月末から翌月初のレセプトチェックの時期になると、「残業しないと終わらないし大変」と愚痴をこぼすクリニックが出てきがち。しかし一方で、「ほとんど時間がかからずすぐにチェックし終わる」というクリニックも存在します。両者の違いは一体何なのでしょうか? また、レセプトチェックの時間を短縮するコツはあるのでしょうか? 早速みていきましょう。
レセプト業務の流れをおさらいしよう!
まずは、レセプトチェックを含む「レセプト業務」の基本の流れをおさらいしましょう。
【毎日】診療情報をレセコンに入力
レセプト(診療報酬明細書)のもととなる診療情報をレセコン(レセプトコンピューター)に入力します。基本的に、診療内容に対応したコードを入力すると、診療報酬点数が自動的に計算されます。外来患者は来院のたび、入院患者は月に数度の精算のたびに入力するのが一般的です。
また、詳しくは後述しますが、電子カルテとレセコンが連動している場合は、自動でレセコンにも反映されるため手動での入力は不要です。
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【毎月1~10日あたり】レセプトの作成(出力)
患者一人ひとりの診療内容・診療報酬の1か月分の記録を集計して出力します。毎日レセコンに入力しておけば、1か月分の診療内容・診療報酬が自動的に集計および出力されるため手間はかかりません。
【毎月1~10日あたり】レセプトチェック
レセコンから出力された情報が正しいかどうかをチェックします。患者の情報のほか、傷病名と診療行為、処方箋などの整合性がとれているかをチェックします。レセプトチェックがレセプト業務の一番の肝ですが、毎日の入力を丁寧におこなっていればさほど時間はかかりません。また、ミスを発見した場合は速やかに修正します。
【毎月1~10日あたり】ドクターによる確認
レセプトチェックを医療事務がおこなった場合は、その後、必ずドクター本人がチェックします。ただし、最初からドクター本人がチェックしている場合はこの工程は不要です
【毎月1~10日あたり】審査支払機関に提出
レセプトおよび診療報酬請求書を審査支払機関に提出します。
オンラインで提出する場合
オンラインでのレセプト請求は、レセプトコンピューターに入力した診療情報を、社会保険診療報酬支払基金(社保)および国民健康保険団体連合会(国保)に提出期限までにデータ送信するだけでOKです。
ただし、各審査支払機関の確認によって記載内容に誤りが見付かった場合、レセプトが差し戻されたり(=レセプト返戻)、診療報酬点数が減点されたり(=減額査定)することがあります。レセプト返戻となった場合、レセプトを精査・修正して再提出する必要があります。
そのため、後述するレセプトチェッカーを使うなどして、記載内容に誤りがないようにすることが大切です。
紙で提出する場合
紙で提出する場合、社保と国保それぞれでフォーマットが用意されているため、フォーマット通りにレセプトを作成して郵送します。紙での提出は郵送の手間やコストがかかるだけでなく、紛失のリスクもあることから年々件数が減っており、現在では全体の6%程度となっています。
【労災のレセプト請求の流れ】
レセプトおよび診療報酬請求は基本的には社保および国保に提出しますが、患者が仕事中に被ったケガで医療機関を受診した場合は労災扱いとなるため、別途、レセプトを作成して提出することが必要です。また、診療費の内訳である「労災レセプト」と、完治や再発防止のためのアフターケアに伴って発生したアフターケア委託費の内訳である「アフターケアレセプト」の2種類が必要となることも覚えておきましょう。
オンラインで提出する場合
オンラインでレセプト請求をおこなうには、あず、都道府県労働局に対して「(労災)電子情報処理組織の使用による費用の請求に関する届出」を提出する必要があります。提出すると、労働局より折り返しIDとパスワードが記載された「労災レセプト電子処理システムユーザー設定情報」が送付されてくるため、オンライン上で必要な情報を入力します。労災は社保および国保とネットワークを共有しているため、同じシステムを通じて都道府県労働局にレセプト請求をおこなうことができます。
紙で提出する場合
各県の労働局のホームページからフォーマットをダウンロードして、レセプトを作成します。作成したレセプトは郵送またはFAXで提出します。
【生活保護受給者のレセプト請求の流れ】
生活保護受給者は保険証を有していないため、医療機関を受診する際は、福祉事務所から発症された「医療券」を提出することが必要です。医療機関はその医療券に基づいてレセプトを作成して社保に提出します。その後、社保がレセプトを審査して各都道府県に請求をおこない、これが受理されると、医療機関に対して診療報酬が支払われます。
レセプト業務をスムーズにするコツは?
続いては、レセプト業務をスムーズにするコツを説明します。レセプト業務の流れそのものはどの医療機関にも共通のものであるのに、なぜ時間がかかる医療機関と時間がかからない医療機関があるかというと、主に以下のような違いがあります。
電子カルテを使う/電子カルテとレセコンを連動させる
もっとも大きな差はこれ。紙カルテを使っている場合、レセコンに別途入力する必要があるため、毎日の業務も倍の時間がかかります。電子カルテとレセコンを連動させていない場合も二度手間となります。
レセプトチェッカー、電子カルテのレセプトチェック機能を活用する
電子カルテのなかには、レセプトチェック機能が搭載されているものがあります。メーカーによって仕様は多少異なりますが、基本的にはチェックボタンを押すとエラーがある項目が表示されるなどの仕様になっているので、間違いが見つかりやすいうえ、間違いをすぐに修正できます。
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【レセプトチェッカー例】
マイティー・チェッカー・プロ・アドバンス
全国14,000以上の医療機関に使われているレセプト点検システムのベーシックモデルです。見落としがちな「突合点検」、過去レセプトまで見直さなければ難しい「縦覧点検」も高い精度で点検できます。
べてらん君コラボPlus
デジタルの高速処理とアナログ的インターフェイスの見やすさを兼ね備えた、レセプト院内審査支援システムです。帰り際に「スマートチェック」を起動すれば、指定条件のチェックから出力までを自動で完了してくれるので、次回起動時に効率的に業務を開始できます。
週単位でのレセプトチェックで正確さを追求する
チェックを週1程度で丁寧におこなっていれば、月一のレセプトチェックに時間を取られることがありませんし、ミスが見つかることも少ないでしょう。
診療報酬体系についての知識を磨く
勤務医時代は診療報酬体系について詳しくなる必要がなかったことから、診療報酬点数などをきちんと把握していないドクターもいるかもしれません。レセプトチェックは基本事務に任せるにしても、最終確認はドクターがおこなうべきなので、最低限の知識はきちんと身につけておきましょう。
レセプトに関する正しい知識を身につけるためには、発行年度が最新の参考書が役立ちます。令和4年度版として発行されたものだと、とりわけ下記にリストアップした書籍が参考になるので、ぜひ書店で手に取ってみてくださいね。
参照:レセプト事務のための 薬効・薬価リスト 令和4年度版(社会保険研究所)
参照:診療点数早見表 2022年4月版: [医科]2022年4月現在の診療報酬点数表 (2022年4月版)(医学通信社)
「時間をかけてしっかりチェックしよう」という考えを改める
どんな業務に関しても言えることですが、時間をかければかけるほど精度が上がるかというとそんなことはありません。ツールを導入する、慣れないうちは外部に頼むなど、お金で解決できるところは、必要コストとして割り切りって活用することをおススメします。
最初から割り切って外注するのも一手
上記に紹介したコツを取り入れてもレセプト業務のスピードが上がらず四苦八苦しているとしたら、そもそもレセプト業務に向いていないといえます。人には向き不向きがあるので、どうしてもできない、どうしてもうまくいかないことはあって当然。その場合は、最初から割り切って外注したほうがいいでしょう。レセプトのアウトソーシングは5万円~程度でも提供されているので、ぜひ利用を検討してみてくださいね。ちなみに、複数回利用してみると、自院のレセプトで抜けやすいところ、漏れやすいところがわかってくるので、傾向を把握できてからは外注するのをやめて自院でこなすのもありですよ!
参照:ソラスト「遠隔リアルタイム医療事務 リモート医事サービス」
この記事は、2022年12月時点の情報を元に作成しています。