医師の働き方改革は2024年4月施行。クリニック・病院が気を付けるべきポイントは?

2024年4月、「医師の働き方改革」の新制度が施行されます。これに伴い、各医療機関には、制度の仕組みをしっかりと理解して、必要な手続きを進めておくことが求められます。具体的には、どのようなことを理解して、どのような手続きを進める必要があるのでしょうか? 詳しく解説していきます。

目次
  1. 医師の働き方改革とは?
  2. 医師の時間外労働規制とは?
  3. 医師の時間外労働規制におけるA・B・C水準の要件は?
    1. A水準
    2. B水準
      1. B水準の指定要件
      2. 連携B水準の指定要件
    3. C水準
      1. C-1水準の指定要件
      2. C-2水準の指定要件
  4. 医師の時間外労働規制についてよくある質問
  5. 時間外労働規制への対応に関して各医療機関が考えるべき課題は?

医師の働き方改革とは?

「医師の働き方改革」とは、政府が主導する医師の勤務環境改善のための制度や、制度の施行に伴って医療機関などに求められる取り組みの総称です。なぜこのような改革が推進されることになったかというと、医療業界では長時間労働が常態化していて、特に医師は休日を確保することもままならないという状態が改善されずにいるためです。具体的にどのくらいの長時間労働かと言うと、令和元年における医師の勤務実態調査では、労働基準法で決められた労働時間である週40時間未満の労働時間である医師は、わずか13.7%という結果が出ています。

参考:厚生労働省医政局医事課 医師等働き方改革推進室「医師の働き方について」PDF33枚目より一部抜粋

では、なぜ改善が必要かと言うと、長時間労働にはたくさんの弊害があるためです。一般に、生産性の低下や残業増加によるコスト増大のリスク、ストレスや鬱が原因の自殺者を生むリスク、過労死のリスクなどが考えられるとされています が、これは医師にも当てはまること。つまり、医師の心身の健康を守るためにも、「医師の働き方改革」の施行は必須だったのです。

また、かねてより課題となっている「2025年問題」への対応として、ますます増加する医療ニーズに応えていくためにも、医師の体調を万全に整えるための制度を構築することは不可欠です。前述のようなリスクを抱えたままで医療の提供を続けることは医療事故にもつながりかねませんし、医療の質そのものが低下することが考えられるためです。

医師の時間外労働規制とは?

前述の通り、「医師の働き方改革」は、医師の勤務環境改善のための制度や、制度施行に伴い医療機関などに求められる取り組みの総称ですが、そのなかで最も肝となるのが「医師の時間外労働規制」です。「医師の時間外労働規制」とは、医療機関の水準別に設けられた時間外労働上限時間を超えて働いてはならないとするもので、水準はA・B・Cの3種類にわけられています。

なぜ時間外労働上限規制が一律で設定されていないかというと、大学病院をはじめとする一部の病院では、上限が低すぎると必要な医療を提供できなくなる可能性があるためです。

ただし、すべての医療機関が原則として目指すべきとされる「A水準」以外の2つの水準は、“暫定的な措置”とされており、B水準は2035年度末までの終了目標が立てられており、C水準は「将来に向けて縮減していく」とされています。また、B水準とC水準に関しては、指定を受けた医療機関で働くすべての医師に適用されるのではなく、指定される業務に従事している医師のみが対象とされています。

医師の時間外労働規制におけるA・B・C水準の要件は?

続いては、医師の時間外労働規制におけるA・B・C水準の要件をみていきます。

水準 対象となる医療機関 時間外労働の上限
A水準 年960時間/月100時間未満(例外あり)
※いずれも休日労働含む
連携B水準 医師を派遣する病院 年1,860時間/月100時間未満(例外あり)
※いずれも休日労働含む
≪2035年度末を目標に終了≫
B水準 救急医療等
C-1水準 臨床・専門研修
(臨床研修医・専攻医が、研修プログラムに沿って基礎的な技能や能力を習得する際に適用)
年1,860時間/月100時間未満(例外あり)※いずれも休日労働含む
C-2水準 高度技能の修得研修
(医籍登録後の臨床従事6年目以降の者が、高度技能の育成が公益上必要な分野について指定された医療機関で診察に従事する際に適用

参考:厚生労働省「医師の時間外労働規制について」

A水準

A水準の時間外労働は原則1日8時間(週40時間)とされていますが、従業員に法定労働時間を超える時間外労働や休日労働を依頼するために、事前に結ばなければならないとされる労使協定「36協定」を締結している場合、時間外労働の城辺は年960時間/月100時間未満となります。

また、時間外労働が月100時間を超える場合、下記の追加的健康確保措置を講じます。

【追加的健康確保措置】

連続勤務時間制限28時間・勤務間インターバル9時間の確保・代償休息のセット(努力義務)

B水準

B水準は、地域医療提供体制の確保の面から、医師の労働時間がやむを得ずA水準を超える場合に指定される水準です。B水準と連携B水準の違いはなにかというと、後者は、主たる勤務先での時間外労働は960時間未満であるものの、兼業・副業先での労働時間を合計するとA水準を超える場合に、指定を受ける必要がある水準ということになります。連携B水準の適用となるためには、都道府県が「医師の派遣を通じて地域医療提供体制を確保するための役割を果たしている医療機関」として指定していなければなりません。

B水準、連携B水準の指定要件は以下の通りです。

B水準の指定要件

以下1~6のすべての要件を満たす必要があります。

1.医療機能が次の類型のいずれかに該当すること

  • 三次救急医療機関
  • 二次救急医療機関かつ「年間救急車受入台数1,000台以上または年間での夜間・休日・時間外入院件数500件以上」かつ「医療計画において5疾病5事業の確保のために必要な役割を担うと位置づけられた医療機関」
  • 在宅医療において特に積極的な役割を担う医療機関
  • 公共性と不確実性が強く働くものとして、都道府県知事が地域医療提供体制の確保のために必要と認める医療機関
  • 特に専門的な知識・技術や高度かつ継続的な疾病治療・管理が求められ、代替することが困難な治療を提供する医療機関
  • 2.36協定において年960時間を超える時間外・休日労働に関する上限時間の定めをすることがやむを得ない業務が存在すること
    3.都道府県医療審議会の意見聴取をおこなっていること
    4.医師労働時間短縮計画案の策定をおこなっていること
    5.医療機関勤務環境評価センターによる評価を受審していること
    6.労働関係法令の重大・悪質な違反がないこと

    連携B水準の指定要件

    以下1~3のすべての要件を満たす必要があります。

    1.医師の派遣を通じて、地域の医療提供体制を確保するために必要な役割を担う医療機関であること
    2.36協定において年960時間以内の時間外・休日労働に関する上限時間の定めをしているが、副業・兼業先での労働時間を通算すると、時間外・休日労働が年960時間を超えることがやむを得ない医師が勤務していること
    3.B水準の1~6の 指定要件を満たしていること

    また、時間外労働が月100時間を超える場合、下記の追加的健康確保措置を講じます。

    【追加的健康確保措置】
    連続勤務時間制限28時間・勤務間インターバル9時間の確保・代償休息のセット(義務)
    ※A水準における追加的健康確保措置とは異なり、措置を講じることが努力義務ではなく義務となります。

    C水準

    C水準は、医師の労働時間減少によって、医師の診療経験が減って学習・研鑽の意欲に応えられないことや、国の医療水準の発展がままならない事態に陥ることを防ぐことを目的に、技能向上のために集中的な診療を必要とする医師向けとして設けられた水準です。

    C-1水準、C-2水準の指定要件は以下の通りです。

    C-1水準の指定要件

    以下の1~3のすべての要件を満たす必要があります。

    1.都道府県知事により指定された臨床研修プログラムまたは日本専門医機構により認定されたプログラム/カリキュラムの研修機関であること
    2.36協定において年960時間を超える時間外・休日労働に関する上限時間の定めをしていること
    3.B水準の1~6 の指定要件を満たしていること

    C-2水準の指定要件

    以下の1~3のすべての要件を満たす必要があります。

    1.対象分野における医師の育成が可能であること
    2.36協定において年960時間を超える時間外・休日労働に関する上限時間の定めをしていること
    3.B水準の1~6 の指定要件を満たしていること

    また、時間外労働が月100時間を超える場合、下記の追加的健康確保措置を講じます。

    【追加的健康確保措置】
    連続勤務時間制限28時間・勤務間インターバル9時間の確保・代償休息のセット(義務)
    ※臨床研修医については連続勤務時間制限を強化して徹底

    医師の時間外労働規制についてよくある質問

    続いては、医師の時間外労働規制に関してよくある質問とその答えをピックアップしていきます。

    Q. 水準は各診療科の医師ごとに申請してもよいのか?
    A. 可能です。診療科全体としてはA水準に該当するものの、確かな技術を有していることから地域に必要とされている医師がひとりだけ存在している場合などが考えられます。

    Q. 特例水準の指定を受けた医療機関の指定に関する業務内容に変更があった場合、どのような手続きをとればいいのか?
    A. あらかじめその医療機関に勤務する医師やそのほかの関係者の意見を聞き、時短計画の見直しを検討します。それに伴う必要な変更があれば変更を加えて、改めて評価センターの評価を受けたら、都道府県知事の承認を得るために書類を提出する流れとなります。

    Q. オンコール待機時間は労働時間に該当するのか?
    A. 「呼出頻度がどの程度であるか」「呼び出された場合、どの程度迅速に病院に到着しなければならないか」「呼び出しに備えて、オンコール待機中の活動がどの程度制限されているか」などを踏まえて、医療機関ごとに個別に判断されることとなります。

    Q. 代償休息は分単位で付与することが必要か?
    A. 分単位での付与も可能ですが、30分や1時間単位で切り上げて付与することも可能です。ただし、実際に労働させた時間を下回る方法での付与は認められていません。

    Q. 勤務間インターバル中の医師を呼び出して救急患者対応に当たってもらうことは可能か?
    A. 救急を要する場合においてはやむを得ません。ただし、その労働時間に相当する時間分を代償休息として事後に付与することが鉄則エス。

    Q. 追加的健康確保措置の履行状況について、行政機関による監査がおこなわれることはあるのか?
    A. 追加的健康確保措置は医療法によって実施が義務付けられているため(ただしA水準に関しては努力義務)、医療法第25条第1項に基づき、各医療機関が所在する都道府県が実施する立入検査において、適切に実施されているかの確認がおこなわれます。この立入検査は、原則として毎年1回実施されます。

    時間外労働規制への対応に関して各医療機関が考えるべき課題は?

    時間外労働規制に対応するために各医療機関がまず考えるべき課題は、勤怠管理の方法です。前述の通り、都道府県による立入検査が実施されることなどを考えても、医師の勤怠状況を正しく管理することは必須です。しかし、手書きまたはExcelなどによる勤怠管理では、大変時間がかかるうえにヒューマンエラーが発生しやすく、給与計算にもミスが出る可能性が高いといえます。

    そのため、労働時間の適正な把握ができる勤怠管理システムの導入は必須。「ジョブカン勤怠管理」をはじめさまざまな勤怠管理システムが存在するので、それぞれのシステムの特徴をチェックして、自院に合ったものを選ぶことが大切です。

    参考:ジョブカン勤怠管理

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