クリニックのスタッフが言葉遣いに関して気を付けるべきポイントは?

社会に出たら正しい言葉遣いはできて当然ですし、言葉遣いに問題があれば、接する相手にネガティブな印象を与えてしまいます。しかも、その人個人の印象が悪くなるだけでなく、「会社の教育に問題があるのでは?」と思われることもしばしば。たとえばクリニックの受付スタッフの言葉遣いに問題があれば、クリニックそのものの評価が下がってしまいます。そうした事態を防ぐためにも、言葉遣いに関してもきちんと教育していきたいところです。そのためにもまず、クリニックにおける言葉遣いのポイントについて考えてみましょう。

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目次
  1. よくある誤った表現を正しい言葉遣いに直すとどうなる?
    1. 患者の来院時または電話応答時
      1. 「今日って、保険証ってお持ちですか?」
      2. 「お名前を頂戴できますか?」
      3. 「こちらでよろしかったでしょうか?」
    2. 受付後
      1. 「お座りになってお待ちください」
    3. 会計時
      1. 「〇円からお預かりします」
      2. 「〇円のお釣りになります」
      3. 「お時間的には何時ごろがよろしいですか?」
    4. 患者のお見送り時
      1. 「お大事にどうぞ」
  2. 「クッション言葉」を意識する
    1. 患者に依頼するときに使えるクッション言葉
    2. 患者に対して断るときに使えるクッション言葉
    3. 患者に尋ねるときに使えるクッション言葉
  3. 「親しみやすさ」と「フレンドリー」を履き違えない
  4. 難しい専門用語は使わない
  5. 言葉遣いだけでなく、表情も大切なポイント!

よくある誤った表現を正しい言葉遣いに直すとどうなる?

まずはなんといっても、正しい敬語を使うことが大切です。本人は丁寧に喋っているつもりでも、日本語として間違っていれば、対応された患者から「このクリニックはスタッフのレベルが低いな」と判断されてしまいます。よくありがちな間違いを時系列でみていきましょう。

患者の来院時または電話応答時

「今日って、保険証ってお持ちですか?」

友だちとの会話であれば、「今日って、〇〇って持ってる?」でも全然問題はありませんが、仕事の場で“って”を使うとあまりにもフランク過ぎます。患者が同世代や年下であっても、きちんと「本日は保険証をお持ちですか?」と尋ねましょう。

「お名前を頂戴できますか?」

「頂戴する」は「もらう」の尊敬語です。「もらう」は物品に対して使う言葉で、名前に対しては使えません。正しくは、「お名前をお伺いできますか?」です。

「こちらでよろしかったでしょうか?」

患者に対してなにかを確認するとき、「こちらでよろしかったでしょうか?」と返す人がいますが、「よろしかった」は過去形なので間違い。正しくは、「こちらでよろしいでしょうか?」です。

受付後

「お座りになってお待ちください」

受付後、待合室で座って順番を待ってくださいと促す際に使ってしまう間違い表現です。“お座り”はペットや子どものしつけを想起させる表現。患者に対しては、「お掛けになってお待ちください」が正解です。

会計時

「〇円からお預かりします」

会計時にありがちな間違いが「〇円からお預かりします」です。正しくは、「〇円をお預かりします」。たとえば、1,000円払って300円のお釣りをもらうとして、1,000円“から”支払うのは患者であって、受け取るスタッフのほうではありません。スタッフは1,000円“を”預かって300円のお釣りを渡すほうなので、間違えないように注意しましょう。

「〇円のお釣りになります」

これも会計時にありがちな間違い。“なります”というのは、“〇〇すれば××になります”など、なんらかの変化があることを伝える表現ですが、お釣りの金額に関しては患者がお金を出した時点で決まっているので、「〇円のお釣りです」と伝えます。

「お時間的には何時ごろがよろしいですか?」

次回の来院予約に関する希望を訪ねる際、「お時間的には何時ごろがよろしいですか?」と表現する人が若い世代には多いです。しかし、“~的には”は日本語として正しくありません。シンプルに、「お時間は何時ごろがよろしいでしょうか?」が正しい表現です。

患者のお見送り時

「お大事にどうぞ」

もっともありがちな間違いのひとつがこれ。“どうぞ”は基本的に文頭に使う言葉なので、正しくは「どうぞお大事になさってください」です。

「クッション言葉」を意識する

患者に好印象を持ってもらうためにもうひとつ大切なことは、「クッション言葉」を意識することです。

クッション言葉とは、要件のみを伝えると、きつい印象や不快感を与えてしまう可能性がある場合に、要件をやわらかく伝えるために前置きとして添える言葉のことです。

患者に依頼するときに使えるクッション言葉

患者に依頼するときに使えるクッション言葉としては、以下の言葉が例として挙げられます。

  • 「恐れ入りますが」
  • 「お忙しいところ恐縮ですが」
  • 「お忙しいところお手数をおかけしますが」
  • 「御足労をおかけいたしますが」
  • 「もし可能であれば」
  • 受付で患者に対応するとき以外に、電話口での対応時にも使える表現ですし、顔が見えないからこそなおさら、丁寧な言葉遣いを心がけたいものです。

    患者に対して断るときに使えるクッション言葉

    患者からの依頼を断るときにも、クッション言葉を意識することが望ましいといえます。

  • 「申し訳ございませんが」
  • 「あいにくですが」
  • 「まことに申し上げにくいのですが」
  • 「ご期待に沿えず申し訳ありませんが」
  • 「心苦しいのですが」
  • これらのクッション言葉は、クレームが入ったときに相手にいったん落ち着いてもらうためにも有効です。

    患者に尋ねるときに使えるクッション言葉

    患者の意向を確認するときには、相手が断る余地を残した尋ね方が望ましいといえます。

  • 「差し支えなければ」
  • 「ご迷惑でなければ」
  • 「もしよろしければ」
  • これらは、美容クリニックで新しい施術をすすめたいときなどにも使いたいクッション言葉です。

    「親しみやすさ」と「フレンドリー」を履き違えない

    患者に寄り添ってコミュニケーションをとっていきたいと考えるあまり、馴れ馴れしく接するスタッフがいますが、患者によってはそれを不快だと感じることがあるので注意が必要です。

    たとえば、年配の患者相手に「おじいちゃん、おばあちゃん」は絶対にNG! きちんと「〇〇さん」と名前で呼ぶことが大切です。また、歩行をサポートする際に「ひとりで歩ける?」も馴れ馴れしすぎますし、場合によっては相手を傷つけてしまうこともあります。まずは相手の動向をよく観察して、本当にサポートを必要としているかどうかを見極めることも大切です。

    難しい専門用語は使わない

    医療従事者にとっては当たり前の言葉でも、患者にとっては聴きなれない言葉はたくさんあります。たとえば、「オペ」は「手術」、「悪寒」は「寒気」など、日常的に使う言葉に置き換えて伝えるよう心がけることが大切です。

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    言葉遣いだけでなく、表情も大切なポイント!

    正しい言葉遣いができることはとても大切ですが、言い回しが適切かどうかを意識するあまり表情が固くなってしまうと、患者から近寄りがたいイメージを持たれてしまいます。患者に安心して通ってもらうためにも、スタッフがやわらかな表情を浮かべて一人ひとりと接することもとても大事。言葉遣いに関する教育をおこなううえでは、表情の大切さも併せて伝えるようにしてくださいね。

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