クリニック開業時には、自院のことをたくさんの人に知ってもらうために宣伝することが不可欠です。宣伝のツールは紙媒体からweb媒体までさまざまなので、ツールごとの特性を考えて宣伝方法を決めていくことが望ましいでしょう。そのなかから今回は、Google広告に期待できる効果について考えていきましょう。
Google広告とは?
Google広告とは、Googleが提供している広告サービスのこと。広告主は、Google検索結果やGoogleの広告ネットワークに広告を掲載することができます。
“検索結果として表示される広告”と“広告ネットワークに表示される広告”には違いがありますが、つまり、それらをまとめて“Google”広告と呼ぶのです。
Google広告の種類
続いては、主なGoogle広告の種類をみていきます。
Googleリスティング広告
Googleリスティング広告とは、検索エンジンでなにかを検索した際、検索結果一覧ページに表示される広告です。普段から広告かどうかを意識していない人は、広告も検索結果のひとつだと思ってしまうかもしれませんが、URLの頭に「広告」と入っているものはすべて広告です。Googleリスティング広告に出稿すると、純粋な検索結果として表示されているものより上位に、自院のホームページのURLを表示させることも可能というわけです。
主なメリットは2つ。1つは、検索結果として表示されても、URLをクリックされなければ料金が発生しないことです。また、最低出稿金額の設定もありません。そしてもう1つは、たとえば「新宿 外科」などのキーワードで検索している人は、今すぐに新宿区の外科にかかりたいと考えている可能性が高いため、集患につながりやすいということです。
Googleディスプレイ広告(GDN)
GDNとは、「Googleディスプレイネットワーク」の略。Googleが運営しているGmailやYouTubeのほか、提携先のwebサイトやアプリ内スペースに広告を表示することができます。Googleリスティング広告はキーワード検索したユーザーのみに表示される一方、Googleディスプレイ広告はGmail、YouTubeやその他の提携先webサイト、アプリを利用したすべての人に表示される可能性があります。また、Googleリスティング広告はテキスト情報のみの広告ですが、Googleディスプレイ広告はバナー形式で画像を使って表示されることも大きな違いです。
これらの条件からわかることは、「ニーズが顕在化していないユーザーにも表示されるが、ニーズが顕在化していないぶん集患に直結しにくい」ということです。
Google動画広告(YouTube広告)
YouTube動画内で流れる広告は、YouTubeを観たことのある人にとってはおなじみでしょう。実際に撮影した映像のほか、アニメーションやCGでつくられているものもありますが、いずれにしろ、BGMやナレーションに工夫することで、より多くのユーザーが最後まで興味を持って視聴してくれる可能性が高まります。また、「Google検索で任意のキーワードを検索したユーザーにのみ表示させる」「特定の動画広告を視聴したユーザーに対して表示させる」など、Google動画広告独自のターゲティングを活用できるため、自院のターゲットに届きやすいのは大きなメリットです。
ただし、デメリットとして動画の制作費が必要となることが挙げられます。簡単なアニメーションであっても、プロの声優などを雇えば、最低でも数十万円の制作費が必要となる場合が多いでしょう。
Google広告は出したほうがいい?
Google広告の概要がわかったところで、続いては、開業時にはGoogle広告を出した方がいいのかについて考えていきます。
結論からいうと、Google広告を出したほうがいいかは診療科やクリニックの立地などによります。
たとえば、内科や眼科など、気になる症状があるときにすぐに行きたいと思う診療科に関しては、検索する間もなく近所のクリニックや通勤途中・昼休みなどに立ち寄れるクリニックを選ぶのが一般的。一方、同じ眼科であってもレーシックを専門とする眼科を探している患者は、検索して十分に比較検討したうえでクリニックを選ぶものです。また、不妊治療を得意とする産婦人科、最新の医療機器をそろえた美容皮膚科、半年に一回程度の検査で通うため、多少遠くても評判のいいところに通いたいと考える患者が多い甲状腺専門クリニックなどに関しても同じことがいえます。
立地に関しては、駅前や商店街などのそもそも人通りが多い立地であるなら、Google広告を出すまでもなく地域住民が開業に気付いてくれます。開業したことと場所を把握している人に対しては、広告ではなくホームページでアピールすることが有効。気になった人は自ら検索してくれるので、サイトを訪れてくれた人に有益な情報を届けることを意識して、サイトを充実させることを考えましょう。
紙媒体の広告や街中の看板のほうが高い効果が期待できる診療科もある
Google広告は、ネットに精通した世代のユーザーの目には触れやすいですが、日常的にネットサーフィンをすることがない高齢者に対しては効果を発揮しにくいといえます。そうしたターゲットに届くような広告を打ちたいなら、地域限定のフリーペーパーや新聞広告のほうが効果的。街中の看板も然りです。また、市役所や区役所の広告を利用することも有意義だといえます。ただし、介護が必要な高齢者が対象となるとまた話は別。医療機関を探すのは本人ではなく、患者の子どもをはじめとする家族となるので、患者の子ども世代へのアプローチを考えることが大事です。いずれにしても、まずは自院のターゲットおよびターゲットの目に触れる確率が高い媒体は何かを考えるところからスタートしてみてくださいね。
クリニックが開業時に出稿するならどのGoogle広告?
続いては、先に紹介したGoogle広告それぞれの特徴から、クリニックが開業時に出稿するならどのGoogle広告がベストであるかを考えていきます。
まず、Googleリスティング広告に関しては、キーワード検索したユーザーに対して表示されるという特性から、基本的にすべての診療科に向いているといえます。急な発熱や腹痛時や、土日でいつも通っている病院が空いていないことなどから検索する人も多いため、急な体調変異から受診することが多い内科のほか、開業時期によっては、眼科や皮膚科などの季節によって患者が増える診療科にもおすすめといえます。
では、Googleディスプレイ広告はというと、たとえば美容皮膚科など、「いつか診療を受けたい」と思っている人に対してのアプローチも効果的な診療科には向いているといえるでしょう。最新の美容機器を導入したクリニックが近くにオープンしたとなれば、利用したいと考える潜在的顧客も多いはず。レーシック手術を専門とする眼科や、各種検診および生活習慣病の未病予防のための生活指導などに力を入れているクリニックにも同様のことが言えます。自院の特徴や競合との違いをわかりやすくまとめたコピーなどをバナーに載せることができたら、クリック率向上も考えられます。
Google動画広告も同様に、美容皮膚科などには好相性といえるでしょう。定期的な検診の重要性を知ってもらいたいときなどにも有効なので、自院の強みと合致する場合には利用を検討してみてもいいかもしれません。
Google広告を出す前に必ずやるべきこととは?
Google広告の種類やメリットがわかると、「まずはこの広告から出そう」と考えるかもしれませんが、それよりも前にやるべきことがあります。それはなにかというと、まずひとつめは、ホームページの作成およびホームページの内容を充実させて、SEO対策、MEO対策に力を入れることです。
広告を出して自院のホームページへ誘導したところで、自院のホームページの出来がよくなければ、集患につながらない可能性が大きいといえます。また、SEO対策やMEO対策が十分であれば、リスティング広告を出さずとも検索結果の上位に表示される確率が高いので、余計なお金をかける必要はないということになります。
もうひとつは、Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)を充実させること。医療機関に関して、ユーザーが重視している口コミがGoogleビジネスプロフィールに寄せられたものであることなどから、医療機関を探しているユーザーの多くは、まずはGoogleビジネスプロフィールでクリニックの営業時間や評判をチェックします。そのため、Googleビジネスプロフィールの基本情報を丁寧に埋めることはもちろん、口コミが入った場合は、その口コミがポジティブであれネガティブであれ、口コミを入れてくれたことに関してのお礼を含めた返信を書き込むことも大事。返信が丁寧であれば、たとえ元の口コミがクレームであろうと、ユーザーはクリニックに対していい印象を抱くものですよ。
特徴
その他特徴
対応業務
診療科目
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その他特徴
診療科目
この記事は、2022年8月時点の情報を元に作成しています。