コロナ禍を経て、非常時でも医療資源を十分活用できるシステムの構築は喫緊の課題であることが明らかになりました。それを踏まえたうえで、2022年診療報酬改定によって新設された調剤基本料が「連携強化加算」ですが、具体的にはどのような加算なのでしょうか? 詳しく解説していきます。
参照:厚生労働省保険局医療課「令和4年度調剤報酬改定の概要」
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連携強化加算とは?
連携強化加算は、災害や新興感染症の発生時などにおける医療品供給や衛生管理に係る対応など、地域において必要な役割を果たすことができる体制の確保を評価するための加算です。算定するためには、指定の施設基準を満たしたうえで届出をおこなう必要があります。
【点数】
調剤基本料に5点を加算
【算定要件】
連携強化加算は、他の保険薬局、保険医療機関及び都道府県等との連携により、災害または新興感染症の発生時等の非常時に必要な体制が整備されている保険薬局において、調剤をおこなった場合に算定できる。この場合において、災害または新興感染症の発生時などにおいて対応可能な体制を確保していることについて、当該保険薬局のほか、当該保険薬局の所在地の行政機関、薬剤師会等のホームページなどで広く周知すること
【主な施設基準】
(1) 都道府県知事より第二種協定指定医療機関の指定を受けていること
(2)感染症対応に係る当該保険薬局の保険薬剤師に対する研修、訓練を年1回以上実施していること
(3) 個人防護具を備蓄していること
(4)新型インフルエンザ等感染症などの発生時などにおいて、要指導医薬品および一般用医薬品の提供、感染症に係る体外診断用医薬品(検査キット)の提供、マスクなどの感染症対応に必要な衛生材料などの提供ができる体制を新型インフルエンザ等感染症などの発生などがないときから整備して、これらを提供していること
(5)自治体からの要請に応じて、避難所・救護所などにおける医薬品の供給または調剤所の設置に係る人員派遣等の協力などをおこなう体制が整備されていること
(6)災害対応に係る当該保険薬局の保険薬剤師に対する研修、訓練を年1回以上実施していること
(7)災害や新興感染症発生時における薬局の体制や対応について、それぞれの状況に応じた手順書などを作成していること
(8)情報通信機器を用いた服薬指導をおこなう体制が整備されていること
(9) 要指導医薬品および一般用医薬品の販売、検査キット(体外診断用医薬品)の取扱いがあること
参照:厚生労働省保険局医療課「令和6年度診療報酬改定の概要」
情報通信機器を用いた服薬指導をおこなう体制とは?
施設基準(8) の「情報通信機器を用いた服薬指導をおこなう体制が整備されていること」とは、オンライン服薬指導の体制が整備されていることを指します。これを満たすためには、厚生労働省が公表している「オンライン服薬指導の実施要領について」に基づいて、「3省2ガイドライン」の情報セキュリティをクリアする必要があります。
連携強化加算を算定するために必要な届出とは?
連携強化加算の届出に関しては以下のように定められています。
1:令和6年6月より、新たな施設基準に基づき新規算定をおこなう場合
令和6年6月3日(最初の開庁日)までに届出が必要です。
2:経過措置を利用する場合
令和6年3月31日時点で当加算の届出をおこなっている薬局のみ、「都道府県知事より第二種協定指定医療機関の認定を受けていること」が令和6年12月31日まで経過措置適用となります。経過措置適用後は、令和7年1月6日(最初の閉庁日)までに届出が必要となる予定です。
参照:厚生労働省保険局医療課「令和6年度診療報酬改定の概要」
また、連携強化加算の届出様式は以下をご参照ください。
参照:地方厚生局「連携強化加算(調剤基本料)の施設基準に係る届出書添付書類」
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2024年は連携強化加算の届出をおこなう薬局が増える見込み
前半で説明した通り、連携強化加算はすべての会計に対して5点と設定されていますが、これは令和6年度診療報酬改定によって変更された点数で、もともとは2点だったため、今後は連携強化加算の算定に向けて体制を整える薬局が増えることが予想されます。体制の整備には時間がかかる場合もありますが、加算点数を考えたら届出を出すに越したことはないので、まだ届出を出していない薬局は早めに行動することをおすすめします。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2024年4月時点の情報を元に作成しています。