医療機関に関わらず、利用者と接する仕事に従事するスタッフはネームプレート装着が必須となっていることが多いですが、近年はストーカー対策などの観点から、装着に抵抗を感じる人も増えています。そもそも、ネームプレートの装着は本当に必要なものなのでしょうか? また、装着を義務付けていないクリニックもあるのでしょうか? 早速みていきましょう。
ネームプレートがきっかけでストーカー被害に遭った例は多い
看護師は「白衣の天使」と形容されることがありますが、実際のところ、心身が弱っている状態でやさしく接してくれる看護師に恋心を抱く人は多いようです。事実、「看護師全体の11%がストーカー被害に遭ったことがある」という警視庁の発表もあります。
もちろん、医療事務や医者だって、患者から恋心を抱かれることがないとは言えないでしょう。また、恋心ではなく、逆恨みされることもトラブルに発展し得ます。しかも、何がきっかけで恋心を抱かれたり逆恨みされたりするかはわからないので厄介です。
ストーカーをはじめとするトラブルを現実化させてしまう要素のひとつがネームプレートです。フルネームであれば検索も容易。「患者からフレンド申請が届いて怖かった」と明かしている看護師も多いですが、SNSなどを特定されると、よく利用しているお店などで待ち伏せされる可能性も出てくるので大変危険です。そうした被害を防ぐために、SNSの公開範囲をしぼったり、場所や時間帯がわかる内容の投稿を避けたりといった工夫も必要です。
「それでもネームプレートを装着すべき」と考えるクリニックの言い分は?
では、そうしたトラブルに発展する可能性があるにも関わらず、ネームプレート装着を必要だと考えるクリニックにはどんな考えがあるかというと、「仕事に責任を持ってもらいたい」という考えです。たとえば、「受付の対応がよくなかった」「特定の看護師がいつも不愛想だ」などと患者からクレームが入ったとしても、ネームプレートを装着していなければ誰のことを言っているのかわかりません。そのため、自らの言動に責任を持ってもらいたいとの思いから、ネームプレートの装着を義務付けているクリニックは多いです。場合によっては、クレームにとどまらず訴訟問題などに発展した際にも、個人を特定することが必要なことはあるでしょう。
装着拒否は法的には認められる?
スタッフ側、医療機関側それぞれに理由や言い分がありますが、法的な観点からすると、装着拒否は認められるのでしょうか? これに関しては、過去に郵便局の職員がネームプレート装着をプライバシーの侵害だと訴えた裁判がありますが、結果としてこの裁判では、東京地裁によって「ネームプレート装着は業務上必要。法的利益を侵害しているとは言えない」という判決が下されています。この前例を見る限り、スタッフ側の希望が通ることは少ないかもしれません。
装着必須かどうかはクリニックの方針だが、対策を考えることも必要
とはいえ、すべてのクリニックがネームプレートの装着を義務化しているかというとそうではありません。全国には、スタッフ全員がネームプレートを装着していないクリニックも多々あります。つまり、結局はクリニックの方針によるということになりますが、そうはいっても、実際に自院のスタッフがストーカー被害に遭っている場合などはなんらかの対策を取ることが必要でしょう。たとえば、ネームプレートは装着するものの偽名のネームプレートにするなど、考えられうる方法はいくつかあります。問題が起きてからでは遅いので、自院のスタッフや先輩医師などにも意見を聞きつつ、今後の方針を決めていってはいかがでしょうか?
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この記事は、2022年2月時点の情報を元に作成しています。