クリニック集患セミナー:がんプレスクリーニング検査の重要性について

早期発見が重要になる癌。その検査方法も様々です。血液中の微量元素の濃度バランスを解析することで、がんが発症している可能性を判別する新しいがんリスクスクリーニング「メタロ・バランス検査(MB検査)」は、神奈川県立がんセンター・千葉県がんセンターとレナテック社の共同開発により誕生し、多くの医療機関で実用化されています。

本記事では、 医療法人社団 凜颯会 村山整形外科 院長 村山均先生、株式会社レナテック 最高顧問 稲垣精一様を講師にお迎えし、メタロ・バランス検査(MB検査)の概要と検査の利活用によるクリニックの集患施策についてお話しいただいたセミナーの内容をもとに、編集を加えてお届けいたします。

 

【登壇者紹介】

【医療法人社団 凛颯会 村山整形外科 院長 村山均 先生】

神奈川県立がんセンターで1986年から16年間悪性骨症の脊椎転移、大腿骨転移など形成骨症の簡潔的治療・手術を担当。2002年4月、川崎市の川崎大師で村山整形外科を開業する。がんで亡くなる患者さんを数多く担当した経験から、がんスクリーニング検査の導入を行う。

【株式会社レナテック 最高顧問 稲垣精一 様】

半導体製造関連の会社に勤めたのち、株式会社レナテックを立ち上げる。半導体関係の知見を活かしつつ、神奈川県立がんセンター研究者との協力のもとメタロ・バランス検査を開発。ヘルスケア事業として推進している。

 

目次
  1. 日本のがん検診の課題
    1. 日本のがん検診の受診率が低い理由
    2. がん検診受診率を向上させるには?
  2. がんプレスクリーニング検査について
  3. メタロ・バランス検査の仕組みと特徴について
    1. メタロ・バランス検査の概要
  4. メタロ・バランス検査導入のメリット
    1. メタロ・バランス検査の全体のフローは?
  5. メタロ・バランス検査の導入について
    1. メタロ・バランス検査導入に必要な要件
  6. MB-MACサ―ビスについて
  7. がん検診の未来

日本のがん検診の課題

日本のがん検診率は非常に低い現状があります。厚労省も受診率を上げようといろいろな施策を行っていますが、平均的な未受診率は約60%となっています。

がんの検診が必要になってくる年代では、全人口で約7500万人なので、その中の60%というと約4500万人もの方が未受診である、ということになります。

日本のがん検診の受診率が低い理由

なぜがん検診の受診率が低いのか?ですが、内閣府の世論調査では、以下のような結果となっています。

  1. 時間がかかる
  2. 費用が高い
  3. がんとわかるのが怖い
  4. その他(苦痛・不安など)

がん検診受診率を向上させるには?

がん検診を受けない理由として最も大きなものは「時間がかかる」ことです。

確かに、国の推奨する5つのがん検診(男性では大腸、胃、肺がん。女性ではそれに加え子宮頸がん、乳がん)では、各臓器の個別検査で時間がかかり、公的補助がない場合は費用もかさむ現状があります。

そこで、検診受診者全員に時間や費用のかかる各臓器のがん検査を行うのではなく、まず簡易で安価なプレスクリーニング検査によりがんのリスクを層別化し、リスクの高い方から優先的に従来の区別臓器検診を行う二段階方式の方が、医療機関・患者さん側ともに費用対効果も高くなるのではないでしょうか。

検診受診者から見ると、一律的に行う従来の検診とは異なり不要な辛い検査を回避できる可能性も高まります。

 

がんプレスクリーニング検査について

日本語では「予備検査」とも言われるプレスクリーニング検査ですが、最近では「Liquid Biopsy(リキッドバイオプシー)型」がん検査の実用化が始まっています。

リキッドバイオプシーとは、血液や尿など低侵襲性の液体生体試料を用いて、診断や治療薬の選択等に役立てる技術を指します。内視鏡や針を用いた患者負担の大きい生検に代わり、繰り返し行うことができる検査方法として近年注目されています。

このLiquid Biopsy型がん検査には、今回ご紹介する「メタロ・バランス検査(血液中の17種類の金属濃度のバランスを解析)」をはじめとして、「アミノインデックス(血液中のアミノ酸濃度を解析)」「N-NOSE(がん患者の尿の臭いを「線虫」が嗅ぎ分けるという手法を利用)」などがあります。

報道では、国立がんセンターが中心となって研究されている血中遺伝子検査も「高精度の検査」として取り上げられていますが、価格が高いためあまり普及していないようです。

※編集部注:本記事では上記検査方法の中から、セミナー中の「メタロ・バランス検査」についての箇所のみを抜粋してご紹介します。

 

メタロ・バランス検査の仕組みと特徴について

メタロ・バランス検査の概要

※編集部注:以下は、セミナーでの発言や資料を参照し、メタロ・バランス検査の概要を編集部でまとめたものです。

■血液から血清を取りだし、そこに含まれる17種類の金属の濃度を計測する。がん患者の場合、この金属濃度のバランスが変化しているため、癌のリスクの有無が判別可能。

■採血は6ミリリットルのみ、採血時間はわずか5分程度。全体の所要時間はわずか10分程度。コロナ感染拡大の中でも安心して検査を受けられる

■男性は6種類、女性は9種類のがんのリスクがわかる。がんのリスクがA~Dまでの4段階で示される

■メタロ・バランス検査の感度、特異度は90%前後。血液から調べるがんマーカーの検査より高い精度を誇る

■がんの大きさや進行度にかかわらず判別可能

■検査の費用は税別で一回15,000円。一般的ながん検査と比べても非常に安価

■検査結果は5週間後に郵送

■メタロバランス検査をクリニックに簡単に導入するプログラムがある。検査で面倒な予約や事前説明集金など全てレナテックのマックサービスセンターが代行。クリニックは月に1日午前中だけメタロバランス検査を実施するのみ。4ヶ月のトライアル期間で体験可能。クリニックの負担は少なく導入が可能となっている

 

メタロ・バランス検査導入のメリット

検査費用の実費を除いた請求を1件4,000円とすると、月に10件で4万円、100件で40万円となります。メタロ・バランス検査収入は保険診療以外の安定した収入となります。

また、メタロ・バランス検査の際にクリニックに足を運んでもらうことで、内覧会的な効果もあり新患の増大にもつながりますし、メタロ・バランス検査のリピーターも約半数程度いらっしゃるので、そこでの増患も見込めます。

導入のメリットとしては、

  • メタロ・バランス検査は合理的な集患手法になる
  • 保険診療以外の自由診療収入も得られる
  • がんの早期発見により地域医療に貢献できる

などがあります。

メタロ・バランス検査の全体のフローは?

実際の検査では、受診者から6ミリリットルの血液を採血し、遠心分離処理にて血清検体を作成し、レナテック社に郵便などの常温便にて送付します。

以下の図の右側が、メタロ・バランスの検体処理のイメージです。

メタロ・バランス検査は血清を一般の家庭用冷蔵庫で保管する以外、常温でのハンドリングが可能で作業がシンプルになっています。

メタロバランス検査を導入するために必要なのは、8万円程度のベーシックな遠心分離機のみとなっています。冷蔵庫は既存の家庭用でも使用可能です。

この血清を、金属濃度測定装置「ICP-MS」を使って、17種類の金属濃度を測定し、先程の判別式に代入することにより、各がんごとのリスクを0〜10で判別します。この値をMBスコア(がん罹患リスク)と呼んでいます。

以下の図は、メタロ・バランス検査の結果報告書です。この場合、どの臓器もB判定が有病率と同じなので、標準的なリスクの値だといえます。MBスコアは、0が最もがんのリスクが低く、10が最もリスクが高いことを示しています。このMBスコアをさらにわかりやすくするため、A~の4段階のグレードで表示します。

A判定はリスクが低く、B判定は普通のリスク(罹患率から)、C判定は少しリスクの高い方、D判定はかなりリスクが高いので、内視鏡などのがん検診を早めに受けたほうが良いと思われる方です。

以下の表は、検査結果に添付されている「リスク表」です。

男性の大腸がんを例に説明しますと、統計から、男性の大腸がんの罹患リスクは500人に1人の割合です。A判定では3000人に1人とかなり低く、D判定では18人に1人と、グレードが上がるごとに罹患リスクが高いことを示しています。

陽性的中率は5%となっていて、国が推奨するがん検診の陽性的中率とメタロ・バランス健診の陽性的中率とを比較すると、ほぼ同等で遜色ありません。

 

メタロ・バランス検査の導入について

がん検診率を上げるためには、先程もお話ありましたようにLiquid Biopsy型プレスクリーニングの導入が1つの鍵ではないかと思います。

そして、その検査は健診センターでは数を捌けないので、やはりクリニックで行うのが一番かなと思っています。

全国のクリニックの数は全国のコンビニエンスストアよりも多いわけですから、クリニックで行った方が、患者さんとしても利便性が高いと考えています。

メタロ・バランス検査導入に必要な要件

この検査を導入するときに必要なのは、検査受付、採血、遠心分離それぞれ1名ずつ、計3名のスタッフが必要となります。医師の立ち合いについても、採血の場合は法律上不要となっておりますので、検査の間は医師は他の仕事ができます。

例えば月に1回の検査日を設ける場合は、このスタッフをアウトソーシングするのがいいのではないかなと思います。

診察スペースが確保できる場合は診療と検査の同時並行も可能ですし、スペースの確保が難しい場合でも、休診日を利用するなどすれば、更なる収益が見込めます。

 

MB-MACサ―ビスについて

今回ご紹介しているメタロ・バランス検査は1回あたり10分程度で済みますので、場合によっては50〜200人程度の検査は十分こなせる計算になります。ただ、やはりどうしてもその分の時間や様々な事務仕事が発生します。

そこで、レナテックでは「MB検査医療事務サポート」というサービスをご提供することとなりました。

このサービスは、クリニックの事務業務をレナテック社が代行するサービスです。

レナテックサービスセンターが、

  • 検査の問い合わせ
  • 検査の申込受付
  • 検査費用の徴収
  • 必要書類の発送
  • 検体分析、解析

を行います。クリニックへの差額還元は、一件およそ4,000円程度となります。

自分のクリニックでやらなければならないこととしては、

  • 検査スペースと時間の確保
  • 受付スタッフと採血をする看護師の確保
  • 採血、遠心分離、血清分注の操作
  • 血清検体の補完
  • ゆうパック配送

があります。

基本的に、クリニックでは採血業務関連のみでOKです。クリニックでは金銭の授受もなく、原則として、電話によるお問い合わせもレナテック社の担当が対応します。

B判定となった患者さんから通常のがん検診先のお問い合わせがあったときは、適切な対応をしていただける医療機関へ紹介が必要な場合があります。

 

がん検診の未来

コンビニの数よりも多いクリニックで、周辺の住民の方々が、10分しか時間のかからない検査をしていただいて、陽性になった場合には、次の検査(国が推奨するもの、検診センターで行うものなど)に足を運んでいただく。

そこで陽性になった場合は、さらに次の精密検査を受けていただく。

こういった形になれば、より時間も気にせず気軽に検査を受けていただけますし、医療機関としてもあらかじめがん患者とそうでない人の区別がしやすい状態になるので、理想的ではないかと思います。

この検査が普及して、がんで亡くなってしまう人やそのご家族を一人でも多く救えたら何よりです。

 

※本セミナーの動画はこちらからご覧いただけます。

がん検査で休診日を有効活用!クリニック集患セミナー

集客・説明・予約受付サービス付きのがんリスク検査らくらく導入で新患UP!

特徴

1. 血中の17種類の金属元素濃度バランスの差違から、がんに罹患しているリスクを判別 ・男性6がん、女性9がん ・神奈川県立がんセンターと千葉県がんセンターの共同研究 2. クリニックへの検査導入はMACサービス利用で簡単・集客、案内、予約など面倒な事務系の仕事は、全てお任せ ・導入は、トライアル期間付きでリスク無し 3. リピート率60%以上、導入で新患増に! ・検査受診は毎年1回を推奨

検査種別

臨床検査

検査分野

一般検査 その他検査

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、

村山均

取材協力 医療法人社団 凛颯会 村山整形外科 院長 | 村山均

神奈川県立がんセンターで1986年から16年間悪性骨症の脊椎転移、大腿骨転移など形成骨症の簡潔的治療・手術を担当。2002年4月、川崎市の川崎大師で村山整形外科を開業。


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稲垣精一

取材協力 株式会社レナテック 最高顧問 | 稲垣精一

半導体製造関連の会社に勤めたのち、株式会社レナテックを立ち上げる。半導体関係の知見を活かしつつ、神奈川県立がんセンター研究者との協力のもとメタロ・バランス検査を開発。ヘルスケア事業として推進している。


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執筆 CLIUS(クリアス )

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機器連携、検体検査連携はクラウド型電子カルテでトップクラス。最小限のコスト(初期費用0円〜)で効率的なカルテ運用・診療の実現を目指している。


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