医療広告ガイドライン違反にはどんな事例がある?

web広告を出したりホームページを作ったりする際には、医療広告ガイドラインに違反しないよう気を付けることが大切です。もし違反した場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されることとなるうえ、罰則事例として公表されることもあるため、医療機関としての信用度が大きく下がってしまいます。そうした事態に陥らないよう、どんなことをすれば罰則の対象となるのかを知っておくことがとても大事。そこで今回は、医療広告ガイドラインの違反事例を紹介します。

参照:厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」

目次
  1. 医療広告ガイドライン違反はどうやって発見される?
  2. 一般ユーザーからの通報による違反発覚件数は?
  3. 1サイトあたり平均3.6か所の違反が認められた
  4. 医療広告ガイドラインに違反となる事例としてはどんなものがある?
    1. 広告が可能とされていない事項の広告
    2. 内容が虚偽にわたる広告
    3. 他の病院または診療所と比較して優良である旨の広告
    4. 誇大な広告
    5. 患者等の主観に基づく、治療等の内容または効果に関する体験談
    6. 治療等の内容または効果について、患者等を誤認させる恐れがある治療等の前または後の写真等
    7. その他
  5. 「競合もやっているからいいだろう」の考え方は危険

医療広告ガイドライン違反はどうやって発見される?

医療広告ガイドラインへの違反は、自治体の調査などを通して発見されるだけでなく、一般ユーザーによる通報から発覚することもあります。

厚生労働省は、2017(平成29)年より「医業等に係るウェブサイト調査・監視強化事業」をおこなっていますが、このなかで、一般ユーザーからの不適切なwebサイトの通報を受け付ける「医療機関ネットパトロール」が運用されているのです。

一般ユーザーからの通報による違反発覚件数は?

厚生労働省の公表によると、令和2年度のネットパトロール事業において、一般ユーザーからの通報を受け、違反しているかどうかの審査をおこなうに至った件数は、1,375施設980サイト。このうち、1,151施設781サイトが「違反あり」との審査結果となっています。これに、過年度分の事案を含んだ1,228施設847サイトが同事業から通知を受け、1,001施設696サイトが改善されていますが、17施設17サイトは「広告中止」、71施設17サイトは「改善不足」、55施設50サイトは「未改善」、84施設35サイトは「対応中」であることも公表されています(ただし、令和3年3月31日時点の状況です)

参照:厚生労働省「ネットパトロール事業の対応状況について」

1サイトあたり平均3.6か所の違反が認められた

医療分野のサイトにおける違反箇所は、1サイトの平均が約3.6か所。「広告が可能とされていない事項の掲載」「虚偽広告」「比較優良広告」「誇大広告」「患者の主観に基づく体験談」「before/afterの写真」などが違反していることが認められています。

一つ目の「広告が可能とされていない事項の広告」とはどういうことかというと、厚生労働省は、「医療に関する広告は、患者の治療選択等に資する情報として、法又は広告告示により広告可能とされた事項を除いては、原則、広告が禁じられている」と説明しています。多岐にわたる事項がこれに該当しますが、具体例としては、「専門外来」「死亡率、術後生存率」「未承認医薬品による治療の内容」などが挙げられます。

参照:厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」6枚目より一部抜粋

また、診療科または疾患名としては、美容、歯科、がんなどに関しての表記の違反が多いことがわかっていますが、なかでも美容と歯科に関する違反は数多く認められています

【美容・歯科における違反種類別割合】

美容 歯科
広告が可能とされていない事項の広告 59% 44%
内容が虚偽にわたる広告 2% 2%
他の病院または診療所と比較して優良である旨の広告 6% 3%
誇大な広告 8% 21%
患者等の主観に基づく、治療等の内容または効果に関する体験談 3% 8%
治療等の内容または効果について、患者等を誤認させる恐れがある治療等の前または後の写真等 13% 21%
公序良俗に反する内容の広告 0% 0%
その他 9% 2%

参照:厚生労働省「ネットパトロール事業について(令和2年度)」5枚目、7枚目より一部抜粋

医療広告ガイドラインに違反となる事例としてはどんなものがある?

続いては、厚生労働省が公表している「医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書」をもとに、医療広告ガイドラインに違反となる事例を説明していきます。

広告が可能とされていない事項の広告

  • 医療従事者の専門性資格
  • 厚生労働大臣が届出を受理した専門性資格については、団体名および団体が認定する専門性の資格名を記載することによって広告が可能とされています。つまり、資格名が記載されていなければ広告に表示することはNG! たとえば、「日本口腔外科学会認定 口腔外科専門医」はOKですが、「日本口腔外科学会認定 専門医」はNGです。

  • 「専門外来」
  • クリニック名のうえに「〇〇専門外来」「〇〇外来」と表記することはNGです。

  • 法令上の根拠のない診療科名
  • 「膠原病科」「糖尿病科」「認知症科」「甲状腺科」「新生児科」「化学療法科」などの診療科名には、法令上の根拠がありません。

  • 特定の医師の手術件数の記載
  • 特定の医師のキャリアとして、医師個人がおこなった手術件数を記載することは認められていません。

  • メディア掲載情報
  • 「当院のメディア掲載情報」などとして、医師が紹介された旨を記載することは認められていません。

  • データの内訳が示されていない手術件数
  • 「当院では、〇〇手術と××手術の実績はのべ1,000件を超えています」とトータル件数のみ記載することや、「〇〇手術:1,500件、××手術:2,500件 対象期間:1986年~2021年」と長期間の手術件数を表示することは禁止されています。

  • 未承認医薬品等を用いていることの記載
  • 「未承認医薬品等であること」「その入手経路等」「国内の承認医薬品等の有無」「諸外国における安全性にかかる情報」の記載は必須とされています。

  • 提供する医療の内容の明記なしに、広告をしてはならない診療科名を記載すること
  • たとえば、「審美歯科」のみの記載はNGですが、「当院における審美歯科について」として、治療メニューなどを細かく記せば、限定解除要件を満たしていることになります。

  • 提供される医療とは直接関係ない事項による誘因
  • 「お子さんには治療後にガチャガチャをプレゼント」「当院で出産された方には、出産祝いをプレゼントしています」など、提供される医療の内容とは直接関係のない事項を記載することは禁止されています。

    内容が虚偽にわたる広告

  • 治療内容 期間の虚偽
  • 治療内容に関する虚偽としては、「難しい手術も必ず成功させます」「当院の治療は絶対に安全です」といった、医学上あり得ない表現が挙げられます。また、定期的なメンテナンスが必要であるにも関わらず、「すべての治療が1日で終了します」といった表現も違反に当たります。

  • データの根拠を明確にしていない調査結果
  • 「99%のお客さまにご満足いただいております」「インプラント手術の成功率は98%です」などの文句を掲載する場合、実際におこなった調査の調査方法などを記すことが必要です。それが記されていない場合、事実無根とみなされます。

    他の病院または診療所と比較して優良である旨の広告

  • 施設の規模、人員配置、提供する医療の内容などの比較
  • 「全国展開している本グループは“最高”の医療を提供しています」といった最上級の表現や、「“日本一”の実績を有しています」「“県内有数”の治療実績があります」とする他院との比較による表現は禁止されています。

  • 著名人との関係性強調
  • 「モデルの〇〇さんが来院! 効果を実感されています」など、著名人が患者である旨をアピールすることも禁止とされています。

    誇大な広告

  • 医療広告ガイドラインを守っている旨を強調
  • 医療広告ガイドラインに違反していると通報されるのを避ける目的もあって、「医療広告ガイドラインを遵守しています」といった内容の文言を、フォントの大きさや色によって目立たせるデザインにすることは誇大広告に該当します。

  • 施設について誤認させる表記
  • 医療機関の名称に「〇〇センター」と表記できるのは、「法令の規定または国の定める事業を実施する医療機関であるものとして、救命救急センター、休日夜間急患センター、総合周産期母子医療センターなど一定の医療を担う医療機関である場合」もしくは「当該医療機関が当該診療について、地域における中核的な機能や役割を担っていると都道府県などによって認められている場合」のみ。医療機関の名称との併記に関しても同じ条件となります。

  • 提供する医療の内容等について誤認させる広告
  • 美容医療の誇大広告としてありがちなのが、「3年間全身脱毛し放題」などの表現です。これがなぜ、内容について誤認させる可能性があるかというと、実際には毛周期などの関係で、一定期間空けないと脱毛できないため、「し放題」とは言い切れないためです。

  • 科学的根拠が乏しい情報による誘導
  • 「日ごろからストレスを強く感じている人はガンの発生リスクが高いです」などの科学的根拠が乏しい情報で受診へ誘導することや、「当院の〇〇療法はウイルス性疾患への治療効果が期待できます」などの文言で誘導することは禁止されています。

    患者等の主観に基づく、治療等の内容または効果に関する体験談

  • 体験談
  • 治療内容や効果に関する体感などを、「体験談」として掲載することは認められていません。同様に、患者の声を口コミサイトから転載することも認められていません。

    治療等の内容または効果について、患者等を誤認させる恐れがある治療等の前または後の写真等

  • before/after写真
  • 説明を入れることなくbefore/after写真のみ掲載することは禁止されています。ただし、正しいキャプションとともに、before/afterの変化を見せることはよしとされています。しかし、複数の写真に対して、説明を一か所にまとめて記載することはNG! それぞれの写真ごとに説明を入れる必要があります。

    その他

  • 治療の費用
  • 公的医療保険が適用とならない自由診療の場合、治療方法と併せてその旨を記載する必要があります。さらに、その治療の標準的な費用も記載する必要があります。「費用は施術箇所によって異なります」ではNGで、「標準的な費用:1部位2万円」などと記載することが必要です。

  • 治療内容の説明が不十分
  • 「インプラント治療では、失った歯に近い歯を取り戻すことができます」では具体的な治療内容がわかりませんし、「当院のインプラント治療は3種類の方法を用意しています」でも不十分です。

  • 治療期間や回数が不十分
  • 「治療期間は患者様の状態によります」では通常必要とされる治療期間および回数がわかりません。「治療期間:1か月~、治療回数:2回~」では最低限しかわからないためNG! 「治療期間:3~6か月」では治療回数がわからないためNGとされています。

  • 治療にかかる費用の説明が不十分
  • 「治療にかかる費用は患者様の状態によります」では通常必要とされる費用がわかりません。「インプラント手術:150,000円~」では最低限しかわからないためNG! 「インプラント手術:170,000円 ※別途麻酔料金が必要になります ※施術範囲により金額が異なる可能性があります」などと、かかる可能性がある費用が明示かされていないものもNGです。

  • リスク、副作用などの説明が不十分
  • リスク、副作用欄に「治療費が高額」の記載ではつじつまが合っていません。「Q:治療にはどのようなリスクがありますか? A:手術中は麻酔が効いていますので心配ありません。術後の痛みはありますが2~3日でひきます」も、リスクは副作用の説明として不十分。反対に、メリットばかりを大きな文字で書くなどして目立たせることも禁止されています。

    参照:厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書」より一部抜粋

    「競合もやっているからいいだろう」の考え方は危険

    違反事例として紹介したケースを見て、「似た表現を見かけたことがある」と思った人もいるかもしれません。なかには、「競合のクリニックもやっていたから、それを真似すればOKということでは?」と考える人もいるかもしれませんが、その考え方はとっても危険。冒頭で述べた通り、医療広告ガイドラインに違反して罰則が科されたら、医療機関としての信用を失うことになりかねません。「知らなかった」「悪いとは思わなかった」では済まされないので、ホームページを運用する際には必要なことをきちんとおさえるようにしてくださいね。万が一、自分の知識や理解に自信がない場合は、専門家を頼るという手もあるので、それに関しても視野に入れてみるといいですね。

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