
コロナ禍には、感染リスクを考えて医療機関を利用する人が激減しました。それによって経営状況が苦しくなった医療機関は数知れず。しかし一方、コロナをきっかけに売上を上げた医療機関や、コロナ禍であるにも関わらず開業に踏み切り、順調に患者を増やし続けている医療機関も存在します。そこにはどんな差があるのでしょうか? 早速みていきましょう。
明暗が分かれる3つの要素
クリニックを成功または失敗へと導く要素は大きく下記の3つに分けられます。
1. 情報収集
2. 集患
3. コスト管理
時代のニーズや患者のニーズに関わる情報をいち早く集め、患者および潜在患者にそれを知ってもらうことで集患につなげ、適切な患者単価設定やコスト削減に取り組んでいるクリニックは強いといえます。
コロナ禍でクリニックの経営に成功したパターン
続いては、それぞれの項目ごとに、コロナ禍でクリニックの経営に成功したパターンをみていきます。
情報収集
コロナ禍という不測の事態においては、経営状況を向上させるために自院に何ができるのかがわからないというクリニックが多かったはず。そもそも、先の見えない状況において正解など存在しないのですから、先見の明を持った人たちの意見を参考にしながら、自分で道を開拓していくほかありません。その点、コロナ補助金、他クリニックの成功事例など参考になる意見を収集する術に長けているクリニックは有利であったといえるでしょう。下記のような開業医が集まっているコミュニティへの参加などを考えても良いかもしれません。
参照:開業医・開業準備医師に限定したオープンチャット形式の情報交換サロン「ドクターズチャート」
集患
感染防止対策のためにオンライン診療を導入するクリニックが増えたのも、コロナ禍における大きな変化です。黎明期にはビデオアプリの操作に慣れていない患者も一定数いましたが、そんななかで、患者にとっても使いやすいアプリであるかどうかを考えながら、オンライン診療のシステムを構築していったクリニックは勝ち組となったケースが多いでしょう。
感染防止対策を講じていることはどの医療機関も同じですが、「うちは特に力を入れている」とアピールするかどうかで、患者が抱く印象は変わってきます。「このクリニックは感染対策を徹底しているから利用したい」と思ってもらえるよう、SNSでの発信などに工夫を凝らしていたクリニックは、経営が順調なパターンが多いようです。
ワクチンの接種には賛否両論ありますが、収入面での安定をひとつの成功と捉えるなら、多くの患者に来院してもらえるチャンスを逃さないことは大事です。
ワクチン同様、大きな収入源となったのがPCR検査です。PCR検査には、保険適用のものと自費検査と2パターンありますが、発熱や咳などの症状が見られる場合や濃厚接触者に該当する場合をのぞき、自主的に受けるものは自費検査になるため、この検査をおこなっていたクリニックの多くが売上UPを実現させています。
コロナ禍は、多くの人が「免疫を上げることの重要性」について考えるきっかけとなりましたが、これをチャンスととらえ、免疫強化につながるメニューを多くそろえたクリニックもあるでしょう。また、脱毛や倦怠感、味覚障害などのコロナ後遺症治療に特化した自由診療クリニックにも注目が集まるタイミングとなりました。
コスト管理
コロナ禍で廃業するクリニックが増えるなか、開業することのメリットとしては、物件を安く借りられることや、エリア内の競合が少なくなることが挙げられます。それを見越したうえで、少ない資金で、競合が少ないエリアで開業できるようであれば、そもそも分析力が高く、どんな状況下においてもうまく経営を成功に導ける可能性が高いでしょう。
オンライン診療のためのシステム、電子カルテシステム、予約システム、自動釣銭機など、クリニックの業務効率化に役立つIT機器はさまざまに存在します。これらを積極的に導入してDX化に取り組むことによって、業務効率化につながるだけでなく、人件費削減を実現できます。コロナ禍で患者が減ったとしても、そのぶん人件費を削減しながらクリニック運営を続けることで乗り切れたというケースもあります。
コロナ禍でクリニックの経営に失敗したパターン
続いては、コロナ禍でクリニックの経営に失敗したパターンをみていきます。
患者が減っても何も対策を取らなかった
患者が減って売り上げが減っているのに、スタッフの勤務日数も減らさず、いつも通りのスタイルで診療をおこなったら、出費がかさむ一方です。「ひとりでも患者がいる限り休むわけにはいかない」という考えは立派ですが、たとえばスタッフの数を減らしたとしても、そのひとりを診察することは可能ですし、感染対策も兼ねてオンライン診療に切り替えるなどすれば、これまで通り診療を受けたいとしてくれる患者も多かった可能性が高いといえます。
補助金などの情報に疎い
コロナ禍初期の2020年には、厚生労働省が厚生労働省の「医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業」をスタート。感染対策のために必要な清掃委託や個人防護具の購入に充てられるよう、無床診療所は上限100万円、有床診療所は上限200万円で補助金を用意していました。しかし、この補助金を含め、基本的に助成金や補助金といった類は申請しなければもらうことができません。期限内に申請するためには、早い段階で情報をキャッチすることが不可欠なのです。
補助金などの申請手続きが苦手、ITが苦手
補助金などの申請手続きが苦手、またはITが苦手であれば、入手した情報について詳しく調べることも、自院で実践することも億劫に感じられるでしょう。その結果、負け組の一途をたどってしまうクリニックも多く存在しますが、各種手続きやITが苦手であるなら、税理士などを頼ることが得策といえるでしょう。
時代の波に柔軟であることは大切。今考えるべきは、アフターコロナで成功するための秘訣
時代は今、ウィズコロナからアフターコロナへと切り替わりつつあります。そうなると、ウィズコロナ時代と同じ対策を講じていても高い効果は期待できません。特に、これから開業するのであれば、アフターコロナ時代に必要なことを考えることは不可欠。アフターコロナには患者のニーズはどう変わっていくのか、オンライン診療はどう進化していくのかなど、考えるべきことはたくさんあります。とはいえ、ひとりで悶々と考えてもひらめきは得られにくいはず。同業者が集まるセミナーやオンラインのコミュニティに参加したり、またはSNSでのドクターたちの発言をチェックしたりすることで、意識を高く保ち続けることができたらいいですね。
特徴
対象規模
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診療科目
この記事は、2023年3月時点の情報を元に作成しています。