「電子カルテ検定」の種類や内容。実務でどのように役立つ?

電子カルテの導入は、病院・クリニックともに年々増えています。令和2年(2020)年の厚生労働省の調査によると、400床以上の病院では91.2%以上が、そして診療所では49.9%(※1)が電子カルテを導入するまでに至っています。
今後は、医療事務の仕事をする事務職員はもちろんのこと、医師や看護師も電子カルテに対する一定の知識が求められることでしょう。

電子カルテに関する知識やスキルを高める方法のひとつに検定などの資格取得があります。受験勉強によって効率よく知識を身につけることができますし、合格すれば電子カルテの扱いに自信が持てます。

この記事では電子カルテ関連の検定として、次の3つについて解説します。

●電子カルテオペレーション実務能力認定試験
●電子カルテ実技検定試験
●医事コンピュータ技能検定試験

それぞれどのような特徴があるのか、そしてどのような場合に役立つのかご紹介します。
さらに医療事務のみなさんに関連する検定もいくつか記載しますのでご覧ください。

※1
参考:厚生労働省「令和2(2020)年医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況

目次
  1. 電子カルテオペレーション実務能力認定試験
    1. 試験概要
    2. 受験をおすすめできる職種は?
  2. 電子カルテ実技検定試験
    1. 試験概要
    2. 受験をおすすめできる職種は?
  3. 医事コンピュータ技能検定試験
    1. 試験概要
    2. 受験をおすすめできる職種は?
  4. その他の検定
    1. 医療事務技能審査試験(メディカル クラーク®)
    2. 診療報酬請求事務能力認定試験
    3. 医科医療事務管理士技能認定試験
    4. 医療情報実務能力検定試験(医療事務実務士)
    5. 医療事務技能認定試験
    6. 医療事務検定試験
  5. 検定に合格/資格所持者でないと実務で困る?

電子カルテオペレーション実務能力認定試験

特定非営利活動法人全国医療福祉教育協会が運営する「電子カルテオペレーション実務能力認定試験」は、電子カルテを含む医療ITの基礎知識と実務的な利活用(オペレーション)スキルの能力を測ります。

試験概要

電子カルテオペレーション実務能力認定試験の概要は以下のとおりです。

●学科・科目
学科:10問、マークシート:電子カルテを含む医療ITに関する基礎問題
実技:2問(外来1問、入院1問)、電子カルテソフト「C&C電子カルテシステムⅡ」を操作し、診療録を作成・出力する

●実技試験の有無

●試験時間
90分(学科30分、実技60分)

●合格基準
原則、正答率6割以上

●合格率
60~80%

●受験料
一般(CD-ROM版、在宅試験):税込7,700円
一般(ダウンロード版、在宅試験):税込10,000円
団体:税込7,200円

受験をおすすめできる職種は?

電子カルテオペレーション実務能力認定試験では、ユーザー認証やアクセス権限管理、個人情報保護といったコンピュータ・システムの基本知識も問われます。そのため、電子カルテの管理運用をする医師はもちろん、看護師や事務員がこの検定に挑戦する意義は十分あると思います。

また、実技試験もあるので電子カルテ実務を担う人にも向いています。実技試験では、問診票の入力や症状の入力、初診・再診料の入力など、実際の業務を問題にしています。

参考:特定非営利活動法人全国医療福祉教育協会「電子カルテオペレーション実務能力認定試験とは?

電子カルテ実技検定試験

一般社団法人医療秘書教育全国協議会が運営する「電子カルテ実技検定試験」は、実際に患者さんを診療する際のやりとりを想定した、電子カルテの作成能力を測ります。

試験概要

電子カルテ実技検定試験の概要は以下のとおりです。

●学科・科目
実技のみ

●実技試験の有無

●合格基準
60点満点で60%以上正解で合格

●受験料
会員校の受験者:税込5,300円
一般:税込6,300円

●「電子カルテ実技検定試験」合格者が身につくスキル

・電子保存の3原則に基づいた「真正性」の確保を意識した電子カルテの入力操作ができる
・初診時の問診票の入力や必要データの電子カルテ画面への取込みができる
・既往症、原因、主要症状などについてSOAP形式に関する知識に従った入力判断ができる
・処方、手術、処置などについて記録するとともに点数算定を意識した入力ができる
・検体検査・単純撮影に関し、一連のオーダー処理ができる

受験をおすすめできる職種は?

電子カルテ実技検定試験は電子カルテを操作する仕事をする人に向いています。試験の主催者が医療秘書関連の組織であることからも、事務職員を対象にしていると考えてよさそうです。

ただ、医師や看護師がこの試験に向けて勉強すれば、特にクリニックを運営する場合は、スムーズに電子カルテを操ることができ、即戦力として活躍できるようになるでしょう。

参考:一般社団法人 医療秘書教育全国協議会「電子カルテ実技検定試験

医事コンピュータ技能検定試験

「医事コンピュータ技能検定試験」も「電子カルテ実技検定試験」と同様に医療秘書教育全国協議会が運営しています。
こちらは電子カルテに特化したものではなく、電子カルテと紐づいて操作される、医事コンピュータによるレセプト作成能力などを測ります。

試験概要

医事コンピュータ技能検定試験の概要は以下のとおりです。

●レベル
準1級、2級、3級がある

●学科・科目
医療事務
コンピュータ関連知識
実技

●実技試験の有無

●合格基準
180点満点で、3領域(医療事務、コンピュータ関連知識、実技)のすべてで60%以上が正解した場合に合格

●受験料
準1級:税込8,600円
2級:税込7,500円
3級:税込6,400円

●「医事コンピュータ技能検定試験」の合格者が身につくスキル
・医療保険制度の概要、診療報酬制度のシステムについての知識
・被保険者証その他の受診資格証の種別・患者負担金などの知識
・診療報酬点数表の各部の通則・告示・通達の基本的な知識
・外来診療に関わる点数算定の知識
・コンピュータの内部処理、ソフトウェアの種類への理解
・周辺装置、インターフェース、オペレーティングシステムの種類と特徴への理解
・医事コンピュータを使い、レセプトを作成できる

受験をおすすめできる職種は?

レセプト(診療報酬請求事務)がメインテーマになっているので、事務職員に向いている検定といえるでしょう。
ただし、開業を目指す医師や、開業間もない医師、ご自身で受付から会計までを実施する開業医などであればこの検定に挑戦する意義は十分あると思います。

クリニックでは、レセプトが経営に直結するため、仕組みや操作方法を理解しておくに越したことはありません。

例えば、3級でも医療保険制度の概要、診療報酬制度のシステム、患者負担金などの知識はもちろん、診療報酬点数表の各部の通則・告示・通達の基本的な知識、外来診療における点数算定についても理解を深めることができます。
自院の収益構造を明確に理解するために、大いに役立つのではないでしょうか。

参考:一般社団法人 医療秘書教育全国協議会「医事コンピュータ技能検定試験

その他の検定

続いて医療事務の検定について紹介します。

ここでは以下の6つの検定の概要を解説します。

●医療事務技能審査試験(メディカル クラーク®)
●診療報酬請求事務能力認定試験
●医科医療事務管理士技能認定試験
●医療情報実務能力検定試験(医療事務実務士)
●医療事務技能認定試験
●医療事務検定試験

いずれも医療機関で働く事務職員のための検定です。
ただ、医師や看護師も医療事務を知っておいて「損」がないどころか、これを知ることで経営やコスト管理に強くなることができるでしょう。

病院では分業が進んでいるので医師が医療事務に関わることはまれだと思いますが、医師が開業しクリニックを運営するとなると、自院の医療事務は「自院のなかで起きていること」です。
そして診療報酬請求を含む医療事務はクリニック経営の屋台骨といえ、運営、法規制にも関わる重要事項といえます。院長はクリニックの最高責任者として、医療事務の範囲まで理解できるとトラブルにもスムーズに対応できそうです。

医療事務技能審査試験(メディカル クラーク®)

一般財団法人日本医療教育財団が運営する「医療事務技能審査試験(メディカル クラーク®)」は、診療報酬請求事務、窓口業務、患者接遇などの能力を測ります。

試験の概要は以下のとおりです。

●学科・科目
実技1:2問、患者接遇、筆記(記述式)
学科:25問、医療事務知識、筆記(択一式)
実技2:4問、診療報酬請求事務、診療報酬明細書点検

●実技試験の有無

●試験時間
実技1:50分
学科:60分
実技2:70分

●受験料
税込7,700円

医療事務技能審査試験に合格すると「メディカルクラーク」としての称号を手に入れることができます。試験範囲には、医療保険制度や高齢者医療制度、公費負担医療制度、介護保険制度なども含まれます。
クリニックの患者さんはこれらの制度を使うケースが多いので、院長や看護師もこの資格を取得すれば患者さんの理解につながるでしょう。

実技では患者さんとのコミュニケーションや患者接遇が課されます。これらのスキルを身につければ、スタッフ指導にも役立つはずです。

参考:一般財団法人 日本医療教育財団「技能審査認定 医療事務技能審査試験(メディカル クラーク®)

診療報酬請求事務能力認定試験

公益財団法人日本医療保険事務協会が運営する「診療報酬請求事務能力認定試験」は、その名のとおり診療報酬請求事務の能力を測ります。

試験の概要は以下のとおりです。

●学科・科目
学科
実技

●実技試験の有無

●試験時間
3時間

●受験料
税込9,000円

診療報酬請求事務能力認定試験は「難しい試験」と言われており、合格率は3割程度です。すでに病院などで診療報酬請求の事務を担当している人がスキルアップのために受験することがあるものと言えるでしょう。
合格者には、認定証が付与されます。なお、「診療報酬請求事務能力認定試験」の合格によって、勤務先である医療機関の処遇が改善されたり、自身のスキルアップにつながったりと、良い影響を感じた方も多いようです。

診療報酬請求事務能力認定試験に合格した方の声
・ポストが改善された。
・昇給した。
・手当が付くようになった。
・契約社員(パート)から正社員になった。
・幅広い知識を習得できたことで、処理能力が向上し効率も上がった。

引用:公益財団法人日本医療保険事務協会 診療報酬請求業務能力認定試験「合格された方の声」より抜粋

専門学校等教育機関からの声
・医療事務資格の最高峰であり、医療事務というスペシャリストを養成するために必要な資格。
・医療機関側が資格の価値を評価し、医療機関の職員に取得を求めている資格。
・この試験の資格取得から、病院経営の根幹となる診療報酬の尊さがわかり、アウトソーシングの形態をとる病院では管理監督者になれる要素となる。医事コン、オーダリンクシステム、電子カルテへも、この根本がわかることで評価できる。

引用:公益財団法人日本医療保険事務協会 診療報酬請求業務能力認定試験「合格された方の声」より抜粋

医科医療事務管理士技能認定試験

株式会社技能認定振興協会が運営する「医科医療事務管理士®技能認定試験」は、診察の受付のほか、カルテ管理、会計、診療報酬請求などの能力を測ります。

試験の概要は以下のとおりです。

●学科・科目
学科:マークシート10問(法規、保険請求事務、医学一般)
実技:マークシート3問(レセプト点検、レセプト作成)

●実技試験の有無

●受験料
税込7,500円

医科医療事務管理士技能認定試験の実技試験では本物の診療報酬明細書を模したものを題材にして、診療の流れを理解して、誤りや不備をみつけます。
この試験のための受験勉強では実践力が身につくはずです。なお、同試験に合格すると特許庁より商標登録が認められた「医療事務管理士」の称号を手に入れることができます。

参考:株式会社技能認定振興協会「医科 医療事務管理士®​技能認定試験

医療情報実務能力検定試験(医療事務実務士)

特定非営利活動法人医療福祉情報実務能力協会が運営する「医療情報実務能力検定試験(医療事務実務士)」は、医療機関の経営などの能力を測ります。

試験の概要は以下のとおりです。

●レベル
1級と2級がある

●学科・科目
学科:20問
実務(明細書作成):3問

●実技試験の有無

●受験料
1級:税込8,700円
2級:税込7,700円

学科の範囲は、医療保険制度や保険医療機関、診療報酬、薬価基準、材料価格基準、医療法規などとなっています。
実技でレセプトを作成しますが、医療事務だけに特化した範囲だけではなく医療用語などを含めた医療情報全般の知識が問われます。

参考:特定非営利活動法人医療福祉情報実務能力協会「医療情報実務能力検定試験(医療事務実務士)

医療事務技能認定試験

株式会社技能認定振興協会が運営する「医療事務技能認定試験」は、医療事務の基本的事項や算定ルールなどの能力を測ります。

試験の概要は以下のとおりです。

●学科・科目
学科:40問(択一式)
実技:10問(択一式)

●実技試験の有無

●受験料
税込5,000円

医療事務技能認定試験の合格率は85%ほどとなっています。合格者には「医療事務技能認定試験合格」の認定合格証が交付されます。​

参考:株式会社技能認定振興協会「医療事務技能認定試験

医療事務検定試験

日本医療事務協会が運営する医療事務検定試験は、医療事務全般の基本的な知識を測ります。
試験の概要は以下のとおりです。

●学科・科目
学科:正誤20問、記述5問
実技:医療費の計算2題

●実技試験の有無

●試験時間
2時間

●受験料
税込7,700円

学科試験の内容は医療保険制度、高齢者医療制度、公費負担医療制度(生活保護)、保険医療機関の受付事務と請求事務、保険診療に関連する法規、診療報酬点数表、点数算定などとなっています。

参考:日本医療事務協会 医療事務検定情報サイト「医療事務検定試験

検定に合格/資格所持者でないと実務で困る?

医療事務を担うことになる事務職員は、ここで紹介した検定に挑戦することは、ダイレクトに仕事にプラスになるはずです。これまであやふやだった知識が、しっかり整理されるようになるからです。
そして病院やクリニックによっては、保有する資格や検定合格によって給料や役職が変わってくることがあります。検定合格は、ご自身のステップアップにつながるかもしれません。


また医療機関の事務職への就職を目指している人や、別の医療機関に転職しようとしている事務職員には、検定の合格証は有利に働くはずです。
もちろん、資格の保有や検定合格を事務職員の採用条件に含めない医療機関もあります。また、無資格者でも、医療事務として活躍する人は数多くいます。

医師や看護師が電子カルテの検定や医療事務の検定に合格することは、採用面で大きく影響することは少ないかもしれません。
しかし、医師や看護師が電子カルテや医療事務の知識を持っていると、医療と看護のスペシャリストでありながら、医療ITや経営、診療報酬、売上、利益、公的医療保険制度に精通することになるので、いわば「鬼に金棒」状態になるでしょう。

事務職員でも、医師でも、看護師でも、合格していることのプラス要素は確実にある、といえるでしょう。
勤務先の医療機関の方針や自身のキャリアの方向性を考えあわせて最適な選択をしてみてください。

Mac・Windows・iPadで自由に操作、マニュア ルいらずで最短クリック数で診療効率アップ

特徴

1.使いやすさを追求したUI・UX ・ゲーム事業で培って来た視認性・操作性を追求したシンプルな画面設計 ・必要な情報のみ瞬時に呼び出すことが出来るため、診療中のストレスを軽減 2.診療中の工数削減 ・AIによる自動学習機能、セット作成機能、クイック登録機能等 ・カルテ入力時間の大幅削減による患者様と向き合う時間を増加 3.予約機能・グループ医院管理機能による経営サポート ・電子カルテ内の予約システムとの連動、グループ医院管理機能を活用することにより経営サポート実現 ・さらにオンライン診療の搭載による効率的・効果的な診療体制実現

対象規模

無床クリニック向け 在宅向け

オプション機能

オンライン診療 予約システム モバイル端末 タブレット対応 WEB予約

提供形態

サービス クラウド SaaS 分離型

診療科目

全て

執筆 CLIUS(クリアス )

クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
機器連携、検体検査連携はクラウド型電子カルテでトップクラス。最小限のコスト(初期費用0円〜)で効率的なカルテ運用・診療の実現を目指している。


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