看護師は「白衣の天使」と形容されることがある一方、患者から「怖い」と思われることもあります。なぜ、患者のケアにあたっているにも関わらず、「怖い」と思われることがあるのでしょうか？　また、「怖い」という印象を持たれないためにできることはあるのでしょうか？　詳しくみていきましょう。

看護師が「怖い」と思われるのはなぜ？

まずは本題。看護師が「怖い」と思われる理由としては、以下のようなことが考えられます。

気を張って仕事している

看護師の仕事は肉体的にも精神的にもハードです。時に患者の命に関わることもあるため、医師の指示のもと、常に気を張って仕事をしています。また、人間関係に問題があるクリニックや、院長などがなんらかのハラスメントをおこなっているクリニックで働いている看護師は、別の意味でハードな状況にあります。そのため、器用な性格でなければ、「仕事はきちんとこなしながらも患者には笑顔で接する」ということまではできないかもしれません。その結果として、患者から「怖い」と思われることもあるでしょう。

患者を叱らなければならないことがある

患者の生活習慣や治療に対する態度が原因で、ケガや病気が治らない場合や症状が悪化している場合、看護師は心を鬼にして患者を叱らなければなりません。もちろん医師も注意しますが、特に有床の医療機関の場合などは、看護師のほうが患者と接する時間が長いため、患者からは、医師よりも看護師のほうが怖いというイメージを抱かれてしまうかもしれません。

新人ナースなどに厳しい指導をおこなうことがある

看護師の仕事はヒヤリ・ハットと隣り合わせです。患者の命に関わるミスを犯さないよう、自分自身が気を付けなければならないのはもちろん、後輩ナースにも、ミスを防ぐことの大切さをしっかりと教えていく必要があります。必然的に、新人研修や後輩の育成は厳しくおこなわれることになるため、後輩ナースや、指導の様子を目の当たりにした患者から、「怖い」と思われることがあるかもしれません。

忙しさから心に余裕が持てずギスギスしている

残業や夜勤、オンコール対応がある医療機関や、人手不足で日々の業務に追われがちなクリニックで働いている看護師は、忙しさから心に余裕が持てなくなることがあります。そうなると、周囲に対してもやさしく接することが難しくなるため、同僚や患者から「怖い」と思われてしまうこともあるでしょう。

患者やその家族に舐められないよう、「怖い看護師」を演じている

わがままな入院患者が多い病棟などでは、患者に舐められないよう、「怖い看護師」を演じていたほうが、トラブルが起きにくいといえます。普段はおっとりした性格であっても、仕事のスイッチが入るときつい物言いになるということもあるでしょう。

医師に舐められないよう、テキパキ仕事している

医師から見くびられたくないとの思いから、新しい知識やスキルの習得にも貪欲で、テキパキと仕事している看護師も、「たいしたことがない用事で呼び止めたら怒られそう」などのイメージを持たれることがあるかもしれません。特に、看護師に“癒し”を求めている人からは、そのように思われる可能性が高いかもしれません。

もともと性格がきつい

看護師になる前から性格がきつく、周囲から「怖い」と言われることが多かったというケースもゼロではないでしょう。

看護師が「怖い」と思われることのメリットは？

看護師が「怖い」と思われることは悪いことかというと、そうではない場合もあります。まず、前述した通り、「患者やその家族に舐められにくい」「医師に見くびられにくい」というメリットがあります。また、看護師の仕事を続けた結果、「怖い」と思われるくらい強気な性格に変わったことで、プライベートでも、言いたいことを言える自分になれたという人もいるのではないでしょうか。

看護師が「怖い」と思われることのデメリットは？

反対に、看護師が「怖い」と思われることにデメリットはあるかというと、まず、「看護師の物言いがきつい」などの悪い口コミを書かれる可能性が考えられます。また、前述した通り、多忙すぎて心に余裕が持てないことや、職場の人間関係、ハラスメントが原因で、周囲から「怖い」と思われるほど暗い顔をしている場合、本人の精神状態が悪化していく可能性が考えられます。

看護師が「怖い」と思われたくない場合はどうすればいい？

続いては、看護師本人が「怖い」と思われたくないのに思われてしまっている場合、どうすれば「怖い」と思われづらくなるのかをみていきましょう。

笑顔でのコミュニケーションを心がける

まずは、同僚に対しても患者に対しても、笑顔でコミュニケーションをとることを心がけることが大切です。特に、同僚に対して「おはようございます」「おつかれさまです」、患者に対して「お大事に」などの声をかけるときには笑顔が一番。笑顔で挨拶されてイヤな気持ちになる人はいないので、「怖い」という印象は持たれにくくなります。ただしもちろん、常に笑顔でいる必要はなく、処置の最中などは、基本的には真剣な表情が望ましいといえます。

「褒める」を意識する

看護師は、患者に対しても後輩に対しても厳しく叱らなければならないシーンが多いですが、患者が生活習慣の改善に成功したときや、後輩の成長を確認できたときにはきちんと褒めるようにすれば、「自分のためを思って叱ってくれているんだな」と感謝の気持ちを持たれやすくなります。同時に、「怖い」などのネガティブな感情を持たれることがなくなります。

後輩を厳しく注意するときなどは患者の目の届かない場所を選ぶ

一緒に働く後輩などに、「遅刻」「態度が悪い」「マナーがなっていない」「言葉遣いが悪い」などの言動があり、注意する場合、その場に居合わせた患者に「怖い」「イヤな雰囲気だな」思われないよう配慮が必要です。具体的には、人目につかない場所に移動してから注意するといいでしょう。ただし、患者に対する態度に問題があった場合などは、本人にその場で謝らせると同時に、注意する側からも、「以降、このようなことがないよう気をつけます」と患者に対してお詫びを入れることが大切です。

働く環境や条件に対する不満をクリニックに伝える

職場の人間関係に悩まされている場合や、給与や労働条件に不満がある場合、自然な笑顔で毎日を過ごすことは難しいものです。そのため、まずは働く環境や条件を変えるために動くことが大切です。

自分にとって「怖い看護師」がいる場合も、理由や対処法はさまざま

前述の通り、看護師本人が、「怖い」と思われたくない場合の対処法はいくつか考えられますが、職場に自分にとって「怖い看護師」がいる場合も同様に、その理由によって対応法が変わってきます。「院内に嫌いな人間がいる」「仕事が忙しくてギスギスしている」「後輩に対して厳しい顔をみせているだけ」などの考えられる理由のうち、ネガティブなものが理由である場合は、改善のために自分にできることがあるのかを考えるか、自分自身が環境を変えることを視野に入れてもいいかもしれません。

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