
厚生労働省が公表している「訪問看護の伸び悩みに関するデータ」によると、平成19年度の訪問看護業界全体の離職率は15.0%です。
同調査の病院の離職率が12.6%であることからも、訪問看護業界の離職率は高いことがわかりますが、離職率を下げるためには、「長続きしそうな人」を選ぶことも大切です。
そこで今回は、採用の際の見極めポイントの核となる、訪問看護師に向いている人と向かない人の特徴をみていきます。
訪問看護に向いている人の特徴
まずは、訪問看護に向いている人の特徴からみていきます。
- コミュニケーション力が高い人
- 傾聴する姿勢がある人
- マナーがいい人
- 体力がある人
- 柔軟性がある、イレギュラーな状況に瞬時に対応できる
- 単独行動が得意な人
- 地域医療への関心が高い人
- 経営・起業に興味がある人
- 打たれ強い人
それぞれについて詳しく説明していきます。
コミュニケーション力が高い人
訪問看護の仕事では、利用者やその家族と積極的にコミュニケーションをとることが大切です。無口な利用者もいればおしゃべりな利用者もいますし、いつも不機嫌な人もいれば愛想がいい人もいます。
訪問看護師には、利用者がどんなタイプであっても、うまく関係を築いていくコミュニケーションスキルが求められます。
加えて、訪問看護のしごとにおいては多職種連携が必須となるため、職種の異なる人とうまくコミュニケーションをとっていくスキルも必須となります。
傾聴する姿勢がある人
訪問看護に限ったことではありませんが、看護を提供するうえでは、傾聴の姿勢がとても大切です。
利用者が何をしてほしいと考えていて、何をしてほしくないと思っているのか、在宅医療に何を望んでいて、これから先どんなふうに生活していきたいと思っているのかを傾聴できなければ、利用者にとって理想の看護を提供することができません。
マナーがいい人
訪問看護の仕事を行うにあたっては、「利用者のお宅にお邪魔させていただいている」ということを忘れてはいけません。
「おはようございます」「お邪魔します」などの挨拶はもちろん、玄関で靴をきちんとそろえたり、利用者が家族と同居している場合は他の家族に迷惑がかからないかを考えて行動したりと、気を付けるべきことがたくさんあります。
体力がある人
訪問看護師は一日に何軒ものお宅を回ることになるので、体力がなければ仕事を続けることは難しいといえるでしょう。特に、車ではなく公共交通機関や自転車で移動する場合は体力が必須。
真夏の炎天下で大きな荷物を抱えて移動しなければならない場合など、かなりの体力を消耗します。また、利用者の状態によっては、相手の身体を支えながらケアすることも必要になってくるため、看護そのものでも体力を消耗します。
柔軟性がある、イレギュラーな状況に瞬時に対応できる
訪問看護の現場では、看護を提供する人間は基本的に自分一人となるため、イレギュラーなことが起こったときには、瞬時に対応する柔軟性が不可欠です。
たとえば、利用者の生死に関わる状況に遭遇することもあり得ますし、精神疾患がある利用者であれば、急に暴れ出す可能性もゼロではありません。そのため、日ごろからそうした事態を想定したうえでシミュレーションを行えることも大切であるといえます。
単独行動が得意な人
訪問看護の仕事は基本的に看護師が一人で行います。そのため、一人でその日のスケジュールを確認してルートを決めて、効率よく仕事を進められる人でなければ務まらないでしょう。
地域医療への関心が高い人
地域医療への関心が高く、在宅医療を望む人の役に立ちたいという思いが強い人には、高いモチベーションを維持して仕事を続けてくれることが期待できます。
経営・起業に興味がある人
看護師の資格があれば訪問看護ステーションを開業することができるため、将来、自分で訪問看護ステーションを開きたいとの思いから、まずは自分が働くことで研鑽を積んでいる人もいます。
そうした人は仕事に必要な知識を貪欲に吸収する傾向にあるため、職場に貢献してくれますし、将来的に自分で開業することになった際にも、これまでの職場とうまく連携をとりながら発展していきたいと考える可能性もあります。
打たれ強い人
訪問看護の利用者にはいろんな人がいます。看護師のことが気に入らないと暴言を吐いてくる人もいれば、身体が思うように動かないストレスを看護師にぶつけてくる人もいます。
もちろん、度を越した攻撃があった場合には然るべき対応をとることが必須ですが、「文句を言われた」「イヤな言葉を投げかけられた」程度であれば、スルーしたほうが得策な場合もあります。そのため、打たれ強い人やスルースキルが高い人は向いているといえるでしょう。
訪問看護に向かない人の特徴
続いては、訪問看護に向かない人の特徴です。
- 人の話をあまり聞いていない人
- コミュニケーションスキルが低い人
- 好き嫌いが顔に出やすい人
- マナーが悪い人
- 暑さ、寒さに弱い人
- スケジュール管理が苦手な人
- 最先端の医療に携わっていきたい人
- お酒好き
- 潔癖症
こちらも、それぞれの項目を詳しく解説していきます。
人の話をあまり聞いていない人
人の話を聞くのが苦手なタイプは向いていません。訪問看護の現場では他にスタッフがいないため、利用者はなにか要望がある場合は看護師に伝えるしかありません。
伝えた結果、適当に流されたり、約束を忘れられたりしたら、利用者から訪問を拒絶される可能性もあります。
コミュニケーションスキルが低い人
多職種連携が必須の訪問看護の仕事において、医師やリハビリ職とうまくやっていけないとなると、訪問看護師として続けていくことは難しいでしょう。
好き嫌いが顔に出やすい人
コミュニケーションスキルが低く、嫌いな人にはイヤな態度しかとれない人は、訪問看護の仕事は向いていません。利用者にはさまざまな人がいるので、なかには相性が悪い人もいるでしょう。
それでも、仕事で訪問している以上、相手に満足してもらえることを第一に考えなければなりません。そのことを頭で理解していたとしても、ネガティブな表情や空気感を醸し出してしまうタイプは、訪問看護師としてやっていくことは難しいでしょう。
マナーが悪い人
マナーが悪い人は、利用者やその家族から嫌われます。
玄関で靴をそろえない、敬語が使えない、横柄な態度をとるなどはもってのほか。汚れた靴下や濡れた洋服で家に上がり込む、なども論外です。
清潔感がない人
着ているものやヘアスタイルなどに清潔感が感じられないのはもちろん、ニオイに関しても清潔感の有無の判断ポイントとなります。
汗をかきやすい夏は、ニオイが気になるときにすぐに着替えられるよう、予備のTシャツや靴下を持ち歩くことが望ましいでしょう。
そのほか、整髪料やハンドクリームなどのニオイが強いのもNG! 本人が好きな香りであっても、ニオイは人によって好き嫌いが分かれるので、無香料のものを選びましょう。また、手指の消毒を徹底することも必要です。
暑さ、寒さに弱い人
訪問看護の仕事は移動が多い仕事です。そのため、真夏や真冬に一日に何回も外に出なければならないのが億劫だという人は向いていません。
加えて、利用者のお宅の冷暖房の温度を働く側に合わせて調整してもらえないことも大きな理由です。
昨今は電気代が高騰しているため、節約のために冷暖房を使っていないお宅も多いので、暑さや寒さに弱い人にとってはストレスが大きい現場となりえます。
スケジュール管理が苦手な人
訪問看護の仕事は基本的に看護師が一人で利用者宅を回るため、スケジュール管理がしっかりできないタイプだと、毎朝、一日のスケジュールを確認する時点で嫌気がさしてくる可能性が高いといえます。
最先端の医療に携わっていきたい人
最先端の医療への関心が高く、自分も先進医療を提供する側になりたいと考えている人には向いていません。
このタイプはそもそも訪問看護ステーションに転職を希望することがないと考えられますが、万が一、面接でこうした自己PRがあった場合は、理想とする仕事に携われる機会は少ないことを伝えたほうがいいでしょう。
お酒好き
お酒が好きだと必ずしもNGというわけではありませんが、「毎晩必ずお酒を飲みたい!」という人の場合、オンコール対応の日は飲まないことを約束できるかどうかをしっかり確認する必要があります。
潔癖症
利用者のお宅は必ずしもキレイに片付いているとは限りません。なかには、足の踏み場もないほど散らかっているお宅もありますし、ペットがいて室内に毛が舞っていたり、その子のトイレ掃除などが行き届いていなかったりすることも考えられます。
そうした状況に耐えられないという潔癖症の人には向いていません。
向き不向きの見極めが難しい場合は試用期間を設けよう
自社への転職希望者が訪問看護師に向いているか向いていないかの見極めが難しい場合は、試用期間を設けることがおすすめです。
訪問看護師のニーズは年々高まっていることから、医療機関で働いていた看護師が未経験で転職を希望してくることも多く、看護師自身も、自分が訪問看護師に向いているかどうかがわからないというケースも多いです。
その結果、やる気いっぱいで転職したものの、「自分は病院勤務のほうが向いていた…」と痛感して出戻りするパターンもあれば、その逆で、「続けられるか不安だと思っていたけど、はじめてみたら自分のペースで仕事できるから楽しい!」というパターンもあります。
そのため、まずは面接の時点で「向いている人」「向いていない人」の特徴をしっかりチェックしながらも、その場で判断するにはまだ早いと感じる場合には、試用期間を経て本採用にするかどうかを決めるのがおすすめですよ。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2024年8月時点の情報を元に作成しています。
執筆 CLIUS(クリアス )
クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
機器連携、検体検査連携はクラウド型電子カルテでトップクラス。最小限のコスト(初期費用0円〜)で効率的なカルテ運用・診療の実現を目指している。
他の関連記事はこちら