クリニックのスタッフに外国語力は必要?

令和2年6月末の時点における在留外国人数は288万5,904人。

参照:出入国在留管理庁

前年度に比べ減少傾向にありますが、新型コロナウイルスの影響もあり、外国人が医療機関を受診する機会が増えています。

クリニックを経営している医師の中には、
「外国人患者を受け入れるにあたり、スタッフにも外国語力は必要?」
「外国語ができないスタッフが多い場合、どう対応したらいい?」
「そもそも外国人患者を受け入れるために必要な体制が分からない」
と悩まれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、クリニックのスタッフに外国語力が必要な理由や、外国語ができない看護師が多い場合の対応方法を解説していきます。また、外国人患者の受け入れ体制に必要な整備項目やクリニックにおけるマニュアルもご紹介します。

目次
  1. 日本の医療機関における外国人患者受け入れ状況
  2. クリニックのスタッフに外国語力がない場合の対処法
  3. 外国人患者の受け入れ体制に必要な項目
    1. 1.自院における外国人患者の受診状況を把握する
    2. 2.受け入れ体制の現状および課題の抽出
    3. 3.クリニックに必要なマニュアルを作成する
  4. クリニックの状況に合わせ、外国人患者の受け入れ体制を進めていこう

日本の医療機関における外国人患者受け入れ状況

令和3年度厚生労働省の調査によると、全国5,138の医療機関で外国人患者の受け入れがあった、と回答したのは約5割でした。前年度と比較し、受け入れ人数は1ヶ月10人以下の割合が減少した反面、11人以上の割合がいずれも増加しています。

参照:「医療機関における外国人患者の受け入れに関わる実態調査」

都道府県ごとの在留外国人の統計データでは、東京都531,131人、愛知県265,199人、大阪府246,157人、神奈川県227,511人。

参照:在留外国人統計データ

いずれも都市部に多い傾向にあります。

これに伴い、日本語でのコミュニケーションが困難な外国人患者や、医療費未払いなどのトラブルに遭遇するケースも少なくありません。

以下の記事では、「外国人患者受け入れの実態」に関して詳しくご紹介していますので参考にしてみてください。

国が調査した「外国人患者受け入れの実態」

クリニックのスタッフに外国語力がない場合の対処法

クリニックのスタッフに外国語力がない場合の対処法は、以下4つが挙げられます。

  • 翻訳ツールを活用する
  • 医療通訳へ依頼する
  • 外国人受け入れのマニュアルを整備する
  • 外部の研修や教育を行う
  • 私の場合、翻訳ツールとしてiPadを使用しました。スマートフォンやタブレットの翻訳アプリは以前に比べると精度が上がっている印象があります。話してもらう分には問題ないのですが、こちらから質問したい場合は入力する手間もかかり、患者を待たせてしまいます。トラブルにはつながりませんでしたが、緊急の患者対応には向いていないでしょう。

    その点、医療に特化した多言語通と機械翻訳サービスを検討するのもいいかもしれません。医療翻訳を取り扱うサービスには研修やオンラインセミナーなどのサポートがついているものもあります。

    代表的なサービスを以下にご紹介していますので、参考にしてみてください。

    「my mediPhone」
    電話医療通訳・ビデオ医療通訳・医療翻訳アプリ・オンライン診療支援システム・医療に特化した通訳者が対応・電話通訳29言語365日対応・医療コーディネーター養成研修・医療通訳者養成セミナーなど

    「MERON」
    医療機関向けコミュニケーション支援サービス・定額制で24時間365日使い放題・20言語対応遠隔医療通訳・医療用語対応機会通訳

    「Medi-Call.」
    遠隔医療通訳サービス・専用機器の導入不要・スマートフォンやタブレット内蔵のカメラを利用したTV電話にも対応・医療通訳士養成講座や無料勉強会など

    「アロマ看護ケア」
    多国籍看護師による看護サービス・医療通訳サービス

    外国人患者の受け入れ体制に必要な項目

    医療機関において外国人患者に安心・安全な医療を提供するだけでなく、医療費の支払いトラブルを防ぐためにも外国人患者の受け入れ体制の整備が求められています。

    具体的にどのような受け入れ体制を整備するかは、クリニックの種類や機能・地域状況に加え、外国人患者の数や特徴によっても異なります。

    そのためにはまず、以下の手順で自院ではどのような受け入れ体制を整備する必要があるか検討してみましょう。

    1.自院における外国人患者の受診状況を把握する
    2.受け入れ体制の現状および課題の抽出
    3.クリニックに必要なマニュアルを作成する

    1.自院における外国人患者の受診状況を把握する

    まずは自院における現在の外国人患者の受診状況をできるだけ詳しく確認しましょう。

    主な項目は以下7つです。

  • 人数
  • 国籍
  • 区分(在留・訪日外国人旅行者)
  • 診療科
  • 外来か入院か
  • 救急か否か
  • 受診ルート
  • 例えば医療費に関するトラブル対策では、医療保険を保有している「在留外国人患者」か保有していない「訪日外国人旅行患者」かによって異なります。
    診療申込書に「国籍」「区分」を記入する欄を設ければ、現状把握しやすくなるでしょう。

    2.受け入れ体制の現状および課題の抽出

    次に、現在自院で行なっている外国人患者の受け入れに関する取り組み・問題点・課題を洗い出してみます。

    例えば、

  • コミュニケーションがうまく取れず未払いが多い
  • 検査の説明がうまくできず治療につなげられなかった
  • 外国語力のあるスタッフが少なすぎる
  • などです。

    スタッフ全員にどういった問題点があったか聞いてみるのも良いでしょう。

    3.クリニックに必要なマニュアルを作成する

    先に述べた1、2の手順の結果をもとに、自院における体制整備の方針を決め、体制を整えていきます。

    クリニックにおける外国人患者の受け入れ体制マニュアルには、少なくとも以下の項目は盛り込むことが推奨されています。

    参照:外国人患者の円滑な受け入れのための体制整備P44

  • 受付対応
  • 医療費関係
  • 外部通訳利用方法関係
  • 外部関係者との連携・連絡先
  • 書類作成関係
  • 研修
  • 具体的な項目や主な内容については「外国人患者の円滑な受け入れのための体制整備」を参照してみましょう。
    「外国人患者の円滑な受け入れのための体制整備」

    医療費の支払いトラブルを防ぐため、キャッシュレス決済の体制を整えておくのも有効です。
    キャッシュレス決済に対応した精算機・セルフレジなどは以下を参考にしてみてください。その際に外国語に対応しているかどうかを条件として選定すると良いでしょう。

    クリニック向け自動精算機NOMOCa-Stand

    「自動精算機・釣銭機」の選び方・買い方のノウハウ

    また、書類作成関係のマニュアルに必要な内容は、以下の項目を検討してみましょう。

  • 翻訳された院内文書一覧
  • 院内文書の保管・使用方法
  • 急に翻訳文書が必要となった場合の対応方法など
  • 厚生労働省では、外国語・中国語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語の5ヶ国語の診療所でよく利用する資料を提供しています。

    参照:厚生労働省 外国人向け多言語説明資料一覧

    これらを参考にしつつ、診療申込書や問診表・検査説明書・同意書など、自院で使用頻度の高い文書の多言語化を進めると良いでしょう。
    「厚生労働省 外国人向け多言語説明資料一覧」

    クリニックの状況に合わせ、外国人患者の受け入れ体制を進めていこう

    クリニックのスタッフに外国語力があれば、外国人患者の受け入れも視野に入れやすくなるでしょう。外国語力がない場合は医療通訳といった外部サービスの導入も検討の余地があります。

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