クリニックを開業するなら、今や「WEB予約システム」の導入が必須だとされる風潮があります。
しかし、新宿駅から徒歩1分に位置する新宿駅前クリニックでは、予約制を採用していないため、予約システムの導入ももちろんしていません。
予約システム、そして予約制の利便性を上回るほどの「導入しない理由」があるでしょうか?あるとすれば具体的にどのような内容なのでしょう。
実際に、新宿駅前クリニックの院長・蓮池林太郎先生に説明していただきました。
予約システムの導入だけでなく、予約制も不採用とした理由
当院は予約システムを導入してません。
そもそも、初診・再診に関わらず予約制をとっておらず、当日来院された方から順に診察をするようにしています。
たしかに数年前から予約システムを導入をしているクリニックは増えていますし、当院でも予約制の導入を検討したことはあります。
検討の結果、予約制をとらなかった最も大きな理由は、予約制にしても、予約した時間通りに診察をおこなうことがなかなか難しいからです。
患者数が少なくいつでも予約が取れるのであれば、大きな問題になることはないでしょう。
しかし、実際には医師によって診察スピードは異なりますし、患者さんの状態によっては直ぐに診察が終わり、次の診察まで空白の時間が生まれてしまう可能性もあります。逆に診察が長引くことで、その後ろに控えている患者さんを待たせてしまうこともあります。
また、当院は新宿駅の近くという土地柄もあるでしょうが、働き盛りの患者さんは仕事の都合で予約時間通りに来院できるとも限りませんし、予約をとる暇もなく仕事の合間ですぐに診てほしいというニーズがあります。
他には、たとえば時間帯別の予約制にしても、特定の時間帯だけに予約が集中してしまい、かかりたい時間帯にかかれないため、予約せずとも希望時間に診てもらえる他のクリニックに行かざるを得ないこともあります。
予約制(予約システム)を導入した際に起こりうるクレーム
予約制を導入しているクリニックの院長と度々お話しさせてもらうことがあります。
その際によく聞くのは、予約していた患者さんから「予約しているのに時間通りに呼ばれない」という意見や、逆に、予約していなかった患者さんには「あとから来た(予約している)人ばかりが呼ばれて、全然呼ばれない」という意見があるということです。
混雑しているクリニックであれば、予約していた患者さんが30分以上待つことも珍しくありません。
しかし、お待たせしないために時間ごとの人数を減らして、仮に1時間に10人までとしたら、8時間で最大80人までしか診療できません。
当院は1日に300人以上の患者さんが訪れますので、このような事情を勘案し、予約制は現実的ではないと判断しました。
予約制(予約システム)を活用しやすいクリニック・診療科
多くの患者さんを診療せず、じっくり時間をかけて診察したい医師であれば、予約制を導入してもよいでしょう。
実際に新宿駅周辺や東京都内のオフィス街のクリニックは、完全予約制(予約制のみ)のクリニックは少なく、予約制は導入しているものの予約なしでも診療を受けることができるクリニックもあります。
とはいえ、科目によっても予約の向き不向きはあります。小児科(母親と子供が一緒のため)、心療内科、生活習慣病(高血圧、脂質異常症、痛風、糖尿病など)を中心に診療しているクリニックであれば、完全予約制にしても良いかもしれません。
特徴
予約・受付機能
提供システム
対応言語
システムとの提携
その他機能
診療科目
特徴
予約・受付機能
対応言語
システムとの提携
提供システム
診療科目
この記事は、2021年9月時点の情報を元に作成しています。
執筆 医療法人社団SEC 理事長/新宿駅前クリニック 院長 | 蓮池 林太郎
2009年に新宿駅前クリニックを開設。現在は自院経営を通じて培ったネット集患の知見をもとに、クリニックの開業支援およびコンサルティングを実施。多数の書籍執筆やセミナー、メディア出演も行っている。著書に『競合と差がつく クリニックの経営戦略ーGoogleを活用した集患メソッド』(日本医療企画)、『患者に選ばれるクリニック: クリニック経営ガイドライン』(合同フォレスト)など。
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