【現役看護師の経験談】看護師が働き続けたいと思えるクリニックの条件7つ

「看護師がすぐに辞めてしまうのはなぜ?」「スタッフが長く働き続けてくれる条件を知りたい」「長く働いてもらい、クリニックの経営に集中したい」と悩まれる方も多いのではないでしょうか。

この記事を書いている私は、クリニックで働いた経験のある看護師です。今回は、自身の経験も交えながら、看護師が働き続けたいと思えるクリニックの条件についてお伝えしていきます。

厚生労働省の医療法に基づく人員配置標準によると、療養病床を有するクリニック(診療所)は、患者1人に対し看護師4人が標準配置とされています。無床クリニックの場合は配置基準がなく、医師1人でも開業が可能です。ここでは、医師1人・看護師4人以下の無床クリニックのケースを想定してお伝えします。

参考:(厚生労働省 医療法に基づく人員配置標準について)

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目次
  1. クリニックで働こうと思う看護師の特徴とは?
  2. クリニックで働き続けたいと思える条件7つ
    1. 1.人間関係が良い
    2. 2.看護師の負担が大きすぎない
    3. 3.業務マニュアルがある
    4. 4.休憩時間が長すぎない
    5. 5.勤務体制のバリエーションが多い
    6. 6.福利厚生が充実している
    7. 7.給料が良い
  3. まとめ

クリニックで働こうと思う看護師の特徴とは?

クリニックで働こうと思う看護師には以下3つの特徴があります。

  • 子育て中
  • ブランクがあるため病院復帰が不安
  • 仕事よりもプライベートの時間確保を重視
  • 実際、私も子育てを理由にフルタイムからパート勤務にシフトしました。子育てをしている看護師にとって、午前中・午後のみ・週1回から勤務OKなど、働き方に自由度があるクリニックは選択肢のひとつです。

    その反面、病院でフルタイムとして働いているときには私も含め、ほとんどの看護師が「クリニックはお給料下がるし、人数少ないから休めないのが困る」と話していました。

    また、ブランクがあり病院勤務に不安がある看護師もクリニックを職場復帰の場として選ぶ傾向にあります。クリニックの業務は、診療の介助・採血・注射・検温・必要に応じて心電図などです。ブランクが大きければ簡単な業務から徐々に仕事のカンを取り戻したいと考えるでしょう。

    また、クリニックであれば委員会やクリニカルラダーといった教育システムがないためのんびり働けます。基本的にクリニックは夜勤がありません。土曜も半日、休日はカレンダー通りのことが多め。そのため、プライベートを重視する看護師はクリニックで働きたい傾向にあります。

    クリニックで働き続けたいと思える条件7つ

    上記クリニックで働きたいと思っている看護師が、クリニックで働き続けたいと思える条件は、以下7つです。

    1. 人間関係が良い
    2. 看護師の負担が大きすぎない
    3. 業務マニュアルがある
    4. 休憩時間が長すぎない
    5. 勤務体制のバリエーションが多い
    6. 福利厚生が充実している
    7. 給料が良い

    実際に私がクリニックで働いた経験も交えながら、ひとつずつ解説していきます。

    1.人間関係が良い

    まず1つ目は、人間関係が良いことです。これは言うまでもなく長く働いてもらうためにはどのスタッフも一番に希望している条件です。

    クリニックは個人開業医の経営のもとで働くことになります。小規模なクリニックの場合、医師1人、看護師1人で働くこともあるでしょう。そのため、医師との相性は重要なポイントです。

    数人の看護師や医療事務がいる場合、スタッフ同士の関係が悪ければ離職率が高まります。これまでの経験上、規模が小さくなればなるほど、一人ひとりの個性が見えやすくなるためか、人間関係のいざこざは目立つ傾向にありました。また、年齢が離れすぎていないかも重要です。年齢が近ければ共通の話題も見つけやすく、ムダなトラブルを回避しやすくなるでしょう。クリニックの医師が看護師を採用する際、注意しておくといいでしょう。

    2.看護師の負担が大きすぎない

    2つ目は、看護師の負担が大きすぎないことです。

    子育て中の看護師の場合、業務が終わらず子どものお迎え時間や習い事の送迎に間に合わないと困ってしまいます。プライベートを重視する看護師にとっても、残業の多さは離職を考えるきっかけになってしまうでしょう。

    クリニックの規模によっては看護師1人体制で勤務するケースもあります。。採血の場面では、血管が細く、どこから採ればいいか分かりにくい患者の対応をするだけでも時間を費やすものです。針を刺しても失敗した場合、待たせている患者へのプレッシャーを感じたり、実際怒鳴られたりしてしまうと精神的に滅入ってしまいます。ブランクがあり、病院復帰に不安を感じている看護師の場合、フォローしてもらえるスタッフがいないことが離職の原因となるかもしれません。

    私が働いていたクリニックでは、採血だけでなくレントゲン・心電図なども看護師が行なっていました。患者数が増えてくると医師が自らレントゲンを撮ってくれたり、問診に時間がかかりそうな患者を間に挟んでくれたり調整してくれるので働きやすかったです。

    業務に追われ、看護師の負担が大きい場合は、可能な限り医師が検査を手伝う、緊急度の低い検査は次回にする、患者トラブルは医師が対応する、といったフォローをするといいでしょう。「スタッフを大切にしてくれている」と感じられ、離職を防ぐことにつながります。

    3.業務マニュアルがある

    3つ目は、業務マニュアルがあることです。

    看護師1人体制で勤務しなければいけないクリニックでは、慣れない業務の流れや検査手順に不安を感じます。ブランクがあり、復帰に不安を感じていた看護師にとっては、さらに不安を感じてしまうでしょう。

    実際、私が働いていたクリニックには、看護師でもある院長夫人がマニュアルを作成してくれていました。1人では判断に迷う時や、患者の診察中に話をさえぎってまで医師に確認するほどでもない時など、手順を確認できる業務マニュアルがあると安心できました。また、看護師1人でも困らないよう配慮してもらえているんだと好印象を受けます。

    クリニックに長く働く看護師がいるようであれば、空いた時間にマニュアルを作ってもらうといいでしょう。看護師がなかなか定着しない場合は、業務の流れ自体、見直す必要があるのかもしれません。金銭的に余裕がある場合は、外部に依頼し、業務の効率化を図れるようなマニュアルを作ってもらうのもおすすめです。

    4.休憩時間が長すぎない

    4つ目は、意外と思われるかもしれませんが休憩時間が長すぎないことです。

    クリニックの大半は午前と午後の合間に2〜3時間ほどの休憩を挟みます。とくに子育て中の看護師は洗濯や料理・掃除など、やっておきたい家事が山ほどあります。家が近い場合は休憩時間に一旦帰宅し、家事を済ませて戻ってくることも可能でしょう。しかし家が遠い場合は帰宅できず、休憩時間の間の給料も発生しないので不満に感じてしまうかもしれません。

    そのため、

  • 休憩時間が長すぎない
  • 休憩時間は中抜けOK
  • という柔軟な対応は、看護師が働き続けたいと思える要因になります。

    5.勤務体制のバリエーションが多い

    5つ目は勤務体制のバリエーションが多いことです。

    クリニックで働こうとする看護師は子育て中やプライベートを重視しているタイプが多いことは先に述べました。そのため、子どものお迎え時間まで働ける午前のみの勤務や、午前中は家事をして午後だけ勤務、という自由度を求める看護師も多いでしょう。

    私の場合、娘が幼稚園に通っている間、クリニックで働いた経験があります。幼稚園は行事が不定期だったり長期休暇が長いため、「9時から12時まで」「週1回以上から勤務可能」と融通の効くクリニックは生活パターンに合わせやすく、働きやすかったです。

    また、日本看護協会が4年おきに行っている
    「看護職員実態調査」(参考:日本看護協会調査研究報告 2021年 看護職員実態調査)
    では、クリニック(診療所)で65歳以降の希望する働き方について以下の回答が得られています。

    回答 割合
    フルタイムの正職員として働きたい 12.5%
    短時間勤務の正職員として働きたい 41.7%
    非常勤やパートタイマー・アルバイトとして働きたい 41.7%

    この調査結果から、パートとして柔軟な勤務体制を整えておけば、現在働いているスタッフが継続して働き続けてくれる可能性が高まることが分かります。勤務体制にバリエーションを持たせるためには、ある程度の人数を採用する必要があります。まずは、人件費にできるだけコストをかける事業計画を立てるのが理想です。

    6.福利厚生が充実している

    6つ目は、福利厚生が充実していることです。

    一般的な病院であれば、社会保険・雇用保険・労災保険・健康保険などのほか、産前産後休暇・育児休暇・時短勤務・交通費支給・制服貸与といった福利厚生が充実しています。
    クリニックで働こうと思う子育て中の看護師は、限られた時間内でパートや非常勤として働いているケースがほとんどです。そのため子どもが小さい頃は、配偶者の扶養内で収まるように働いているかもしれません。しかし、子どもが成長し手が離れてくると、勤務時間を長くする看護師は多いものです。その際、パートや非常勤看護師でも加入できる社会保険制度などが整っていればスタッフは待遇のよさを感じ、離職を防ぐことにつながるでしょう。

    社会保険については、「クリニックスタッフに用意すべき社会保険は?」の記事も参考にしてみてください。

    7.給料が良い

    7つ目は、給料が良いことです。

    平均基本給額
    看護師全体 279,326円
    クリニック(診療所)看護師 259,062円

    (参考:日本看護協会調査研究報告 2021年 看護職員実態調査)

    日本看護協会「看護職員実態調査」によると、2021年クリニック(診療所)看護師の平均給与額は看護師全体より2万円ほど低いことが分かります。

    また、クリニックの年収は大学病院や総合病院に比べると低くなる傾向にあります。その理由は、夜勤・残業や休日手当がつかないからです。

    ちなみに時給で支払いを受けている場合の時給額は1500〜2,000円未満が最も多く45.8%、1,000〜1,500円未満が42.8%となっており、平均時給額は1,583円でした。

    私が都内近郊でクリニックの求人を探した際、1,500〜1,800円台が主流でした。同じような募集条件の中でも、時給2,000円のクリニックを見つけたときにはすぐに応募させていただきました。限られた時間しか働けない場合、給料の高さはスタッフを引き付ける要因のひとつになります。さらに実際働き始めたスタッフに対しても、ある程度は離職を防げる条件となるでしょう。

    お住まいの地域のクリニック看護師の給料相場について、求人サイトや人材紹介会社で情報を集め、適正価格かどうか見直してみるのもいいですね。

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    まとめ

    スタッフが働きやすい職場環境を整えることはスタッフの定着につながり、医師は診療やクリニック経営に集中できます。

    また、クリニック全体の雰囲気が良くなれば、看護師だけでなく患者に対しても「親しみやすいクリニック」とプラスイメージを与え、再来率が高くなる可能性もあるでしょう。
    クリニック開業ナビの「職場改善相談室」では、中立的な立場でクリニック側と職員に提案・支援などの支援を行なっております。離職率が高くてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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    また、クリニックの離職率を低下させ、採用力をアップさせる方法については以下の記事も参考にしてみてください。

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    執筆 現役看護師 髙橋マキ

    正看護師歴26年。総合病院や個人病院の脳外科・循環器内科・ICUなどで勤務後、出産と子育て・転居をきっかけにフルタイムからパート勤務へシフト。クリニック・訪問看護・地域包括病棟などで実績を積んでまいりました。現在は、看護師パートをしながら在宅Webライターとしても活動しています。これまでの経験をもとに、皆さまに分かりやすい記事を提供させていただけたらと思います。


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