紹介状や同意書のスキャンをはじめ、クリニックではさまざまな局面でスキャン作業が必要となります。しかも、紹介状などであれば多くても十枚強ですが、たとえば紙カルテから電子カルテへの移行に伴い、これまでの紙カルテをすべて電子化するとなると膨大な時間を要します。また、医療の参考になる文献や書籍を数十ページにわたってスキャンしたい場合なども、カルテの移行作業ほどではないにしてもかなりの手間です。そこで今回は、こうした作業の効率化に役立つ、クリニックにおすすめのスキャナーを紹介します。
スキャナーは大きく3種類に分けられる
まずはスキャナーの種類を説明します。スキャナーは、スキャン方法によって大きく3種類に分けられます。
フラットベッドスキャナー
家庭用プリンターは基本このタイプ。ガラス面に伏せた原稿や写真の下を、読み取り部が移動して読み取っていきます。原稿を1枚置くたびにカバーを閉める必要があるため、スキャンに時間がかかります。
シートフィードスキャナー
フラットベッドスキャナーとは反対に、読み取り部は動くことなく、原稿のほうが読み取り部の上を通過していきます。持ち歩きも可能なハンディタイプのシートフィードスキャナーは1枚ずつスキャンしますが、標準仕様としては何十枚もの原稿を高速でスキャンする自動給紙装置が付いているので、ページ数が多い書籍をデジタル化したいときなどに重宝します。別名「オートシートフィーダスキャナ」「ドキュメントフィーダスキャナ」とも呼ばれています。
スタンドスキャナー
電気スタンドのような形状が特徴的。原稿や写真を読み取り部の下に置き、上から撮影します。非接触でスキャンできるため、たとえば絵の具を塗りたてで乾いていない状態などでもスキャン可能です。
幅広い業界で選ばれているScanSnap(FUJITSU)
続いては、クリニックにおすすめのスキャンを紹介していきます。まずは、医療機関のみならず、幅広い業界に選ばれていることで知られているFujitsuの「ScanSnap」。デスクサイドに置けるコンパクトな設計から、仕事用ではなくプライベートで愛用しているファンも多く、最近ではふるさと納税でも手に入るほど人気です。フラッグシップモデル、ハイスピードモデルのほか、ユニークな特徴のあるラインナップもさまざまに用意されています。
「iX100」なら患者宅や出張先でのスキャンも楽々
シリーズのなかでもっとも小さなA4モバイルモデルのシートフィードスキャナー「iX100」なら、カバンに入れて気軽に携帯できるため、在宅医療を希望する患者宅で健康保険証や介護保険証をスキャンすることも、学会などの出張先の場でさっとスキャンしてデータ化することも簡単です。
立体もスキャンできる「SV600」
最大A3サイズまでの原稿などを非接触でスキャンできるスタンドスキャナー「SC600」は、公式サイトで紹介されている使い方ではありませんが、非接触で読み取れるという特徴を生かして、医療機器などの立体物をスキャンするために使っているドクターもいるようです。
1分間に35枚/70面の快適スキャン DS-571W/DS-531(EPSON)
両面同時読み取りも可能で、読み取りは極めてスピーディ。ホチキスを外し忘れた原稿を給紙すると自動で読み込みを停止して紙詰まりを防ぐ「原稿保護機能」搭載であることや、レシートや薄い伝票なども問題なく読み取れる実力なども支持されています。同モデルの従来機種を導入しているクリニックのなかには、ドキュメントを自動でアーカイブする「統合管理システム」を活用することで、スキャンしたデジタルデータを一元管理しているクリニックも。
1台2役の使い方も! フラットベッドスキャナー「DS-1630」(EPSON)
フラットベッドスキャナーでありながら、オートドキュメントフィーダー対応していてシートフィードスキャナーのように高速スキャンもできることから、用途に分けて使い分けする医療機関も。ACアダプター不要のため、カウンターなどの狭いスペースに設置できるのも魅力です。
参照:フラットベッドスキャナー「DS-1630」(EPSON)
在宅医療の強い味方 ES-50(EPSON)
本体重量約270gの軽量・コンパクト設計のモバイルスキャナーです。国内初A4モバイルスキャナーとしては、2018年9月時点でクラス最小・最軽量。在宅医療に力を入れているor入れたいクリニックにはうってつけです。
紙カルテの電子データ化時などにはスキャニングサービスを利用するのも◎!
大量な紙データをスキャンするタイミングは、紙カルテから電子カルテの移行のタイミングくらいかな……ということなら、スキャニングサービスを利用するという選択肢もあります。ホチキス外しやホチキス止めなどにも対応してもらえるので、自院で作業する時間が取れないというクリニックは、利用を検討してみるのもいいかもしれません。ただし、スキャナー本体の価格より高くつく場合もあるので、手間と価格を天秤にかけながらよく検討してくださいね。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2022年9月時点の情報を元に作成しています。