婦人科クリニックは、女性特有のあらゆる疾患や妊娠、不妊などを診ることから、幅広い年齢層の女性がターゲットになりますが、女性たちに支持されるためには、開業にあたって気を付けたいポイントがいくつかあります。具体的にどんなことに気を付けたらいいのか、早速紹介していきます。
立地や物件の選定ポイント
婦人科クリニックは、「体調が悪く動けないからなるべく近くがいい」という場合が多い内科や小児科などとは異なり、多少遠くても評判重視で選ばれる傾向にあります。そのため、診療圏内のどこからでもアクセスしやすい立地が望ましいでしょう。また、産科を標榜している場合は特に車での来院も多くなるため、駐車場を完備することが理想です。
面積は約30~40坪が一般的。産科を標榜する場合やマンモグラフィーを設置する場合は、約50~200坪が必要でしょう。
内装のポイント
ターゲットが女性で、しかも女性特有の疾患や妊娠および不妊などを診るため、婦人科は安心できる空間であることが大事です。待合室や受付の構造に関しては、プライバシーをきちんと確保できるものにすることを心がけることが大切。診察室は、内診室と隣り合った構造にするか、もしくは診察室内に内診スペースを設けるなら、カーテンで区切るなどの工夫が必要です。
また、清潔感も大切なポイント。トイレやパウダールームを気持ちよく使えるよう広めに設計して、掃除も入念におこないます。診察後に生理用ナプキンが必要になる場合もあるので、アメニティの完備も必須。産科を標榜する場合、入院部屋を用意することも必要ですが、入院部屋に関しては、清潔感はもちろん、落ち着ける空間であることも大切。クリニック全体を2フロア構成にすれば、入院中も快適に過ごせます 。
不妊治療を手掛けるなら、採卵室や培養室、保存室などのスペースもあるため、空気の清潔さも追求する必要があります。導入する空気清浄機のクオリティにもこだわりましょう。
採用のポイント
産科を標榜する場合、助産師や看護師の雇用が必須となります。また、出産前から入院する妊婦のために食事を用意することも必要になるため、栄養士や調理スタッフも必要です。不妊治療に対応するクリニックもしくは不妊専門クリニックとしての開業なら、心のケアを任せられるカウンセラーも採用できるといいでしょう。
マーケティングのポイント
婦人科は、内科や外科などと比べて差別化を図りやすい診療科です。産科標榜の有無、不妊治療の有無はもちろん、たとえば産科を標榜している場合、人口中絶にも対応するのかどうかも考えるべきポイント。人工中絶に対応することでアピールできることもあれば、対応しないスタンスを取る場合はその理由を含めた診療方針を打ち出すこともできるでしょう。また最近は、予想外の妊娠で人工中絶しなければならなくなる女性を減らすべく、SNSを通して性に関する悩みに積極的に答えているドクターなども存在します 。婦人科医・産婦人科医としてどんなふうに女性たちをサポートしていきたいかを改めて考えることで、マーケティングの方向性もみえてきやすくなるでしょう。
また、婦人科を利用する女性たちからは、「女性医師のほうがいい」という声が多く聞かれるので、院長が女性の場合は、そのこと自体が大きなアピールポイントになります 。
診察について考えるべきポイント
令和2年度の診療報酬改定によって、器質性月経困難症の患者へのホルモン剤投与に対する「婦人科特定疾患治療管理料」が追加されています。この診療報酬を得るためには研修を受ける必要があるので、導入を検討している場合は早めに準備を進めましょう。
また、令和4年4月から、不妊治療のうち人工授精、体外受精、顕微授精、肺培養、肺凍結、肺移植が保険適用 となったことから、不妊治療のニーズが高まることが予想されます。不妊治療の導入の有無の参考にしてみてください。
医療機器の選定も慎重におこないたい
産科を標榜する場合、超音波診断装置やX線関連の機器などの特殊な医療機器が必要です。また、不妊治療に関しては、最新の医療機器を導入しているかどうかによって患者から選ばれる確率が変わってくるため、多額な開業資金を用意しなくてはなりません。もちろん、融資を利用するという選択肢もありますが、いずれにしても資金面に関しても早い段階から考えていくことが大切です。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2022年5月時点の情報を元に作成しています。