診療情報提供料とは、名称の通り、患者の診療情報を提供した場合に算定できる診療報酬ですが、具体的にどのような場合に算定できるのでしょうか? 詳しく解説していきます。
診療情報提供料とは
診療情報提供料は、「診療情報提供料1」「診療情報提供料2」「連携強化診療情報提供料」の3種類にわけられます。「連携強化診療情報提供料」はもともと「診療情報提供料3」という名称でしたが、令和4年度の診療報酬改定によって「連携強化診療情報提供料」へと名称および対象患者、算定要件、施設基準が変更されました 。
診療情報提供料1とは
診療情報提供料1は、診療に基づき、患者の同意を得たうえで、診療情報を示す「診療情報提供書」を添えて他院に患者の紹介をおこなった場合に、紹介先の医療機関ごとに、患者1人につき月1回に限って算定できる診療報酬です。点数は基本的には250点ですが、後 述しますが、提供した情報などによってさらに加算可能です。
【診療情報提供料1の点数】
250点
【診療情報提供料1の注意点および加算点数】
1. 医療機関以外であっても、以下に示す施設、状況などにおいて、患者などの同意を得て診療情報を示す「診療情報提供書」を添えて患者の紹介をおこなった場合は算定可能です。
① 市町村または指定居宅介護支援業者など
② 精神障害者施設など(患者または家族などの同意が必要)
③ 小児慢性特定疾病やアレルギー疾患を有する児童などおよび医療的ケア児が通学する学校医などに対して、主治医が学校医などへ診療情報提供おこなった場合。ただし、学校医が学校などに対して「情報提供書」を提出した場合は算定できません。「学校区など」の詳細としては、令和4年度の診療報酬改定によって、これまでの情報提供先である小学校、中学校等に加えて、幼稚園型認定こども園を含む幼稚園、高等学校、中等教育学校の後期課程、特別支援学校の幼稚部および高等部、高等専門学校などが追加されています。また、保健所もしくは精神保健福祉センター、児童相談所、指定障害児相談支援事業者に情報提供した際も算定できます。さらに、小児慢性特定疾病医療支援の対象である患者、障害児である患者またはアナフィラキシーの既往歴のある患者もしくは食物アレルギー患者について、当該患者が学校生活を送るにあたり必要な情報を学校医などに対して提供した場合も算定可能です。
2. 診療情報提供書には紹介先の医療機関名などの記載が必要です。転居などによって、次に受診する医療機関が判明していない場合も算定はできません。
3. 紹介元医療機関への単なる返事など、受診行動を伴わない情報提供は算定できません。
4. 診療を伴わない情報提供は算定できません。
5. 診療情報提供料1の加算は下記のとおりです。
① 精神障害者施設などに対して、退院後の情報を提供し紹介した場合、200点を加算できます。
②「ハイリスク妊産婦共同管理料1」の算定医療機関から、別の同1算定医療機関に対して情報提供して紹介をおこなった場合は、「ハイリスク妊婦紹介加算」として、妊娠中1回に限り200点を加算できます。
③ 認知症の疑い患者について鑑別診断などの必要を認め、専門医療機関に対して情報提供して紹介をおこなった場合は、「認知症専門医療機関紹介加算」として100点を加算できます。また、専門医療機関で認知症と診断された外来患者が、症状が増悪して当該専門医療機関に情報提供して紹介をおこなった場合は、「認知症専門医療機関連携加算」として50点が加算できます。
④ 精神科以外の保険医療機関が、うつ病などの診断治療などの必要性を認め、精神科医療機関に予約したうえで情報提供して紹介をおこなった場合は、「精神科医連携加算」として200点を加算できます。
⑤ 長期継続的にインターフェロン治療が必要な肝炎の外来患者を、連携して治療をおこなう肝疾患の専門医療機関に対して紹介をおこなった場合は、「肝炎インターフェロン治療連携加算」として50点を加算できます。
⑥「地域連携診療計画加算」を算定する患者について、退院月または翌月に、連携する医療機関に対して、地域連携診療計画に基づく情報を提供した場合に、「地域連携診療計画加算」として50点を加算できます。
⑦ 患者が入院する先または介護老人保健施設などに対して、訪問看護ステーションから得た情報提供して紹介をおこなった場合は、「療養情報提供加算」として50点を加算できます。
⑧ 施設基準を申請している保険医療機関が、患者の紹介をおこなう際に、検査結果、画像情報などのうち主要なものについて、電子的方法により閲覧可能な形式で提供した場合または電子的に送受される診療情報提供書に添付した場合に、「検査・画像情報提供加算」として、次に掲げる点数を加算できます。
ア 退院する患者について、当該患者の退院日の属する月またはその翌月に、必要な情報を提供した場合200点。ただし、先に述べた①の200点を算定している場合、算定はできません。
イ 入院中の患者以外の患者について必要な情報を提供した場合、30点を加算できます。
また、令和2年の診療報酬改定によって、電話などによる最新の際にも診療情報提供料を算定できるようになっています。これに関しては、「再診料」の但し書きに盛り込まれているので非常にわかりにくいのですが、概要は以下の通りです。
【電話等による再診に関して】
電話等による最新の際に、治療上の必要性から、休日・夜間における救急医療の確保のために診療をおこなっていると認められる医療機関の受診を指示したうえで、当日中に受信先に診療情報の提供をおこなった場合は、「診療情報提供料1」を算定できる
ただし、受診を指示する医療機関は、①地域医療支援病院 ②救急病院などを定める省令に基づいて認定された救急病院・救急診療所 ③「救急医療対策の整備事業について」の通知に規定された病院群輪番制病院、病院群輪番制に参加している有床診療所または共同利用型病院 と指定されています。これらの医療機関に情報を提供した場合に限って、診療情報提供料1の算定が可能です 。
診療情報提供料2とは
診療情報提供料2は、治療法の選択などに関して、別の医療機関の医師の意見(=セカンドオピニオン)を求める患者の要望によって、治療計画、検査結果など別の医療機関で必要な情報を添付した「医療情報提供書」を患者に提供して、セカンドオピニオンを得るためのサポートをおこなった場合に、患者1人につき月1回に限り算定できる診療報酬です。
【診療情報提供料2の点数】
500点
【診療情報提供料2の注意点】
セカンドオピニオンを実施する医療機関は、診療情報提供書などの資料をもとに、患者に対して治療方針などについて「助言」や「変更」などを提案することになります。依頼を受けた医療機関は、治療方針に対して助言するにあたって診療はおこなわないため、一般的には自費診療となることから、患者からセカンドオピニオンのために別の医療機関を紹介してほしいとの申し出があった場合は、セカンドオピニオンは自費となることを説明する必要があります。そのうえで情報提供をおこなった場合、「診療情報提供料2」として500点を算定できます 。
また、セカンドオピニオンの結果によって、患者から治療方針の変更を求められたものの自院では対応できないことで、患者が、セカンドオピニオンを実施した医療機関での治療を望む場合の紹介状には、「診療情報提供料1」を算定できます。
連携強化診療情報提供料とは
連携強化診療情報提供料は、かかりつけ医機能を有する医療機関などから紹介された患者に対して、継続的な診療をおこなっている場合であって、紹介元の医療機関からの求めに応じて診療情報の提供をおこなった場合に算定できる診療報酬です。患者1人につき月1回に限り算定可能です。
【連携強化診療情報提供料の点数】
150点
【連携強化診療情報提供料の算定対象患者】
参照:厚生労働省保険局医療課「令和4年度診療報酬改定の概要」
【連携強化診療情報提供料の評価対象】
連携強化診療情報提供料を算定するためには、紹介先、紹介元の医療機関が、下記表の1から5までのいずれかの全条件をクリアしていることが必要です。
紹介元 | 患者 | 紹介先 (紹介元に診療情報を提供した場合に、連携強化診療情報提供料が算定可能) |
算定回数の 制限 |
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1 | かかりつけ医機能に係る施設基準の届出あり | 禁煙 | 月に1回 | |
2 | 以下のいずれか ・200床未満の病院 ・診療所 |
以下のいずれも満たす ・紹介受診重点医療機関 ・禁煙 |
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3 | 以下のいずれも満たす ・かかりつけ医機能に係る施設基準の届出あり ・禁煙 |
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4 | 難病(疑い含む)の患者 | 以下のいずれも満たす ・難病診療連携拠点病院または難病診療分野別拠点病院 ・禁煙 |
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てんかん(疑い含む)の患者 | 以下のいずれも満たす ・てんかん支援拠点病院 ・禁煙 |
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5 | 妊娠中の患者 | 3月に1回 | ||
産科または産婦人科を標榜 | 禁煙 | 月に1回 | ||
以下のいずれも満たす ・産科または産婦人科を標榜 ・妊娠中の患者の診療につき十分な体制を準備している |
参照:厚生労働省保険局医療課「令和4年度診療報酬改定の概要」
病診連携についても意識を高めていこう
診療情報提供料を算定するためには、診療情報提供書を提供する先の医療機関としっかりと連携をとっていくことが不可欠です。そのため、日ごろから病診連携についても意識を向けて、いざというときにコンタクトをとる先についても考えておくことをおすすめしますよ!
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2024年4月時点の情報を元に作成しています。