クリニックで働くスタッフに、「ここで長く働き続けたい」と思ってもらうために、休憩室にこだわることは理想的。同様に、クリニックを利用する患者に「ここを選んでよかった」と思ってもらうためには、診察だけでなく待ち時間にも満足してもらえるよう工夫することが大切です。キーポイントは待合室。それぞれどんなポイントに留意すればいいのか、具体的に紹介していきます。
どんな休憩室なら快適に過ごせる?
まずは、休憩室にどんな備品があれば快適に過ごせるかをみていきましょう。
風通しに配慮
風通しが悪く空気が澱んでいると、それだけで気分が鬱屈としてしまいます。梅雨時期などは特に最悪。ジメジメした空間で毎日を過ごしていると、「さっさと仕事を切り上げて帰りたい」「快適な環境で働けるクリニックに転職したい」と思われて当然。建物の構造的に、窓を開けても空気が流れにくかったり、換気がスムーズにいかなかったりする場合は、空調設備に気を配るといいでしょう。また、空気清浄機や除湿器も導入することでキレイな空気を保つことは、感染拡大防止にもつながります。
日当たりに配慮
休憩室の日当たりが悪く冬場の冷えが厳しかったり、逆によすぎて夏場の暑さが堪えたりするようなら、冷暖房で適切な温度に保つほかありません。しかし、女性は特に、冷暖房による乾燥が苦手な人が多いでしょう。空気が乾燥している休憩室でリラックスして過ごすことはできないので、湿度管理にも気を配ることが大切です。また、日当たりに関してもうひとつ配慮すべきは紫外線。老化防止のためにもなるべく紫外線に当たりたくないというのは、ほとんどの女性に共通する思いです。遮光カーテンや窓ガラス用遮光フィルムを活用して、日焼けを気にせず過ごせる空間を用意しましょう。
畳スペースの設置
一日中立って仕事をしている看護師にとって、靴を脱いでくつろげる時間は貴重な時間。靴を脱いで一息つけるスペースがあるとないとでは、スタミナの持ち具合が大きく異なってきます。かといって休憩室まるごと畳にしてしまうと、「ちょっとだけ休みたい」というときに靴を脱ぐことが逆に面倒に感じられて気が休まらないので、一定のスペースに畳を配置できるとベストです。
洗面台を設置
休憩室で食事を摂る前やおやつをつまむ前に、いちいちトイレまで手を洗いに行かなければならないのは面倒だと感じる人が多いでしょう。また、メイクを直す際も同様です。看護師や医療事務は基本的に女性が多いので、女性目線で休憩室の設備を考えることはとても大切です。
鏡の設置
メイク直しは洗面台の鏡があれば十分事足りますが、服装の乱れがないかをチェックするには、全身鏡があるほうが望ましいでしょう。服装や姿勢のだらしなさに自覚が持てていない人は意外と多いので、全身鏡を設置することは、服装や姿勢を正してキビキビ働くスタッフの増加につながるともいえます。
ウォーターサーバー、コーヒーメーカー
福利厚生としてウォーターサーバーやコーヒーメーカーを用意しているクリニックは、求職者からも人気です。お弁当は自分で用意してくるにしても、水筒まで持参するのは面倒だと感じる人は多いので、設置すると喜ばれます。「給湯器と茶葉の用意ならある」というクリニックは多いかもしれませんが、急須を洗うのが手間だったり、冷たいものが飲みたかったりするものです。
電子レンジ、冷蔵庫、洗濯機
あたたかいものをあたたかく、冷たいものを冷たく楽しむためにも、電子レンジや冷蔵庫はほしいところ。「そんなにスペースがない」と思うかもしれませんが、最近は電子レンジも冷蔵庫もコンパクトなものが多彩に発売されています。値段も手ごろなので、家電量販店でチェックしてみてはいかがでしょうか? また、洗濯機の用意があると、白衣を自宅に持ち帰って洗う必要がないため、気が楽だというスタッフもいることでしょう。ただし、消音機能にすぐれたものを選んだり、診療時間外に回したりすることが必要です。
休憩室がキレイで充実しているとどんな効果が期待できる?
休憩室が快適だと、さまざまな効果が期待できます。
就職希望者へのアピールポイントになる。就職希望者から選ばれやすい
求職者にとって、備品が充実していて休み時間に快適に過ごせることはかなりポイントが高いです。ニーズの高いアイテムをそろえるだけでなく、掃除も念入りにおこなったうえで、空間の魅力が伝わる写真を掲載することでしっかりとアピールしましょう。
休憩時間に心身をしっかり休められるから、夜まで気持ちよく働ける
「休憩中に脚を伸ばして過ごせる」「おいしいコーヒーで一息つける」「お弁当をあたためて食べられるから胃腸にも負担がかからない」となると、心身ともにリフレッシュできます。さらに、「しっかり休んだから午後もがんばって働くぞ!」と思ってもらえます。
スタッフが定着しやすい
休憩時間に心身を十分に休められると、仕事に対するモチベーションが上がると同時に、「いつまでもここで働き続けたい」と思うもの。スタッフが定着しやすいので、新たに採用にお金がかかることもありません。
どんな待合室なら快適に過ごせる?
続いては、患者にとって居心地のいい待合室はどんな待合室かをみていきましょう。
入口から待合室までの導線がバリアフリー
まずは、待合室までのアプローチとなる入口に気を配ることが大切です。車椅子や松葉づえ使用者でも難なく通れるよう、段差や階段があるならスロープの設置も検討するといいでしょう。
上履きに履き替えなくてよい
クリニックのなかには、玄関で下足を脱いで上履きに履き替えなくてはならない造りのところもあります。しかし、患者のなかには、不特定多数の人が履いた上履きを履くことに抵抗を感じる人もいます。履き替えた時点でソワソワしてしまうと、どんな待合室であれ快適に過ごせません。
掃除が行き届いていて空気もきちんと循環している
隅々まで掃除していることは必須。基本中の基本です。空気清浄機や空調も活用して、空気の循環もよくしましょう。
湿度や温度が適切である
湿度と温度を適切に保つこともとても大切です。しかも、空気が乾燥した状態だとウイルスも増殖しやすくなります。院内感染を増やさないためにも、湿度と温度が適切に保たれているかどうかはこまめにチェックすることが大切です。
ほどよい明るさを保つ
室内のライトが明るすぎると落ち着きませんし、暗すぎると患者の気分が沈みやすくなります。そのため、照明にこだわることはとても大切です。
ソファや椅子の座り心地がいい
年季の入った椅子、堅くて座り心地の悪いソファだと、長時間座り続けるのはしんどいもの。座り心地のよいものを選びましょう。また、足腰を痛めている患者のことを配慮して、高さの異なる椅子なども用意できればなおよいでしょう。
ただし、いろんな種類のソファや椅子をそろえようとして数が多くなりすぎると、スペースが圧迫されて空間が狭く感じられるため、逆に居心地が悪くなるので注意が必要です。
自然な姿勢で腰を下ろした状態で、患者同士の視線がぶつからない
ソファや椅子を設置する際は、患者同士の視線がぶつからないようにレイアウトすることが大切です。座っている患者同士の視線についてだけでなく、入口から入ってきた患者と座っている患者との視線がぶつからないよう配慮することも大切。
入口を入った瞬間、待っている患者と目が合うようなレイアウトだと、患者は院内に足を踏み入れにくいですし、座って順番待ちしているほうの患者も気まずく感じます。
デジタルサイネージやテレビ、キッズスペースがある
暇つぶしできるものがあれば、それだけでもリラックスしやすくなります。デジタルサイネージやテレビなら、内容にさほど興味がない人でもなんとなく眺めて過ごしやすいでしょう。
ただし、音量が大きいと、うるさいと感じる患者が多いので、なるべく小さな音量、できれば無音で映像だけ流すのがいいでしょう。また、小児科や子どもの患者が多い耳鼻咽喉科などであれば、キッズスペースを設けることが望ましいでしょう。
上履きに履き替えなくてよい
クリニックのなかには、玄関で下足を脱いで上履きに履き替えなくてはならない造りのところもあります。しかし、患者のなかには、不特定多数の人が履いた上履きを履くことに抵抗を感じる人もいます。履き替えた時点でソワソワしてしまうと、どんな待合室であれ快適に過ごせません。
ウォーターサーバー、自動販売機が設置されている
待ち時間が長いと特に、手持無沙汰なだけでなく、口さみしさを感じてくることがあるものです。ウォーターサーバーや自動販売機を設置していれば、患者は喉をうるおしたり気分転換したりすることもできます。また、ウォーターサーバーを設置することは、患者の熱中症や脱水症予防にも役立ちます。自動販売機は、利用者が多ければ収益アップにもつながります。
Wi-Fiが用意されている
Wi-Fiを利用できる環境であれば、スマホを触って待ち時間をつぶすことができるので、体感待ち時間が短くなり、待ち時間を辛いと感じる患者が減るでしょう。
待合室が快適だとどんな効果が期待できる?
待合室が快適に過ごせる空間であれば、さまざまなよい効果が期待できます。
患者がイライラしにくい、待ち時間への不満が減る
快適に過ごせると、多少の待ち時間があっても疲れを感じにくく、クリニックによい印象を抱いてもらいやすくなるでしょう。
よい口コミが増える
清潔感があって、患者のニーズに沿った設備が用意されていると、それだけで好印象を抱く人は多いもの。よい口コミが増えることが期待できます。
再来してもらいやすい
ネガティブな印象がないクリニックであれば、「なにかあったらまたここに来よう」と思うもの。再来率がアップします。
スタッフ目線、患者目線で考えると必要なものがわかりやすい
休憩室や待合室に「あるとうれしいもの」は、働く人の目線、患者の目線で考えると比較的簡単にわかるでしょう。ただし、ドクターが女性であれば男性の気持ち、ドクターが男性であれば女性の気持ちまでは気が付かないこともあるので、パートナーなどにも意見を聴いて取り入れられるといいですね! 既に開業済なら、患者やスタッフにアンケートをとれば、これから買い足していくべきものがよくわかりますよ。
特徴
建築内容
依頼内容
職種
診療科目
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この記事は、2022年6月時点の情報を元に作成しています。