【在宅医療】おすすめの本は?医師が“買ってよかった本”を調査

新型コロナウィルスが猛威を振るうなか、在宅医療(往診)の依頼が急増するケースも生まれました。また、患者が希望する“療養”についても多様化が進み、在宅医療は決して珍しい選択肢ではなくなりました。
編集部がこれまで接してきたなかでも、在宅医療を視野に入れるクリニックは少しずつ増えている印象です。

今回は、そのような先生のために、これまで在宅経験のある先生方にインタビューしてきたなかで、“在宅医療(訪問診療)についての理解を深められる”、“実務として役立つ”と言われている本をまとめました。
ぜひ今後の情報収集、院内スタッフのレベルアップ等にお役立てください。

実務で役立つ本(1)『たんぽぽ先生の在宅報酬算定マニュアル』シリーズ

在宅医療に携わる医師や、在宅メインで開業される先生方のサポートを行うコンサルタントから「役立つ」とよく耳にする本は『たんぽぽ先生の在宅報酬算定マニュアル』シリーズです。

たんぽぽ先生の在宅報酬算定マニュアル2022年度

『たんぽぽ先生の在宅報酬算定マニュアル 第7版』

(1)著者:永井 康徳 著、日経ヘルスケア 編
(2)発行:2022年6月27日(予定)
(3)定価:3,960円(税込)
(4)出版社:日経BP
(5)ISBN:978-4296112449

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日経BOOKプラス『たんぽぽ先生の在宅報酬算定マニュアル 第7版』

在宅医療専門診療所の先駆者とも言える、たんぽぽ先生こと永井 康徳氏が、在宅医療の報酬算定ルールを分かりやすく解説しています。
「いつもはデスクに置いておき、日々の業務で疑問が出るたびに目を通す」などと、日常的に活用する先生が多いようです。


目次

CHECK 在宅医療の報酬算定で注意すべきポイント
「往診と訪問診療の違いを押さえよう」「在宅医療を手掛ける医療機関の累計を整理しよう」「退院前後に算定できる在宅関連の報酬」など

1章 在宅医療に関する制度の基礎知識
「在宅医療を取り巻く制度と対象患者」「在宅医療の『5つの呪文』」「主な公費負担医療制度」など

2章 在宅医療の診療報酬
「在宅医療の診療報酬の基本構造」「往診と訪問診療」「往診料の算定で注意すべき点」「自宅で看取りを行った場合の加算」など

3章 高齢者施設の入所者などへの在宅医療
「高齢者施設・住宅の種類と医師や看護職員の配置、在宅関連報酬」「有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームの入居者への医療提供」など

4章 訪問看護ステーション・医療機関による訪問看護に対する報酬
「訪問看護の算定日数と提供時間」「外泊時、退院日の訪問看護」「訪問診療や訪問看護が同一日・同一月に重なる場合」など

5章 訪問リハビリテーションに対する報酬
「訪問リハビリテーションの概要」「リハビリテーションマネジメント加算」「訪問リハビリテーションの報酬の算定制限」など

6章 食支援、訪問薬剤管理指導などに対する報酬
「歯科訪問診療と医科歯科連携に関する報酬」「管理栄養士による訪問栄養食事指導」「薬剤師による訪問薬剤管理指導」など


著者コメント:医療法人ゆうの森 理事長 永井 康徳

わたしたちの法人では、2009年から在宅医療に関する報酬や制度に関する「全国在宅医療テスト」を主催し、当法人主催で毎年実施しています。参加者は、北海道から沖縄まで全国各地から集まり、令和3年度は参加者約2,700人まで規模が拡大しました。現在、全国在宅医療テストは【通常版】と初心者向けの【ビギナー版】の2種類のテストがあります。

この全国在宅医療テストにおいては、『たんぽぽ先生の在宅報酬算定マニュアル第7版』(日経BP社)が公式テキスト、『たんぽぽ先生の在宅報酬Q&A第3版』(日経BP社)が公式問題集というコンセプトで作成しています。おかげさまでこの本は、積み重ねてきた実績により「在宅医療・在宅報酬算定のバイブル」と呼んでいただき、在宅医療関係者のほとんどが読者となられているようです。毎年積み重ねた実績により在宅医療に関わる方はこの本を大抵持っていると聞こえてくるほどまでになっています。
今後、本格的な多死社会を迎える日本で、在宅医療は鍵となる医療ですが、報酬制度の複雑さから、自信を持って患者さんに必要な本当の意味でのマネジメントができる人は、まだまだ少ないのが現状です。在宅療養者の支援を目指す皆さんが、報酬算定に関するしっかりとした基礎知識を身につけ、患者さんのマネジメントの中核を担う存在となり、質の高い在宅医療がさらに全国へ普及することを願っています。


たんぽぽ先生がおすすめする『たんぽぽ先生の在宅報酬Q&A 第2版』

こちらは、2020年に出版した「たんぽぽ先生の在宅報酬Q&A」の改訂版です。2022年度の診療報酬改定にも対応しており、解説は会話形式でまとめたり図解を充実させたりと、初心者にも理解しやすい内容です。先程ご紹介した『たんぽぽ先生の在宅報酬算定マニュアル』シリーズと合わせて読めば、在宅報酬算定ルールの習熟度をより高められるのではないでしょうか。

たんぽぽ先生の在宅報酬Q&A 2022年度診療報酬改定

『たんぽぽ先生の在宅報酬Q&A 第2版』

(1)著者:永井 康徳・江篭平 紀子 著、日経ヘルスケア 編
(2)発行:2022年8月4日(予定)
(3)定価:2,970円(税込)
(4)出版社:日経BP
(5)ISBN:978-4296112456

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日経BOOKプラス『たんぽぽ先生の在宅報酬Q&A 第2版』

本を読むだけでなく、「全国在宅医療テスト」で在宅医療の知識を深めることも◎

また、たんぽぽ先生こと永井 康徳医師が理事長を務める医療法人ゆうの森では、先述した通り、在宅医療に関する知識や制度への理解を深めるきっかけとなる「全国在宅医療テスト」(受講料:無料、問題の発送料:実費)も主催。受講者は年々増加しています。

全国在宅医療テストについて「全国在宅医療テスト」は、2010年、医療法人ゆうの森が毎年院内で行っていた在宅医療の制度に関するテストを全国の知己の在宅医療クリニックの皆様に声を掛け、拡大実施したのが始まりです。その後現在では申込者数3,000名を数える試験に成長しました。これは、全国で在宅医療に取り組まれる皆様が知識や制度について理解を深め、より質の高いサービスを提供し、患者様・ご家族様の安心に応えようとされる証だと考えます。
引用:医療法人ゆうの森「全国在宅医療テストとは?

書籍だけでなく、このようなテストの受講をきっかけに、クリニックのスタッフ全体のレベルアップを図ることもひとつの選択肢と言えるでしょう。

実務で役立つ本(2)『在宅医療コア ガイドブック』

在宅医療の現場対応に役立つ本として、『在宅医療コア ガイドブック』を挙げる先生もいらっしゃいました。こちらは在宅医はもちろん、訪問看護師、介護職などにも広く読まれる本として有名です。

『在宅医療コア ガイドブック』

(1)著者:荒 隆紀
(2)発行:2021年4月
(3)定価:4,180円(本体3,800円 + 税)
(4)出版社:中外医学社
(5)ISBN:978-4-498-02090-0

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中外医学社「在宅医療コア ガイドブック


目次

総論
1 患者総合評価にとって大事な「まごころ」
2 患者中心の医療とコミュニケーション技法
3 在宅医療における診察技法
4 在宅医療と意思決定支援

疾患各論
1 担当患者に 高血圧がある場合
2 担当患者に 糖尿病がある場合
3 担当患者に 気管支喘息がある場合
4 担当患者に 慢性閉塞性肺疾患(COPD)がある場合
5 担当患者に 慢性腎臓病(CKD)がある場合
6 担当患者に 慢性心不全(CHF)がある場合
7 担当患者に 心房細動(Af)がある場合
8 担当患者に 骨粗鬆症がある場合
9 担当患者に 認知症がある場合
10 担当患者に 脳血管障害後遺症がある場合
11 Common Disease のケアバンドル集

在宅医療におけるCOVID‒19診療マニュアル

■禁忌薬一覧
■頻用抗菌薬一覧


著者コメント:医療法人おひさま会 おひさまクリニック 管理医師 荒 隆紀

「在宅医療コアガイドブック」著者の荒 隆紀です。
2025年に向け、在宅医療の需要は高齢化の進展や、地域医療構想による病床の機能分化・連携により、大きく増加しています。また、国民の3割が、「最期を迎えるときに生活したい場所」で「自宅」を希望しているとの意識調査も示されており、開業医も在宅医療に取り組むところが増えています。
しかし、質の高い在宅医療の提供方法をどのように学べばいいのでしょうか?

在宅医療とは、文字通り在宅という生活の場で医療を行うことですが、それは従来の診療所や病院で行われていた医療を単に在宅の場に持ち込むということを意味しません。単純に臓器別の治療を組み合わせることによって起きるポリファーマシーなどの弊害も近年多く報告されてきています(この本の「はじめに」をお読みください)。
私が所属する医療法人おひさま会は在宅療養支援診療所として合計2000人弱の24時間の医学管理をしていますが、在籍している医師の専門性が様々であり、在宅医療におけるコモンディジーズのケアのレベルが低いことに課題意識がありました。
そのため、2018年より訪問診療で出会うコア疾患の診療対応方法マニュアルを院内で作成し、これが「在宅医療コアガイドブック」の元になっています。在宅医療に関する医学的ケアの実践を扱った類書は少ないため、訪問診療を担う若手医師、家庭医、開業医の先生方、他にも訪問看護師、リハ職などにも幅広くお役に立つ内容だと思います。

<書籍を購入した医師の声>
在宅医療では行える検査や処置が限られるため、とくに身体診察やポータブルエコーをうまく使うことが必要になると感じています。「在宅医療コア ガイドブック」は具体的な処方例も載っており参考になりました。(30代、愛知県、皮膚科)

その他:『最期まで、命かがやいて―緩和ケア医が教える 末期がん患者が人生を全うする方法―』

14年間で1,000人を看取ってきた緩和ケア医からの視点で、末期がん患者が最期まで自分らしく過ごすための在宅医療について綴っているこちらの本は、患者さんと接する上での心構え、そして診療における指針としても役立ちます。

『最期まで、命かがやいて―緩和ケア医が教える 末期がん患者が人生を全うする方法―』

(1)著者:石賀 丈士
(2)発行日:2015年
(3)定価:1,430円(税込)
(4)出版社:幻冬舎メディアコンサルティング

詳細についてはこちらから
電子書籍(無料): http://www.ishiga-cl.com/jiseki/inochi.html


複数の患者さんの軌跡がノンフィクションで語られており、末期がんの症状や経過についての細かな描写も特長的です。緩和ケアクリニックを運営する医師はもちろん、家族を看取った経験のある方々からの注目度も高い本と言えるでしょう。


目次

序章 末期がんと宣告された患者さんへ
命のカルテ1 末期がんに侵されて毎日が輝いた女性
命のカルテ2 余命2か月を乗り越え、娘の成人式を見届けた母
命のカルテ3 闘病生活に奪われた青春を取り戻した青年
命のカルテ4 がんではなく老衰で逝った「奇跡の人」
命のカルテ5 抗がん剤治療を選び最期まで闘った18歳女性
命のカルテ6 寝たきりから回復し歩くのを楽しみにしながら大往生した男性
命のカルテ7 病魔との闘いのストレスを乗り越えた父
命のカルテ8 家族とのクリスマスパーティーの最中、笑顔で旅立った父


著者コメント:医療法人 SIRIUS いしが在宅ケアクリニック 理事長 石賀 丈士

医療法人 SIRIUS いしが在宅ケアクリニック 理事長 石賀 丈士

8割の方が病院で亡くなられるというおかしな社会を変えるため、2009年7月三重県四日市市に、在宅緩和ケアを中心とした「いしが在宅ケアクリニック」を開設しました。当院はこれまで5000名以上の方々に訪問診療を行い、3150名以上の方々を在宅で看取らせていただきました。その経験を活かして全国からの見学者や研修者の受け入れを行ってきました。

しかし現在はコロナ禍で多くの受け入れもできないため、在宅医療を志す医師向けに、Microsoft Teamsを使用してチャリティー在宅医療相談を行っており、全額ウクライナに寄付させていただいております。ご興味のある方は当院のホームページ(http://www.ishiga-cl.com/)をご覧ください。
また2015年に発行させていただきました本書は、末期がん患者さんとそのご家族とのあいだで実際に起きたことを、私の体験をベースに紹介しています。患者さんとそのご家族の姿を通して、末期がん患者さんが最期まで充実した日々を過ごすためにご家族は何をしたらよいのかがわかるようにしています。この本によってご家族が希望を取り戻し、患者さんの命が最期まで輝くことになればこれ以上うれしいことはありません。


石賀 丈士先生の『最期まで、命かがやいて』は大変参考になりました。
(30代、千葉県、循環器科)

在宅医療に関するおすすめの本:まとめ

今回は、計4冊の本をご紹介しました。

・『たんぽぽ先生の在宅報酬算定マニュアル 第7版』
・「たんぽぽ先生の在宅報酬Q&A  第2版」
・『在宅医療コア ガイドブック』
・『最期まで、命かがやいて―緩和ケア医が教える 末期がん患者が人生を全うする方法―』

実務だけでなく、患者さんに寄り添う姿勢を学ぶ一冊にも出会えるはずです。これらが在宅医療への理解を深めるきっかけとなれば幸いです。

Mac・Windows・iPadで自由に操作、マニュア ルいらずで最短クリック数で診療効率アップ

特徴

1.使いやすさを追求したUI・UX ・ゲーム事業で培って来た視認性・操作性を追求したシンプルな画面設計 ・必要な情報のみ瞬時に呼び出すことが出来るため、診療中のストレスを軽減 2.診療中の工数削減 ・AIによる自動学習機能、セット作成機能、クイック登録機能等 ・カルテ入力時間の大幅削減による患者様と向き合う時間を増加 3.予約機能・グループ医院管理機能による経営サポート ・電子カルテ内の予約システムとの連動、グループ医院管理機能を活用することにより経営サポート実現 ・さらにオンライン診療の搭載による効率的・効果的な診療体制実現

対象規模

無床クリニック向け 在宅向け

オプション機能

オンライン診療 予約システム モバイル端末 タブレット対応 WEB予約

提供形態

サービス クラウド SaaS 分離型

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、

執筆 CLIUS(クリアス )

クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
機器連携、検体検査連携はクラウド型電子カルテでトップクラス。最小限のコスト(初期費用0円〜)で効率的なカルテ運用・診療の実現を目指している。


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