クリニックのホームページに「院長ブログ」などとして、独自コンテンツを掲載している医院が多くあります。開業にいたるまでの物語や日々の診療で感じたこと、はたまたクリニック周辺の花鳥風月など、雑記的に使っているクリニックも少なくありません。
一方で、緻密にコンテンツの中身を計算して、確実にクリニックの知名度アップや集患につなげている場合もあります。頻繁に読まれ、クリニックのファンづくりに貢献している記事の特徴のひとつは、自院が得意な疾患の治療・予防・対処法などを的確に解説していることです。
医療の情報を検索する際に、患者さんは「専門家」の解説を求めています。
この記事では、患者さんがクリニックのホームページにたどり着くまでの心理に注目し、読まれる可能性が高まる記事の作り方を紹介します。
Google検索で上位に表示される価値
人々がGoogleで特定のキーワードを入力して検索するときには、何か得たい答えがあります。Googleは「これを読むと答えが得られるのでは?」と、考えて複数のホームページを提案してきます。
検索結果画面に表示される記事の数は広告を除くと多くて10記事です。11記事目を読むには検索結果の2ページ目に移動しなければならず、わざわざ2ページ目を訪れる人はかなり少数です。したがって、少なくとも1ページ目、10記事目より前に紹介されなければGoogleを通じて、人目につく可能性は低いと言わざるを得ません。
また最新調査によると、1位に表示された記事がクリックされる確率は約13%で、10位の約1.3%の10倍です。検索した人が「ほしい答えを提供できれば」上位表示される確率は高まります。
口コミはコントロールできない部分もある
口コミを気にする院長は多くいます。とくに、よい口コミよりも低評価している悪い口コミは、患者さんに対する影響が大きいとされます。それだけ患者さんは「このクリニックは信用できるか」を判断する材料として、他の患者の評価を気にしていると言えるでしょう。
悪い口コミに対処することも確かに重要です。しかし、どこまで行っても発生主義的な対応になってしまうことも否めません。一方で、ブログやSNSを使い、クリニックの理念や、院長の人柄などを伝える中身は、すべてこちらでコントロールできるのです。
検索ワードの種類
検索する単語の組み合わせ、検索ワードは大きく4種類に分けられます。
検索する人の欲求に照らして
の4パターンをおさえておくことは、患者さんの心理を理解するうえでの助けとなります。
Goクエリは「行きたい」欲求
まずGoクエリは案内型とも呼ばれ、そこに「行きたい」「たどり着きたい」というパターンです。「●●クリニック」と調べる人のニーズは、そのクリニックのホームページに最短でたどり着きたいというものです。「YouTube」と調べる人は、YouTubeのトップページに行きたいのです。
これはユーザーの欲求がシンプルです。
Knowクエリは「知りたい」欲求で大半を占める
次にKnowクエリでは、その言葉の意味を知りたい、方法を教えてほしいというニーズが主なものになります。情報収集を目的としていて「●● やり方」「xx 作り方」「●●とは」などが代表例です。
クリニック向けに言えば、疾患の名前を単独で調べたり、「症状」や「特徴」などを合わせて調べるケースもKnowクエリの典型的な例だと言えるでしょう。
Doクエリはアクションの方法を調べる動機
Doクエリは「何かをしたい」という欲求が含まれています。ダウンロードしたい、資料請求したい、会員登録したいなどが該当します。
医療では、クリニックまでの行き方を調べる・予約する・治療する・相談するなどのアクションを思い浮かべてください。人が今すぐ行動に移すときのワードです。
Buyクエリは購買欲求
Buyクエリは、Doクエリの一部とされます。つまり、行動の中のひとつに購買があるという考え方です。
「●● 買いたい」「xx 通販」などがBuyクエリに含まれるのは言うまでもありません。加えて、「新宿 内科 おすすめ」「田中内科 評判」「脱毛 比較」なども、KnowクエリではなくBuyクエリに含まれると考えられます。
例に挙げたキーワードはすべて、すでに診察や治療を受ける前提で検索されているためです。
狙うべき検索ワード
4パターンのうち、Goクエリを意識してもユーザーの行動に与える影響は少ないでしょう。すでに行きたいという意志が明確なためです。
一方で、DoとBuyを検討している患者さんは、最も取り込みたい層です。また、Knowクエリで検索する人は、将来的な見込み客となり得るため、これもまた重要だと定義づけられます。
収益的価値が高いのは「Do」と「Buy」
Doクエリ、Buyクエリは、最終的に患者さんが来院して診察や治療を受けることに直結する単語です。したがって、これらのキーワードで上位に検索されれば、クリニックの収益に直結する可能性が高くなります。
しかし、ライバルも考えることは同じで、競合が多いためなかなか上位に表示させるのは困難です。とくにBuyのキーワードは、検索上位記事のさらに上に広告がひしめき合うことでしょう。
これら重要性の高いキーワードで上位を獲得するには、質の高いコンテンツを多く投入する必要があると考えられています。その他、誰が書いたかや、多くの被リンクを集めているという権威性も順位に影響するのです。
具体的には疾患に対してクリニックで行っている独自性の高い治療など、よそが書けない内容を含むことは重要です。単に記事を仕上げる前に、クリニックで行うコンセプトや理念を定義しなおしてみるとよいでしょう。
「Know」は訪問する患者の疾患について説明記事を作成し、信頼性や権威性を高める
Knowクエリの多くは、情報収集が目的のため収益への影響がすぐに高まるとは言えません。
たとえば花粉症の症状、悪化する原因、食事で気を付けること…などで検索しているうちは受診する意欲は低いでしょう。ただ、花粉症の情報を探している「患者さんの予備軍」にいち早く情報を届けられます。
その結果、「この●●先生は花粉症に詳しいから信頼できる」などと、受診前にブランディングできる可能性があります。花粉症のように緊急性が低い疾患や、検討時間が長く比較検討が必要な場合は、客観的に必要な情報を発信することで、まずはアクセス数を増やすという戦略も取れるのです。
また患者さんが来院前や診察前に記事を読んでいると、診察室で疾患について説明する時間を短縮できます。省力化につながるだけでなく、他の患者さんの待ち時間を短くできるのでメリットはさらに大きくなると言えます。
具体的な記事の作り方
読まれる記事を作るには、ある程度の検索回数が見込まれるキーワードを定めることから始まります。
ご自身の専門である疾患名と「予防」「治療」「原因」などを組み合わせて以下のツールに入力してみてください。
などで、10、100、1000などと表示される検索回数を参考にしてください。
花粉症では11万回検索されていますが、花粉症+治療なら4400回、花粉症+治療+最新なら720回などと分かります。一方で「花粉症+ドライアイ+治療」や「花粉症+くしゃみ+治療」は10回に満たない検索回数です。
つまり花粉症にともなうドライアイの治療方法について、どれほど素晴らしい記事を書いたとしてもほとんど読まれないのです。
「花粉症」そのもので検索上位を狙うのはライバルが多く無謀ですが、「花粉症+治療+最新」は検索回数もそこそこのレベルなので競合は少ないものと予想できます。
キーワードを検索する人に成りきる
例として「花粉症+治療+最新」と入力して調べる人の特徴を考えてみます。どのようなシチュエーションなら、このキーワードで検索したくなるでしょうか。
おそらく、治療として薬物療法やアレルゲン免疫療法、レーザー治療などを試したものの結果が出なかった人と想像できます。だからこそ、「自分が知らない最新の治療法をしっかり解説している記事を読みたい」などのニーズをこちらが見極めなければなりません。
フレームワークに当てはめると、KnowとDoの両方にかかってくるキーワードと言えるでしょう。まずは「知りたい」という欲求を満たしつつ、同時に「いい方法ならすぐにでも予約したい」と考えていることを想像します。
その結果、最新の花粉症の治療法を紹介するのはもちろんのこと、どうすれば治療を受けられるか、かかる期間や費用はどのくらいかなどを説明するのが望ましいと分かります。
Answerを書く
検索した人がもっとも知りたい答えを冒頭で書くことが、「知りたい」「行動したい」欲求に応える最短の道です。
例:「花粉症とは」(Knowクエリ) 花粉症とはスギに代表される花粉によって、アレルギー症状を起こすもの。くしゃみや鼻水のほかに目のかゆみや発熱を伴うこともあります。
またDoクエリ、Buyクエリのように、患者さん自身がアクションを起こしたがっている場合でも同じです。「花粉症の薬を購入したい」なら「どこで売っているか、どの薬がおすすめか」を導入で書くとよいでしょう。背中「2022年現在、最新の花粉症治療法はxxです」と、記事のできるだけ上部で示すのが効果的です。なかには、できるだけ記事をじっくり読んでほしいと、結論を後回しにしている記事がありますが、これはユーザーのためになる記事構成とは言えません。
Goクエリは最も分かりやすいかもしれません。「クリニック名+アクセス」などで検索されると想定しているのに、「○○クリニックを開業した理由」「クリニックは患者さんの不安緩和をモットーとします」などという内容が書かれていたら「クリニックへのアクセスが知りたかったのに書いていないじゃないか!」という反応になってしまうでしょう。
なかなか答えが出てこない記事と判断すると、途中で読むのをやめてしまいホームページを離れてしまう可能性があります。
「まず結論から書く」を心がけてください。
小学生が読んでも分かる言葉を使う
医学系の記事は、専門的な記述が目立ちます。学会の抄録ならともかく、多くの患者さんは一般人です。
「小学校中学年レベルの読者でも分かる」言葉を選んで文章を書いていきます。
花粉症の対策サイトを想定して、次のふたつの文章を比べてみましょう。
例1:
舌下免疫療法とは、長期間にわたってアレルギー疾患の原因アレルゲンを故意に患者さんの体内に取り込み、その結果、免疫抗体を生成させ、アレルギー症状を緩和しようとする治療法のひとつです。アナフィラキシー反応のリスクが低いとされ、また蕁麻疹やレスピレーターを必要とする喘息も起こらないよう摂取量をコントロールできます。
例2:
舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)とは、患者さんの体内にアレルギーの原因となっている物質をわざと少量ずつ取り入れる治療法です。舌の下に溶けやすい錠剤を置いたり、エキスを減らしたり、錠剤を入れたりします。時間はかかりますが、少しずつからだに慣れさせる方法なので、じんましんやぜんそく、またアナフィラキシーのような強い副反応が起こる心配は低いと言われます。
どちらも治療法を紹介したに過ぎない記事ですが、例2では読み仮名、適度な平仮名と漢字のバランス、難解な熟語を分かりやすい言葉に置き換えるなどの工夫を凝らしています。
出典や監修をはっきりさせる
クリニックの院長やスタッフの名前や顔を出して「信頼感を与える」のも効果的です。忙しければ、なぜどうして?に当たる部分だけ会話で録音して、別のスタッフや外部の人に書いてもらう手もあります。
いわゆるゴーストライターを雇っても問題はありません。ただし著者として名前が出る以上、情報が正確か、誤解される恐れはないかなどは、監修する医療従事者自身がよく確認する必要があります。
監修した医師や看護師の氏名は記事内で積極的に紹介することをおすすめします。
不易流行な記事コンテンツは資産になる
クリニックの独自記事は日々積み重ねていくことが大切です。10記事程度、同じ疾患のシリーズで記事を書くと、少しずつアクセスが増えてくるでしょう。
一度書いた記事についても、定期的に見直し内容を更新していくと長期間にわたって読まれる記事になりやすくなります。
キーワードの選び方や、記事の作成は専門会社やライターなどに相談するのも有効です。
継続的にクリニックの知名度アップやファンづくり、さらには集患に役立つコンテンツ作成を行ってみてはいかがでしょうか。
特徴
その他特徴
対応業務
診療科目
特徴
その他特徴
対応業務
診療科目
特徴
対応業務
その他特徴
診療科目
この記事は、2022年10月時点の情報を元に作成しています。