
診療費の支払い時にキャッシュレス決済を選択できるクリニックが増加しています。キャッシュレス決済とひと口に言っても、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、スマートフォン決済とさまざまありますが、最もポピュラーなのは「クレジットカード」です。
クリニックの開業時にクレジットカード決済を導入しておきたいという先生は多いでしょう。しかし、クレジットカード決済の場合、決済手数料がかかり、これがばかになりません。手数料の安い決済サービスを導入するのが良い選択です。
今回、業界最安値の手数料を実現しているという「Pay Light(ペイライト)」、およびその拡張サービスである「Pay Light Plus(ペイライトプラス)」を運営する『株式会社スマートチェックアウト』に取材しました。
クレジットカード決済を導入するメリットとは?
厚生労働省が2022年3月に出した「医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査結果報告書」の中に、「キャッシュレス決済」についての調査結果があります。「クレジットカード(デビットカードを含む)を利用した決済の導入状況」は、
導入している:57.4%
導入していない:42.0%
となっています。
医療機関でのクレジットカード決済の導入はまだまだ進んでいるとはいえません。
導入が進まない理由としては、「患者からの要望がない」「手数料がかかる」「入金サイクルが長い」といった理由が挙げられます。
しかしながら、「患者からの要望がない」というのは、いささか認識に食い違いがあります。というのは「もしクレジットカードで支払えるなら支払いたい」というニーズは確実に存在するからです。
『株式会社アイコム総研』の調査によると、「病院はキャッシュレスに対応してほしい」と44%の人が回答しているのです(2020年11月調査結果公表)。
クレジットカード決済に対応することには以下のようなメリットがあります。
①支払いの手間が最小限で済む
②非接触で支払いが行える
現金の場合は、診療費の支払いに数え間違いなどが発生しやすく、これがレジ締めの作業に響きます。また、コロナ禍の影響で非接触が推奨されていますが、クレジットカード決済の場合にはこれもクリアできます。
デメリットとしては、
①支払いサイクルが遅い
②導入費用がかかる
③ランニングコストがかかる
が挙げられます。クレジットカード決済の場合には、実際に患者が決済してからクリニックに入金されるまで1~2カ月の時間がかかります。この時間差はキャッシュフローに影響しますので、導入にちゅうちょするのは当然のことでしょう。
また、クレジットカード決済を導入するのに「初期費用」などの導入費がかかることがほとんどです。実際の金額は決済業者によって異なります。さらには、決済手数料として決済金額のうち、「○%が決済ごとにかかる」という仕組みです。売上がその%分だけ下がるわけですから、クリニックにとっては考えどころとなります。
つまり、キャッシュレス決済については、患者のニーズはあるものの、クリニックの実入り、キャッシュフローに関わる問題ですから、メリットとデメリットを勘案して導入を決断しなければなりません。
参照・引用元: 『厚生労働省』「医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査結果報告書」
参照・引用元: 株式会社アイコム総研『クレコミ』「クレコミのキャッシュレス調査レポート」
「Pay Light」は導入費用0円、決済手数料が1.35%
「Pay Light」は、歯科クリニック向けのクレジットカード決済サービスです。クリニックに端末を用意してクレジットカードのデータを読み取り、決済を可能とします。
「Pay Light」は「導入費用がいらない」のと、決済手数料率が「1.35%~」と設定されています。普通、クレジットカード決済の手数料率は「3.0%」ほどですので、「Pay Light」は半分です。
『株式会社スマートチェックアウト』の玉井雄介代表取締役に聞いたところ、「シェアが13%まで成長しています」とのこと。1医療機関あたりの利益を抑えつつ、代わりにシェアを獲得する戦略になっているからこそ、この利用料金設定になっているようです。
「Pay Light Plus」の機能と特徴
「Pay Light Plus」では、「患者が診療を申し込む」(その決済を行う)機能を備えたサービスです。2023年には、患者が決済を行い、診療の申し込みをして、実際に予約まで行える機能を実装します。
決済手段としては、クレジットカード支払い、分割払い、口座引落、定額払いとマルチ決済対応です。
- クレジットカード決済
決済手数料:1.3%
(業界最安値水準を実現)
- 分割払い(デンタルローン)
高額な自費診療を、患者のライフスタイルに合わせ分割払いにできる支払い方法。無金利条件の作成も可能。
- 口座振替/口座引落
患者の銀行口座から引落としができます。クレジットカードを持っていない患者でもキャッシュレス決済が可能。
※この機能は2022年09月21日時点で未実装。
- 定額払い(サブスクリプション)
PMTC、SPT、定期メンテナンスといった毎月の受診費用を定額払い(サブスクリプション)化。
「Pay Light Plus」の特徴をまとめると以下のようになります。
「Pay Light Plus」の5つの特徴
1.自費診療の支払い方法を「カード決済」「分割払い」から選べるマルチ決済サービス
2.「診療を申し込むこと」「決済を行うこと」の2つの機能で成約率を上げるサービス
3.診療を提案している患者の顧客管理を行える診療提案管理サービス
4.患者は自宅からでも決済を行える、決済に場所を選ばないサービス
5.カード決済手数料が低くコストが下がる決済サービス
↑施術管理画面です。
注目ポイントとしては、専用の管理画面から患者に、「このような施術を受診しませんか」という「提案」を送れたり、リマインド機能もあって、患者との連絡が楽に可能です。いわゆる簡易CRMが可能です。
↑このような形で患者に施術の提案ができます。
※CRMは「Customer Relationship Management」の略で顧客関係管理と訳されます。インターネットであらゆる情報が流れる現在では、医療業界でもCRMの重要性が非常に大きなものとなっています。印象の悪い対応をするとすぐにネット上に書き込まれたりしますので、患者との関係を良好に保つことが集患に大きな影響を及ぼすからです。
「Pay Light Plus」は歯科クリニックの経営安定に資するもの
玉井代表取締役に話を伺ったところ、
「私たちは『テクノロジーで105年 生きるから活きるを創造する』というパーパスを掲げていますが、そのためには歯科クリニックはとても大事な存在であると考えています。人間は一生歯を使って物を食べ、生きていくわけですから、歯が健康でなければ幸せにはなれません。
クリニックの院長先生は、保険診療だけではなかなか成り立っていかないと分かっていらっしゃるはずです。「Pay Light Plus」で目指しているのは、歯科クリニックの経営基盤を安定させ、それを通じて患者の健康と幸福を実現することなのです」
とのことでした。
現状歯科医院の数は、67,717(医療施設動態調査(令和4年7月末概数)、コンビニの数は55,926(コンビニエンスストア統計調査月報2022年8月)とコンビニよりも多い状態。また患者側の決済方法はますます便利になり、歯科医院の口コミもGoogleですぐにわかる時代。そういった意味では、患者側の立場に立った決済・CRMを検討し患者をつなぎとめる施策を考える必要はあるかもしれませんね。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2022年10月時点の情報を元に作成しています。