開業医のみなさんが悩むことの中に、クリニック開業直前に実施する「内覧会」があります。「内覧会をそもそもすべきなのか?」「するなら何を企画すればいいのか?」「ノベルティはどうしたら良いのか?」など悩みはつきません。
そこで、兵庫県や東京都に計8クリニックを経営する、医療法人 梅華会の理事長である梅岡比俊医師による「クリニック開業・経営ベストプラクティス」第4弾では、クリニックを開院するごとに梅岡医師が実施してきた、クリニックの内覧会の具体的なノウハウを余すことなくご紹介します。
以降は梅岡医師によるアドバイスとなります。
内覧会で一番大切なのは目的を持つこと
何のために内覧会を実施するのか?と問われると、一番大切なことは目的を持つことです。その目的が地域住民の方々にクリニックを認知してもらうことであれば、私は絶対に実施するべきだと思うし、逆にその対象がお付き合いのある業者さんや、医師に対してであれば、それほど必要ないのではないかというのが私の考えです。
また、新しいクリニックが出来るとき、地域の方が気にされていることと言えば、「どのような先生が診察しているのか」が上位に来るのではないでしょうか。そんな地域の方が気にされることに対して、内覧会を実施し、先生とコミュニケーションを取ることで、先生の人柄を知る機会がもてるのです。
さらに、診察中の医師としてではなく、一人の人間として親近感を持ってもらえるというメリットがあります。
内覧会の目的の一つは地域の方に喜んでもらうこと
私はこれまで新しいクリニックを開院するたびに内覧会を行ってきました。以下、過去におこなった内覧会の一例です。
開催日程は3日間、1日目2日目は6時間、最終日は5時間にする場合が多かったです。
内容は、
あとは子どもたちに向けてお祭り感覚で、
などです。
企画で意識していることは地域の方々のためになり、喜んでもらうことです。コストに限りはありますがノベルティを渡したり、自らの科目の専門性を活かしたような話や、検査を実施しました。
例えば耳鼻科であれば無料で聴力検査を行ったり、眼科であれば視力検査を行ったり。その他エコー検査や骨密度を測定するなど、自身の健康に意識を向けてもらい、少しでも体に異変を感じたら病院に行こうと思ってもらえるような取り組みを心がけています。
その時点で来院を希望される方には「今日問診を記載しておいてもらうと、次回来院した際に楽ですよ」とお伝えし、準備してもらうこともあります。
入口を開放するなど入りやすい工夫を
梅華会にはくりんちゃんというイルカのキャラクターがいるのですが、ノベルティにはくりんちゃんのイラスト入りで、オリジナルの風船を作成して配ったり、ハンカチを作成して配ったり、お薬手帳を作成して配ったりしています。近所のメロンパン屋さんにクリニックまで来てもらい、メロンパンを配ったこともありました。
地域によって、また医師会に加入しているか否かによって、制限は様々かもしれませんが、私は事前に内覧会の案内を地域の住民の方にポスティングしていたこともあり、200~300人の地域の方々が来てくださいました。内覧会に来る人数が事前にわかれば、スタッフもフルで動員したり、休憩時間を交代で取ったりしながら、対応したほうが良いかもしれません。
また、ちょっとした工夫ですが、クリニックの入り口は開放感を出して入りやすい雰囲気を出しておくと、当日ふらっと立ち寄ってくださる方が増えます。さらに、入口に誘導係を配置して、「軽く立ち寄ってみませんか?」とお声がけするのも効果的です。ただし、私の経験上、若い女性スタッフは恥ずかしがる方も多いので、開業支援会社の担当者など、営業に自信のある方を配置するのがおすすめです。
(編集:CLIUSクリニック開業マガジン)
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2023年1月時点の情報を元に作成しています。
執筆 医療法人 梅華会 理事長 梅岡比俊
1973年生。
2008年、「梅岡耳鼻咽喉科クリニック」を開設。
2011年に医療法人梅華会理事長に就任し、分院開設。
以降は2021年までに分院・フランチャイズなど合わせて9つの施設を開設する。
『卓越したクリニック運営が日本に普及浸透し、関わる人々を幸せにする』をミッションに掲げた開業医コミュニティ「M.A.F ( https://maf-j.com/ ) 」も主催する。
トライアスロンやマラソンに挑戦するアスリートの一面や、野菜ソムリエ、歴史能力検定。ファスティングマイスターなどの各種資格も併せ持つ。
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