時間外等加算の算定要件は?

早朝や夜間、祝休日の診療は一定のニーズがありますが、診療報酬に関して平日日中と同じ条件となると、その時間帯や日時に診療をおこなおうと考えるクリニックは少ないかもしれません。しかし実際は、時間外加算などの診療報酬が設定されています。では、そうした加算を算定するためにはどのような要件を満たせばいいのでしょうか? 早速みていきます。

目次
  1. 時間外等加算とは
    1. 時間外加算
    2. 深夜加算
    3. 休日加算
  2. 時間外等加算の点数は?
  3. 時間外等加算の注意点は?
    1. 時間外加算
    2. 深夜加算
    3. 休日加算
      1. 時間外加算の特例とは?
      2. 夜間・早朝等加算とは?
  4. オンライン診療でも時間外等加算は算定できる
  5. 「時間外対応加算」との違いは?
  6. 時間外対応加算の点数と算定要件は?
    1. 時間外対応加算1
    2. 時間外対応加算2
    3. 時間外対応加算3
    4. 時間外対応加算4
  7. 似た名前の加算を取り違えないように注意しよう

時間外等加算とは

時間外等加算とは、患者が各医療機関の診療時間外に受診した場合に加算される診療報酬点数です。

“時間外”は具体的な時間帯または平日か祝休日かによって、「時間外加算」「深夜加算」「休日加算」の3つに分けられており、これらをまとめて「時間外等加算」と呼びます。

それぞれの対応時間は以下の通りです。

時間外加算

各クリニックが標榜する診療時間以外の時間(深夜加算と休日加算の対象時間は除く)

深夜加算

22時から翌朝6時

休日加算

日曜日および国民の祝日と年末年始(12月29日~1月3日)

これら3つのうち2つ以上を併用して算定することはできないため、時間外加算、深夜加算、休日加算とで条件が重複する場合は、点数が高くなる加算を算定するのが一般的です。

時間外等加算の点数は?

時間外等加算の点数については、以下の表の通りです。

患者の年齢 初診の場合 再診の場合
時間外加算 6歳以上 85点 65点
6歳未満 200点 135点
深夜加算 6歳以上 480点 420点
6歳未満 695点 590点
休日加算 6歳以上 250点 190点
6歳未満 365点 260点

参照:厚生労働省「基本初診料」初診料

参照:厚生労働省「基本初診料」再診料

時間外等加算の注意点は?

3種類の時間外等加算の注意点は以下の通りです。

時間外加算

ア 各都道府県における医療機関の診療時間の実態、患者の受診上の便宜などを考慮して一定の時間以外の時間をもって時間外として取り扱うこととし、その標準は、概ね午前8時前と午後6時以降(土曜日の場合は、午前8時前と正午以降)および休日加算の対象となる休日以外の日を終日休診日とする保険医療機関における当該休診日とする。ただし、午前中および午後6時以降を診療時間とする保険医療機関など、当該標準によることが困難な保険医療機関については、その表示する診療時間以外の時間をもって時間外として取り扱うものとする
イ アにより時間外とされる場合においても、当該保険医療機関が常態として診療応需の態勢をとり、診療時間内と同様の取扱いで診療をおこなっているときは、時間外の取扱いとはしない
ウ 保険医療機関は診療時間をわかりやすい場所に表示する
エ 時間外加算は、保険医療機関の都合(やむを得ない事情の場合を除く)により時間外に診療が開始された場合は算定できない
オ 時間外加算を算定する場合には、休日加算、深夜加算、時間外加算の特例または夜間・早朝等加算については算定しない

深夜加算

ア 深夜加算は、初診が深夜に開始された場合に算定する。ただし、保険医療機関の都合(やむを得ない事情の場合を除く)により深夜に診療が開始された場合は算定できない。なお、深夜とは、いずれの季節においても午後10 時から午前6時までの間をいう
イ いわゆる夜間開業の保険医療機関において、当該保険医療機関の診療時間または診療態勢が午後10 時から午前6時までの間と重複している場合には、当該重複している時間帯における診療については、深夜加算は認められない
ウ 深夜加算は、次の患者について算定できるものとする
(イ) 客観的に深夜における救急医療の確保のために診療をおこなっていると認められる次に掲げる保険医療機関を受診した患者
① 地域医療支援病院
② 救急病院等を定める省令に基づき認定された救急病院または救急診療所
③ 「救急医療対策の整備事業について」に規定された保険医療機関または地方自治体などの実施する救急医療対策事業の一環として位置づけられている保険医療機関
(ロ)自己の表示する診療時間が深夜を含んでいない保険医療機関に、または自己の表示する診療時間が深夜にまで及んでいる保険医療機関の当該表示する診療時間と重複していない深夜に、急病などやむを得ない理由により受診した患者(上記(イ)以外の理由により常態としてまたは臨時に当該深夜時間帯を診療時間としている保険医療機関に受診した患者を除く)
エ 深夜加算を算定する場合には、時間外加算、休日加算、時間外加算の特例または夜間・早朝など加算については算定しない

休日加算

ア 休日加算の対象となる休日とは、日曜日および国民の祝日に関する法律(昭和 23 年法律第 178 号)第3条に規定する休日をいう。なお、1月2日および3日並びに 12 月29 日、30 日および 31 日は休日として取り扱う
イ 休日加算は次の患者について算定できるものとする
(イ) 客観的に休日における救急医療の確保のために診療をおこなっていると認められる次に掲げる保険医療機関を受診した患者
① 地域医療支援病院
② 救急病院等を定める省令(昭和39 年厚生省令第8号)に基づき認定された救急病院または救急診療所
③ 「救急医療対策の整備事業について」(昭和52 年医発第692 号)に規定された保険医療機関または地方自治体等の実施する救急医療対策事業の一環として位置づけられている保険医療機関
(ロ)当該休日を休診日とする保険医療機関に、または当該休日を診療日としている保険医療機関の診療時間以外の時間に、急病などやむを得ない理由により受診した患者
(上記(イ)以外の理由により常態としてまたは臨時に当該休日を診療日としている保険医療機関の診療時間内に受診した患者を除く)
ウ 休日加算を算定する場合には、時間外加算、深夜加算、時間外加算の特例または夜間・早朝等加算については算定しない

参照:厚生労働省地方厚生局「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」

時間外加算の特例とは?

前述した、3種類の時間外等加算の注意点における「時間外加算」は、以下の条件を満たしている場合に適用となります。

ア 当該特例の適用を受ける保険医療機関(以下「時間外特例医療機関」という)とは、客観的に専ら夜間における救急医療の確保のために診療をおこなっていると認められる次に掲げる保険医療機関であって、医療法第30条の4の規定に基づき都道府県が作成する医療計画に記載されている救急医療機関をいう
① 地域医療支援病院
② 救急病院等を定める省令に基づき認定された救急病院または救急診療所
③ 「救急医療対策の整備事業について」に規定された病院群輪番制病院、病院群輪番制に参加している有床診療所または共同利用型病院
イ 厚生労働大臣が定める時間とは、当該地域において一般の保険医療機関が概ね診療応需の態勢を解除した後、翌日に診療応需の態勢を再開するまでの時間(深夜及び休日を除く)とし、その標準は、概ね午前8時前と午後6時以降(土曜日の場合は午前8時前と正午以降)から、午後10時から午前6時までの間を除いた時間とする
ウ 時間外特例医療機関において、休日加算または深夜加算に該当する場合においては、時間外加算の特例を算定せず、それぞれ休日加算、深夜加算を算定する。また、時間外加算の特例を算定する場合には、時間外加算または夜間・早朝等加算は算定しない

参照:厚生労働省地方厚生局「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」

夜間・早朝等加算とは?

また、「夜間・早朝等加算」とは、医療機関が標榜する診療時間のうち、夜間・早朝加算の対象となる時間帯に初診または再診をおこなった場合に算定できる加算です。初診・再診に関わらず、50点を算定できます。

夜間・早朝等加算の対象となる時間帯は以下の通りです。

  • 平日 6時~8時、18時~22時
  • 土曜日 6時~8時、12時~22時
  • 休日(日曜・祝日、12月29日~1月3日) 6時~22時
  • ただし、診療の受付時間が時間外加算の当該時間であった場合のみ算出可能なため、たとえば時間外加算が午前8時前と午後7時以降のクリニックにおいて、午後6時55分に患者が受付した場合、診察および会計をおこなった時間が午後7時を過ぎていたとしても、夜間・早朝等加算は算出できません 。

    参照:厚生労働省「基本初診料」

    オンライン診療でも時間外等加算は算定できる

    時間外等加算の算定はオンライン診療にも適用となります。ただし、厚生労働省が策定したガイドライン「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に準拠して通信環境を整えていることが不可欠です。体制が整ったら、「基本診療料の施設基準等に係る届出書」「情報通信機器を用いた診療に係る届出書添付書類」の2種類の書類を地方厚生支局に提出する必要があります。施設基準の届出が受理されたら、オンライン診療の時間外加算が適用となります。

    参照:厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」

    参照:地方厚生局「基本診療料の施設基準等に係る届出書」

    参照:地方厚生局「情報通信機器を用いた診療に係る届出書添付書類」

    「時間外対応加算」との違いは?

    「時間外等加算」と混同しがちな加算に「時間外対応加算」があります。「時間外対応加算」とは、休日・夜間に軽症状で病院を受診する患者を少しでも少なくして病院勤務医の負担を減らすために、地域のクリニックにおいて休日・夜間に患者からの問い合わせに対応する取り組みを評価するものです。

    「対応」とは具体的になにかというと、患者からの問い合わせの内容に応じて、外来診療や往診をおこなったり、自院以外の受診すべき医療機関に患者をつないだりすることを意味します。時間外対応加算は最新の患者にのみ算定可能で、初診の患者には算定できません。また、電話などによる再診も算定の対象となります。

    時間外対応加算の点数と算定要件は?

    時間外対応加算は1~4まで設定されており、それぞれの点数と算定要件は以下の通りです。

    時間外対応加算1

    【点数】
    5点

    【算定要件】

  • 診療所が表示する診療時間以外の時間において、患者またはその家族などからの電話などによって療養に関する意見を求められた場合に、原則として当該診療所の常勤の医師または看護職員などにより常時対応できる体制にあること
  • 診療所を継続的に受診している患者からの電話などによる問い合わせに対して、原則として当該診療所において、当該診療所の常勤の医師、看護職員または事務職員などにより、常時対応できる体制がとられていること
  • なお、週3日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週22時間以上の勤務をおこなっている非常勤の医師、看護職員または事務職員などにより、常時対応できる体制がとられている場合には、当該基準を満たしているとみなすことができる。また、やむを得ない事由により、電話などによる問い合わせに応じることができなかった場合であっても、速やかに患者にコールバックすることができる体制がとられていること
  • 時間外対応加算2

    【点数】
    4点

    【算定要件】

  • 診療所が表示する診療時間以外の時間において、患者またはその家族などからの電話などによって療養に関する意見を求められた場合に、原則として当該診療所の常勤の医師または看護職員などにより常時対応できる体制にあること
  • 診療所を継続的に受診している患者からの電話などによる問い合わせに対して、原則として当該診療所において、当該診療所の常勤の医師、看護職員または事務職員などにより、常時対応できる体制がとられていること
  • また、必要に応じて診療力を閲覧することができる体制およびやむを得ない事由により、電話などによる問い合わせに応じることができなかった場合であっても、速やかに患者にコールバックすることができる体制がとられていること
  • 時間外対応加算3

    【点数】
    3点

    【算定要件】

  • 診療所が表示する診療時間以外の時間において、患者またはその家族などからの電話などによって療養に関する意見を求められた場合に、原則として当該診療所の常勤の医師または看護職員などにより常時対応できる体制にあること
  • 診療所を継続的に受診している患者からの電話などによる問い合わせに対して、標榜時間外の夜間の数時間は、原則として当該診療所において、当該診療所の常勤の医師、看護職員または事務職員などにより、常時対応できる体制がとられていること
  • なお、週3日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週22時間以上の勤務をおこなっている非常勤の医師、看護職員または事務職員などにより、標榜時間外の夜間の数時間において対応できる体制がとられている場合には、当該基準を満たしているとみなすことができる
  • また、標榜時間内や標榜時間外の夜間の数時間に、やむを得ない事由により、電話などによる問い合わせに応じることができなかった場合であっても、速やかに患者にコールバックすることができる体制がとられていること
  • 時間外対応加算4

    【点数】
    1点

    【算定要件】

  • 連携している診療所を含む診療所を継続的に受診している患者からの電話などによる問い合わせに対して、複数の診療所による連携により対応する体制がとられていること
  • 当番日については、標榜時間外の夜間の数時間は、原則として当該診療所において対応できる体制がとられていること
  • 当番日以外の日、深夜および休日などにおいては、留守番電話などにより、当番の診療所や地域の救急医療機関などの案内をおこなうなど、対応に配慮すること。複数の診療所の連携によって対応する場合、連携する診療所の数は最大で3つまでとすること
  • 似た名前の加算を取り違えないように注意しよう

    「時間外加算」と「時間外対応加算」、「深夜加算」と「夜間・早朝等加算」など、名前からしてどっちがどっちかわからなくなってしまいそうなものがありますが、点数や算定要件などが大きく異なるので、誤って加算しないように十分に注意することが必要です。ただし、一度覚えてしまえば難しいことはないので、まずは内容をしっかり確認しながら算定のための準備を進めてくださいね。

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