クリニックを開業するにあたって、用意すべきもののひとつが診察券。診察券がなければ、患者は月初めでなくとも保険証を提示しなければなりませんし、クリニック側も確認に手間がかかります。では、クリニックの診察券をデザインする際にはどんな点に気をつければいいのでしょうか? 早速説明していきます。
診察券は必ず用意しなくてはいけない?
診察券に載せるべきことを確認する前に、診察券は必ず用意しなくてはならないものなのかを考えていきましょう。結論から言うと、診察券は必ずなくてはならないということはありません。実際、診察券を用意していない医療機関も存在します。
では、なぜほとんどの医療機関は診察券を発行しているかというと、管理番号(診察券番号)をふることで患者を管理するためです。たとえば、同姓同名の患者がふたり以上いた場合も、それぞれの診察券番号は異なるため、番号を確認すればどの患者であるかすぐにわかります。そのため、診察券を用意していない医療機関では、患者は来院のたびに保険証を提示する必要があります。今後はマイナンバーカードが保険証になる予定のため、今よりはスムーズに受付できるとしても、完全に切り替わるのはまだ先のため、近々の開業なら診察券を用意したほうがいいといえるでしょう。
主な診察券のタイプは?
続いては、主な診察券のタイプをみていきましょう。
紙製
紙製の診察券は、もっとも作成費が安くて済むことから、採用しているクリニックはとても多いです。また、紙だとペンで書きこみしやすいため、裏面を次回予約日時が記入できるようなデザインで作成しているクリニックも多いです。
PET樹脂製(通常)
ペットボトルと同じPET樹脂で作られた診察券は、紙素材のものと同じくらい薄いのに、耐久性が高く、書き込みも可能です。しかし、紙製のものよりは高くつくことと、財布のなかなどで他のカードに張り付いて見落としやすいことは難点です。
PET樹脂製(リライトタイプ)
リライトプリンターを用意すれば、PET樹脂製の診察券に書き込んだ次回予約の日付などは、リライト(上書き保存)することができます。永久にリライト可能というわけではありませんが、かなりの回数リライトすることができるため、コスパも悪くありません。また、手書き文字と比べて読みやすいのもメリットです。ただし、リライトプリンターを用意することは不可欠。リライトプリンターの価格はメーカーや機能によってまちまちですが、たとえば、診察券のリライトに使われることも多いGRASYSのリライトプリンターは18万円に設定されています。
プラスチック製(通常)
PET樹脂製より厚みのあるプラスチックの診察券は、財布から取り出しやすく、目立つため失くしにくいことがメリット。また、リライトプリンターやラベルプリンターで書き込みすることも可能です。
プラスチック製(磁気タイプ)
プラスチック製の診察券のうち、時期を発する黒い帯がデザインされているものが「磁気タイプ」です。なんのために磁気がデザインされているかというと、カードリーダーに通すことで患者情報を間違いなく読み取ることができるから。仕様上、もっとも単価が高くなりますが、業務効率化には大いに役立ってくれます。
診察券にデザインする内容は?
続いては、診察券にデザインする内容についてみていきましょう。
クリニック名、住所、電話番号、診察時間、休診日
クリニック名のほか、住所や電話番号などの基本情報を入れます。電話番号や診察時間、休診日などは必ず入れなければいけないというわけではありませんが、高齢でスマホを日常的に使う習慣がない患者などは、電話番号や診察時間を知りたいときに財布からカードを出して確認することが考えられるため、最低限の情報は入れておいてあげたほうが親切だといえます。
患者の名前欄
手書きの場合、患者の名前欄を白抜きで設けておくのが一般的です。リライトタイプの場合、結婚などで患者の名前が変わった場合に打ち直すことができるので便利です。
次回診察日の記入欄
次回診察日の記入欄のデザイン方法は、手書きタイプであるかリライトタイプであるかによって異なります。手書きタイプの場合、何度も通院して書く欄が足りなくなった際には、上からシールを貼って次の診察日記入に対応するか、もしくはカードを新調することになります。シールを用意するにしてもカードを新しくするにしても、その費用を患者に請求することは一般的ではありません。基本的にクリニック側の負担となります。
デザインするうえで気を付けるべきことは?
続いては、上記情報を盛り込むにあたって、念頭に置いておきたいことを説明します。
ブランディングを意識する
診察券はデザイン性を重視せず必要な情報を盛り込めばいいかというと、そんなことはありません。診察券やショップカードなどの類は、財布や引き出しのなかで他院、他店のものと一緒になってどのカードがどこのものかわからなくなりがちなので、ぱっと見で「あのクリニックの診察券だ!」とわかってもらえるようなデザインにすることが大切です。そのためには何が必要かというと、ブランディングを意識すること。クリニックの内装や外装などと同じように、演出したいイメージを大切にデザインすることが理想です。
文字の見やすさ
カードのサイズは財布に入ることが基本なので、裏表に情報を入れたとしても、入れられる量には限界があります。だからといって、たくさんの情報を盛り込もうとフォントを小さくすると、老眼が始まっている可能性の高い40代以上の患者には非常に読みづらいものに仕上がります。「こんなに文字が小さかったら読めない」というクレームが入る可能性大なので、デザインのラフが上がった時点で、可能なら老眼の人に確認してもらうことがおすすめです。
デザイン料込みかどうか
診察券の作成費は、印刷会社などにデザイン料込みで発注できることもあれば、デザインと印刷は別個のこともあります。もちろん、自分で考えたデザインのデータを送って印刷してもらうという手もあるので、どの方法が自分にとってベストであるのかよく考えることが大事です。
ソフトやアプリを使えば自分でプロ並みのデザインの診察券を作れる!
デザインへのこだわりを追求するとなると、デザイン料がそれなりに高くなる可能性もありますが、最近では、何種類ものテンプレートから好みのものを選んで自分でデザインできるソフトやアプリなどもあるので、経費を抑えるために利用を検討してみるのもおすすめですよ。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2023年2月時点の情報を元に作成しています。