看護学生から見た病院

私は総合病院の外科病棟で働く看護師です。私の働く病院には、付属の看護専門学校があり、看護学生が実習によく来ています。今回は、看護学生から見た病院について、実際の私の体験を通して紹介していきます。今回の記事が看護学生への対応の参考になればと思います。

目次
  1. 看護学生にとって実習とは
    1. 緊張とストレス
    2. 患者とのコミュニケーション
    3. 記録に追われ寝不足の毎日
  2. 看護学生への関わり
  3. 看護学生への接し方のポイント
  4. 看護学生にとって良い病院とは
  5. 理想の医療現場

看護学生にとって実習とは

現在、看護師として活躍している看護師も、看護師になる前は、看護学生として大変な実習を経験してきました。私自身も看護学生時代を振り返ると、1番辛かったのが実習期間でした。今までは、学生として学校に守られていましたが、看護学生になって初めて社会に足を踏み入れ、医療現場の厳しさや責任感の重さなどを感じ、苦労したものです。

緊張とストレス

まず、看護学生として実習に来たときに感じることと言えば、緊張感です。普段は学内で勉強している学生にとって、実際の医療現場である病院はアウェイです。医療現場で慌ただしく働いている医療スタッフを見て、声をかけるタイミングを図ったり、邪魔にならない場所を探して周りの医療スタッフに気を遣ったりと、ストレスが多いです。

時には、声をかけるタイミングを間違えてしまい、看護師に怒られてしまう学生もいます。普段からバタバタと慌ただしい環境下で学生指導を任された看護師は、普段の大量な業務内容と並行して看護学生の指導にも当たらなければならず、お互いにストレスを感じていることが多いです。

時間に余裕があればゆっくりと指導ができるのですが、限られた時間の中でたくさんのことをしなければいけないばかりか、急変の対応などの予定していなかったことが起こることも日常茶飯事であるため、ゆっくりと指導することはなかなか難しいのが現状です。

今となってはこのことを理解できるのですが、看護学生であった当時の私は、ただただ「看護師さん、こわい!」と思い、恐怖を感じていました。看護学生の気持ちがわかるので、学生の指導者となっている現在では、できるだけ丁寧に接しなければと努力はしていますが、慌ただしい日は、ゆっくりと話を聞いてあげる余裕もないことが多いです。このような環境での実習になるため、看護学生の抱えるストレスは大きいと言えます。

逆に言えば、厳しい環境での実習期間を経験することで、社会人になってからのコミュニケーションの基礎や上下関係などを学べたと私自身は思います。

患者とのコミュニケーション

看護学生は、実習期間中に患者さんを1人受け持ち、その患者さんの疾病や看護計画の立案などのさまざまなことを学びます。看護学生にとってはその受け持ちの患者さんが重要ですが、さまざまな患者さんが入院しているため、コミュニケーションを取りやすい患者さんもいれば、なかなかコミュニケーションをとることが難しい患者さんもいます。

普段の生活でも人間関係に悩む人が多いと思いますが、これが病気を抱える患者さんともなれば、コミュニケーションを図ることが難しいこともあるのは当然のことです。患者さんの中には、病気によるストレスや不安から気持ちの浮き沈みが激しい患者さんもいます。また、認知機能低下などにより、コミュニケーションが取りにくかったり、脳梗塞などの既往歴があり、上手くことばを話せなかったりする患者さんもいます。

複数の疾患や精神的な負担などを抱えている患者さんが多いため、患者さんと接する際に、コミュニケーションの難しさを感じ、悩む看護学生も多いです。

私自身も、看護学生の頃には、口語障害がある患者さんを受け持ったことがあり、コミュニケーションの難しさに悩んだ経験があります。筆談やあいうえお表を活用したり、「はい」、「いいえ」などの簡単なことばで答えられるような"クローズドクエスチョン"などを活用してコミュニケーションを図ったりと、試行錯誤して工夫していました。

辛い実習期間中に患者さんが優しく接してくれたことで、逆に患者さんに救われることもありました。このように、看護学生にとって受け持つ患者さんとの関係は重要であり、コミュニケーションの大切さや難しさを学ぶ機会になります。

記録に追われ寝不足の毎日

看護学生は、受け持った患者さんについての情報を収集し、記録に残します。これを看護過程というのですが、疾病の理解からアセスメント、看護計画などのたくさんの記録を残さなければいけません。

それぞれに期限があり、実習期間中に全ての記録を終わらせ、最終的には指導者に提出して評価をしてもらうのですが、その過程においては確認と修正を繰り返すため、実習期間中は、眠れない日々が続きます。

休日は、レポートを書く貴重な時間になるため、実習期間中は記録物に追われ、睡眠時間や休日を削りながら頭の中は実習のことでいっぱいになります。疾患や現在の状態を理解していなければアセスメントもできないため、教科書などで学習しながらレポートを進めていかなければならず、時間もかかり、私自身も学生時代の実習期間中は寝不足のことが多かったです。

私の学校には寮があったので、実習期間中はみんなで寮に集まり、眠い中、みんなで記録をして、助け合いながら記録やレポート作成を乗り切っていたことを今でも覚えています。実習期間中は数人のグループに分けられて実習を回っていくのですが、グループのメンバーは重要であり、グループ分けのときには、誰と一緒になるのかドキドキしていました。

そして、実習を乗り切ったあとには、グループでの団結力や達成感、友情も深まっていたことが多かった気がします。

看護学生への関わり

次に医療現場で働く医療スタッフの視点で、学生への関わりについて考えていきたいと思います。看護師は人手不足であることが多く、たくさんの患者さんを受け持つ中で時間に追われていることが多いです。そのような中で実習期間になると、さらに学生指導という業務も増え、看護師に負担がかかります。

学生は、技術も未熟であるため、バイタルサイン測定1つとってもとても時間がかかり、観察の際などに要点を説明しながらとなるとさらに時間がかかります。そのため、看護師の中には、業務量が多い上に学生指導で時間も使い、さらに時間に追われることで余裕がなくなってしまう医療スタッフもいます。

余裕がないときには人に優しくできないもので、無意識にことばがきつくなったりしてしまうスタッフもいます。そのような対応をされると、看護学生も萎縮してしまい、今までにできていたこともできなくなり、悪循環になってしまいます。

このような悪循環を防止するためには、どうすればいいのでしょうか。看護学生への接し方のポイントについて次の章で紹介していきます。

看護学生への接し方のポイント

医療従事者として慌ただしく働く中でも意識していきたい、看護学生へのコミュニケーションのポイントを以下にまとめます。

  • 忙しい中でも一呼吸置き、ことばを選んで指導するようにする
  • タイミングが悪く対応できないときには、今対応できない理由といつなら時間の都合が良いか伝える
  • 学生が質問に答えられなかった際には、時間を与えて後日、再度返答できるようにする
  • 学生がおこないたいと考えている看護行為に対しては、時間を調整して機会を提供する
  • 学生の質問に対しては、略語などを使わずに学生のわかることばで説明する

忙しい際には、看護師も余裕がないため、ことばがきつくなったりします。その際には一呼吸置き、ことばを選び、今は忙しいため、対応してあげられないことを伝えると、学生も不快な思いをせずに済みます。その際には、どうして対応できないのか理由まで伝えることで学生が納得して、さらにいつであれば時間を調整できると予定を伝えることで学生も安心します。

指導している際には、学生に対して質問する場面もあるかと思います。例えば、「どうしてこのようにアセスメントしたの?」などの質問に対して、学生がすぐに答えられなかった際には、返答を待つことで時間がかかり、普段から業務に追われて忙しい中で貴重な時間がなくなってしまい、看護師としてもストレスになります。そのため、学生に考える時間を与え、後日返答するように伝えることでスムーズな指導ができます。

実習中に学生がその日にやりたい看護を提案してきたとします。例えば、学生が「今日は足浴や洗髪をおこないたいと思います」と希望したとしたら、忙しい中でも、介護士の協力を得るなどして、できる限り、学生がおこないたいと思っている看護をする場を提供できるように工夫することも大切です。

医療現場では、普段聞きなれない略語が飛び交っています。私たち、医療従事者からすれば、当たり前のように聞こえるかもしれませんが、看護学生にとっては、略語は教科書にも載っておらず、略語を使用して話すことで混乱して理解を得られなくなることがあります。そのため、できる限り略語は使用せずに、指導していくことが大切となります。

これらのポイントを踏まえて学生に対応すれば、学生にとっても有意義な実習になると考えます。

看護学生にとって良い病院とは

看護学生は、さまざまな医療機関に実習に行きます。実習にて実際に病院に触れることが、自分に合う病院や就職して実際に働きたいと思える科を選定していくポイントになります。

実習期間中に感じた病院の雰囲気や医療スタッフ同士や看護学生に対する接し方なども就職する病院を決める際の重要なポイントになります。学ぶことが多く、充実した実習期間を送ることができれば、将来その病棟で働きたいと思えます。実際に実習指導者から多くのことを学び、楽しいと思えた実習は、記憶に残っているという声も多く聞かれました。

私自身もそうだったのですが、実際に実習する中で病棟の雰囲気や患者像が見えてきますので、就職する病棟の候補を絞る際の情報の1つになりました。そのため、病院側としてもより多くの看護学生が看護師として就職する際に、自分の病院を選んでもらえるように、実習を充実させることは、人員確保の点においても重要なポイントになります。

病院経営には、医療スタッフの確保が必要不可欠となりますので、看護学生にとって実習の満足度や実習での病院全体の印象が、人員確保の点でとても重要になります。この点を踏まえていれば、人手不足の緩和に繋がり、現状よりも医療現場が改善されていくことが期待でき、自ずと看護学生に対する接し方もかわっていくのではないでしょうか。

常に人手不足の医療現場では、1人でも多くの人材確保が重要になりますので、看護学生が充実した実習ができるようにサポートしていくことは、病院と学生双方にとってプラスになると思います。

理想の医療現場

私の考える理想の医療現場とは、看護学生が有意義な実習を送れるような環境が整っている病院です。医療現場では予期せぬことも起き、常にバタバタと慌ただしいことが多いです。そのような中でも看護学生が実習に来た際に、十分な指導を受けられる機会を提供することが大切であると思います。

現状、それが厳しいのであれば、どうすれば学生が有意義な実習をできるのか病院として考え、病院全体でサポート体制を強化できるように対策を検討していくことが必要であると考えます。

今回の記事が将来、看護師として活躍する看護学生への対応について考えるきっかけとなり、今後のより良い病院運営に繋がればと思います。

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診療科目

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risa

執筆 看護師 | risa

看護師歴9年目で現在、総合病院勤務。日々、慌ただしく忙しい中でも、看護師としてやりがいを持って医療にたずさわっています。内科や外科での実際の経験を通して、皆さんに役立つ情報を提供していければと思います。


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