美容クリニックを利用する患者の多くは、口コミを比較検討して、どのクリニックを利用するかを決めています。
その他の診療科を利用する場合も口コミを確認するケースが多いですが、美容クリニックでの施術は見た目に直結することから、他の診療科の患者に比べて真剣に口コミをチェックする傾向にあります。そのため、よい口コミが多ければ集患につながりやすく、反対に悪い口コミが多ければ患者数が激減する可能性もあります。
では、特に後者に関して、クリニックはどう対処していけばいいのでしょうか?
「悪い口コミ」の例
まずは、実際に口コミサイトに書き込まれている口コミを具体例として紹介していきます。
仕上がりに納得できないケース
「眉下切開はまったく変化がないし、二重切開は逆に目尻が下がってシワが目立ったし、カウンセリングで伝えたことはなんだったのか? と思いました。保証制度を利用したいと申し出たものの、これ以上は無理ですとのこと。保証制度はないと思ったほうがいいです」
「約70万円で二重埋没をやりましたがすぐにとれました。やり直してもらいましたが幅が安定せず、ほとんど二重のラインが見えません」
美容クリニックの施術は容姿に直結することから、悪い口コミでもっとも多いのは、仕上がりに納得できないという趣旨のものです。逆に言うと、美容クリニックを利用する患者の多くは、最終的には仕上がりさえ満足であれば、クリニックに対して悪い印象を持たない場合が多いでしょう。
では、仕上がりに納得できないことが原因の悪い口コミを防ぐにはどうすればいいのか?については、「どこまで要望に応えられるのか」を、事前にはっきりと伝えることが重要です。
事前カウンセリングで、「絶対に今より10歳は若く見えるようになります」などと過度な期待を持たせてしまうことは絶対にNG! また、美しさの判断基準は人によって違うので、実際にドクターが「よくなった」と思っても、患者自身は全然満足できていないということも十分あり得ます。
勧誘がしつこくてうんざりしているケース
「とにかく勧誘がひどい。当日施術させようとしてくる。断ると態度が急変する」
「カウンセラーが高圧的で勧誘がしつこい」
これも、美容クリニックに非常に多い口コミです。「今日中に契約すれば●%オフになる」など謳って契約を迫る行為も、後々、悪い口コミとして書き込まれやすいです。
ドクターやスタッフの態度に立腹しているケース
「カウンセリング担当者に、あなたの年齢的にもこの施術をした方がいいなどと言われて傷つきました」
「症状をよく見もせず勝手に施術を決めたドクターに不信感しか持てなかったのでお断りして帰ってきた」
当たり前ですが、美容クリニックを利用する患者は、自分の容姿に満足できない箇所があり、理想の自分に少しでも近づけてくれるクリニックを探しています。
その気持ちに寄り添わず、「年を取ったら美容整形するべきだ」「美容整形しないとキレイになれない」という主旨の発言をすると、悪い口コミを書き込まれる可能性が高いです。
待ち時間の長さに辟易しているケース
「予約という概念をぶち壊すほど待たされた」
「予約の意味は0です。2時間待たされて我慢できず帰宅。フォローもなし。こんなクリニックはいずれ潰れるでしょう」
保険診療とは異なり、施術代が高額な美容クリニックでは、待ち時間に対する不満が大きくなりやすいです。
患者からしたら、「こんなに高いのにサービスが悪いなんて!」と思って当然のこと。予約システムを導入してきちんと予約を管理することが大切です。
このような口コミがついていると、それを見たほかの患者もマイナスイメージを抱き、どんどんと足が遠のいてしまいます。ではこうした口コミに対してどのような対処を取ればよいのか?について、以下で場合分けして解説していきます。
口コミに書かれた内容が真実である場合
口コミに書かれた内容が真実である場合は、患者に対して不快な思いをさせたことをお詫びするとともに、それを改めていく旨を返信として記すことが望ましいです。
たとえば、「受付スタッフが、処置内容に関して他の患者にも聞こえる声で確認してきて恥をかかされた」などの口コミが入り、実際にスタッフがそのような行動をとったことがあるとしたら、スタッフ教育を一段と厳しくして、二度とそのようなことがないようにしますとの返信を書き込むのが理想です。
非を認めるのは大きな打撃となる……と考えるかもしれませんが、万が一、書き込んだ本人がその様子をレコーダーに収めていて拡散した場合などには、同時にクリニックにも問題があったことが露わになります(もちろん拡散したことも周りから批判されるかと思いますが)。
誰もがスマホを当たり前に持っている時代は、書き込みも水面下での記録も容易なので注意が必要です。
また、悪い口コミに対して真摯な対応をして、謝罪や、意見してくれたことへの感謝の気持ちを表現しておくと、それを見たユーザーからはかえって好印象を持たれる場合が多いです。
口コミに書かれた内容が事実無根である場合
口コミに書かれた内容が事実無根である場合は、クリニックでそのような対応をしていない旨を返信して問題ありません。ただし、書き方には注意が必要です。
自分の希望が通らなかったことなどから、逆恨みして根拠のない悪口を書いてくる人は、対応の仕方を間違えると、さらに攻撃してくる可能性も高いです。
それを防ぐためにも、相手と同じ土俵に立って、相手を批判するような言葉を並べ立てるのは絶対にNG!決して感情的になることなく、事実と相違があることを淡々と伝えましょう。
悪口を書かれると全力で反論したり言い返したりしくなるのもわかりますが、毅然とした態度で真実を記した方が、第三者もクリニックの味方になってくれます。
口コミに書かれた内容が誹謗中傷レベルである場合
口コミに書かれた内容が事実無根で、なおかつその内容が誹謗中傷に該当するは、サイト管理者に連絡して削除を求めるのが最善の策です。
ただし、サイトによっては削除に応じてくれない場合もあります。その場合、裁判所で削除の仮処分を求める手続きをとる必要があります。
口コミをはじめとするインターネットの書き込みは、時間が経つほど拡散されて多くの人の目に届くことから、少しでも早く削除するために「削除仮処分」の手続きをとることが有効です。
「削除仮処分」とは、裁判所からサイト管理者等に対して、仮の削除命令を出してもらう手続きです。目安としては、仮処分命令の発令から1~2か月程度で削除されるケースが多いです。
また、書き込みの内容が悪質である場合、裁判所からプロバイダ等に対して発信者情報の開示命令を出してもらう「発信者情報開示の仮処分」や、裁判所からアクセスプロバイダ等に対してアクセスログの消去を禁止する命令を出してもらう「発信者情報消去禁止の仮処分」の手続きをとるという選択肢もあります。
ただし、いずれの方法も、お金も時間もかかるので、よほどのケースでない限り、削除仮処分まででとどめておくことをおすすめします。
悪い口コミを減らすには
悪い口コミができるだけ入らないよう患者対応に気を付けていても、悪い口コミをゼロにするのは難しいのかもしれません。ただし、前述した通り「患者にしっかり説明したうえで納得して施術を受けてもらう」などを心がけることで、極力減らすことは可能です。
悪い口コミが入ってから削除を申し立てることもできなくはありませんが、余計な労力を使うことなく医療に専念するためにも、できる限り対策は講じておくようにしてくださいね。
特徴
その他特徴
対応業務
診療科目
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この記事は、2023年5月時点の情報を元に作成しています。
執筆 CLIUS(クリアス )
クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
機器連携、検体検査連携はクラウド型電子カルテでトップクラス。最小限のコスト(初期費用0円〜)で効率的なカルテ運用・診療の実現を目指している。
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