
看護の現場では、過酷な労働環境や人間関係のストレス 重なり、ハラスメントが発生しやすい状況にあります。
今回は、現役看護師に「あなたが受けたパワハラ発言、どんなもの?」というアンケートを行い、その結果をまとめました。
ハラスメント発言、誰から発せられるケースが多い?
アンケート結果を分析すると、パワハラ発言は以下4つのグループから発せられていることがわかりました。 ※上から多い順
- 上司(師長・主任・医師など)
- 同僚(特に先輩看護師)
- 患者
- 病院組織そのもの
特に多かったのは「上司(師長・主任・医師など)」からの発言です。次に「同僚(先輩看護師)」、そして「患者」と続きます。
実際にどんな発言があったのか?
以下は、実際に看護師が経験したパワハラ発言の一例です。
上司(師長・主任・医師)からの発言の例
「何トロトロやってんのよ!貸しなさい!」(綾瀬/40代・前半)
消毒処置を慎重に行っていた際、副師長に押しのけられてしまったため、ミスをしてしまった綾瀬さん。その後「何やってんのよ!」と怒鳴られたとのことです。
「こんなにトロいなら、患者が死んでも仕方ないね」(ruka/40代・後半)
新人時代に主任看護師から上記の言葉を浴びせられたrukaさん。夜勤で急変対応をしていた際、動きが遅いことを理由に強く叱責されたとのことでした。
「もう帰るの!?私より先に!?」(あび/20代・後半)
定時で退勤しようとした際、師長から浴びせられた言葉を教えてくれたあびさん。師長の機嫌が悪いときだったので、八つ当たりされたと感じているとのことでした。
同僚(先輩看護師)からの発言の例
「休み希望でない休みは勤務変わらないと」「旦那はなにしよん?」(ごんち/30代・後半)
子供の検査のため休みを取った際、日勤のみの先輩から嫌味を言われた。
「なんであの時なにも手伝わずに帰れるの?信じられない。」(yume/20代・後半)
手伝えることがないか確認したものの無視され、翌日になって怒鳴られた。
患者からの発言の例
「本当にこの看護師はつかえないわ」「性格が悪い女」(餅子/20代・前半)
重症患者のケアに集中していたため、もう一人の患者から罵倒された。
「あんたいい身体しとるねえ」(りろ/20代・前半)
せん妄状態の患者からセクハラ発言を受けた。
病院組織そのものからの圧力
「そりゃ当事者はパワハラって言うに決まってるでしょ」(momiji09/40代・前半)
パワハラを通報したにも関わらず、病院の調査部署が被害者の証言を軽視し、組織ぐるみで隠蔽された。
看護師の労働環境に見られる問題
上記のような発言が横行する背景には、看護師の労働環境にいくつかの根深い問題があります。
長時間労働と人手不足
厚生労働省のデータによると、看護師の平均残業時間は月20時間以上、夜勤を含むシフト制勤務が多く、過労死ライン(80時間/月)に達するケースもあります。慢性的な人手不足も相まって、一人ひとりの負担が非常に大きいのが現状です。
上下関係の厳しさと指導の名のもとの暴言
日本看護協会の調査によれば、新人看護師の約30%が1年以内に退職しており、その理由の一つに「指導の厳しさ」が挙げられています。教育という名のもとに過度な叱責やプレッシャーが与えられ、精神的に追い詰められるケースが多発しています。
家庭との両立が難しい職場文化
看護師の約8割が女性であり、育児や介護との両立が求められることが多いにもかかわらず、休みの調整が難しい職場が多いのが現実です。「子供の急病で休みを取ると嫌味を言われる」「時短勤務が取りにくい」といった声が数多く寄せられています。
患者からのハラスメントへの対策不足
患者からの暴言やセクハラは、厚生労働省の調査でも約40%の看護師が経験していると報告されています。しかし、病院側の対策は不十分であり、問題が放置されがちです。
看護師としてできること
記録を残す
パワハラを受けた際は、日時・場所・発言内容を記録しておきましょう。第三者に相談する際の証拠になります。
信頼できる人に相談する
職場のハラスメント相談窓口、労働組合、同僚、外部の専門機関など、相談できる場所を持つことが大切です。
転職も視野に入れる
環境が改善されない場合、思い切って転職することも選択肢の一つです。看護師は需要が高く、職場を選ぶ自由があります。
まとめ
看護師は日々、患者の命を預かる仕事をしています。しかし、その環境の中でパワハラに耐えながら働く必要はありません。
労働環境を見直し、改善を求める動きをしていくことが、働きやすい職場を作る第一歩です。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2025年3月時点の情報を元に作成しています。
執筆 CLIUS(クリアス )
クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
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