クリニックで時間外対応加算を適用する意義・メリットと注意点を解説

「診療時間内に受診したのに時間外対応とは何事か!」会計時に患者さんからこんなクレームを受けても、どのスタッフもあわてず、的確に対応できるでしょうか。

かかりつけ医として地域に根付いているクリニックでは、時間外対応加算の届出を行い、請求しているところもあります。

この記事では、時間外等加算と混同されやすい「時間外対応加算」の加算点数の種類と条件や注意点を解説します。

目次
  1. 時間外対応加算と時間外等加算の違い
  2. 時間外対応加算の種類と点数
    1. 時間外対応加算1(5点)
    2. 時間外対応加算2(3点)
    3. 時間外対応加算3(1点)
    4. 事前の届出が必要
  3. 患者さんに伝えるべき内容と対応の実際
  4. クリニックの実例
  5. 時間外対応加算はかかりつけ医制度を支援する

時間外対応加算と時間外等加算の違い

要件 算定条件 標榜時間内に受診した患者
時間外対応加算 標榜時間外の患者からの問い合わせに自院で対応する取り組みを評価する 事前の届け出が必要 算定できる(再診のみ)
時間外等加算 標榜時間外に患者の受診した場合に加算 患者からの要望で緊急を要する場合のみ 算定できない

診療報酬の請求以外では目にする機会が少ないので、見慣れない患者さんの中には戸惑う方も多いようです。

時間外対応加算は、要件を満たした医療機関を受診した場合には通常の診療時間内であってもすべての再診患者さんに適用されるものです。

一方の時間外等加算は、時間外加算、深夜加算、休日加算の3種類があり、文字通りクリニックの標榜時間外に受診した場合に加算される制度です。

初診・再診にかかわらず本来診療が行われていない時間に、診察の受付が行われた場合、それも患者からの希望があり緊急を要する場合に適用されるので算定の条件は厳しくなります。

たとえば以下のようなケースは除外されます。

  • もともと日曜日を診療日としているクリニックで日曜日に受診した
  • 受付をしたのは診察時間外だったが、まだ他の患者さんも残っていて混雑していた
  • クリニック側が休日の来院を指定して予約を取っていた
  • 患者からの希望だったが処方せんをもらうだけなど、緊急とは言えなかった
  • あらゆる再診患者さんに算定される時間外対応加算とは、全く性質の異なるものだと分かるでしょう。

    時間外対応加算の種類と点数

    時間外対応加算は、外来の患者にも24時間体制で電話を含めた診療対応を行うクリニックへの評価制度です。本来の診療時間外に対応することを評価して、休日や夜間に病院を受診する軽症な患者さんを減少させ、病院の負担を分散させようという狙いがありました。

    そのため、医師の携帯電話の番号を患者さんに伝えるなどの対応が求められますが、詳細は以下で詳しく解説します。

    時間外対応加算は次の3種類に分かれます。定義、解説は厚生労働省の資料を引用しています。

    厚生労働省|基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて

    加算点数 対応時間 対応する診療所 電話に出られないとき
    時間外対応加算1 5点 原則として常時 自院 速やかにコールバックする体制をとる
    時間外対応加算2 3点 標榜時間内+標榜時間外の夜間数時間 休診日、深夜および休日は、留守番電話などで救急医療機関などの連絡先を案内
    時間外対応加算3 1点 自院含め3つの診療所で連携できる

    時間外対応加算1(5点)

    診療所を継続的に受診している患者からの電話等による問い合わせに対し、原則として当該診療所において、常時対応できる体制がとられていること。

    またやむを得ない事由により、電話等による問い合わせに応じることができなかった場合であっても、速やかに患者にコールバックすることができる体制がとられていること。

    なお時間外対応加算1の点数は5点です。

    時間外対応加算2(3点)

    診療所を継続的に受診している患者からの電話等による問い合わせに対し、標榜時間外の夜間の数時間は、原則として当該診療所において対応できる体制がとられていること。
    また、標榜時間内や標榜時間外の夜間の数時間に、やむを得ない事由により、電話等による問い合わせに応じることができなかった場合であっても、速やかに患者にコールバックすることができる体制がとられていること。
    休診日、深夜及び休日等においては、留守番電話等により、地域の救急医療機関等の連絡先の案内を行うなど、対応に配慮すること。

    時間外対応加算3(1点)

    診療所(連携している診療所を含む)を継続的に受診している患者からの電話等による問い合わせに対し、複数の診療所による連携により対応する体制がとられていること。

    当番日については、標榜時間外の夜間の数時間は、原則として当該診療所において対応できる体制がとられていること。また、標榜時間内や当番日の標榜時間外の夜間の数時間に、やむを得ない事由により、電話等による問い合わせに応じることができなかった場合であっても、速やかに患者にコールバックすることができる体制がとられていること。

    当番日以外の日、深夜及び休日等においては、留守番電話等により、当番の診療所や地域の救急医療機関等の案内を行うなど、対応に配慮すること。

    複数の診療所の連携により対応する場合、連携する診療所の数は、当該診療所を含め最大で3つまでとすること。

    事前の届出が必要

    時間外対応加算を算定するには事前に厚生局へ届け出る必要があります。
    クリニックの標榜診療時間や医師の電話または留守録で対応するのかなどの方針を記入します。

    なお届出にあたり、過去に対応した実績は必要ありません。

    厚生労働省|時間外対応加算の施設基準に係る届出書添付書類

    患者さんに伝えるべき内容と対応の実際

    クリニックの診療時間外でもつながる携帯電話の番号や緊急時の診療体制を患者さんに知らせておく必要があります。時間外は電話転送のサービスを使う医療機関もあります。

    いずれの場合も、院内の掲示物の活用、ホームページへの掲載、患者さんへの文書の手渡しを行いましょう。

    通常の診療時間に受診したのに、なぜ「時間外」の料金がかかるのかと、診療報酬の知識がない患者さんに疑問が生じるのは無理もありません。

    まずは「時間外かどうかにかかわらず、夜間などへの診療体制を整えているためにかかるもの」という正しい説明をスタッフ全員が行えるようにしたほうがよいでしょう。

    「まちがいではない」「自動的に請求されるもの」などの事務的な言い方はせず、時間外等加算との違いを伝えて、患者さんの理解を求める姿勢が大切です。

    ほかにも診療明細書の項目名は一般の患者さんには分かりにくいもの。疑問に対して、丁寧に答える姿勢が、安心して受診できるクリニックという評価にもつながるのではないでしょうか。

    クリニックの実例

    開業時点から時間外対応加算1を届出したあるクリニックでは、院長個人の携帯電話番号を伝えていましたが、半年間で18時ころの電話が1件のみ、深夜の応召はゼロだったということです。

    このケースでは、連絡がありそうな患者さんについては、早めから外来時に看護師によるフォローを行ったり、さらに時間外診療のニーズが高いと判断した場合は介護保険で訪問看護を手配するなどの細やかな工夫をしていました。
    このクリニックのように、時間外対応加算の金額の問題ではなく「かかりつけ機能」として頼られるクリニックには必須の体制だと、考える院長もいます。

    またホームページで、休日・深夜・早朝の対応は留守番電話になることがあることを明記して、方針を示しているケースも見かけられます。

    院長ひとりで対応を行うクリニックでは、かかる負担が大きくなることを懸念して算定を躊躇している場合もあるでしょう。複数の医療機関で連携して時間外の診療体制を組む方法もあります。またこうした他のクリニックの話やホームページでの記載を参考にされるといいのではないでしょうか。

    時間外対応加算はかかりつけ医制度を支援する

    時間外対応加算の制度をうまく活用すれば、地域の患者さんからクリニックに対する信頼をさらに高めるきっかけとなるでしょう。また少なからず、診療報酬のアップにもつながります。

    そのためには自院に適した診療体制をスタッフとともに整え、患者さんへも丁寧な説明を行う必要があります。ぜひ参考にしてください。

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    対象規模

    無床クリニック向け 在宅向け

    オプション機能

    オンライン診療 予約システム モバイル端末 タブレット対応 WEB予約

    提供形態

    サービス クラウド SaaS 分離型

    診療科目

    内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、

    執筆 執筆者 藤原友亮

    医療ライター。病院長や医師のインタビュー記事を多く手がけるほか、クリニックのブログ執筆やSNS運用なども担当。また、法人営業経験が長く医療機器メーカーや電子カルテベンダーの他、医師会、病院団体などの取材にも精通している。


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