看護の仕事にやりがいを感じている看護師でも、夜勤があることは辛いと感じる場合が多いのではないでしょうか? 眠気をこらえて仕事しなければいけないのが大変なのはもちろんのこと、生活リズムが乱れると、心身にさまざまな不調を感じるようになることもあるでしょう。原因はずばり、自律神経の乱れ。では、なぜ夜勤によって生活リズムが乱れると、自律神経が乱れやすくなるのでしょうか? また、自律神経の乱れを改善するにはどうすればいいのでしょうか? 詳しくみていきます。
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自律神経とは?
自律神経とは、血圧や呼吸、体温、心拍、代謝、排尿・排便、体液(唾液、汗、涙など)の分泌といった体内の特定のプロセスを調整している神経のこと。私たちが生きていくうえで欠かせない生命活動を維持するための神経で、365日24時間休むことなく働き続けています。なお、意識しなくても、自立していて自動的に機能しているため、「自律神経」と呼ばれています。
自律神経の系統である「自律神経系」は全身に分布しており、血管、胃、腸管、肝臓、腎臓、膀胱、性器、肺、瞳孔、心臓、汗腺、唾液腺、消化腺といった内臓を支配しています。
自律神経は「交感神経」「副交感神経」の2つにわけられる
自律神経は、「交感神経」と「副交感神経」の2つにわけることができます。「交感神経」とは、活動するときに働く神経で、「副交感神経」は、休息しているときやリラックスしているときに働く神経です。
「活動時には交感神経が優位になって、休息時には副交感神経が優位になる」という説明を聞いたことがある人もいるかもしれませんが、もう少しわかりやすく説明すると、たとえば運動時は交感神経が活発に働いているため、心拍数が上がって血管が収縮して血圧が上がりますが、リラックスして過ごしているときには主に副交感神経が働いているため、心拍数が下がって血管が緩み、血圧も下がった状態になるということです。
ここまでが、自律神経が正常に機能している場合の説明です。続いては、自律神経が乱れているとはどういう状態なのかを説明していきます。
「自律神経が乱れている」とはどういう状態?
自律神経が乱れている状態とはどういう状態かというと、交感神経と副交感神経のバランスが崩れた状態です。たとえば、交感神経が過度に働くようになると同時に、副交感神経の働きも抑えられることで、「身体の緊張が続いているため、しっかり体を休めるべきなのに眠れない」などの症状が出ます。
そのほか、前述の通り、自律神経系は全身に分布しているため、全身の倦怠感、頭痛、肩凝り、首凝り、手足のしびれ、動悸、不整脈、多汗、不安に襲われる、吐き気などのさまざまな症状が現れることがあります 。なお、現れる症状は人それぞれです。
また、交感神経と副交感神経を合わせた自律神経全体の活動量が下がるケースもあります。このケースは加齢が原因であることも多く、わかりやすくいうと、「仕事や勉強の集中力や気力が続きにくくなり、かつ、休んでも疲れがとれにくい」が主な症状です 。
自律神経が乱れる原因のひとつが「不規則な生活」
続いて、自律神経が乱れる原因について説明していきます。
自律神経が乱れる原因はいくつか考えられますが、大きく下記の2つにわけることができます。
・精神的または身体的なストレス
・不規則な生活
詳しくみていきましょう。
精神的または身体的なストレス
人間関係や失恋の悩み、経済的不安などの精神的ストレス、または騒音や過労、怪我などの身体的ストレスは、自律神経を乱す原因となりやすいといえます。ストレスを溜め込むと自律神経のバランスが乱れやすくなるため、精神的ストレスにしろ身体的ストレスにしろ、自覚した時点で対処法を考えることが大切です。
不規則な生活
生活リズムが不規則だったり、昼夜逆転した生活を送っていたりすると、生体リズムが狂いやすくなることから、自律神経が乱れる大きな原因となります。つまり、夜勤は自律神経を乱す原因となり得るということです。また、寝る時間だけでなく、食事の時間が不規則な場合も自律神経が乱れやすくなります。
夜勤を避けられない看護師が、自律神経が乱れるのを防ぐ方法とは?
続いては、夜勤を避けられない看護師が、自律神経が乱れるのを防ぐために取り入れたい習慣や気を付けたいことを紹介していきます。
【睡眠】
・夜勤中に必ず仮眠をとる
・睡眠の質を上げる
【食事】
・食べる量や時間を工夫する
・自律神経を整える効果が期待できるものを食べる
【習慣】
・なるべく湯船に浸かる
・日中、太陽の光を浴びる
・身体を冷やさない
・疲れたときに爪の付け根をマッサージする
・好きなもの、好きなことのためにお金や時間を使う
【運動】
・適度に身体を動かす
それぞれ詳しく解説していきます。
【睡眠】夜勤中に必ず仮眠をとる
もっとも大切なのは、夜勤の日に仮眠をとることです。私たち人間をはじめとするすべての生物には、一定の周期で活動と休息を繰り返す「生体リズム」が備わっています。このリズムが崩れると自立神経が乱れやすくなるため、「仮眠」として短い時間しか眠ることができないとしても、本来寝ている時間に身体を休めることが大切です。
【睡眠】睡眠の質を上げる
日によって睡眠時間や布団に入る時間がまちまちだと、寝つきが悪くなったり眠りが浅くなったりしがちです。そのため、少しでも睡眠の質が上がるよう、マットレスや枕にこだわったり、日中に仮眠が必要なときは遮光カーテンを使ったりと工夫することがおすすめです。
【食事】食べる量や時間を工夫する
夜勤を始める前の食事は、日勤の場合の朝食に該当します。そのため、身体を動かすエネルギーとなる炭水化物をはじめ、タンパク質や野菜類をしっかり摂取することも大切です。夜勤明けは、時間的には朝であっても、食事の内容は、日勤の場合の夕食同様、胃腸に負担がかからない消化のよいものを摂取するよう心がけましょう。
【食事】自律神経を整える効果が期待できるものを食べる
自律神経に作用するとされる栄養素はいくつかあります。
トリプトファン
“幸せホルモン”と呼ばれる神経伝達物質「セロトニン」が分泌されると、交感神経のスイッチが入ることから、睡眠後の目覚めがよくなります。では、セロトニンを増やすにはどうすればいいかというと、必須アミノ酸の一種である「トリプトファン」と、「炭水化物」「ビタミンB6」を含有する食材を摂取することです。この3種類の栄養素を効率的に摂取できる代表的な食べ物はバナナです。また、ナッツと合わせて摂取すれば血糖値の上昇を緩やかにすることができることから、自律神経への負担が減ります。
そのほか、豚ロース、鶏むね肉、鶏もも肉、かつお、まぐろ、イワシ、ブリ、いくら、キウイフルーツ、大豆製品、牛乳、チーズなども、トリプトファンを豊富に含入しています。
GABA(γ-アミノ酪酸)
脳や神経をリラックスさせる作用がある神経伝達物質「GABA」は、自律神経を整える効果が期待できることから、商品名にそのまま採用された「メンタルバランスチョコレートGABA」などの存在も知られています。気軽に摂取したいときはこのような商品を活用するのもいいですが、これでなくても、一般的なチョコレートにも一定量含有されているほか、トマト、じゃがいも、大豆、発芽玄米、キムチ、ぶどうなどにも豊富に含有されています。
タンパク質
GABAはビタミンB6と一緒だと効率よく摂取できます。ビタミンB6は基本的にタンパク質に含まれているので、鮭、アジ、さんま、かつおなどの魚類や、豚のヒレ肉、ササミなどを食事に取り入れるといいでしょう。
ビタミンA、C、E
ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEは、ストレスによって発生する「活性酸素」を抑える働きをするといわれています。それぞれのビタミンは、以下のような食べ物に多く含有されています。
・ビタミンA
魚類:うなぎ・あなご・しらす・ししゃもなど
野菜類:にんじん・ほうれんそう・春菊・だいこんの葉・かぼちゃ・小松菜など
レバー(鶏・豚・牛)・卵黄・チーズ・バター・生クリーム・ひじき
・ビタミンC
野菜類:ブロッコリー・じゃがいも、さつまいもなど
果物類:いちご・キウイフルーツ・アセロラ・レモン・柿など
その他:焼きのり・緑茶
・ビタミンE
オイル類:紅花油(べにばなゆ)・コーン油・なたね油など
ナッツ類:アーモンド・ヘーゼルナッツ・ひまわりの種・松の実・かぼちゃの種など
野菜類:枝豆・なす・かぼちゃ・ほうれんそうなど
魚類:いくら・タラコ・あんこうの肝など
カルシウム
カルシウムも、ビタミンA、C、E同様にストレス耐性を上げてくれることで知られています。よく、「カルシウム不足だとイライラする」といわれるのはこのためです。カルシウムを多く含有する食べ物には、チーズ、ヨーグルト、ひじき、牛乳、イワシなどがあります。また、紫蘇やケール、モロヘイヤ、春菊、小松菜などの野菜にもカルシウムが含まれています 。
食物繊維
食物繊維を多く含む食材を摂取して腸の働きがよくなれば、副交感神経が優位に働くとされています。食物繊維を多く含有する食材は以下の通りです。
野菜類:ごぼう・れんこん・さつまいも・切り干し大根・にんじん・キャベツなど
きのこ類:しめじ・エリンギ・えのきなど
穀物類:雑穀米・玄米・そば・オーツ麦など
豆類:納豆・大豆・インゲン豆など
果物類:パイナップル・キウイフルーツ・柿・りんご・バナナなど
その他:こんにゃく
【習慣】なるべく湯船に浸かる
湯船に浸かって身体を芯まで温めると、副交感神経が優位な状態となり、心身ともにリラックスできます。また、血流改善や疲労回復効果が得られることもあり、気持ちよく眠れることが期待できます。
【習慣】日中、太陽の光を浴びる
太陽の光を浴びると、前述した「セロトニン」の分泌が促されます。セロトニンが分泌されると、目覚めがよくなるだけでなく、夜間に自然な眠りが促されるため、体内時計が整いやすいとされています。
【習慣】身体を冷やさない
自律神経は体温調節と密接に関係しているため、身体が冷えていると自律神経失調症の症状が出やすいとされています。特に、「手首」「足首」「首」の“首”がつく部位や、太い血管が通っているお腹は冷えやすいため、レッグウォーマーや腹巻きを上手に活用することをおすすめします。冬場であれば、必要なときにいつでも使えるよう、カバンのなかにカイロを常備しておくといいでしょう。
【習慣】疲れたときに爪の付け根をマッサージする
爪の付け根には神経線維が集中しています。そのため、この部分を押したり揉んだりすると、血流がよくなって副交感神経が活性化されます。マッサージの時間の目安は、指1本につき10秒程度でOKです。注意点としては、薬指は交感神経を刺激する指なので、薬指のみを刺激すると、副交感神経の活性化にはつながりません。必ず、他の4本の指と合わせてほぐすようにしましょう。
【習慣】好きなもの、好きなことのためにお金や時間を使う
自分が好きなもの、好きなことのためにお金や時間を使うことで精神的な満足感を得れば、ストレスが緩和されるため、自律神経が整いやすくなります。お金も時間も十分に使う余裕がないというときは、通勤中に好きな音楽を聴いたり、寝る前にアロマを焚いたりといった習慣をつける程度でもOK! ただしもちろん、「そこに気を回す余裕もないほど疲れていて一刻も早く寝たい!」という状態のときは、なによりもまずは睡眠や身体を休めることを優先しましょう。
【運動】適度に身体を動かす
日ごろから適度に身体を動かすことで体調管理しやすくなるのはもちろんのこと、寝る前の軽いストレッチなどは、身体がほぐれるため入眠しやすくなるメリットもあります。看護で疲れた身体をしっかりほぐしたいなら、ヨガやピラティスといった、呼吸を整えることやインナーマッスルの強化に重きを置いたエクササイズがおすすめです。ヨガは主に腹式呼吸、ピラティスは主に胸式呼吸にアプローチしますが、いずれも自律神経を整えたい人にはおすすめです。
「興味のあること」「気軽にできそうなこと」から日常生活に取り入れていこう!
自律神経の乱れを防ぐためにできることは、上記に挙げた通りたくさんあります。このすべてを実践するのは大変ですが、興味のあること、気軽にできそうなことからなら、無理なく始めて、続けることができるはず。「楽しく続けられること」「おいしく続けられること」も多いので、ぜひ少しずつトライしてみてくださいね。
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この記事は、2024年9月時点の情報を元に作成しています。