開業医に課せられる税金の種類と有効な節税対策は?

開業して個人事業主になると、勤務医時代とは異なり、経営者として節税に取り組むことが大切になってきます。しかし、なぜ節税を考えることが大事なのでしょうか? そして、具体的にどのような対策を講じることで節税を実現できるのでしょうか? 詳しく説明していきます。

目次
  1. 開業医に課せられる税金の種類は?
    1. 所得税
      1. 令和19年までは「復興特別所得税」も課税される
    2. 住民税
    3. 個人事業税
    4. 開業医に課せられるその他の税金
  2. 開業医が実践すべき節税対策9選
    1. 経費を漏れなく計上する
    2. 青色申告控除を受ける
    3. iDeCo(個人型確定拠出年金)または国民年金基金に加入する
      1. iDeCoと国民年金基金はどちらがお得?
    4. iDeCo以外の小規模企業共済に加入する
    5. 中小企業倒産防止共済に加入する
    6. 所得分散を見直す
    7. 不要になった償却資産を廃棄する
    8. 租税特別措置法第26条を利用する
    9. ふるさと納税を活用する
    10. クリニックの法人化を検討する
  3. 節税対策に関しては税理士に相談するのが一番

開業医に課せられる税金の種類は?

まずは。開業医に課せられる税金の種類をみていきましょう。開業医に課せられる主な税金は、「所得税」「住民税」「個人事業税」の3種類です。

所得税

所得税とは、個人の所得に対してかかる税金のことです。1年間の「収入」から、経費などの控除額を差し引いた「所得金額」に対して税率を適用させることで、各自の所得にかかる税額を計算します。該当する税率は、所得によって5%から45%の7段階に区分されています。また、区分ごとに控除額も決まっています。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円から1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円から3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

このように、課税金額が高くなるほど税金が高くなる仕組みのことを「累進課税制度」といいます 。所得税は、「累進課税方式の国税」ということになります。

令和19年までは「復興特別所得税」も課税される

所得税とは別に、平成25年から令和19年までの各年分の確定申告においては、復興特別所得税の申告・納付が義務付けられています。復興特別所得税は所得金額に関わらず一律で、原則としてその年分の基準所得税額の2.1%(=源泉徴収される所得税の2.1% )とされています。

参照:国税庁「所得税の税率」

参照:日本年金機構「復興特別所得増額とは何ですか」

住民税

住民税とは、一定以上の所得を得ている人が、自らが居住している地域に納める税金のことです。所得金額に対して10%の税率を乗じて得られた金額に、「均等割額」と呼ばれる固定金額5,000円をプラスした金額を支払うことになります。

このように、金額に関わらず一定の税率が適用される方式を「比例課税方式」といいます。事業税は、「比例課税方式の地方税」ということになります。

参照:総務省「個人住民税」

また、「節税の方法」として後述しますが、ふるさと納税を通して特定の地域に納税すれば、事前に納税したぶん、翌年度の住民税から控除されることになります。同時に、ふるさと納税をおこなった年の所得税からも控除されることになります。

ふるさと納税で控除できる金額の計算は次の通りで、①②で控除できなかった額を③によって全額控除(所得割額の20%を限度)します。

※平成25年から令和19年までに関しては、所得税率が0%である場合を除き、復興特別所得税を加算した率となります。

① 所得税
(ふるさと納税額-2,000円)×所得税率
※所得控除の対象となる寄付金額は、総所得金額等の40%が上限
② 住民税(基本分)
(ふるさと納税額-2,000円)×住民税率(10%)
※住民税控除の対象となる寄付金額は、総所得金額等の30%が上限
③ 住民税(特例分)
(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%-各自の所得税率)

参照:国税庁「ふるさと納税(寄付金控除)

個人事業税

個人事業税も、住民税と同じく居住地域に納める税金です。個人事業主は事業をおこなううえで行政サービスを利用していることから、その経費の一部を負担するために税金を払うという仕組みです。

個人事業税は、「事業所得」から290万円の「事業主控除」を引いた残額に、一定の税率を乗じて得られた額になります。

「事業所得」とはなにかというと、まず、「所得(所得金額)」は前述の通り、1年間の収入から必要経費等を差し引いた金額ですが、所得は税法上、「給与・事業・利子・配当・譲渡・不動産・一時・退職・山林・雑」の10種類に分類されます 。そのため、たとえば不動産などを所持していてそこから収入を得ていたとしても、事業税には関係ないということになります。

また、事業の業種によっては事業税が課税されません。法律で定められた70の業種にのみ、個人事業税が課せられます。

70業種の内訳は以下の通り で、医業は「第3種業種」に該当するため、「(事業所得-290万円)×5%」の計算式で、納付すべき個人事業税を算出することができます。

第一区分
(37業種)
税率5% 物品販売業、運送取扱業、料理店業、遊覧所業、保険業、船舶定係場業、飲食店業、商品取引業、金銭貸付業、倉庫業、周旋業、不動産売買業、物品貸付業、駐車場業、代理業、広告業、不動産貸付業、請負業、仲立業、興信所業、製造業、印刷業、問屋業、案内業、電気供給業、出版業、両替業、冠婚葬祭業、土石採取業、写真業、公衆浴場業(むし風呂等)、電気通信事業 、席貸業、演劇興行業、運送業、旅館業、遊技場業
第二区分
(3業種)
税率4% 畜産業、水産業、薪炭製造業
第三区分
(30業種)
税率5% 医業、公証人業、設計監督者業、公衆浴場業(銭湯)、歯科医業、弁理士業、不動産鑑定業、歯科衛生士業、薬剤師業、税理士業、デザイン業、歯科技工士業、獣医業、公認会計士業、諸芸師匠業、測量士業、弁護士業、計理士業、理容業、土地家屋調査士業、司法書士業、社会保険労務士業、美容業、海事代理士業、行政書士業、コンサルタント業、クリーニング業、印刷製版業
税率3% あんま・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復・その他の医業に類する事業、装蹄師業

開業医に課せられるその他の税金

開業医に課せられる税金は基本的には前述の3種類ですが、そのほか、土地や家屋を有している場合は固定資産税、一定額を超える医療機器などに対しては償却資産税の支払いが生じます。また、不動産を取得した際は不動産取得税が発生しますし、自由診療の売上が1,000万円を超える場合は課税事業者となるため、消費税支払いの必要性が生じます。

さらに、事業者宛てに健康診断などの課税売上の請求書や領収書を出している医療機関はインボイス制度の対象となるため、売上が1,000万円を超えていなくてもインボイスに登録して消費税を支払ったほうがいいといえます 。

開業医が実践すべき節税対策9選

続いては、開業医が実践すべき節税対策を紹介していきます。

経費を漏れなく計上する

先に説明した通り、所得税は経費を差し引いた金額に対して課せられる税金なので、経費を漏れなく計上することは節税対策の基本となります。ただし、経費として落とせないものを経費として申告しても認められないので注意が必要です。

経費として認められるもの、認められないものについては下記をご参照ください。

⇒参照:クリニックの経費で落とせるものにはどんなものがある?
http://ダミーダミダミー

青色申告控除を受ける

経費の計上同様、基本中の基本ですが、個人事業主は白色申告ではなく青色申告を選択することで、最大65万円の控除を受けることができます。また、青色申告控除には、「30万円未満の減価償却資産を購入した年に一括で全額経費計上できる」「生計を一にする親族に給与を支払う場合、必要経費として計上できる」というメリットもあります 。

iDeCo(個人型確定拠出年金)または国民年金基金に加入する

iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛け金は全額所得控除の対象です。iDeCoの掛け金の上限は職業または専業主婦(夫)であるかによって異なりますが、個人開業医の加入資格は「第1号被保険者・任意加入被保険者」に該当するため、月額6万8,000円(年額81万6,000円)が限度額です。ただし、毎月6万8,000円掛けなければいけないというわけではなく、最低掛金額の5,000円以上であればいくらでもOKです。

加入資格 拠出限度額
第1号被保険者・任意加入被保険者(自営業者など) 月額6万8,000円
(年額81万6,000円)
第2被保険者 会社に企業年金の精度がない会社員 月額2万3,000円
(年額27万6,000円)
企業型の確定拠出年金のみに加入している会社員 月額2万円
*DBと企業型確定拠出年金に加入している会社員 月額1万2,000円
*DBのみに加入している会社員、公務員 月額1万2,000円
(年額14万4,000円)
第3被保険者(専業主婦(夫)) 月額2万3,000円
(年間27万6,000円)

*DBとは、確定給付企業年金(DB)、厚生年金基金、石炭鉱業年金基金、私立学校教職員共済のことです

参照:iDeCo公式サイト「iDeCoってなに?」

ただし、注意すべき点としては、拠出限度額の月額6万8,000円(年額81万6,000円)は、国民年金基金または国民年金付加保険料との合算枠となるということです。

「国民年金基金」とは、国民年金に上乗せして受け取る年金額を増やせる保険制度のことです 。加入は「口数性」で、月額6万8,000円以内と定められています。

「国民年金付加保険料」とは、国民年金基金と同じく国民年金保険料に上乗せできる付加保険料ですが、保険料は月額400円と決まっています。ただし、将来受け取ることができる付加年金額は「200円×付加保険料納付月数」であるため、2年間の需給で元が取れます。

また、国民年金基金と国民年金付加保険料は併用付加です。そのため、iDeCoと併用したい場合はいずれか一方しか併用できません。もちろん、iDeCoのみで上限額まで掛けるのもOKですし、国民年金基金のみで上限額まで掛けるのもOKです。

国民年金基金や国民年金付加保険料も、iDeCoと同じく所得控除の対象となります。

参照:国民年金基金「国民年金基金とは」

参照:りそなグループ「付加年金」と「国民年金基金」の違い

iDeCoと国民年金基金はどちらがお得?

iDeCoと国民年金基金のどちらが得であるかは、年金受け取り開始時期にならないとわかりません。なぜかというと、国民年金基金は一定額の年金を受け取れることが保証されていますが、iDeCoは金融機関や商品を自分で選ぶため、プラスになるかマイナスになるかはわからないためです。ただし、適切な運用をおこなえば利益を大きくできる可能性もあります。iDeCoと国民年金の違いは以下の表の通りなので、こちらを参考に、どちらが自分に向いているか考えてみてもいいでしょう。

iDeCo 国民年金基金
掛金 月額5,000円以上1,000円単位 加入時の年齢やプランによる
掛金の税制 全国小規模企業共済等掛金控除 全額社会保険料控除
年金給付方法 一括受取/基本有期年金 基本終身年金
年金受取開始時期 60歳~75歳
加入期間によって異なる
原則65歳
プランによっては60歳から
運用指示 必要あり 必要なし
種類 確定拠出年金
※金融機関や商品を自分で選んで、掛け金を自分で拠出して、自分で運用します。運用成績次第で給付金が決まるため、リスクがあります
確定給付年金
※加入時の年齢やプランに応じた掛け金を納めれば、老後は一定の年金を受け取れます

参照:国民年金基金「国民年金基金とiDeCoとの違い」

iDeCo以外の小規模企業共済に加入する

小規模企業共済はiDeCo以外にもあります。

国税庁は、小規模企業共済掛金控除の対象となる掛金を

(1)小規模企業共済法の規定によって独立行政法人中小企業基盤整備機構と結んだ共済契約の掛金
(2)確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金または個人型年金加入者掛金
(3)地方公共団体が実施する、いわゆる心身障害者扶養共済制度の掛金

と定めており、iDeCoはこのうち(2)に該当します。

小規模企業共済の月額の掛金は1,000円~7万円で、500円単位で自由に設定することができます 。

参照:国税庁「小規模企業共済等掛金控除」

中小企業倒産防止共済に加入する

中小企業倒産防止共済に加入することも節税につながります。なぜかというと、中小企業倒産防止共済の掛金は経費として計上できるためです。

では、中小企業倒産防止共済とはどんな制度かというと、取引先企業が倒産した場合、積み立てた掛け金総額の10倍の範囲内(最高8,000万円)で回収困難な売掛債権等の額以内の共済金の貸付が受けられる救済制度です。掛金は月額5,000円~20万円の間で、5,000円刻みで自由に設定することができます。掛金総額の積立限度額は800万円です。

注意すべきは、12カ月未満が掛け捨てになることです。12カ月以上掛け金を収めれば、自己都合でも8割以上の解約金を受け取ることができます。また、40カ月以上収めれば解約時に100%掛け金が戻ってきます。3年半未満で全額戻ってくるとなると、かなりお得に思えますね。

参照:中小企業庁 FAQ「中小企業倒産防止共済について」

所得分散を見直す

家族経営のクリニックの場合、所得分散を見直すことで所得税を引き下げられる場合があります。

冒頭で説明した通り、所得税は累進課税です。そのため、世帯の所得金額が同じであっても、たとえばその所得のほとんどを医師の所得として申告すると所得税が高くなりますが、家族内で分散すれば所得税を引き下げられます。

不要になった償却資産を廃棄する

医療設備や空調設備、パソコン、コピー機など、クリニックの事業で使用する資産は「償却資産」として課税対象となっています。クリニックで保有している償却資産に関しては、台帳を作成して市町村に提出する必要があり、台帳をもとに課税されますが、12月31日までに廃棄すれば翌年は課税されません。そのため、使わなくなった資産を廃棄することが節税につながります。

租税特別措置法第26条を利用する

租税特別措置法第26条は、経費の計上に関する特例で、医業または歯科医業にかかる総収入金額が7,000万円以下で、かつ社会保険診療報酬が年間5,000万円以下の場合に適用となります。

具体的にどういう内容かというと、通常、課税対象となる所得は、収入から必要経費を控除して計算しますが、この制度を利用すれば、実際に使用した必要経費ではなく「概算経費」の金額を計上できるのです。概算経費の計算方法は、社会保険診療報酬によって異なり、以下のように設定されています。

社会保険診療報酬 必要経費に算入する金額
2,500万円以下の場合 社会保険診療報酬の72%
2,500万円以上3,000万円未満の場合 社会保険診療報酬の70%+50万円
3,000万円以上4,000万円未満の場合 社会保険診療報酬の62%+290万円
4,000万円以上5,000万円未満の場合 社会保険診療報酬の57%+490万円

ただし、上記条件に当てはまる場合は必ずしも概算経費を計上しなければならないということはなく、実際に使用した経費のほうが金額が高いなら、実際の金額を経費として計上したほうがもちろん少ない課税で済みます。

参照:租税特別措置法 第二十六条 参照

ふるさと納税を活用する

ふるさと納税を活用することも節税につながりますが、控除額には上限があるので注意が必要です。全額控除となるふるさと納税額の目安は、総務省のホームページなどにも掲載されているので、自身の収入と照らし合わせて確認することをおすすめします。

参照:全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安

ふるさと納税について詳しくは以下記事をご参照ください。

参照:開業医が「ふるさと納税」をうまく活用する方法は?

クリニックの法人化を検討する

冒頭で説明した通り、個人開業医の場合は所得税の最高税率が45%ですが、法人税は、年800万円以下の部分に関しては15%、800万円を超える部分に関しては23.20%の課税と決まっています。つまり、所得が一定以上ある場合は、圧倒的に法人にしたほうが税制面では有利ということになります。

クリニックの法人化のメリットは他にもあるので、以下記事をご参照ください。
参照:医療法人化のメリット・デメリットとは?

節税対策に関しては税理士に相談するのが一番

クリニックの節税対策は自分で考えることもできますが、細かい手続きもすべて自分でとなると案外時間がかかるものです。そのため、わからないことや不安なことがある場合などは税理士に相談するのが得策。節税によるリスク軽減のためにも、プロの意見を参考にすることが賢明ですよ。

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