歯科クリニックの開業場所の決め方は?

歯科診療所の開業を成功に導く要素のひとつが開業場所です。同じだけの腕と診療メニューであっても、どこに開業するかによって集患に大きな差が出ます。そこで今回は、歯科診療所の開業に適した場所選びのコツを解説していきます。

目次
  1. 令和3年の全国の歯科診療所数は67,899軒
  2. 歯科診療所の数は都道府県によっても大きく異なる
  3. 立地ごとの特徴を考えることで、自分に合った開業場所を絞ろう
    1. 駅前
    2. 商業施設、商業エリア
    3. オフィス街
    4. 住宅街
  4. どの立地タイプが適しているかはメインとする診療によっても異なる
    1. 一般歯科
    2. 小児歯科
    3. 予防歯科
    4. 審美歯科
  5. 「何曜日を休診日としたいか」も判断材料のひとつ
  6. よりよい立地を見極めるためにおこないたい「診療圏調査」
  7. 自身での調査が難しい場合はプロを頼ろう

令和3年の全国の歯科診療所数は67,899軒

厚生労働省が公表している「令和3(2021)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」によると、令和3(2021)年10月1日時点の全国の歯科診療所の数は67,899軒です。この数は、調査日から1年前の令和2(2020)年10月1日時点と比べて25軒増とほぼ横ばいですが、1年間の新規開設数は1,352軒、診療を再開した診療所数は70軒、反対に廃業となった診療所数は1,252軒、診療休止となった診療所数は145軒であることから、開業するクリニックが多い一方、残念ながら廃業の道を歩むことになるクリニックも多いことがわかります。

歯科診療所 有床 無床
令和3年10月1日 67,899軒 21軒 67.878軒
令和2年10月~令和3年9月 開設 1,352軒 1軒 1,351軒
再開 70軒 70軒
廃止 1,252軒 1軒 1,251軒
休止 145軒 145軒
令和2年10月1日 67,874軒 21軒 67.853軒
都道府県 軒数
1位 東京都 10,680軒
2位 大阪府 5,446軒
3位 神奈川県 4,973軒

参照:「令和3(2021)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」p.6より一部抜粋

歯科診療所の数は都道府県によっても大きく異なる

また、同じく厚生労働省が公表している「医療施設動態調査(令和4年3月末概数)」によると、歯科診療所の数は都道府県によって大きく異なることがわかります。トップ3およびワースト3は以下の通りです。

【トップ3】

都道府県 軒数
1位 東京都 10,680軒
2位 大阪府 5,446軒
3位 神奈川県 4,973軒

【ワースト3】

都道府県 軒数
1位 島根県 253軒
2位 鳥取県 255軒
3位 福井県 301軒

参照:厚生労働省「医療施設動態調査(令和4年3月末概数)」2枚目より一部抜粋

立地ごとの特徴を考えることで、自分に合った開業場所を絞ろう

上記のデータから推測できるように、人の流れが多い都道府県、人口が密集しているエリアは歯科診療所の数が多い傾向にあります。しかし、だからといって開業したら集患が見込めるかというとそうとは限らず、ライバルが多いぶん、差別化に力を入れないと廃業に追い込まれる可能性が高いといえます。一方、土地の面積に比べて診療所数が少ないエリアでは、たとえば地域住民の歯の健康をしっかりと守っていく堅実な診療が求められる場合なども多いでしょう。

では、さらに細かく立地をわけてそれぞれの特徴をみていきましょう。

メリット デメリット
駅前 ・存在を認知されやすい
・時間帯や曜日に関わらず集患が期待できる
・賃料が高い
商業施設、商業エリア ・土日の買い物客を取り込みやすい ・土日に働いてくれるスタッフを見つける必要がある
・商業施設の営業時間に準じなくてはならない場合がある
オフィス街 ・近隣エリアで働くビジネスマンを取り込みやすい ・仕事帰りに治療を受けたいビジネスマンのために、夜遅くまで診療することになりがち
・1階は家賃が高いため、地下や2階以上の開業が基本だが、視認性が悪ければ苦戦を強いられる場合がある
住宅街 ・地域住民から頼りにされやすい
・地域のコミュニティで口コミが広まりやすいため、評価が高ければ安泰となりやすい
・地域のコミュニティで口コミが広まりやすいため、ネガティブな口コミが増えると集患しにくくなる
・住宅街の外からの患者はあまり期待できないため、基本的にそのエリアでの勝負となる

駅前

人の流れが活発な駅前は、診療所の存在を認知されやすい場所です。地域住民だけでなく、仕事や買い物でその駅を利用する人の利用も考えられるため、時間帯や曜日に関わらず患者が見込めるといえます。ただし、こうしたメリットがあるがゆえに、賃料は高い傾向にあります。

商業施設、商業エリア

商業施設内のテナントなどに入居すれば、土日の買い物客を取り込みやすいでしょう。しかし、場所によっては、平日は閑散としている場合があります。そうなると自ずと土日の診療に力を入れることになるため、求人の応募数に影響を及ぼすことがあります。

オフィス街

商業施設とは反対に、平日の集患に有利です。そのエリアで働いているビジネスマンの利用が肝となるため、昼休みや終業後にも治療を受けられるよう診療時間を設定することが求められます。

住宅街

子どもから高齢者まで、さまざまな世代の地域住民に利用してもらえます。特に、車や電車で遠くの歯医者まで通うのが困難な世帯には頼りにされるでしょう。また、「長男に続いて次男も診てもらおう」「クラスメートがいいと言っていたから」と、その地域で暮らしている人のコミュニティのなかで自然に口コミが広がりやすいため、実力を評価されると安泰となりやすいでしょう。

どの立地タイプが適しているかはメインとする診療によっても異なる

4種類のうち、どのタイプの土地が自院に適しているかは、メインとする診療によっても異なります。

一般歯科

一般歯科を受診する患者は、基本的に、虫歯の治療や、取れた詰め物を付け直してほしいなどで来院します。そのため、気になったときにすぐに近所や駅近で探すことが多いでしょう。そのため、駅前や住宅街での開業が向いているといえます。

小児歯科

ファミリー層が多く暮らす住宅地での開業がもっとも適しています。また、幼稚園や小学校が近くにあることもひとつの目安になるでしょう。

予防歯科

家族の歯の健康を守りたいと考える患者層を取り入れたいなら住宅地、主に健康への意識が高いオフィスワーカーにアプローチしたいなら、駅前などの人の流れがある立地が適しているでしょう。

審美歯科

審美歯科のメインターゲットは、美意識の高い20~50代の女性です。特に若い女性はSNSでのインフルエンサーやタレントの発信の影響もあり、審美への関心が高い人が多いです。そのため、商業施設やオフィス街、駅前など、若い女性が日常的に利用するエリアが適しています。

「何曜日を休診日としたいか」も判断材料のひとつ

また、「何曜日を休診日としたいか」も、どの立地が適しているかの判断材料になります。たとえばオフィス街であれば土日は人通りが少なく閑散としているだけでなく、飲食店なども休みとなることが多いため、「歯医者に出かけたついでに外食をして帰りたい」などと考える患者がいる可能性を考えると不利だからです。

よりよい立地を見極めるためにおこないたい「診療圏調査」

以上はおおまかな指標となりますが、おおまかな立地を決めた後、いくつかの候補地を出した後には、「診療圏調査」をおこなうことが必須です。診療圏調査では、診療圏内に暮らす人の数および年齢や性別の割合、生活の動線、平均収入のほか、競合となる歯科診療所の数や口コミまで調べることが望ましいでしょう。

さらに、実際に駅から候補地までを歩いてみて、時間帯による人通りの変化や車道の交通量なども目視によって確認することが理想です。

また、「診療圏内の人口×受診率÷(競合数+1)」の計算式で推定患者数を割り出すことができるので、その患者数が実際に来院したら月にいくら儲かるのか、その額でスタッフの給料まで捻出しようと思ったらスタッフ数は何人が妥当なのかも考えます。

推定患者数の算出に使うデータは以下の方法で入手します。

  • 診療圏内の人口:国勢調査などのデータを参照します
  • 受診率:厚生労働省などが発表している都道府県別・地域別のデータを参照します
  • 競合の歯科機関数+1:現在の歯科医院数は地図またはエリアごとの歯科診療所一覧表などで確認可能です。「+1」は自院のことです
  • 自身での調査が難しい場合はプロを頼ろう

    最低限の診療圏調査は自身でも問題なくおこなえますが、より詳しく知りたい場合はプロを頼るのが一番ですよ!

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