採用面接は採用後のミスマッチを防ぎ、早期離職などの採用後のトラブルを極力減らすためにも重要です。
求人に応募してきてくれた方と、一度面談して採用の可否を決定します。中には面接だけでなく、簡単な一般常識のテストを行うところもあります。
では、面接時にどんなポイントに気をつけるべきか社労士の先生に執筆した内容を元に考えていきましょう。
応募者への質問(してはいけないもの)
いろいろな質問をしたくなると思いますが、採用面接時に就職差別につながる恐れのある質問は行わないように注意が必要です。
以下のような質問は就職差別、男女雇用機会均等法やハラスメントに抵触する可能性がありますので、質問しないように注意しましょう。
これらの質問は、例えば能力に関係のないところで採用の判断基準を持つことになりかねず、また一つの質問から応募者がかえって緊張してしまい、返答に困って採用の可否に影響を与えてしまうことになります。
また実際の面接では、応募者自らが住居のことや親の勤務先などを話すこともみられますが、その際は趣旨を応募者に説明して、これらの事については述べなくてよいですと伝えてください。
NG質問の例は他にも、以下のようなものがあります。
思想・信条の自由は憲法で保障されています。これらを採用に持ち込むことは基本的人権の尊重を侵すことになります。
応募者の適正・能力を中心とした選考を行うのではなく、本人の責任ではない事柄で判断 することになり不適切とされます。
性別を理由(背景又は前提)とした質問は、男女雇用機会均等法に違反する採用選考にな ります。女性が応募してくることの多いクリニックでは、特に気を付けたい質問です。
反対に、「質問するべき項目」としてはどのようなものがあるのでしょうか?
応募者への質問(するべきもの)
希望条件
応募者とのミスマッチや早期離職を防ぐために、クリニックの運営方針や理念と見合うのかを確認します。
クリニック側は、どれくらいの所定外労働時間を想定しているのか、また定期的な勉強会などを開催する場合は、そのような事情を応募者に伝えて、対応可能か質問を行っておくのも重要でしょう。
また、求人票をみて応募してきているので給与面や勤務時間などは応募者側もある程度理解していると思いますが、実際には月1回は受診の為定期的に休みが欲しい、子供が小さいため少し早く帰りたいなど、個別の事情がある人も応募してくるでしょう。それらを知るために、「働くうえで何か配慮したほうが良いことはありますか?」と確認を取っておきましょう。
スキルについて
以前に勤務していた病院や施設などで得たスキルを確認しましょう。看護師採用の場合、看護技術だけでなく、電子カルテを導入しようとする場合は、電子カルテの使用経験やPC作業が苦にならないかも確認しておきましょう。
医療系資格取得者は、PC作業が苦手な人が多い印象があります。一番は実際にPCを使用した実技テストなどを行うことが一番ですが、むずかしい場合には
などを質問することで、PCスキルを確認できます。
転職・退職理由について
応募者が何にストレスを感じるのか?働くうえで何を重視しているのかを確認します。しかし基本的にこのような質問には本音で答えないことも多いので、できるだけ本音で話してもらうような質問の工夫が必要です。
具体的には、「もしその転職理由がなかったとしたら、まだ前の職場で働き続けていましたか?」という質問をした際に、返答に詰まる場合は、本心ではない可能性が高いでしょう。
「前職ではどのような時にストレスを感じましたか?そのストレスを感じたときにどのように対処されましたか?」といった質問も、ストレスを感じるポイントとその対応方法を確認するうえでは有効になります。
「当クリニックで働く場合、どのようなことを一番がんばりたいですか?」という質問も、転職理由と齟齬がないかを確認できます。
懲戒歴
クリニックで働いてもらう以上は、協調性や信頼性のある人を雇用したいところです。もちろん、面接中の話しぶりや表情からも、その人の人柄もわかることが多いです。しかし、主観的ではなく客観的な評価もほしいところ。そこで、今までの職歴で懲戒処分をされたことがあったのか?あった場合はその懲戒の理由を確認してみましょう。過去における勤務態度の大まかな目安になります。
懲戒処分を経験しているということは、やはり何らかの問題がある可能性が高くなります。
質疑応答
賃金や休みなどの待遇の条件をお互いに確認しましょう。 採用面接で最低限の質疑応答をしておくことは以下の通りです。
①給与②労働時間や所定休日については、すでに聞いていることの確認をする程度ですが、最後に③の自己PRをしてもらいましょう。これまで質問してきた内容や勤務条件についてどれだけ本気だったのかの確認になります。この自己PRがこれまでの質問に答えてきた内容とズレていると本気度には疑問符が付きます。
また筆者の経験則ですが、④の応募者からの質問が無い、又は消極的な質問(例:急遽休む場合、誰に連絡をしたらよいのか等)はあまり良い方は少なく、逆にどのような勉強会をやっているのか?働く上での研修体制はどのようなものか?などの積極的な質問は良い方が多い印象を受けます。
ここで一息!面接あるあるとその対策法
採用面接でよくあるのが、応募者の面接ドタキャン。事前連絡があれば良いほうで、事前連絡なしのドタキャンも珍しくありません。経験則では、事前連絡ありを含めると3割程度の確率で面接ドタキャンが発生していました。理由は、他のところに採用が決まった、忘れていた、面談や履歴書等の作成ができなかった等が考えられます。特に看護師ではどこの病院・クリニックでも人手不足の状態ですので、先に他の就職先を見つけるといったことが多いと思われます。
ドタキャンをできるだけ回避するために、2つの事を行うことをお勧めします。
面接の案内状を送る
面接日時・場所・面接官・簡単な会社の紹介を記載したものをメールで送ります。手間がかかるようですが、一度作れば他の応募者にも使えてコスパも良い対策となります。
面接の2日前にはリマインド
純粋に面接を忘れてしまう人もいるので、リマインドは必須。その際に、面接時の飲み物は何が飲みたいか、何か飲み物で苦手なものはあるかなどを確認しておくと、ドタキャンしにくい状況を作れます。
いかがだったでしょうか?面接時の質問や、フローなど参考にしつつ、自院にあったスタッフを採用できるようアレンジをすると良いですね。
特徴
対応業務
診療科目
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診療科目
この記事は、2023年7月時点の情報を元に作成しています。
執筆 HR-Style社会保険労務士事務所 | 藤井 健文
HR-Style社会保険労務士事務所代表/社会保険労務士/理学療法士
代表が理学療法士という医療系国家資格を持つ、全国でも数少ない社会保険労務士。
医療介護現場で技師長を含める経験は10年を超えており、その経験を活かし独自の医療・介護現場サポートも行っている。医療介護福祉業界の関与先が多数を占める。
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