
空気が乾燥するこれからの季節は、院内の湿度をベストな状態に保つためにも、加湿器の導入を検討したいところ。そこで今回は、クリニックにおすすめの加湿器を紹介します。
なぜ加湿器を設置したほうがいいの?
これまで加湿器がなくてもやっていけたし、ないことをさほど不便とも感じなかった場合、「このまま加湿器がなくてもいいだろう」と思うかもしれません。しかし、加湿器があるとないとでは、まず、空間内にいる人にとっての居心地のよさが大きく変わってきます。空気が乾燥していれば髪も肌もパサつきますし、喉も乾きがちで、「なんだか居心地が悪いな」「早く帰りたいな」と思って当然。無意識のうちに、患者のクリニックに対する印象が悪くなっていることもあるでしょう。
また、乾燥した空気中では咳やくしゃみの飛沫が飛び散りやすいため、風邪やインフルエンザが感染しやすくなるだけでなく、ほこりや花粉が舞いやすく、静電気も発生しやすいため、「来院したことでかえって体調が悪くなった」という人が出てくる可能性も。
クリニックにとってマイナスなことばかりなので、加湿器は設置するに越したことはないのです。ちなみに、室内の適切とされる湿度は40~60%なので、加湿器を設置したほうがいいのかを検討するために、まずは院内の湿度を計測してみるのもいいですね。
加湿器選びのポイント
続いては、クリニックにとって理想の加湿器を選ぶために押さえておくべきポイントを説明します。
加湿能力
診察室程度の広さであれば家庭用加湿器でも十分ですが、待合室などの広い空間で使うとなると、加湿能力が高い業務用の加湿器が適しているといえます。目安としては、木造17畳程度であれば加湿能力は1,000mL/hが適切。木造20畳程度であれば1,200mL/h、木造25畳程度であれば1,500mL/hが適切です。また、待合室の形状などによっては、1台ではなく複数台で加湿するほうが適している場合もあります。
ただし、待合室の広さもそれほどでもないコンパクトなクリニックであれば、家庭用の加湿器で事足りる場合もあるでしょう。いずれにしても、クリニックの広さや構造を考慮したうえで必要な加湿能力を考えることが大切です。
加湿方式の違い
業務用加湿器の加湿方法は主に5種類あります。それぞれにメリットとデメリットがあるので、違いをよく理解したうえで選ぶことが大切です。
加湿方法 | メリット | デメリット | 電気代 | |
気化式 | フィルターに水を含ませて、ファンで送風して加湿する | ・タンクや経路の定期的な掃除が必要 ・ヒーターを使わないためやけどの心配がない (※温風ハイブリッド器を除く) |
・加湿力が弱め ・十分に加湿するまでに時間がかかる ・気化フィルターがカビやすいため、基本的に電源をつけたままにしなくてはならない |
非常に安い |
浸透膜方式 | 浸透膜から水蒸気のみを放出して、空気にのせて放出する | ・消費電力が低い ・加湿力が高い |
・定期的な浸透膜の清掃が必要 | 安い |
蒸気式 (スチーム式) |
水を沸騰させて蒸気によって加湿する | ・加湿力が高い ・衛生的 ・ほとんどメンテナンスが要らない |
・消費電力が高め ・水垢の付着を除去するために定期的な清掃が必要 ・スチームが高温の場合、注意が必要 |
高い |
水噴霧式(超音波式) | 水に超音波の振動を当てて霧状にして噴霧する | ・消費電力が低い ・加湿能力が高い ・本体価格や安い |
・加熱しないため雑菌が繁殖しやすい ・こまめに掃除することが必要 ・ミストの粒や大きいため、加湿器のまわりが濡れやすい |
非常に安い |
ハイブリッド式 | 「気化式」「蒸気式」「水噴霧式」とほかの何かを組み合わせる | ・加湿力の調整や強化が可能 | ・本体が大型で高額な傾向にある | やや高い |
クリニックにおすすめの加湿器は?
続いては、クリニックにおすすめの加湿器をみていきましょう。敷地面積が広い医療機関であれば、「業務用」に絞って選ぶのが得策ですが、今回は、ミニマムなクリニックも存在する想定で、25平米前後ならまかなえるサイズ~紹介していきます。ただし、自院の敷地面積より狭い範囲が加湿空間の目安とされる加湿器であっても、複数台を設置して十分な湿度を保つことは可能。そのぶん設置スペースがたくさん必要になりますが、どうしても気に入ったものがあるなら小さめのものを選ぶのもありです。
メーカー | 特徴 | 広さ | |
うるおリッチ | 三協エアテック | ・空気清浄機能付き ・キャスター付きで女性ひとりでも簡単に移動できる |
150平米まで対応 |
HD SERIES パワフルモデル | ダイニチ | ・トレイやアタッチメントなどに抗菌加工が施されている ・運転音が業界トップクラスの静かさ |
木造25畳~木造40畳/プレハブ洋室42畳~プレハブ洋室67畳 |
ストリーマ空気清浄機 MCK70Z | ダイキン | ・加湿+空気清浄 ・水トレイにAg+搭載 ・加湿フィルターを除菌 ・加湿機能は低め・標準・高めの3段階で設定可能 |
~31畳(~51平米) |
加湿空気清浄機 KI-RX100 | SHARP | ・空気清浄機との複合機タイプ ・プラズマクラスター内蔵で衛生面も向上できる ・静電気抑制効果がある |
最大23畳まで |
加湿空気清浄機 F-VXV90 | Panasonic | ・ナノイーX搭載でニオイやカビ、浮遊菌も抑制 | 最大40畳まで |
FE-KXP23 | Panasonic | ・給水タンクが2つに分かれているため、給水の際のタンクの持ち運びが楽 ・ナノイー発生器搭載でカビの発生を抑えられる |
最大40畳まで |
キャスター付きで移動が楽々「うるおリッチ」
電気・給排水工事不要で導入できる空気清浄機能付き加湿器です。1台で150平米まで対応できる加湿能力を搭載。キャスター付きで、女性ひとりでも簡単に移動させられます。医療・福祉施設の導入実績多数。
累計生産台数350万台「HD SERIES パワフルモデル」
累計生産台数350万台を達成していることからも人気のほどが伺える「HD SERIES パワフルモデル」は、加湿器量販店メーカー販売金額シェア9年連続NO.1の実績も有しています。タンクキャップにはAg+抗菌アタッチメントを装着。トレイや気化フィルター、エアフィルターにも抗菌加工が施されているため、院内を清潔に保つことにも役立ちます。
ハイレベルな空気清浄機能がうれしい「ストリーマ空気清浄機 MCK70Z」
広範囲のホコリを吸引するTAFUフィルター搭載の空気清浄機に、高速電子を放出する抗菌加湿フィルターまで搭載されています。加湿量は、コンパクトなクリニックなら十分の700mL / 時。加湿機能は低め・標準・高めの3段階で設定可能。加湿フィルターや水トレイは抗菌仕様で、加湿フィルターはつけ置き洗いもできるので清潔感を保てます。
静電気抑制も得意な「加湿空気清浄機 KI-RX100」
プラズマクラスター内蔵の空気清浄機で、院内の空室向上にうってつけ。給水タンクの容量は少ないものの、空間が十分に加湿されている場合は加湿機能が働かない独自の設計のため、一般的な加湿器の給水回数の半分で事足ります。また、静電気によるバチバチを抑制してくれる効果も期待できます。
ナノイーXがカビや浮遊菌も抑制する「加湿空気清浄機 F-VXV90」
2022年11月上旬発売の新モデル。ナノイーX搭載で、においやカビ、浮遊菌なども抑制することができます。また、ナノイーXによって内部にカビが発生しづらいのもメリット。気化フィルターも受け皿もカビにくい構造になっています。
「FE-KXP23」
気化フィルターに給水するため2,300mL/hの加湿性能を誇ります。タンクは12Lの大容量ですが、6.0Lタンク×2個の仕様なので、給水の際の持ち運びは女性でも無理なくおこなえます。また、ナノイー発生器搭載で、内部のカビの発生を抑えられるのもポイント。
給水の労力も考えて選ぶことが大切
加湿器を選ぶ際には、機能や電気代などさまざまな要素を総合的に比較検討することが大事ですが、その際にチェックを忘れがちなのが給水の労力。「大容量で給水の負担が少なくて済む」ということは、一回に大容量の水を持ち運ばなければならない可能性があるということなので、後から辛い思いをしないようにしっかりチェックしてくださいね。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2022年12月時点の情報を元に作成しています。