクノ「モバカルネット」
定型文入力機能や過去文書のDo機能、テンプレート機能などによって、出先でもスムーズにカルテ作成が可能。入力中にネット接続が切れても、オフライン機能によって過去カルテなどを参照できますし、入力内容は保持できます。
また、カルテに入力すると同時に診療レポート(居宅療養管理指導書)が自動作成されるため手間が省けます。電子カルテから直接FAX送信することもできます。
セキュリティに関しては、NTTグループ独自の電子証明書を機器認証で使用しているので安心。不正ログやデータの改ざんを防ぐことができます。
セコム医療システム株式会社「セコムOWEL」
- 「往診スケジュールの簡単作成」
- 「訪問ステータス管理」
- 「持ち運びカルテ出力」
- 「介護費用も含めた月まとめ請求機能」
- 「施設単位の請求書発行機能」
- 「在宅医療で必要な医療文書の作成(訪問介護指示書、介護主治医意見書、居宅療養管理指導書など)」
といった、在宅医療向けの機能が充実しているため、今後、在宅医療を積極的に提供していきたいと考えているクリニックにとっては、選択肢上位にランクインしやすいでしょう。
また、診療情報提供書や処方箋などの文書は、画面操作によって相手先に直接FAX送信することができるので、別途、FAX番号を探してプッシュする必要がありません。
株式会社ヒューマンライフ・マネジメント「在宅医療用クラウド型電子カルテ homis」
"在宅医療クリニックの働き方を変える"ことをコンセプトとした電子カルテ。患者との対話や診療に集中できるよう、最低限の入力作業で済むよう設計されています。
毎月大量に発行が必要な書類をカルテの内容から自動引用できるのはもちろん、介護保険の算定にも対応。訪問看護ステーションや施設運営者、薬局、ケアマネージャーなどとリアルタイムに情報共有しやすいよう設計されているのも特徴です。
株式会社ヒューマンライフ・マネジメント「在宅医療用クラウド型電子カルテ homis」
在宅医療の業務効率化を進めるためにも電子カルテの導入を急ごう!
訪問診療の現場では、短時間で正確に業務を行うことが必要なため、医師や看護師の負担はどうしても大きくなります。
そのため、業務効率を向上させてくれる電子カルテがあれば、その場での業務負担が軽減されるだけでなく、保険請求の請求業務などの負担も軽減されます。
導入を検討中のクリニックは、この機会にぜひしっかりと時間をとって比較検討してみてくださいね。
特徴
オプション機能
対象規模
提供形態
診療科目
特徴
対応端末
システム提携
提供形態
診療科目
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2021年12月時点の情報を元に作成しています。