
転職の際には履歴書が必要です。転職エージェントなどを利用している場合はもちろん、友人や知人の紹介で先方とつながった場合も、履歴書の提出が求められます。そこで今回は、求職先から好感を抱いてもらいやすい履歴書作成のポイントを解説していきます。
履歴書の作成はめんどくさい?
履歴書を作成することについて、「面倒だ」「できたらやりたくない」と考える人は結構多いのではないでしょうか? 確かに、一から履歴書を埋めていく作業はそれなりに時間がかかりますし、母校の卒業年度や資格取得の年度、資格の正式名称などを調べて確認しなければならない場合もあるので、忙しいときなどは後回しにしてしまいがちです。また、志望先に合わせた志望理由などを考えることを面倒だと考える人も多く存在するでしょう。
では、実際に履歴書の作成は面倒であるかというと、一から作成する際にはある程度の労力を要しますが、ベースを作成して保存さえしておけば、必要なときに必要な箇所だけ上書きして使えばいいので、そこまで手間はかかりません。
そのため、今すぐ転職したいという希望がない場合でも、時間があるときにベースとなる履歴書を作成しておくことがおすすめです。作成を通してキャリアを棚卸しできるので、今後のキャリアプランを練るタイミングなどなら最適のタイミングといえるでしょう。
履歴書の作成はパソコンがおすすめ
「必要な箇所だけ上書き」するためには、手書きではなくパソコンで履歴書を作成しておく必要があります。
「履歴書は手書きで作成すべき」という認識の人は今でも一定数いますし、特に年齢が高い院長などはこれに当てはまる場合がありますが、基本的にはパソコンで作成することにマイナスの印象を抱く医療機関は少ないと思っていいでしょう。
ただしもちろん、「達筆であることをアピールしたい」などの理由がある場合は手書きでも構いません。その場合は、パソコンで作成したものをプリントアウトして、それを見ながら“清書”するとスムーズです。
履歴書のテンプレートに決まりはある?
履歴書のテンプレートには、基本的には決まりはありません。応募先で履歴書のフォーマットや作成方法が指定されていなければ、無料でダウンロードできるテンプレートを利用するといいでしょう。なお、厚生労働省のホームページにも、「厚生労働省履歴書様式例」と呼ばれるテンプレートが格納されています。こちらは2021年4月に作成されたもので、性自認の多様な在り方に対応できるよう、性別欄が任意記載欄になっているほか、プライバシー要素が高い「通勤時間」「扶養家族数(配偶者を除く)」「配偶者」「配偶者の扶養義務」の項目欄が設けられていないので、これらの項目欄はなるべく埋めたくないという人は利用してもいいかもしれません。
履歴書の書き方の基本ルール
続いては、「厚生労働省履歴書様式例」をもとに、左上から順番に、各項目の書き方の基本ルールを説明していきます。
日付
日付に関しては、履歴書を書いた日ではなく、「応募先に提出する日」を記入します。そのため、履歴書を作成してすぐに応募する場合以外、日付欄は空欄にしておいて、応募の直前に全体を見直すと同時に日付を埋めるといいでしょう。また、履歴書全体で年号表記を西暦か和暦かのどちらか一方に統一するのがルールです。
氏名
氏名は略字を使用せず、戸籍に登録している字体で正確に記入します。また、名前欄は他の項目より縦幅が太めに設定されているので、フォントサイズを大きめにして、名前を目立たせると相手の印象に残りやすいでしょう 。
年齢
年齢は、履歴書提出日時点での年齢を記入します。誕生日前日に送付して、翌日には年齢が変わっているとしても、送付した日の年齢で構いません。
写真
写真は3か月以内に撮影したものが望ましい とされています。撮影時の服装は、スーツやジャケットなどできちんと感を演出するだけでなく、生地がよれていないかなどもしっかりチェックしましょう。撮影する際、駅や街中の証明写真機を利用するなら、画質にこだわった機種を選ぶのが賢明です。なかには、肌質補正機能が搭載されている機種もあります 。納得のいく仕上がりにならなかった場合は、機種を変更して撮り直ししてみるのもいいかもしれません。
なお、撮影機材がそろっていて、自撮りが得意なら、スマホでの撮影にチャレンジしてみるのもありですが 、カジュアルな写真だと、年配の院長などは不安を覚える可能性が高いので、あくまでも履歴書用であることを忘れず、きちんと感を追求しましょう。
住所
住所は都道府県名から記入します。建物名や部屋番号は省略せず、正確に記入します。番地は、「1-1-1」のようにハイフンを使うのではなく、「1丁目1番地1号」と表記します 。数字は、漢数字を使わず算用数字で表記します。
電話番号
固定電話がない場合、携帯電話のみで問題ありません。また、「厚生労働省履歴書様式例」には記入欄がありませんが、記入欄がない場合も、別途、メールアドレスも記載しておくと、日中に電話に出られず面接まで漕ぎつけられないという事態を防げます。ただし、現勤務先のメールアドレスは記載しないのがルール。Gmailなどのフリーアドレスでも問題ないので、プライベートのメールアドレスを記載しましょう。応募後は、先方からの連絡が迷惑メールフォルダに入っていて見落としたということがないよう、迷惑メールフォルダも定期的にチェックするようにしましょう。
学歴
「学歴・職歴」欄の1行目中央に「学歴」と書き、2行目から学歴を記入します。学歴は高校卒業からスタートします。学校名は略すことなく正式名称を記入しますが、もしも学校名が変更されている場合は、旧名称に続けてカッコ内に新名称を記します。
職歴
学歴の最後の行の後に1行開けたら、学歴同様、最初の1行目の中央に「職歴」と書き、その次の行から年代順に職歴を記入します。勤務先の名称が変更されている場合の記入方法は学歴と同じです。また、所属部署、雇用形態、部署異動および昇格についても記入します。
なお、医局人事による異動の場合、該当する職歴の末尾に(医局人事による異動)とカッコで表記すると、転職ではなく異動であることが一目でわかります。
休職期間があった場合、記す必要はありませんが、その間に研究のために海外留学していた場合などは、その内容を記します。外国での経歴に関しては、所属機関や研究していた期間をアルファベットとカタカナの両方で印、併せて国名も記載します。
職歴の最後の行には、「現在に至る」と記し 、現職の退職日が決まっている場合は、それに続けて()内に「20XX年X月X日 退職予定」と記入します。その次の欄には、右寄せで「以上」と記します。
免許、資格
免許、資格は基本的には取得年月日が古い順に記しますが、免許と資格を同じ欄に記すタイプの履歴書では、免許と資格が混同しないよう、先に免許を書いて、次に資格を書きます。ただし、絶対的なルールではありませんが、免許・資格欄の最上部に運転免許を取得年月順に記し、その後に運転免許以外の資格を資格年月順に記入するのが一般的です。
また、免許は「取得」、試験は「合格」、TOEICなどのように点数評価されるものは「XX点取得」と記します。
医師国家資格の合格に関しては、第何回の試験であるのかということと、医籍登録番号も併記します。認定医、専門医、指導医などを取得している場合もこの欄に記入します。ちなみに、これらの資格は年収やポジションにも大きくかかわってくるため、面倒がって明記しなければ、結果的に自分にとってマイナスになります。
志望の動機、アピールポイントなど
志望動機および自己PRはもっとも注目されているポイントです。「なぜその職場で働きたいのか」「自分ならどんなふうに職場に貢献できるのか」を、これまでの経験などを交えながら具体的に記します。文章の末尾は「です・ます調」にします。
どんなことを書いたらいいかわからない場合は、応募先の医療機関の理念や診療方針などをホームページでチェックして、そこに書かれていたことに共感している旨を伝えるといいでしょう。
なお、特技などは選考に大きな影響を与えることはありませんが、面接で会話が弾むきっかけになる可能性はあるので、人に誇れる趣味や特技があるなら記しておいても損はありません。
本人希望記入欄
子育てや介護などの事情によって勤務条件に対して希望がある場合、その旨を記します。理由も添えると、採用の場合に希望通りに働かせてもらいやすいでしょう。希望が特にない場合は、「貴院の規定に準じます」と記します。
履歴書の完成度を高めるコツは?
続いては、履歴書の完成度を高めるコツをみていきます。履歴書の完成度を高めるコツとしては、以下が挙げられます。
それぞれ詳しくみていきましょう。
フォントや文字サイズにこだわる
読みやすいフォント、読みやすい文字サイズにこだわれば、採用担当者から好感を抱かれやすいといえます。これに関して特に注意すべきは志望動機欄です。思いを伝えたいがあまり、極小フォントで長文を書くと、採用担当者に読んでもらえないどころか、「相手のことを考えることができない人だ」と判断されてしまう可能性が高いといえます。
履歴書作成後、時間をおいてからチェックする
「誤字・脱字がないか」「内容に間違いはないか」「漢字の変換ミスはないか」など、チェックすべき点はいくつかありますが、履歴書作成後の疲れた頭でチェックすると見落とす可能性が高いといえます。そのため、入力した内容の最終確認は、時間に余裕があるなら、一晩寝た後など、時間をおいてからおこなうことが望ましいといえます。
(郵送の場合)送付状を添える
郵送の場合、履歴書や職務経歴書とは別に、採用担当者様に宛てた送付状を添えると好印象を持たれやすいです。送付状はA4サイズが基本で、履歴書と職務経歴書を送らせてもらう旨と、簡単な挨拶を記します。
【送付状例】
「医療法人XX 人事部 採用ご担当者様
XX科医師応募の件
拝啓 貴院におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
このたび、貴院が募集されておりますXX科の医師職に応募させていただきたく、履歴書と職務経歴書をお送りさせていただきます。
私は現在、XX医院に医師として在籍しておりますが、X月X日をもって退職予定です。そのため、これまでのキャリアを活かして、より多くの患者様の健康増進のお役に立てる医療機関を探していたところ、貴院の募集に出逢い、応募を決めさせていただいた次第です。
履歴書と職務経歴書をご高覧のうえ、ぜひ面接の機会をいただけますようお願い申し上げます。
敬具
記
同封書類
1. 履歴書 1通
2. 職務経歴書 1通
以上」
なお、紙面右上には日付と応募者の氏名よび住所などの連絡先を記します。
(郵送の場合)適切なサイズの封筒を選ぶ
応募書類に折り目を付けずに送れるよう、角A4もしくは角2などの定型外の白封筒を使用します。応募書類が汚れないようにクリアファイスに挟んで封筒に入れると親切です。
宛名は、部署あてに送る場合は「御中」、採用担当者個人宛に送る場合は「様」を使います。また、封筒表の左下に「応募書類在中」と記します。自分の住所、氏名は封筒の裏に記入します。
なお、面接の場で採用担当者に直接する場合も封筒を用意しますが、その場合、封筒ごと渡すのではなく、封筒から履歴書を出して手渡しします。
結果が出せずに悶々としているなら、転職エージェントなどに履歴書を添削してもらうのもおすすめ
自分では完璧だと思う履歴書に仕上がっていても、なかなか結果が出せずに悩んでいるなら、一度、第三者に履歴書をチェックしてもらうことをおすすめします。履歴書をチェックしてもらう相手は、転職に成功している先輩医師などでもよいですが、恥ずかしくて見せたくないという人も多いでしょう。その場合、転職エージェントの担当者などにチェックをお願いするのが吉。履歴書の内容的には問題がない場合でも、「さらに印象をよくするためにはどうすればいいか」などのアドバイスをもらえば、確実に自分の市場価値を高めていくことができるはずですよ。
なお、医師の転職エージェントとしては、「m3キャリアエージェント」「マイナビDOCTOR」「民間医局」「リクルートドクターズキャリア」などがあるので、このあたりの企業ホームページなどで紹介されている履歴書見本を参照するのもおすすめですよ。
参照:m3.com 医師が転職で心がけておきたい「履歴書の書き方」
参照:マイナビDOCTOR【医師の転職】履歴書の書き方 基本ルール
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2025年2月時点の情報を元に作成しています。