院内処方をおこなう医療機関数は年々減少している傾向にあります。そんななかでも院内処方を続けるのなら、院内処方のルールをきちんと把握しておく必要があります。そこで今回は、院内処方における違法行為について解説していきます。
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令和4年の院内処方率は約2割
冒頭で述べた通り、院内処方をおこなう医療機関数は年々化粧しています。平成30年からの年次推移は以下の通りで、令和4年には、病院・診療所ともに院内処方率は約2割にとどまっています。
【クリニック・病院の院内処方率の年次推移】
クリニック | 病院 | |
平成30年 | 25.2% | 20.8% |
令和元年 | 24.3% | 20.5% |
令和2年 | 23.7% | 19.2% |
令和3年 | 22.4% | 18.9% |
令和4年 | 21.6% | 18.5% |
参照:厚生労働省「病院-診療所別にみた医科の院外処方率の年次推移」をもとに作成
そのため、院内処方のルールについて考える機会は少ないかもしれません。特に、院内処方における違法行為については意識されることはほとんどないでしょう。
院内処方における違法行為とは?
では、院内処方における違法行為とはなにかというと、「院内薬局がなく、薬剤師も在籍していないクリニックにおいて、薬剤師以外の従業員が、薬剤の販売または授与の目的で薬剤を調剤すること」です。これは、薬剤師法第19条によって定められていることですが、「じゃあ薬剤師を雇わなければ院内処方にしてはいけないのだろうか?」との疑問が沸きますよね。
答えはNOで、薬剤師法第19条は、詳しくは以下のように定められています(一部割愛)
・第19条 薬剤師でない者は、販売または授与の目的で調剤してはならない。ただし、医師もしくは歯科医師が次に掲げる場合において自己の処方せんにより自ら調剤するときはこの限りでない。
一 患者または現にその看護に当たっている者が特にその医師または歯科医師から薬剤の交付を受けることを希望する旨を申し出た場合
二 医師法第22条各号の場合または歯科医師法第21条各号の場合
上記「二」で記されている「医師法第22条各号」および「歯科医師法第21条各号」は以下の通りです。
【医師法第22条各号】
一 暗示的効果を期待する場合において、処方箋を交付することがその目的の達成を妨げるおそれがある場合
二 処方箋を交付することが診療または疾病の予後について患者に不安を与え、その疾病の治療を困難にするおそれがある場合
三 病状の短時間ごとの変化に即応して薬剤を投与する場合
四 診断または治療方法の決定していない場合
五 治療上必要な応急の措置として薬剤を投与する場合
六 安静を要する患者以外に薬剤の交付を受けることができる者がいない場合
七 覚醒剤を投与する場合
八 薬剤師が乗り組んでいない船舶内において薬剤を投与する場合
【歯科医師法第21条各号】
一 暗示的効果を期待する場合において、処方箋を交付することがその目的の達成を妨げるおそれがある場合
二 処方箋を交付することが診療または疾病の予後について患者に不安を与え、その疾病の治療を困難にするおそれがある場合
三 病状の短時間ごとの変化に即応して薬剤を投与する場合
四 診断または治療方法の決定していない場合
五 治療上必要な応急の措置として薬剤を投与する場合
六 安静を要する患者以外に薬剤の交付を受けることができる者がいない場合
七 薬剤師が乗り組んでいない船舶内において、薬剤を投与する場合
つまり、医師または歯科医師であれば、上記の条件をクリアしていれば調剤が可能ということになります。
なお、厚生労働省が平成31年に公布している「調剤業務のあり方について」によると、「調剤内容に関して最終的に薬剤師が確認すること」「調剤は、最終的に内容を確認する薬剤師の指示に基づいておこなわれること」の2点を守ることができるなら、薬剤師以外が調剤することも認められています。
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院内処方が違法とみなされたことはある?
医師または歯科医師が前述の条件をクリアしていれば調剤可能となれば、院内処方が違法とみなされたケースはないのでは? と思うかもしれませんが、実際、過去にはクリニックの事務スタッフや看護師などが薬の調剤をおこなった結果、「無資格調剤」とみなされて逮捕された事例があります。そのため、院内処方を続ける場合も、今後、院内処方に切り替えたいと考えている場合も、ルールは厳守するよう、クリニックの体制をきちんと整えてくださいね。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2024年1月時点の情報を元に作成しています。