看護師が辞める理由とは?現場での悩み、退職理由ランキングトップ10

医療機関にとって、看護師の採用や育成、退職は重要な課題です。開業当初に採用した看護師が、一年以内に全員辞めてしまうケースは珍しくありません。主な退職理由を踏まえて、採用した看護師が定着する組織作りに継続的に取り組んでいくことをお勧めします。

目次
  1. 看護師の退職理由ランキングトップ10
  2. 看護師の離職率が高い理由
  3. 看護師がすぐ辞める理由とは?
  4. 看護師が直面する多様な選択肢
  5. 早期退職がもたらすデメリット
  6. 早期離職が多い職場の特徴とは?
  7. 早期離職を防ぐための対策
    1. ①勤務時間の見直しや柔軟なシフト制度の導入
    2. ②求人票や労働条件通知書と実際の勤務を一致させる
    3. ③ハラスメント防止のための教育と対策
    4. ④家庭と仕事の両立を支援する制度の導入と利用時の配慮
    5. ⑤計画的な社員教育や看護師向け研修の実施

看護師の退職理由ランキングトップ10

看護師の退職の理由トップ10は以下の通りです。

看護師の退職理由(*複数回答)
第1位 結婚 11.6
第2位 子育て 10.5
第3位 転居 9.1
第4位 妊娠・出産 8.8
第5位 自分の健康(主に身体的理由) 7.4
第6位 看護職の他の職場への興味 7.2
第7位 親族の健康・介護 6.7
第8位 配偶者の転勤 6.5
第9位 勤務時間が長い・超過勤務が多い 5.4
第10位 夜勤の負担が大きい 4.9

出典①:厚生労働省 「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況」 第195回職業安定分科会 令和5年9月1日

上記の退職理由にはありませんが、退職の背景に人間関係の問題が隠れていることは多々あります。

看護師の離職率が高い理由

結婚、出産、育児など、女性のライフイベントが退職理由の上位に並びます。看護師の9割以上が女性、最初の就職先は9割以上が病院で、夜勤がある病棟と結婚生活の両立は難しいと推察します。看護師は慢性的に不足していて、どこの現場も多忙で余裕がない上、人の命に関わる立ち仕事で、精神的にも肉体的にも負荷の大きい仕事です。女性のライフイベントが、疲れ切った看護師が仕事を辞めるきっかけとなり、高い離職率に繋がっていると感じます。

看護師がすぐ辞める理由とは?

新規開業する医療機関の場合、看護師の多くは転職者で、即戦力として業務をスタートします。年齢も経験も様々な看護師や医療事務員が、新しい環境で一斉に業務を始めるので、軌道に乗るまで不協和音が生じやすいかもしれません。
通常、看護師は最初に就職した病院で初期研修や計画的な看護師教育を受けます。大学や公立、民間など経営母体の違いもあり、病院や職場ごとに異なる方針に基づいて教育され、物品の扱い方、コスト意識、接遇マナー、看護のやり方も異なります。
忙しい現場で、異なる看護師教育から生じるずれが重なり、時に軋轢が生じます。気づきにくいことですが、多くの医療機関で開業から数年間に渡り、看護師が頻繁に入退社を繰り返す要因の1つではないかと推察します。

看護師が直面する多様な選択肢

看護師の職場は病院以外にも、診療所、介護・保育施設、訪問看護ステーション、企業(産業保健師、保険会社のコールセンター、治験コーディネーター等)、保健所、学校の保健室など、多くの職場があります。
2025年の看護師が働く施設別の不足予測は以下の通りです。団塊の世代が全て後期高齢者になる「2025年問題」も影響し、看護師不足は今後さらに加速するでしょう。都道府県別で見ると、一都3県と関西の人口集中地域で、看護師不足が深刻化する予測です。

施設 看護師不足予測(人)
病院 10~20万人
診療所 3~5万人
介護施設 2~3万人
訪問看護ステーション 1~2万人

出典②厚生労働省 医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会中間とりまとめ案(概要)

入院を減らして在宅へ移行する流れがあり、病院だけでなく訪問看護や診療所、介護施設など、地域における多様な施設で看護師は必要とされています。

早期退職がもたらすデメリット

採用した看護師の早期退職のデメリットは以下の通りです。

【経営者のデメリット】
退職した人に費やした求人、面接、採用、入社準備のコスト、時間、労力が無駄になる

例:想定年収400万円の看護師の紹介手数料100万円前後
求人サイトの一般的な掲載料金50-100万円等

【同僚看護師のデメリット】
業務量が増加、又は看護業務が回らなくなる ⇒ 診察に影響します
仕事の説明やOJTが徒労に終わり、同じことを短期間に繰り返すことになる

職員の人数が少ないほど、一人退職する影響は大きくなります。追加の退職者が出る場合もあり、しばらくは職場の雰囲気が低迷することも懸念されます。

早期離職が多い職場の特徴とは?

早期離職が多い職場の特徴は以下の通りです。人手不足の現場が多いので、業務多忙で心に余裕がなくなり、人間関係に影響することも考えられます。

· 求人票や労働条件通知書と実際の業務内容が異なる:すぐ改善しましょう!
· 労働条件通知書の「付帯業務」が曖昧:「ここまで仕事と思わなかった」等
· より働きたい職場が見つかった:後から他施設の内定が出た、等
· 職場の人間関係:お局様、怒鳴る人、仲が悪い、挨拶しない等
· 職場でのハラスメント:セクハラ、モラハラ、パワハラ等

職場の人間関係や、労働条件と実際の業務内容の整合性が重要です。特に、求人票や労働条件通知書と実際の業務内容が異なる場合は、労働基準法などの法令違反となるため、早急に改善しなければなりません。

早期離職を防ぐための対策

早期離職を防ぐためには、以下のような対策が有効です。

①勤務時間の見直しや柔軟なシフト制度の導入

看護師の退職理由ランキングから分かるように、家庭との両立がキーです。具体的には帰宅時間や残業、保護者が参加すべき学校行事に配慮しましょう。家庭と両立できる時間でシフトを組み、できるだけ定時に帰れるよう配慮しましょう。運動会や卒業式などの学校行事は、年度当初に年間予定が配布されるので、早めに日程を確認してシフトを避けると良いでしょう。

②求人票や労働条件通知書と実際の勤務を一致させる

求人票と労働条件通知書の内容と、実際の働き方は必ず一致させて下さい。迷うことがあれば労働基準局や社会保険労務士と確認し、トラブルは未然に防ぎましょう。

③ハラスメント防止のための教育と対策

看護師はハラスメントの被害に遭いやすい職業です。ハラスメント研修でよくある実例を共有して対処法を学んだり、対応に困る場合に相談できる窓口(産業医や社会保険労務士など)を設けましょう。経営者や医師、事務長、看護師長など管理側へのハラスメント教育も大切です。

④家庭と仕事の両立を支援する制度の導入と利用時の配慮

家庭と仕事の両立の中で、お子さんの急な体調不良への対処も必要です。乳幼児の場合は、自治体にある病後児保育室の事前登録と利用を推奨し、費用補助をすると良いでしょう。小学生も利用できる施設もあります。そうした制度を利用する際など、折に触れて家庭との両立に取り組む看護師に理解や配慮を示し、継続的に支援する姿勢を明確に示しましょう。

⑤計画的な社員教育や看護師向け研修の実施

開業時から社員教育や、看護師向けの研修を実施することをお勧めします。様々なバックグラウンドを持つ看護師を、1つの組織にまとめていく上で有効です。教育や研修の機会があることを職場の魅力や差別化につなげて、「看護師から選ばれる職場」にするのです。研修コストはかかりますが、看護師がレベルアップして定着率が高まれば、採用コストは下がります。
こうした取り組みにより、医師は仕事がやりやすくなり、地域の皆様へ良い医療サービスを提供することに繋がり、医院運営の安定した基盤となるでしょう。

【参考資料】
公益社団法人 日本看護協会 広報部 News Release 2022年11月21日 2021年度「ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析」結果

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提供形態

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武田晶子

執筆 株式会社リカレントスタッフ 代表取締役 | 武田晶子

一般企業にて新事業の立ち上げや事業閉鎖(リストラ)を経験後、2006年に医療法人の事業計画を書いて設立に関わり役員に就任。18年間、医療法人の人事に携わるが、採用難から医療事務を学んで受付に座り、聖路加看護大学に学士編入し2013年に看護師・保健師の資格取得。2023年、東京都ナースプラザから復職支援研修を依頼されたことをきっかけに、2024年に看護師の転職と復職を支援する派遣・紹介会社を起業。これまでの経験を活かして、医療法人の運営に関する相談に乗る経営者支援、事務長支援も行う。
株式会社リカレントスタッフ


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