病院やクリニックには音楽は無縁という印象を抱いている人も多いかもしれませんが、ここ数年で、BGMを活用する医療機関が少しずつ増えています。もちろん、診療科や治療内容によっては音楽がないほうが理想的だという場合もありますが、今回は、音楽を導入した場合にはどんな効果が得られるのか、どんな音楽をチョイスすればいいのかなどについて解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
院内向けBGMが豊富な「USEN MUSIC」
50年以上の店舗BGMで培われた知見とAIが融合。院内の特徴を踏まえ、医院ごとに最適なBGMを編成可能です。院内アナウンス、通信機能も標準搭載
詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。
医療機関で音楽を流すことでどんな効果が期待できる?
まずは、病院やクリニックで音楽を流すことで期待できる効果について考えてみましょう。
患者の緊張感を和らげることができる
緊張緩和にもっとも効果的とされるのは、「1/fゆらぎ」を含む音とされています。「1/fゆらぎ(エフぶんのいちゆらぎ)」とは、雨音やさざ波、小鳥のさえずりといった自然界の音などに含まれている"リズムの揺らぎ方"のこと。これらの音、またはこれらの音と同様に1/fゆらぎを含む音をBGMに採用すると、患者の緊張や不安が和らぎます。IBMのWatson研究所によって、ショパンやモーツァルトなどの有名音楽家の名曲にも、1.fゆらぎが存在していると発表されたこともあります。緊張緩和を目的に音楽を流すなら、自然界の音かクラシックの名曲をチョイスするとよさそうですね。
診療室の声が聴こえづらくなるため患者のプライバシーを守ることができる
BGMを流すことで、診察室内での医師と患者の会話が外までは聞こえにくくなるのも大きなメリットです。音楽が、会話などの雑音を打ち消す効果のことを「マスキング効果」といいますが、これをうまく利用すれば、患者のプライバシーを守るのに役立てることができます。
待ち時間を短く感じさせてくれる
ある程度テンポを感じさせてくれる音楽をBGMに使用すると、その空間にいる人は時間の経過を早く感じやすくなる傾向にあるのだとか。ゆったりしすぎず適度なテンポ感のある音楽をチョイスして、自分の順番を待ちくたびれている患者を癒してあげるといいでしょう。ただしもちろん、待ち時間改善のための対策をとることのほうが重要なので、下記記事などを参考に対策を講じてくださいね。
スタッフがキビキビ働ける
BGMは、患者だけでなくスタッフにもよい効果をもたらします。心を落ち着かせてくれるクラシック音楽は、ミスなく作業を進めたい会計事務のメンタルと調和します。脳を休めたい昼休憩の時間帯などに流すなら、イージーリスニングなどもよいかもしれません。診察終了後の片付けの時間なら、
こんなジャンルの音楽が理想的
続いては、シーンごと、診療科ごとなどにどんな音楽が理想なのかをみていきましょう。
診療科を問わずおすすめ:クラシック、ヒーリングミュージック、ピアノ
医療機関のBGMとしてもっとも適している音楽はクラシックです。前述した通り、1/fゆらぎを含んでいる楽曲が多いことも理由のひとつですが、そうでなくとも、歌詞がなく楽器のみの繊細な音楽であれば、患者の気持ちが安らぎやすいです。また、クラシックではないモダンな楽曲であっても、ソロのピアノ演奏やヒーリングミュージックなどだと、ほとんどの人に親しまれやすいでしょう。
小児科向け:オルゴールの音色など
診察や検査を怖がる子どもを落ち着かせてくれる効果を求めるなら、小さな子ども向けの楽曲を集めたオルゴールチャンネルなどを利用するのがおすすめです。良質な眠りに誘ってくれるようなやさしい音色の音楽なら、恐怖心も和らぎます。
産婦人科向け:出産時に妊婦一人ひとりの希望に沿ったもの
出産を控えた妊婦さんに、家族と一緒に「バースプラン」を考えることをすすめるクリニックは多いでしょう。妊婦さんによっては「子どもが生まれてくるときに流してほしい音楽」を書き出す人もいますが、一人ひとりの希望を叶えてあげることで、みんながどんな音楽を求めているのかを分析してみるのもいいかもしれません。また、母親学級などで不特定多数向けに流すなら、出産の不安を和らげて楽しみな気持ちを高めるようなアップテンポな音楽などをチョイスしてあげられるといいですね。
リハビリや認知症予防などを専門とするクリニック向け:軽快で明るい曲
リハビリや認知症予防の治療を専門とするクリニックであれば、患者が明るく前向きになれるような軽快な音楽が望ましいでしょう。診療室や待合室では静かなヒーリングミュージック、リハビリルームでは軽快な音楽、などと分けることができたら、リハビリルームに入った瞬間から「今日もリハビリを楽しもう!」というスイッチが入りやすくなることも期待できます。
便利な音楽サービス9選
続いては、クリニックでBGMを流したいときに役立つ音楽サービスをご紹介します。
もっともよく知られている音楽サービスといえば、なんといってもUSENでしょう。医療機関向けチャンネルリストとして、「やさしいクラシック」「ヒーリング・クラシック」「モーツァルト」「マタニティ・クラシック」「ミュージック・セラピー~心の癒し~」「オルゴール」などさまざまなチャンネルが用意されています。
基本プランは月額5,000円~。詳しい料金に関しては、サイト内の料金シミュレーションページにてご確認ください。
院内向けBGMが豊富な「USEN MUSIC」
50年以上の店舗BGMで培われた知見とAIが融合。院内の特徴を踏まえ、医院ごとに最適なBGMを編成可能です。院内アナウンス、通信機能も標準搭載
詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。
有線放送同様、株式会社USENが運営している「OTORAKU」は、有線放送と比べてより簡単にBGMを流すことができます。何が違うかというと、有線放送はチューナーの導入が必要なため工事が必須ですが、OTORAKUはiPhoneやiPad、AndroidからBGMを流せるのです。クリニック向けとしては、「癒しのクラシック」「音の処方箋」「MAMA & BABY CLASSIC」などのプレイリストの用意があります。
月額利用料初月無料の「Androidタブレットレンタルプラン」は、2年割レンタルプラン=月額税抜3,900円、3年割レンタルプラン=月額税抜3,500円。端末の修理や故障には何回でも無料で対応してくれます。
ユニバーサルミュージック所属のアーティストの楽曲をBGMとして利用できます。インターネットに接続して音声出力できる端末さえあれば利用可能。アフターサービスも万全で、トラブル発生時にはすぐに相談できます。
Smart BGM ライトプラン:税別2,980円/月で、一部のライブラリ音源やクラシック、環境音楽などを利用できます。そのほか、洋楽やジャズ、ワールドミュージックなども利用可能な「Smart BGM スタンダードプラン」(月額税別3,480円)もあります。
コスパのよさで注目されている「モンスター・チャンネル」は、"従来の有線放送に代わる店舗BGMアプリ"のキャッチコピーの通り、手ごろな価格が魅力です。クリニック向けには、「ヒーリングクラシック」「ハープ」「くつろぎのピアノラウンジ」「ジブリのせかい ピアノの調べ」「ピアノソナタ」「ことりカフェ」など多彩なチャンネルが用意されています。
月額プラン:初期費用無料、月額税込2,068円
1年プラン:初期費用無料、年額税込22,748円(1か月分お得)
※複数契約の場合、全アカウントに10%割引が適用されます
院内に専用のSTB(セットトップボックス)を設置すれば、クリニックの既存ネットワークを経由してBGMを配信することができます。そのため、ネットワーク回線さえあればすぐに導入できる気軽さが魅力。「イージーリスニング」「クラシック」「オルゴール」などの多彩なチャンネルを手ごろな価格で利用できます。利用料は月額3,000円~。
NTTメディアサプライ株式会社が運営しているBGMサービスです。1,300チャンネル以上のBGMを、クリニックや各種店舗に配信しています。著作権料込み、流し放題で月額2,068円と気軽に利用できます。
⑦ Simple BGM
ピアノ、ヒーリング、ジャズなどの多彩なチャンネルから選択可能なアプリです。累計16時間までは無料で利用することができるのて、試しに一度使ってみるのもいいでしょう。それ以降は月額税込500円で24時間利用可能と破格の設定。治療院で利用している人のレビューなどもあるので参考にしてみては?
手持ちのスマホなどで使える「アプリ版」、BGMだけでなく、カメラ、サイネージも使える「セットトップボックス版(光BOX+)」の2つの製品を用意。おしゃれや上品さを売りにしている音楽サービスなので、美容外科などで使うにはいいかもしれません。利用料は要問合せ。
Farao PRO同様、美容外科向きの音楽サービスです。アパレルやホテルで導入されることも多い音楽サービスのため、高級感を演出したいときなどには最適といえるでしょう。ただし、美容外科の雰囲気を表現するのにはいいですが、施術中に関しては、音楽を流すとしたらクラシックなどの落ち着けるもののほうがおすすめです。「クラシック」「リラックス」などのチャンネルも利用可。利用料は要問合せ。
Amazon Musicなどをうまく活用するのも一手
常時オンエアされている音楽サービスを利用する以外に、Amazon MusicやApple MusicなどでBGM集を購入しれ流すという手もあります。たとえば、下記のようなアルバムを購入して繰り返し流せば、月額がかからないので結果的にコストを安く抑えられます。
参照:amazon music クリニック音楽 - 病院や施設の待合室で使える癒やし音楽, 院内BGM
また、街の小さな診療所などのなかには、テレビやラジオを流しっぱなしにしているところもあるでしょう。クリニックの雰囲気や患者のニーズによってはテレビやラジオが適している場合もありますが、体調不良で来院している人にとっては、出演者やDJなど人の声が不快に感じられることもあるので、診療科によっては控えたほうがいいかもしれません。
時には演奏会開催も効果的
患者の不安緩和や気持ちを高めることに役立つ音楽をさらに積極的に活用したいなら、院内でのイベント開催時などに演奏会を開くのもおすすめです。音楽が人の心にもたらす影響は思った以上に大きいものなので、演奏会を楽しみに待つ患者たちがこれまで以上に前向きな気持ちになれたり、健康状態も上向きになったりといったことも期待できます。どんなイベント、どんな演奏会が望まれているかがわからない場合は、患者に直接アンケートを取って聞いてみるのもあり。患者が望む時間を提供してあげることができたら、クリニックの評価も今以上に高くなることだってありえますよ!
特徴
診療科目
この記事は、2022年1月時点の情報を元に作成しています。